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Unraveling Genius: Music, Knowledge, Madness

Apollo Kids - Ghostface Killah (feat. Raekwon) 【和訳・解説】

Artist: Ghostface Killah (feat. Raekwon)

Album: Supreme Clientele

Song Title: Apollo Kids

概要

2000年リリースの傑作『Supreme Clientele』のリードシングルである本作は、Wu-Tang Clanが停滞期を脱し、Ghostface Killahがソロとしての覇権を握ったことを証明する記念碑的トラックだ。プロデューサーのHassan (The U.M.C.'s) は、Solomon Burkeの「Cool Breeze」をサンプリングし、泥臭くも華やかなホーン・ループを構築した。タイトルの「Apollo Kids」は、ハーレムの聖地アポロ・シアターと、そこで磨かれたストリートの感性を象徴している。歌詞の面では、Ghostがアフリカ旅行を経て手に入れた超現実的で色彩豊かな比喩表現(B-Boyペン)が爆発しており、盟友Raekwonとの鉄板のコンビネーション(通称:Chef & Starks)が、90年代の犯罪映画的な質感を2000年代の抽象芸術へと昇華させている。当時のシーンに蔓延していた「シャイニーなバッド・ボーイ路線」へのアンチテーゼとして、真のストリートの美学を提示した一曲である。

和訳

[Intro: Ghostface Killah]

Uh-huh, uh-huh, motherfucker, uh-huh
ああ、そうだ、クソ野郎

Yeah, I see that, I see that
ああ、見えてるぜ、分かってるって

All y'all fake motherfuckers up in the joint, huh
この場にいるフェイクな野郎ども、全員な

Stealing my light, huh
俺の光を盗もうとしてるんだろ?

Watch me, duke, watch me
見てな、兄弟。俺のやり方を見てろ

[Verse 1: Ghostface Killah]

Yo, check these up top murderers, snowy in the bezel as the cloud merges
ヨ、このトップクラスの殺し屋たちを見な、ベゼルには雲が混じるようなダイヤの輝きだ
※「Up top」はブロンクスなどの北部、あるいは最高位を指す。「Snowy in the bezel」は高級時計のベゼルに埋め込まれたダイヤモンドを「雪」に例えている。

FBI try and want word with this
FBIもこいつ(俺)と話をしたがってる

Kid who pulled out bust a shot up in the Beacon
ビーコン・シアターで銃をぶっ放したあの若造とな
※ビーコン・シアターはNYの歴史的会場。そこで起きた実際の騒動や、自身の不敵なパブリックイメージを引用している。

Catch me in the corner not speaking
俺はコーナーで黙って座ってるぜ

Crushed out heavenly, U.G. rock the sweet daddy long fox minks
天国のような輝きを放ち、U.G.は極上のフォックス・ミンクを羽織る

Chicken and broccoli, Wally's look stink
チキン・アンド・ブロッコリー色のワラビーは、最高にイケてるぜ
※「Chicken and broccoli」はティンバーランドやクラークスの定番カラー(ブラウンとグリーン)の愛称。Ghostのアイコンであるワラビー(Wally's)への言及だ。

He with his man straight from Raleigh Durham
あいつはローリー・ダーラムから来た仲間と一緒だ

He recognized Kojak, I slapped him 5, Masta Killa cracked his Heine for him
あいつはコジャック(俺)に気づき、俺はハイタッチを交わした。マスタ・キラがハイネケンを開けてやったぜ
※「Kojak」はスキンヘッドの刑事ドラマの主人公。自身の丸めた頭に引っかけたセルフ・ネームドロップだ。

Everybody break bread, huddle around
全員でパンを分け合い(金を分配し)、円陣を組め

Guzzle that, I'm about to throw hair on your back
それを飲み干せ、俺がお前らをビビらせて(背筋を凍らせて)やる

Since the face been revealed, game got real
この顔(ゴーストフェイス)が明かされてから、ゲームは本物になった
※1stアルバム期まで仮面で顔を隠していたGhostが、素顔を晒して活動し始めたことへの自信の表れ。

Radio been gassing niggas, my imposters scream they're ill
ラジオは野郎どもを調子に乗らせ、俺のパクリどもが自分こそがヤバいと叫んでる

I'm the inventor, '86 rhyming at the center
俺こそが発明者だ。86年にはセンターでライムを刻んでた

Debut '93 LP told you to Enter
93年のデビュー盤は、お前に「Enter(入れ)」と告げただろ
※Wu-Tang Clanの歴史的1stアルバム『Enter the Wu-Tang (36 Chambers)』を指す。

Punk faggot niggas stealing my light
パンクなフェイク野郎どもが俺の輝きを盗もうとしてる

Crawl up in the bed with grandma beneath the La-Z-Boy where you hid your knife
安楽椅子の下にナイフを隠して、ババアのベッドに這い込んでな
※弱虫な敵対者が、家の中で怯えながら武装している情けない姿を皮肉っている。

Ghost is back, stretch Cadillacs, fruit cocktails
ゴーストの帰還だ。リムジンにフルーツカクテル

Hit the shelves at Paul's Pastry Rack
ポールズ・ペストリーの棚を荒らしに行くぜ
※贅沢な食べ物のメタファー。彼のリリックには食べ物のリファレンスが非常に多く、生活の豊かさを表現する手段となっている。

Walk with me like Dorothy, try to judge these
ドロシー(オズの魔法使い)みたいに俺と歩け、俺たちを裁いてみろよ

Plus Degrees, sessical Rasta fiends
プラス・ディグリーズ、クサに溺れたラスタのジャンキーども
※「Plus Degrees」はFive-Percent Nationの知識体系。ラスタ文化とイスラム教義を独自のセンスで混ぜ合わせている。

Getting waxed all through the drive-thru
ドライブスルーを通る間に磨き上げられる

Take the stand, throw my hand all on the Bible and tell lies too
証言台に立ち、聖書に手を置いて嘘を並べ立ててやるぜ
※司法システムに対する不信感と、ハスラーとしての不敵なスタンスの強調。

I'm the ultimate, splash the Wolverine Razor Sharp ring
俺は究極だ。ウルヴァリンの剃刀のように鋭いリングを光らせる
※RZAの別名「Razor Sharp」とコミックのリファレンスを組み合わせている。

Dolemite, student enroll holding it
ドールマイト(ブラックスプロイテーション映画のヒーロー)の如く、準備は万端だ

[Chorus: Ghostface Killah]

Ayo, this rap is like Ziti, facing me real TV
アヨ、このラップはジィティ(パスタ料理)のように熱く、俺に対峙するのは本物のテレビ画面だ
※「Ziti」はイタリア料理。Wu-Tang流の「コック」のメタファーであり、ラップを調理することに例えている。

Crash at high speeds, strawberry kiwi
高速でクラッシュ、ストロベリー・キウイの香り

As we approach your hood, the gods bail (Bail!)
俺たちがナワバリに近づけば、神々(仲間たち)が飛び出す

These Staten Island ferryboat cats bail (Bail!)
スタテンアイランドのフェリーに乗る野郎どもは逃げ出すぜ

Fresh cellies, fifty deep up in the city
新品の携帯を手に、50人の軍団で街を練り歩く

We banned for life, Apollo Kids live to spit the real (Real!)
俺たちは一生出入り禁止、アポロ・キッズは「本物」を吐くために生きてるんだ

[Verse 2: Ghostface Killah]

A pair of bright phat yellow Air Max
鮮やかでファットなイエローのエアマックス

Hit the racks, snatch 'em up, son, $20 off no tax
棚から奪い取れ、20ドル引きで、税金もなしだ
※万引き(Shoplifting)の描写だが、ストリートの経済感覚を象徴している。エアマックス95のイエローグラデは当時からストリートの象徴だった。

Dream merchant tucked in the cloud, stay splurging
夢を売る商人は雲に隠れ、贅沢を謳歌し続ける

Rock a eagle head, 6-inch height was the bird
ワシの頭(を模したジュエリー)を身につけ、6インチの巨大な鳥だ
※Ghostのトレードマークである巨大な金のイーグルの腕輪。高さ6インチという誇張した表現でその威圧感を示している。

Monday night Dallas vs Jets, dudes slid in with one hand
月曜の夜、カウボーイズ対ジェッツ戦、片手で滑り込む野郎ども
※「One hand」は、武器を忍ばせている、あるいはハンドルを片手で握るクールなスタンスの暗示。

Two Culture Ciphers, one bag of wet
2つのカルチャー・サイファー、そしてPCP(ウェット)の袋が一つ
※「Wet」はPCPに浸したタバコや大麻。サイファー(集まり)の中でのドラッグ文化の描写。

Heavy rain fucked my kicks up, wasn't looking, splashed in the puddle
大雨で靴が台無しだ。よそ見してて水たまりに突っ込んじまった

Bitch laughing, first thought was beat the bitch up
女が笑いやがった。最初に思ったのは「ブッ飛ばしてやる」だったぜ
※当時のストリートの粗暴なメンタリティを隠さず表現している。

Moseyed off gracefully, New York's most wanted cheeba hawk
優雅に去って行くぜ、ニューヨークで最も指名手配されたクサ好きのタカ(俺)だ

Seen the Yellow Brick Road, I stole the pastries
イエロー・ブリック・ロードを見て、ペストリー(富)を盗んだのさ

Same Ghostface, holy in the mind
相変わらずのゴーストフェイス、心は神聖だ

Last seen Manhattan Chase withdrew the 6-8 digit in the briefcase
最後に目撃されたのはマンハッタン・チェイス銀行、アタッシュケースに6桁から8桁の現金を詰め込んでな
※「Chase」は実在の銀行。巨額のキャッシュを手にしたハスラーとしての成功を描く。

Rawness, title is hellbound
生々しさ、その肩書きは地獄行きだ

Quick to reload around faces, surround look astound
敵の前ですぐに弾を込め直し、周囲を驚愕させる

[Interlude: Raekwon]

Yo, yo, yo
ヨ、ヨ、ヨ

[Verse 3: Raekwon]

We split a fair one, Poconos money, gin rummy with glare
公正に分けようぜ、ポコノ山脈での稼ぎだ。睨みを利かせてジン・ラミーを打つ

Spot the lame, bit his ear, yo
ヘボい野郎を見つけ、耳を噛みちぎってやったぜ

And taste a teaspoon, 300 goons, stash balloons
ティースプーン一杯の味見、300人の刺客、風船に隠したブツ
※「Balloons」はドラッグを飲み込んで運ぶ際のパッキング手法を指す。

Locked in lab rooms, hit with the Glock, spazzed in Grant's Tomb
ラボ(スタジオ)に籠もり、グロックで一撃。グリーンの墓地で大暴れだ

Clocked him like a patient, his stocks fall, hustle invasion
患者みたいに時間を測り、奴の株(価値)は暴落。ハッスルの侵略だ

Knowing now, we copped the block off
今じゃ分かってるだろ、俺たちがブロック全体を買い占めたってことを

The chain tri-color, freezing in velour, icicle galore
3色のゴールドチェーン、ベロアを着て凍えそうなほどのダイヤ(氷)

Gas station light gleaming on the wall
ガソリンスタンドの光が壁に反射してる

Cop WiseGuy jams, James Bond vans
マフィア(WiseGuy)の曲を買い、ジェームズ・ボンドのようなバンを転がす

Niggas flipped Timbs, rock boats underwater, watch clams
野郎どもはティンバーランドを履き替え、水中ボートを動かし、二枚貝(女や金)を監視する

Pose for the standoff, mad timid
対決のポーズ、奴らはびびりまくってる

Hoping that the gun fall, guessing like lottery balls, yo
銃が手から落ちるのを祈りながらな。宝くじの数字を当てるみたいに運任せに生きてるぜ、ヨ

[Chorus: Ghostface Killah]

Ayo, this rap is like Ziti, facing me real TV
アヨ、このラップはジィティのように熱く、俺に対峙するのは本物のテレビ画面だ

Crash at high speeds, strawberry kiwi
高速でクラッシュ、ストロベリー・キウイの香り

As we approach your hood, the gods bail (Bail!)
俺たちがナワバリに近づけば、神々が飛び出す

See Staten Island ferryboat cats bail (Bail!)
スタテンアイランドのフェリーに乗る野郎どもは逃げ出すぜ

Fresh cellies, fifty deep up in the city
新品の携帯を手に、50人の軍団で街を練り歩く

We banned for life, Apollo Kids live to spit the real (Real!)
俺たちは一生出入り禁止、アポロ・キッズは「本物」を吐くために生きてるんだ