Artist: JPEGMAFIA
Album: Veteran
Song Title: I Cannot Fucking Wait Til Morrissey Dies
概要
JPEGMAFIAの2018年のアルバム『Veteran』に収録された本作は、タイトルの通り「モリッシーが死ぬのがマジで待ちきれない」という強烈なステートメントを放つ、彼のキャリアを代表するパンクなヒップホップ・アンセムだ。ターゲットにされているのは、The Smithsの元フロントマンでありながら近年極右政党への支持や人種差別的な発言を繰り返しているモリッシーをはじめ、SlayerのTom ArayaやBurzumのVarg Vikernesといった、白人至上主義的・極右的な言動で知られる白人ミュージシャンたちである。Peggyは自身を「左翼のハデス(冥界の王)」と名乗り、かつてのロックンロールやパンクのアイコンたちを過去の遺物として完全に否定する。代わりにインターネット世代のヒップホップ・レジェンドであるLil Bを新たなアイコンとして崇拝し、右傾化する社会とネット上のオルタナ右翼(4chanの住人など)に容赦ない言葉の銃弾を浴びせる。過激なアティチュードと、アラバマの故Doe Bのサンプリングなどをシームレスに繋ぐ実験的なビートが、既存の価値観を破壊する彼のスタンスを完璧に体現している。
和訳
[Intro: JPEGMAFIA]
I do it, I do it
やるぜ、やってやるよ
It really don't matter to me, dawg
俺にはマジでどうでもいいことだ、なぁ
[Verse: JPEGMAFIA]
Tom (Tom), Varg (Varg), Morrissey (Yeah)
トム、ヴァルグ、モリッシー
※SlayerのボーカルTom Araya(トランプ支持と過激な右翼発言で炎上)、BurzumのVarg Vikernes(ネオナチであり殺人罪での服役歴を持つ)、The Smithsの元ボーカルMorrissey(極右政党支持や人種差別的発言で物議を醸す)。いずれも極右や白人至上主義的な思想で知られる白人ミュージシャンを名指しでディスし、タイトルを即座に回収している。
Bunch of timid white boys who can't fuck with me (Okay)
俺には歯が立たない臆病な白人の坊やたちさ
My daddy told me these white boys can't keep a key (Woo!)
親父が言ってたぜ、こういう白人どもはキーを保てないってな
※「keep a key」は、音楽的なキー(音程)を外す(リズム感や音楽的ルーツを持たないという黒人から白人へのステレオタイプな皮肉)ことと、1キロ(キー)のコカインを捌くほどのストリートのタフさを持たないというダブルミーニング。
Fifth in his face, got him singin' C (Damn)
顔面にフィフスを叩き込んで、高音で悲鳴を上げさせてやる
※「Fifth」は1/5ガロン(約750ml)の酒瓶、または銃の修正第5条(黙秘権)。「singin' C」は音楽の「C(高いハ音)」で叫ぶこと。音楽の専門用語を使いながら、肉体的な暴力を描写する高度なリリシズム。
Never (Woo) mind, you or me (Okay)
気にするな、お前も俺も
※Nirvanaの歴史的アルバム『Nevermind』を連想させるフレーズ。白人のロックカルチャーをあえて引用しつつ消費している。
Fuck a Johnny Rotten, I want Lil B (Man)
ジョニー・ロットンなんてクソくらえだ、俺はリル・Bが欲しい
※Sex Pistolsのボーカルとしてパンクの象徴だったJohnny Rotten(のちにトランプ支持を公言)のような過去のアイコンを否定し、インターネット時代のヒップホップの神であり、誰にも媚びない自由な精神を持つLil B(The BasedGod)こそが真のパンクだと崇拝している。
Fuck you niggas talkin', this a killin' spree (Dang)
お前らの御託なんてクソくらえだ、これは大虐殺だぜ
Pull up on a cracker, bumpin' Lil Peep
白人野郎のところに乗り込む、リル・ピープを爆音で流しながらな
※「cracker」は白人の蔑称。自身のエモ・ラップ的な側面とリンクする白人ラッパーLil Peepの曲をBGMにしながら、白人至上主義者を襲撃するというブラックユーモア。
God (God) damn (Damn), holy sheet
ガッデム、なんてこった
Got my reparations, bought some jewelry (Yoo)
賠償金を受け取って、ジュエリーを買ってやったぜ
※「reparations」はアメリカ政府が過去の奴隷制度に対して黒人に支払うべきだと議論されている賠償金。その歴史的に重い金を、ストリートのフレックス(ジュエリーの購入)に浪費してやるという痛烈なアイロニー。
Ayy, I'm a left-wing Hades
俺は左翼のハデスだ
※ギリシャ神話の冥界の王ハデス。極端な左翼思想(反差別、アンチファシズム)を持ちながら、敵を地獄へ送る武闘派なペルソナの宣言。
26 with a fresh .380
26歳、新品の380口径を持ってるぜ
[Break: Teddy Tee]
We show you exactly how we do it down in the country, baby
田舎での俺たちのやり方をきっちり見せてやるよ、ベイビー
This Alabama though, huh
ここはアラバマだけどな
※Peggy自身がかつて居住していた南部(アラバマやボルチモアなど)の生々しいストリートの空気を挿入。
[Refrain: Doe B]
Watch make you go cock-eyed
時計を見れば目が眩むだろ
Racks make you walk wop-sided
札束の重みで歩き方まで傾いちまう
And you know I rock real diamonds
俺が本物のダイヤを身につけてるのは分かってるだろ
You ain’t even gotta look at them
わざわざ見つめる必要すらないぜ
※2013年に銃撃によって22歳の若さで亡くなったアラバマ出身のラッパー、Doe Bの楽曲「Let Me Find Out」からのサンプリング。南部のトラップレジェンドへの追悼とリスペクト。
[Outro: JPEGMAFIA]
4Chan been on my dick 'cause I'm edgy
4Chanの連中が俺に付きまとってる、俺がエッジーだからな
※「4Chan」は英語圏の巨大匿名掲示板であり、オルタナ右翼やレイシストの温床ともされる場所。Peggyの左派的で過激な政治スタンスが、ネットのトロールたちを激怒させ粘着されている状況を嘲笑している。
Sit ya pale ass down, have a Pepsi, yeah
その青白いケツを下ろして、ペプシでも飲んでろよ
※白人(pale ass)のヘイターたちに対する煽り。2017年にKendall Jennerが出演して大炎上したPepsiのCM(深刻な抗議デモと警察の対立を、ペプシ1缶で和解させるという社会問題を軽視した薄っぺらい内容)を引用し、「白人のガキはペプシでも飲んで平和な気になってろ」と突き放している。
I'm way passed flexing
俺はただのフレックスなんかとうに超えてるんだ
Feel the dab in my chest, this is venting
胸の中でダブを感じる、これは感情の爆発さ
※「dab」は大麻の濃縮物(ワックス)。それを深く吸い込んだ時の胸が焼けるような痛みと、社会やシーンに対する鬱憤を吐き出す(venting)という行為を掛けている。
Now maybe I'm s—
今、俺はおそらく…
Okay
オーケイ
