Artist: A$AP Rocky
Album: AT.LONG.LAST.A$AP
Song Title: Dreams (Interlude)
概要
本作「Dreams (Interlude)」は、2015年にリリースされたA$AP Rockyの2ndアルバム『AT.LONG.LAST.A$AP』に収録された、約2分弱のインタールードである。プロデュースはRocky自身(Lord Flacko名義)とFrans Mernickが手掛けており、サイケデリックでドリーミーなビートが特徴だ。短い楽曲ながら、内容は極めて濃密であり、ドラッグによる幻覚体験やストリートのハッスルといったお馴染みのトピックから始まり、後半では「I Have a Dream」の演説で知られるマーティン・ルーサー・キング・ジュニア牧師(Dr. King)を引き合いに出し、人種間の融和や警察の暴力(Police Brutality)といった社会的問題へとテーマが昇華していく。ヒッピー文化の「愛と平和」に「ドラッグ」を交えた独自のメッセージは、この時期にサイケデリックスへ傾倒し、自身の内面や社会と深く向き合っていたRockyの思想を象徴する重要な小品である。
和訳
[Intro: A$AP Rocky]
Yeah, yeah, yeah
It's good
いい感じだ
Oh shit
くそ
Mushrooms, LSD, marijuana
マッシュルーム、LSD、マリファナ
Light that shit
そいつに火をつけな
Oh shit
くそ
[Verse: A$AP Rocky]
This is every heavy drug, that's known at every level
これは、あらゆるレベルで知られているすべてのヘヴィーなドラッグさ
This assault with deadly metal bumpin' heavy metal
凶悪な金属器による暴行、ヘヴィーメタルをガンガン鳴らしてな
※法的な罪状である「Assault with a deadly weapon(凶器を用いた暴行)」をもじり、金属(銃)と音楽ジャンル(ヘヴィメタ)を掛けたワードプレイ。
Do this for myself, across my hood and every ghetto
自分のためにやってるんだ、俺のフッドからすべてのゲットーにまたがってな
Paper pushin', paper petal, 'cause I heavy petal
札束を動かし、紙の花びらを散らす、なぜなら俺はペダルをベタ踏みするからな
※「paper」は金。「petal(花びら)」と「pedal(車のペダル)」の同音異義語を用いた見事な掛詞。フルスロットル(heavy pedal)で大金を稼ぐというハスラーの姿勢。
It's real nigga flowin' through my blood and every vessel
本物の黒人の血が、俺のあらゆる血管に流れてるんだ
Time is money, so I saved the load on every bezel
時は金なり、だから俺はすべてのベゼルに財産を蓄えたのさ
※「bezel」は時計の縁。時計(Time)に大量のダイヤモンドを装飾し、金(Money)に変えているというフレックス。
I just had a dream, I dipped my watch canary yellow
夢を見たんだ、自分の時計をカナリアイエローで染め上げる夢をな
I woke up and then I bought that bitch in every yellow
目が覚めてから、その時計をイエローダイヤ仕様で買ってやったぜ
※夢で見た途方もない贅沢を、目を覚ましてすぐに現実にするという圧倒的な財力の誇示。
Let go back to business, my fits Prada for my Devil
さて、ビジネスの話に戻ろう、俺の服は俺の中の悪魔のためのプラダさ
※映画・小説の『プラダを着た悪魔(The Devil Wears Prada)』からの粋な引用。
'Cause life's a bitch with red lipstick and high stilettos
なぜなら人生ってのは、赤い口紅を塗ってピンヒールを履いたビッチみたいなもんからな
※「Life is a bitch(人生は思い通りにいかないクソみたいなもの)」というヒップホップの定番フレーズを、魅力的ながらも危険で残酷な女性に擬人化している。
Flacko jumpin' fences from pigs, with them them biscuits
フラコはサツどもから逃げてフェンスを飛び越える、ビスケットを抱えながらな
※「pigs」は警察、「biscuits」は銃のストリートスラング。
I hypnotized my Sig, but my .38 was kinda special
俺はシグを魅惑的に飾り立てたが、俺の.38口径はちょっと特別だったんだ
※「Sig」はSIG Sauer社製の拳銃。「.38」は.38 Special(38口径リボルバーの弾薬名)と、それが自分にとって「特別(Special)」だったという掛詞。
What a life this is, what a sight this is
なんて人生だ、なんて光景なんだ
Where the darks and the light skin kids
肌の黒い子供たちや、明るい色の子供たちが
Get along with the white persons
白人たちと一緒に仲良くやってる場所
All alike when the lights get dim
明かりが暗くなれば、皆同じ姿さ
※ドラッグの幻覚か、あるいは理想の未来か。人種や肌の色の違いが消え去り、暗闇の中ではすべての人間が平等になるという深いメッセージ。
On a righteous pass, where you don't look back
正しい道の上で、決して振り返らずに進むんだ
Nigga, spark your cig', nigga, light your hash
タバコに火をつけな、ハシシに火をつけな
Nigga, light your spliff, where you puff, don't pass, just sip it
スプリフに火をつけな、吸ったら誰にも回さず、ただ一人で深く味わうんだ
[Outro: A$AP Rocky]
I just had an epic dream like Dr. King
俺はキング牧師みたいな、壮大な夢を見たんだ
※マーティン・ルーサー・キング・ジュニアの歴史的演説「I Have a Dream」からの引用。黒人差別のない平等な社会という夢。
Police brutality was on my TV screen
テレビの画面には、警察の暴力が映し出されていた
※当時(そして現在も)アメリカで社会問題となっている、警察による黒人への過剰な暴力(Police Brutality)の現実。キング牧師の夢見た世界と、未だ解決しない現代の残酷な対比。
Harmony, love, drugs, and peace is all we need
調和、愛、ドラッグ、そして平和、それだけが俺たちに必要なすべてだ
※ヒッピー文化の「愛と平和」というスローガンに「ドラッグ」を付け加えている。過酷な現実を乗り越え、人種間の壁をなくすためには、音楽や愛だけでなくサイケデリックスによる精神の解放が必要だという、この時期のRocky独自のコンシャスな思想。
Harmony, love, drugs, and peace is all we need
調和、愛、ドラッグ、そして平和、それだけが俺たちに必要なすべてだ
