Artist: A$AP Rocky
Album: AT.LONG.LAST.A$AP
Song Title: L$D
概要
A$AP Rockyの2ndアルバム『AT.LONG.LAST.A$AP』(2015年)に収録された本作「L$D」は、彼の音楽性の境界を押し広げたサイケデリックな名曲だ。タイトルの「L$D」は幻覚剤のリゼルグ酸ジエチルアミドを指すと同時に、「Love, Sex, Dreams」の頭文字というダブルミーニングになっている。プロデュースにはHector DelgadoやJim Jonsinが参加し、エコーが効いたアンビエントでドリームポップ的なギターリフと重低音が極上の浮遊感を生み出している。これまでニューヨークのトラップスターとしての側面が強かったRockyが、本格的にメロディアスな歌唱を取り入れ、ドラッグによる幻覚体験と恋愛感情がシームレスに溶け合う陶酔状態を表現した。ギャスパー・ノエ監督の映画『エンター・ザ・ボイド』にオマージュを捧げ、東京のネオン街で撮影されたミュージックビデオも相まって、彼のアーティスティックな進化とサイケデリック・ヒップホップへの傾倒を決定づけた歴史的な一曲である。
和訳
[Intro]
Uh
Uh
[Verse]
I know I dream about her all day (Uh)
あの女のことばかり一日中夢見てる
※LSDによる幻覚作用で頭から離れないヴィジョンと、恋に落ちた女性への執着を重ね合わせている。
I think about her with her clothes off (Uh, uh)
服を脱いだあいつの姿を思い浮かべるんだ
I'm ridin' 'round with my system bumpin' LSD (Uh, uh)
カーステレオでLSDを爆音で鳴らしながら街を流してる
※「system」はカーステレオ。「LSD」という自身の楽曲を聴いていることと、幻覚剤でキマりながら車を走らせている状態のダブルミーニング。
I look for ways to say, "I love you" (Uh)
「愛してる」って伝える方法を探してるんだ
But I ain't into makin' love songs (Uh)
だけど俺はラブソングなんて作るタチじゃないからな
Baby, I'm just rappin' to this LSD (Uh, uh)
ベイビー、俺はこのLSDに合わせてラップしてるだけさ
※ハードコアなトラップ・ハスラーとしてのプライドから、ストレートなラブソングを作ることを照れ隠ししていると解釈できる。
She ain't a stranger to the city life
彼女は都会の生活に慣れっこだ
I introduced her to this hippy life
俺がこのヒッピーみたいな生き方を教えてやったのさ
※物質主義的なヒップホップカルチャーから離れ、LSDやサイケデリックカルチャー(ヒッピー)に傾倒していくRockyの新たなライフスタイル。
We make love under pretty lights, LSD (Acid, uh)
美しいネオンの光の下で愛し合う、LSD
※「pretty lights」は幻覚剤によって増幅された光の残像、またはミュージックビデオの舞台となった東京のネオンサインを指している。「Acid」はLSDの俗称。
I get a feelin' it's a trippy night (Uh, uh)
今夜はトリッピーな夜になるって気がするぜ
※「trippy」は幻覚を見ているような、奇妙で夢心地な状態。
Them other drugs just don't fit me right (Uh, uh)
他のドラッグじゃ、俺にはどうもしっくりこないんだ
※コカインやリーン(咳止めシロップ)といったストリートで定番のドラッグから、精神を拡張するサイケデリックスへの移行を宣言している。
Girl, I really fuckin' want love, sex, dream (Uh, uh, uh, uh)
ガール、俺はマジで愛とセックスと夢が欲しいんだ
※タイトルの「L$D」のもう一つの意味(Love, Sex, Dreams)を明確に提示するパンチライン。
Another quarter to the face system (Uh, uh)
もう4分の1を顔に放り込む
※「quarter」はLSDのペーパー(紙片)の4分の1サイズ、またはドラッグの計量単位。それを顔(口)に入れて摂取する描写。
Make no mistakes, it's all, a leap of faith for love (Acid)
間違いない、すべては愛のための思い切った飛躍さ
It takes a place in, feelin' that you crave doin' love, sex, dreams (Uh, acid, uh)
愛とセックスと夢を渇望する感情の中で、それは起こるんだ
※薬物によるトリップが、人間の根源的な欲求を増幅させていく過程。
[Chorus]
It started in Hollywood
始まりはハリウッドだった
Dreamin' of sharin' love
愛を分かち合うことを夢見てた
My tongue at a loss for words
俺の舌は言葉を失っちまった
※LSDの影響で言葉が出なくなる状態と、圧倒的な愛や欲望を前にして言葉を失う状態の掛詞。ペーパー(LSD)を「舌」の上に乗せて摂取することともリンクしている。
'Cause my feelings just said it all
俺の感情がすでにすべてを物語っていたからな
Party just started up
パーティーはまだ始まったばかりさ
Dreamin' of sharin' worlds
お互いの世界を分かち合うことを夢見てた
※LSDによる精神拡張で、互いの意識(世界)が融合していく幻覚体験。
Held this feelin' for way too long
この感情を長く抱え込みすぎた
Said, "I really wanna let it go"
「マジで解放してやりたい」って言ったんだ
[Bridge]
I've been gettin' fly 'cause the gimmick's so dope
俺はずっとイケてる格好をしてきた、このギミックが最高にドープだからな
※「fly」はオシャレでカッコいいこと。「gimmick」はファッションやラッパーとしての見せ方。表面的なカッコよさを追求してきた過去。
I've been gettin' high 'cause I figured Lord told me
俺はずっとハイになり続けてきた、神が俺にそう告げた気がしたからな
※自身のペルソナ「Lord Flacko」と神(Lord)を掛け、ハイになることを神の導きのように正当化している。
I've been drinkin', drivin', now we'll never go home
酒を飲み、車を走らせてきた、もう俺たちは二度と家に帰ることはない
I gon' stay in doubt 'cause the weather's so cold, oh
俺は疑い続けるだろう、外の天気はあまりにも冷たいからな
※「weather's so cold」は、名声を得たあとの孤独や、ストリートの冷酷な現実の比喩。
Feelin' low sometime when the light shines down
光が降り注ぐ時、たまにひどく落ち込むことがあるんだ
Makes me high
それが俺をハイにさせる
Can you feel it?
お前にも感じるか?
Can you feel it?
お前にも感じるか?
Feelin' low sometime when the light shines down
光が降り注ぐ時、たまにひどく落ち込むことがあるんだ
Makes me high
それが俺をハイにさせる
Can you feel it?
お前にも感じるか?
Can you feel it?
お前にも感じるか?
[Chorus]
It started in Hollywood
始まりはハリウッドだった
Duh, duh-duh
Dreamin' of sharin' love
愛を分かち合うことを夢見てた
Duh, duh-duh
My tongue at a loss for words
俺の舌は言葉を失っちまった
'Cause my feelings just said it all
俺の感情がすでにすべてを物語っていたからな
[Outro]
I look for ways to say, "I love you"
「愛してる」って伝える方法を探してるんだ
But I ain't into makin' love songs
だけど俺はラブソングなんて作るタチじゃないからな
Baby, I'm just rappin' to this LSD
ベイビー、俺はこのLSDに合わせてラップしてるだけさ
