Artist: A$AP Rocky
Album: LONG.LIVE.A$AP
Song Title: Long Live A$AP
概要
本作「Long Live A$AP」は、2013年にリリースされたA$AP Rockyの記念すべきメジャーデビューアルバムのタイトルトラックである。プロデューサーにJim JonsinとRico Loveを迎え、Rockyのシグネチャーサウンドである「クラウド・ラップ」と、スクリュード&チョップドといった南部ヒップホップ特有のダークでサイケデリックな美学が完璧な高次元で融合している。ニューヨーク・ハーレム出身でありながら、テキサス州ヒューストンやテネシー州メンフィスの重鎮たち(Pimp CやThree 6 Mafiaなど)のサウンドスケープを色濃くサンプリングし、再解釈するA$AP Mobの音楽的アイデンティティを象徴する一曲だ。リリック面では、ストリートでの過酷なサバイバル、富と名声を手に入れたことによる孤独、そしてパラノイア(被害妄想)的な死生観が語られ、トラップスターの栄光と虚無感を内省的に描き出している。彼のペルソナである「Pretty Flacko」のスタンスを決定づけた、シーンの歴史に残る重要なアンセムである。
和訳
[Intro: A$AP Rocky]
Uh
[Verse 1: A$AP Rocky]
I thought I'd probably die in prison, expensive taste in women
刑務所で死ぬと思ってたぜ、女の趣味も金がかかる
※ストリートでのハッスルライフから抜け出せないと考え、悲観的だった自身の過去のメンタリティを振り返っている。
Ain't had no pot to piss in, now my kitchen full of dishes
ションベンする壺すら無かったが、今じゃキッチンに皿が溢れてる
※「Not have a pot to piss in」は極貧状態を表すイディオム。「キッチンに皿」は、純粋に食うに困らない富を得たことと、ドラッグの精製(クラックコカインの調理)の隠喩というダブルミーニングとして解釈されている。
Nose bloody from that sniffin', your heroin addiction
粉の嗅ぎすぎで鼻血が出てるぜ、お前のヘロイン中毒
※当時ストリートやシーンに蔓延していたコカインやヘロインなどのハードドラッグへの依存を冷ややかに描写している。
Trigger finger itching, fuck parental supervision
引き金にかけた指がウズウズしてる、親の監視なんてクソくらえだ
※親の不在の中で暴力を身につけ、常に抗争の火種を抱えているフッドの若者たちのリアルな日常。
This be that murder business, little Timmy got that semi
これが殺しのビジネスだ、小さなティミーも半自動小銃を持ってる
※「little Timmy」はアメリカにおいて無垢な子供の代名詞。そんな小さな子供すら自己防衛のために銃を携帯しなければならない異常な環境を示唆している。
I ain't kidding, hide your kittens, hit your childrens with that Smith and
冗談じゃねえぞ、ガキどもを隠しな、スミス・アンド・ウェッソンで子供たちを撃ち抜くぜ
※「kittens」はスラングで若い女性や守るべき弱者の隠喩。「Smith and」は銃器メーカーのSmith & Wessonを指し、容赦のないストリートの暴力を表現している。
A bunch of ignant little niglets, hardheaded, never listen
無知なクソガキの群れ、頑固で全く話を聞かねえ
※「niglets」は黒人の子供に対する軽蔑的なスラングだが、ここでは救いようのないストリートのキッズたちを自嘲気味に表現している。
Purp-purple sippin', finger twistin', teeth glisten like it's Memphis
パープル・ランクを啜り、指でサインを組み、歯はメンフィスみたいに輝いてる
※「Purple」は咳止めシロップとスプライトを混ぜたドラッグ「リーン」のこと。メンフィス特有のゴールドグリルズ(歯の装飾)とギャングサインへの強いオマージュであり、Rockyのルーツ外の南部カルチャーへの傾倒が明確に表れている。
A bunch of hypocritic Christians (Uh)
偽善的なクリスチャンの群れ
※日曜日だけ教会で祈り、普段はストリートで罪を犯す大人たちや社会への強烈な皮肉。
The land of no religion (Uh)
ここは宗教のない土地だ
※ゲットーには神など存在せず、暴力とサバイバルこそが唯一のルールであるという冷酷な現実。
My Santa Claus was missing, catch you slippin' then it's Christmas
俺のサンタクロースは行方不明だった、お前が隙を見せればそれが俺たちのクリスマスさ
※貧困でクリスマスプレゼントなど無かったため、他人の隙を突いて強盗を働くことが彼らにとっての「プレゼント獲得」だったという悲痛なライン。
Motherfuck a wishlist, my ghetto was ambition
欲しい物リストなんてクソくらえ、俺のゲットーは野心そのものだった
※サンタへの手紙を書く代わりに、ストリートでのし上がるという強烈なハングリー精神を養ったことの表明。
For my Benjis and my Bentley
100ドル札とベントレーのためにな
※「Benjis」はベンジャミン・フランクリンが描かれた100ドル札のスラング。
And them bitches now I gets-gets
そして今じゃあんなビッチどもも手に入る
※成功を収めたことで、かつては手の届かなかったハイエンドな女性たちも引き寄せられるようになったというフレックス(誇示)。
On the road to riches, a diamond ring, designer jeans
富への道、ダイヤモンドの指輪、デザイナーズのジーンズ
※ストリートから這い上がり、ファッションアイコンとしての地位を確立したRockyのラグジュアリーなライフスタイル。
Choking on that biscuit 'til I'm no longer existing
存在しなくなるまでそのビスケットで咽び泣く
※「biscuit」はスラングで銃(特に拳銃)、またはマリファナのこと。死ぬまでガンプレイに身を投じるか、ハイになり続けて消滅する虚無感を表している。
I wonder if they miss me, as long as I make history
俺がいなくなったら奴らは寂しがるのかね、歴史に名を刻む限りは
※大きな成功を収めながらも、死後の自分の価値について考える内省的なライン。レジェンドとして記憶されることへの執着。
Now my soul is feeling empty, tell the reaper come and get me
今じゃ魂が空っぽに感じる、死神に俺を迎えに来いと伝えてくれ
※富と名声を得ても満たされない内面の虚無感。後のエモ・ラップにも通じるSad Boy的な危うい死生観が表れている。
[Chorus: A$AP Rocky]
Who said you can't live forever lied
永遠に生きられないと言った奴は嘘つきだ
※肉体は滅びても、残したアートと影響力によって永遠の存在になるという強い宣言。
Of course, I'm living forever
当然、俺は永遠に生きる
※A$AP Mobの「Always Strive And Prosper」の精神が不滅であることの証明。
I'll forever, I'll live long
永遠に、俺は長く生きる
※自身のレガシーに対する揺るぎない自信。
You can't ever deny my force
俺の力を否定することなど絶対にできない
※ヘイターや批評家からのアンチを寄せ付けない圧倒的なカリスマ性の誇示。
I'm living forever
俺は永遠に生きる
※音楽シーンにおける自身の絶対的なポジションの確立。
I'll forever, I'll live
永遠に、俺は生きる
※亡き親友でありA$AP MobのブレインだったA$AP Yamsの意志も背負っているとファンの間では解釈されている。
[Verse 2: A$AP Rocky]
Riding through your city like that motherfucker mine
お前の街を俺のシマみたいに乗り回すぜ
※他人のフッドであっても、まるで自分がボスであるかのように振る舞う強気なアティチュード。
Or toting on that semi, rob a motherfucker blind
半自動小銃を持ち歩き、クソ野郎の目を盗んで強盗する
※常に武装し、油断しているターゲットを狩るというストリートのリアルな描写。
License plate says wipe me down, car from 1989
ナンバープレートには「Wipe Me Down」と書いてある、1989年製の車だ
※ルイジアナ出身のラッパーBoosie Badazzのヒット曲「Wipe Me Down」へのオマージュ。南部ヒップホップ特有のカーカルチャーへの強いリファレンス。
But a nigga sits so pretty call that motherfucker fine
だが俺はバッチリ決まってる、最高の車だろ
※古い年式の車であっても、自分の「Pretty Flacko」としてのセンスで完璧に乗りこなすというファッション的フレックス。
Lost your motherfucking mind, what's on your mind?
頭イカれちまったのか、何を考えてるんだ?
※無謀にも自分に挑んでくるオップ(敵)に対する冷酷な問いかけ。
Niggas talking down, never talk to cops
あいつら陰口は叩くが、サツには絶対に話さない
※「No Snitching(密告禁止)」というストリートの絶対的な掟。敵対していても警察を巻き込むことはしないという暗黙のルール。
Make him talk to God when I tote that 9, he ain't talking now
俺が9ミリを抜けば奴は神と対話することになる、もう二度と喋れねえよ
※9ミリ口径の拳銃で撃ち殺し、直接神の元へ送るというパンチライン。死人に口なし。
Tell 'em watch your spine, I mean watch your back
背骨に気をつけろって言ってやれ、つまり背後を警戒しろってことだ
※常に背後から狙われる可能性があるフッドのパラノイア的な緊張感。
Better guide your track, better not look back
自分の道をしっかり進め、後ろは振り返るな
※ストリートで生き残るためには、よそ見をせず自分のハッスルに集中すべきだという警告。
Then stay in line, don't step on cracks
列を乱すな、ヒビを踏むなよ
※アメリカの子供の遊び歌にある迷信「Step on a crack, break your mother's back」を引用するためのセットアップ。
So you break her back, I'm talking 'bout your mom (Uh)
母親の背骨を折っちまうぞ、お前のママのことだ
※遊び歌の迷信をストリートの文脈に落とし込み、ルールを破れば自分だけでなく家族(母親)にも致命的な報復が及ぶという残酷な脅し。
'Cause there's killers in my town (Uh)
俺の街には人殺しがいるからな
※ハーレムの治安の悪さと、周囲にいるデンジャラスな仲間たちの存在。
Making hits, sniffing lines (Yeah)
ヒットマンの仕事をこなし、粉のラインを吸う
※「Hits」は暗殺と音楽のヒット曲のダブルミーニング。「lines」は吸入用のコカインのラインと、ラップの歌詞(リリック)のダブルミーニングという極めて高度な言葉遊び。
Out committing crimes (Yeah)
外に出て犯罪に手を染める
※音楽業界で成功しても、依然としてストリートの犯罪行為と隣り合わせにいる現状。
Wait for shit to simmer down (Uh)
事態が落ち着くのを待つんだ
※事件を起こした後、警察の捜査や報復の熱が冷めるまで身を潜める様子。
Corrupted little minds (Yeah)
腐りきった小さな心
※幼い頃から犯罪とドラッグに触れ、道徳観が麻痺してしまった子供たちへの言及。
8 and 9, finna shine (Yeah)
8歳や9歳でも、輝こうとしてる
※わずか8、9歳の子供ですら、ストリートで成り上がるためにハッスルを始めているという過酷な現実。
On the grind
ハッスルに身を投じてな
※生き残るための日々の絶え間ない闘い。
Do you dirty with that shimmy shimmy ya (Uh)
「シミー・シミー・ヤ」で非情にやってやる
※Wu-Tang ClanのOl' Dirty Bastardの名曲「Shimmy Shimmy Ya」の強烈なリファレンス。ODBのような狂気的で予測不能なスタイルで敵を始末するという意志表示。
Where they shoot without a purpose
目的もなしに銃を撃ちまくる場所
※理念も理由もなく、ただ暴力が連鎖するだけのスラムの現状への嘆き。
Services 'n hearses
葬式と霊柩車
※フッドで日常茶飯事となっている若者の死と、絶え間なく行われる葬儀。
Kids who ain't deserve it
そんな目に遭う筋合いのない子供たち
※流れ弾に当たったり、環境のせいで命を落とす無実の子供たちへのコンシャス(意識的)な視点。
Can't survive a thing, you're worthless
何も生き延びられない、お前は無価値だ
※ストリートの冷酷なルールに適応できなければ、すぐに命を落とすという残酷な宣告。
Strangers make me nervous
見知らぬ奴らを見ると神経質になる
※ラッパーとしての成功によるプレッシャーや、常に命を狙われているかもしれないというトラウマからくるパラノイア。
Who's that peekin' in my window with a pistol to my curtains?
俺の窓を覗き込んでるのは誰だ、カーテン越しに拳銃を構えながら
※大金を手にしたことで誰も信用できなくなり、自宅にいても暗殺者の影に怯える極限の精神状態。2Pacの影響も感じさせるライン。
[Chorus: A$AP Rocky]
Who said you can't live forever lied
永遠に生きられないと言った奴は嘘つきだ
Of course, I'm living forever
当然、俺は永遠に生きる
I'll forever, I'll live long
永遠に、俺は長く生きる
You can't ever deny my force
俺の力を否定することなど絶対にできない
I'm living forever
俺は永遠に生きる
I'll forever, I'll live
永遠に、俺は生きる
[Bridge: A$AP Rocky]
Pretty nigga rich, Flacko be the shit
イケメンで金持ち、フラコは最高だ
※「Pretty Flacko」はRocky自身の美意識や色気を体現するアルターエゴ。彼のシグネチャーとも言える自信に満ちたボースト。
And that bitch know we poppin' so she poppin' on this dick
あのアバズレも俺たちがイケてるって分かってるから、このイチモツに飛び乗ってくる
※A$AP Mobの勢いと富に惹かれて群がってくるグルーピーたちへの言及。
Nigga, RIP to Pimp, can't forget Little Flip
なあ、Pimp Cに安らかに眠れ、Lil' Flipのことも忘れないぜ
※テキサス・ヒューストンの伝説的ラップデュオUGKの故Pimp Cへの追悼と、同じくヒューストンのレジェンドLil' Flipへの特大のシャウトアウト。スクリュー・サウンドへの多大なリスペクト。
And I take it out to Memphis
そしてメンフィスにも敬意を払う
※サザン・ヒップホップのもう一つの聖地であるテネシー州メンフィスへの感謝。
And shout out to Triple Six
Three 6 Mafiaにシャウトアウトだ
※メンフィスの伝説的グループであり、ダークなトラップビートの始祖であるThree 6 Mafiaへの敬意。Rockyの呪術的なサウンドスケープの根幹を成す存在への明確なトリビュートである。
[Chorus: A$AP Rocky & KUČKA]
Who said you can't live forever lied
永遠に生きられないと言った奴は嘘つきだ
Of course, I'm living forever
当然、俺は永遠に生きる
I'll forever, I'll live long
永遠に、俺は長く生きる
You can't ever deny my force
俺の力を否定することなど絶対にできない
I'm living forever
俺は永遠に生きる
I'll forever, I'll live
永遠に、俺は生きる
