UGMKM

Unraveling Genius: Music, Knowledge, Madness

Baby Steps - Olivia Dean 【和訳・解説】

Artist: Olivia Dean

Album: The Art of Loving

Song Title: Baby Steps

概要

オリヴィア・ディーンのアルバム『The Art of Loving』に収録された「Baby Steps」は、失恋の深い痛みを抱えながらも、自立へと向かってゆっくりと歩み始める過程をテーマにしたヒーリング・アンセムである。かつては自分のエネルギーを充電してくれる不可欠な存在だった恋人を失い、飛行機が着陸した際の「無事に着いたよ」という何気ないメッセージを送る相手すらいなくなった喪失感が、日常の解像度が高いリリックで痛いほどのリアリティを持って描かれている。しかし、彼女は悲しみに浸り続けるのではなく、自分で自分の部屋に花を飾り、自分自身を愛する(Self-love)ことで、ゆっくりと心のバランスを取り戻していく。劇的な立ち直りではなく、右、左と文字通り「小さな一歩(Baby steps)」を踏み出しながら前を向こうとする等身大の彼女のペルソナが、温かくオーガニックなサウンドとともにリスナーの心に優しく寄り添う一曲だ。

和訳

[Intro]

Mm

Mm

[Verse 1]

It's funny in the rear view
バックミラー越しに見ると不思議ね
※車のバックミラーに印字されている警告文「Objects in mirror are closer than they appear(鏡の中の物体は実際よりも近くにあります)」を引用した秀逸なメタファー。過去(後方)を振り返ると、彼がまだすぐそばにいるように錯覚してしまう心理を描いている。

You're closer than you are
実際よりもあなたが近くに感じるの

In truth, we're worlds apart
本当は、私たちは住む世界が違うくらい離れているのに

I'm used to being near you
あなたのそばにいることに慣れすぎていた

When I'm down at ten percent
私のバッテリーが残り10パーセントに落ち込んだ時

And you'd plug me straight back in
あなたはすぐにプラグを繋いで充電してくれた
※精神的にすり減った時に、彼が心の支え(充電器)になってくれていたという現代的で分かりやすい比喩。

Now there's no one to text when the plane lands
今では、飛行機が着陸した時にメッセージを送る相手もいない

Or to call when it's taking off
離陸する時に電話をかける相手も
※無事に着いた、これから出発するという、日常的な安否確認と愛情表現を共有する相手がいないという、失恋直後のリアルな喪失感。

Right, left, baby steps
右、左、赤ちゃんの小さな一歩

I'll be my own pair of safe hands
私自身が、私を受け止める安全な手になるの
※誰かに守ってもらうのではなく、自分で自分自身をケアし、守り抜くという自立の宣言。

It's not the end, it's the making of
これは終わりじゃない、新しい私が作られている途中なの

Right, left, for now
右、左、今はただそれだけ

[Chorus]

I'm taking ba-ba-ba-baby steps
ベ、ベ、ベ、ベイビー・ステップを踏み出している

Ba-ba-ba-baby steps, mm
ベ、ベ、ベ、ベイビー・ステップを

Ba-ba-ba-baby steps
ベ、ベ、ベ、ベイビー・ステップを

Ba-ba-ba-baby steps
ベ、ベ、ベ、ベイビー・ステップを踏み出している

[Verse 2]

It's learning how to balance
バランスの取り方を学んでいるところ

If I'm out on Friday night, it'll be me turnin' on them lights
金曜の夜に出かけたなら、電気をつけるのは私自身になる

When I comе home (Home)
家に帰ってきた時に(家に)
※誰も待っていない暗い部屋に帰り、自分で明かりをつけるという孤独な現実の直視。

But I'll manage (I'll managе, I'll manage)
でも、なんとかやっていくわ(なんとかやっていく)

There'll be roses on the shelf
棚の上にはバラの花を飾るの

'Cause this house gon' love itself
だって、この家は自分自身を愛していくんだから
※他人に花を買ってもらうのを待つのではなく、自分で自分を労わり、自己愛(Self-love)で心を満たしていくという、マイリー・サイラスの「Flowers」などにも通じる現代的なエンパワーメントの表現。

Yeah, this house gon' love itself
そう、この家は自分自身を愛していくの

[Chorus]

I'm taking ba-ba-ba-baby steps (One foot at a time)
ベ、ベ、ベ、ベイビー・ステップを踏み出している(片足ずつ)

Ba-ba-ba-baby steps (I don't wanna step foot into my eye)
ベ、ベ、ベ、ベイビー・ステップを(涙で視界を塞ぎたくはないから)
※無理に急いでまた泣き崩れるような失敗はしたくないという、慎重に回復のステップを踏む心理の表れと解釈されている。

Ba-ba-ba-baby steps (Ain't no reason why)
ベ、ベ、ベ、ベイビー・ステップを(理由なんてない)

Ba-ba-ba-baby steps
ベ、ベ、ベ、ベイビー・ステップを踏み出している

[Bridge]

Mm

Mm

I won't fall back (Mm)
もう後ろには倒れない

If I fall forwards (Mm)
もし前に倒れたとしても

At least I have that (Mm)
少なくとも前には進んでいるのだから

At least I have that
少なくとも前には進んでいるのだから
※つまづいて倒れたとしても、それが前向きな失敗であれば、過去に後戻り(fall back)するよりはマシであるという、非常にポジティブで力強いリリシズム。

[Chorus]

I'm taking ba-ba-ba-baby steps
ベ、ベ、ベ、ベイビー・ステップを踏み出している

Ba-ba-ba-baby steps, mm (Ain't no ain't no reason why)
ベ、ベ、ベ、ベイビー・ステップを(理由なんてない)

Ba-ba-ba-baby steps, mm (Ain't no reason why)
ベ、ベ、ベ、ベイビー・ステップを(理由なんてない)

Ba-ba-ba-baby steps
ベ、ベ、ベ、ベイビー・ステップを踏み出している

[Outro]

Ba-ba-ba-baby steps (Yeah, yeah)
ベ、ベ、ベ、ベイビー・ステップを(ええ、そう)

Ba-ba-ba-baby steps (Ba-ba-ba-baby steps)
ベ、ベ、ベ、ベイビー・ステップを(ベ、ベ、ベ、ベイビー・ステップを)

Ba-ba-ba-baby steps (Ba-ba-ba-baby)
ベ、ベ、ベ、ベイビー・ステップを(ベ、ベ、ベ、ベイビー)

Ba-ba-ba-baby steps
ベ、ベ、ベ、ベイビー・ステップを踏み出している
※一歩ずつ着実に地面を踏みしめるような余韻を残して、楽曲が静かに幕を閉じる。