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Unraveling Genius: Music, Knowledge, Madness

What We On - JID & Don Toliver 【和訳・解説】

Artist: JID & Don Toliver

Album: God Does Like Ugly

Song Title: What We On

概要

J.I.Dの『God Does Like Ugly』に収録された「What We On」は、Cactus JackのメロディメーカーであるDon Toliverを客演に迎え、ドラッグと官能が交錯するサイケデリックなトラップR&Bに仕上がっている。Don Toliverの浮遊感あるフックと「Drank(リーン)」への耽溺が楽曲全体を気怠いムードで包み込む一方、J.I.Dは持ち前の高速フロウと緻密なワードプレイでその空気を切り裂く。「We on(俺たちはイケてる/ハイになっている)」という多義的なフレーズを軸に、富、女性、そしてドラッグというヒップホップの古典的なトロピックを扱いながらも、J.I.Dのバースでは宗教的メタファー(アダムとイヴ)や内省(罪と悔い改めのループ)が顔を出し、単なるパーティ・アンセムにとどまらない深みを与えている。南部のラップシーンを牽引するアトランタ(J.I.D)とヒューストン(Don Toliver)の才能が、互いの持ち味を最大限に引き出した官能的かつメランコリックな傑作である。

和訳

[Chorus: Don Toliver]

Baby, what you be on? I see you turnin' me on
ベイビー、お前は何でキマってんだ? 俺を興奮(ターン・オン)させてるぜ
※「what you be on?」は「何のドラッグをやっているのか?」または「どんな気分/状況なのか?」を尋ねるスラング。「turnin' me on(性的に興奮させる)」と掛けている。

You know it 'cause what we on, what we on
分かってんだろ、だって俺たちが今どんな状態(ハイ)か
※「We on」は「ドラッグでハイになっている」「金を持って成功している」「スイッチが入っている(イカしてる)」のトリプルミーニング。

I'm so happy to see ya, I know you wanna be on
お前に会えてマジで嬉しいぜ、お前もハイになりたい(仲間に入りたい)んだろ

'Cause we on, yeah, 'cause we on
だって俺たちはイケてるからな、あぁ、キマってるぜ

'Cause we on, we treat you like a peon
俺たちは上の次元にいる、お前らみたいな下っ端(ピーオン)とは扱いが違うんだ
※「peon(日雇い労働者、下っ端)」というスラング。自分たちがトップ層にいる(We on)ことに対し、それ以外を見下す表現。

Get me goin', 'cause he on and we on, yeah, yeah
俺を本気にさせてみろ、アイツも俺らもキマってるんだからな、イェー、イェー

Body, yeah, turn the heat on
そのボディ、あぁ、熱を上げてくれよ

Shawty got somethin' I can beat on
あのコは俺が叩ける(激しくヤれる)モノを持ってるぜ
※「beat on」は性行為(激しいピストン)を意味するストリートスラング。

The heat on, heat on, 'cause we on, yeah
熱を上げろ、だって俺たちはハイになってるからな、イェー

[Verse 1: Don Toliver]

Touch it, let me fuck in it
触らせてくれ、その中にブチ込ませてくれよ

Walk it, cross it
歩いて、線を越えな

Still geekin' about your love from the projects, hottie got me wеak
まだプロジェクト(公営団地)からの愛に狂ってる、あのイイ女のせいで腰が砕けそうさ
※「geekin'」はドラッグでハイになっている状態、または何かに夢中になっている状態。

Saw shawty in the club last night and it took me off my feet
昨日の夜、クラブであの子を見かけて、完全に心奪われちまった

Took a dose of it, took a dosе of it and it got me weak
一服キメた、一服(一回ヤッた)キメたら、骨抜きにされちまったよ
※「dose(服用量)」はドラッグ(リーンやピル)の一服と、女性との性行為の一回のダブルミーニング。

Took a dose of it, took a dose of it, you know me
一服キメた、一服キメたんだ、俺のことは分かってんだろ

[Verse 2: JID]

Hittin' my peach, she hittin' my line
俺のピーチ(地元)に来て、あの子が俺に電話(ライン)をかけてくる
※「peach」はジョージア州(J.I.Dの地元アトランタ)の象徴(ピーチ・ステイト)であり、女性のお尻の絵文字でもある。「hittin' my line」は電話やDMをしてくるというスラング。

Thought that I was tied up with a freak
俺がどこかの変態ビッチとヤってる(縛られてる)って思ったんだろ

That's a lie, I was probably high, shawty
そいつは嘘だ、たぶん俺はただハイになってただけさ、ベイビー

'Cause the lab got me on a leash
だってスタジオ(ラボ)に首輪(リード)を繋がれてるようなもんだからな
※「lab(実験室)」はレコーディングスタジオのこと。音楽制作に没頭しすぎて、外に出られない(on a leash)状態を犬に例えている。

Tried to call back, but you didn't respond to me
折り返しかけたのに、お前は出なかったじゃねぇか

Let me know some', let me know some while I'm free
俺の時間が空いてるうちに、何か教えて(ヤらせて)くれよ

[Chorus: Don Toliver]

Baby, what you be on? I see you turnin' me on
ベイビー、お前は何でキマってんだ? 俺を興奮(ターン・オン)させてるぜ

You know it 'cause what we on, what we on
分かってんだろ、だって俺たちが今どんな状態(ハイ)か

I'm so happy to see ya, I know you wanna be on
お前に会えてマジで嬉しいぜ、お前もハイになりたい(仲間に入りたい)んだろ

'Cause we on, yeah, 'cause we on
だって俺たちはイケてるからな、あぁ、キマってるぜ

'Cause we on, we treat you like a peon
俺たちは上の次元にいる、お前らみたいな下っ端(ピーオン)とは扱いが違うんだ

Get me goin', 'cause he on and we on, yeah, yeah
俺を本気にさせてみろ、アイツも俺らもキマってるんだからな、イェー、イェー

Body, yeah, turn the heat on
そのボディ、あぁ、熱を上げてくれよ

Shawty got somethin' I can beat on
あのコは俺が叩ける(激しくヤれる)モノを持ってるぜ

The heat on, heat on, 'cause we on, yeah
熱を上げろ、だって俺たちはハイになってるからな、イェー

[Verse 3: Don Toliver]

I just wanna see the lights
俺はただ光(成功の景色)を見たいだけさ

I ain't worried about a holiday
休日(ホリデー)なんて気にしてねぇよ

I just wanna make it right
俺はただ、全てを上手くやりたいんだ

Knee deep down in that paint
あのペイント(ゴール下)に膝まで浸かってるぜ
※バスケットボール用語の「paint(ペイントエリア)」の引用。ストリートの過酷な環境や、シノギ(ハッスル)のど真ん中に深く入り込んでいる(Knee deep)状況のメタファー。

Call a holiday to the saints
聖人たちに休日を呼びかけるのさ

Sippin' a whole pint of that drank
あのドランク(リーン)を1パイント丸ごと飲み干して
※「drank」はコデイン入りシロップとスプライトを混ぜたドラッグ(パープルドランク / リーン)。ヒューストン(Don Toliverの地元)発祥のカルチャー。「pint(パイント)」は約473mlのボトル単位。

Smokin' a whole ounce of that dank
あの極上のウィード(ダンク)を1オンス丸ごと吸い尽くす

How you get over there? They changed
お前はどうやってあっち側に行ったんだ? 奴らは変わっちまった

She pulled out a i8
彼女はBMWのi8を引っ張り出した

Rode off to the bank
そのまま銀行へと走り去っていったよ

Rolled off, let her—
転がり去っていった、彼女を—

[Verse 4: JID & Don Toliver]

Look, rolled out another state
見ろよ、別の州へと繰り出した

I done made a hundred thousand in a day
1日で10万ドル(約1500万円)を稼ぎ出したぜ

That's a half a milli' in a week
1週間で50万ドル(ハーフ・ミリ)ってことだ

Kind of hard to speak to me from a plane
飛行機の上からじゃ、俺に話しかけるのも難しいだろうな
※プライベートジェットで常に世界中を飛び回っているため、地上にいる人間とは会話(コミュニケーション)すら成り立たないという富と階層のフレックス。

We are not the same
俺とお前らじゃ住む世界が違うんだ

She be tryna run me the brains, number
彼女は俺にフェラ(ブレイン)をして、電話番号を渡そうとしてくる
※「brains」はオーラルセックスを意味するスラング。

Exchange fluids, I ain't payin' attention to it
体液を交換する、俺はそんなこと気にも留めちゃいねぇがな

I'm intuitive and it's a crude, and booty stank
俺は直感的だ、こいつは粗野で、ケツの匂いがプンプンするぜ
※「booty stank」は文字通りの臭さだけでなく、ファンクミュージックのような「ドープで泥臭い(stanky)」バイブスを持っていることのストリート的表現。

Give me one of them, huh
その中の一つを俺にくれよ、ハッ

It done make it hard for a nigga to leave
こんなんじゃ、ここから離れるのが難しくなっちまうぜ

I know it ain't love, that's just what I need
これが愛じゃないってことは分かってる、ただ俺には必要なだけさ
※ドラッグや一夜限りの関係(セックス)が真実の愛ではないと自覚しつつも、精神的・肉体的な渇きを癒すために依存してしまう虚無感。

I'm sippin' the cup, I rinse and repeat
カップ(リーン)をすすり、洗ってはまた繰り返す
※ドラッグの摂取を習慣的(rinse and repeat = シャンプーの裏に書かれている定型文「すすいで繰り返す」)に行っている状況。

I sin and repent, I sin and repeat
罪を犯しては悔い改め、罪を犯してはまた繰り返す
※キリスト教的な「罪(Sin)と悔い改め(Repent)」の概念。リーンや快楽への依存を断ち切れない人間の業(ごう)と弱さを、前の行の「rinse and repeat」と完璧にライミングさせて表現している。Geniusでも高く評価されるであろうJ.I.Dのリリシズム。

Offender with a trick up my sleeve
袖口にトリックを隠し持った犯罪者(オフェンダー)さ

A spender on a bitch that I please
俺が気に入ったビッチには金を惜しまない散財家(スペンダー)でもある

It's winter, so the wrist, I'ma freeze, a blizzard
今は冬だ、だから手首(リスト)を凍らせてやる、猛吹雪(ブリザード)のようにな
※「freeze the wrist」は、手首にダイヤモンド(氷 / ice)を大量に敷き詰めた高級時計やブレスレットを着けてギラつかせることのヒップホップ特有のメタファー。

Shawty Senegalese, a sister
あの子はセネガル系の黒人(シスター)だ

And she want me to be her mister
そして俺に、彼女の旦那(ミスター)になってほしいと願ってる

But I don't wanna tease or tempt her
だが俺は彼女をからかったり、誘惑したりしたくねぇんだ

'Cause you know that I read the scripture
だって俺が聖書(スクリプチャー)を読んでるって知ってるだろ
※前の行の「罪と悔い改め」の文脈を継続。快楽に溺れつつも、神の教え(聖書)に対する畏れや罪悪感が心の底に残っている。

Like it's Adam and Eve, I probably done seen the picture
まるでアダムとイヴみたいだ、たぶん俺はその光景を見たことがある
※禁断の果実(女性やドラッグ)に手を出してしまう人間の原罪をアダムとイヴに例え、自分がその神話の光景をストリートで何度も目撃(あるいは体験)してきたと語る。

Two hundred degrees, movin' at light speed and sippin' elixir
200度(の熱)、光の速さで動きながら、エリクサー(特効薬)をすする
※「elixir」は不老不死の霊薬。ここではパープル・ドランク(リーン)を指しており、現実逃避のための魔法の薬として摂取している。

I'm comin' to get her
彼女を迎えに行くぜ

Swerve and serve, and you work
車を蛇行(スワーヴ)させて、ドラッグを捌き(サーヴ)、お前はハッスル(ワーク)する

I'm too burnt, with one stone, I kill two birds
俺は完全にキマりすぎてる(バーント)、一石で二鳥を落とすのさ

My feet in the sand, they planted, buildin' a new Earth with new curses
砂の中に足を突っ込み、深く根を下ろす。新たな呪いと共に、新しい地球(Earth)を築き上げるんだ
※地に足をつけて(planted)新たな基盤を築こうとするが、ドラッグや過去の罪といった「新たな呪い(new curses)」からは逃れられないという葛藤。

But steady on 'em, serve a true purpose now
だがブレずに構えろ、今は真の目的を果たす時だ

I can take you deeper, we just skimmin' the surface
俺はお前をもっと深いところへ連れて行ける、俺たちはまだ表面を撫でてるだけだぜ

The things you like to think, but never speak it in person loud
お前が頭の中で考えてはいても、決して人前では大声で言えないようなことさ

You can follow me and I can lead on
俺について来いよ、俺が導いてやる

I know you hate to be home alone
お前が家で一人ぼっち(ホーム・アローン)でいるのが嫌いなのは分かってる

With a t-shirt and no panties on, yeah (Yeah)
Tシャツ一枚で、パンティーも穿かずにいるのがな、イェー(イェー)

[Chorus: Don Toliver]

Baby, what you be on? I see you turnin' me on
ベイビー、お前は何でキマってんだ? 俺を興奮(ターン・オン)させてるぜ

You know it 'cause what we on, what we on
分かってんだろ、だって俺たちが今どんな状態(ハイ)か

I'm so happy to see ya, I know you wanna be on
お前に会えてマジで嬉しいぜ、お前もハイになりたい(仲間に入りたい)んだろ

'Cause we on, yeah, 'cause we on
だって俺たちはイケてるからな、あぁ、キマってるぜ

'Cause we on, we treat you like a peon
俺たちは上の次元にいる、お前らみたいな下っ端(ピーオン)とは扱いが違うんだ

Get me goin', 'cause he on and we on, yeah, yeah
俺を本気にさせてみろ、アイツも俺らもキマってるんだからな、イェー、イェー

Body, yeah, turn the heat on
そのボディ、あぁ、熱を上げてくれよ

Shawty got somethin' I can beat on
あのコは俺が叩ける(激しくヤれる)モノを持ってるぜ

The heat on, heat on, 'cause we on, yeah
熱を上げろ、だって俺たちはハイになってるからな、イェー

[Outro: Don Toliver]

The cup's more than anything, ooh
このカップ(リーン)が何よりも大切なんだ、あぁ
※アウトロでの悲痛な叫び。金や女性よりも、最終的にはドラッグ(シロップの入ったカップ)への依存が最も強いという、楽曲全体を覆う虚無感と中毒の恐ろしさを象徴するフレーズ。

The cup's more than anything, ooh
このカップが何よりも大切なんだ、あぁ

Help me, come on, help me, come on
助けてくれ、頼む、俺を助けてくれ
※ドラッグの快楽を歌っていたはずが、最後には助け(Help)を求める悲痛なSOSで幕を閉じる。Don Toliverのサイケデリックな音楽性が、依存症の闇の深さを生々しく浮き彫りにしている。

Help me, come on, help me, come on
助けてくれ、頼む、俺を助けてくれ

Help me, come on, help me, come on
助けてくれ、頼む、俺を助けてくれ