Artist: Drake
Album: Scorpion
Song Title: Peak
概要
2018年の2枚組アルバム『Scorpion』のB面(R&B・サイド)の幕開けを飾る「Peak」は、Drakeが長年傾倒しているUK(イギリス)カルチャーへの愛情と、現地の女性とのこじれた恋愛関係を歌った、メロウでアンビエントなR&Bトラックである。タイトルの「Peak」は「頂上」を意味すると同時に、ロンドンのスラングで「最悪な状況」や「怒りが頂点に達すること」を指す。楽曲内では、礼儀正しいはずのイギリス女性に振り回される「Sad Boy」としての苦悩と、画面越しでしか強がれない現代のSNS社会への冷ややかな皮肉が綴られている。インタールードおよびアウトロには、UKの気鋭ラッパーStefflon Donらによるロンドン訛り(パトワ語混じり)のガールズトークがサンプリングされており、現代の複雑な恋愛の駆け引き(ハネムーン期間や関係の確定について)がリアルに切り取られている。OVO特有のダークなトーンとUKストリートの空気が見事に融合した一曲だ。
和訳
[Verse 1: Drake]
Treat you like princess
君をお姫様のように扱ってやるよ
Rest in heaven, Diana
天国で安らかに眠れ、ダイアナ妃
※イギリスの女性を相手にしているため、イギリスの象徴的な「お姫様」である故ダイアナ元皇太子妃を引き合いに出している。
Piquing my interest
君は俺の興味をそそるんだ
She got peak like Montana
彼女はモンタナみたいにピーク(頂点/最悪)なんだ
※「Peak」は前述の通りUKスラングで「最悪」「キレる」の意味。「Montana」はアメリカの山岳地帯(山頂=ピーク)のモンタナ州、あるいは人気絶頂(ピーク)だったハンナ・モンタナを掛けたワードプレイと解釈されている。
England breeds proper girls
イギリスは礼儀正しい上品な女の子を育てるはずなのにな
Where are all your good manners?
君の良いマナーは一体どこへ行ってしまったんだ?
Reply with pleasantries
上辺だけの愛想笑いで返信してきやがる
Honestly, I can't stand ya
正直言って、君にはもう耐えられないよ
[Chorus: Drake]
Oh, oh, oh, oh, oh
オー、オー、オー、オー、オー
Oh, oh, oh, you gon' make me turn up on you
オー、オー、オー、君のせいで、俺は君に対してブチ切れ(ターン・アップ)ちまいそうだ
Oh, oh, oh, oh, oh
オー、オー、オー、オー、オー
Oh, oh, oh, you gon' make me turn up on you
オー、オー、オー、君のせいで、俺は君に対して本気で怒ってしまいそうだ
[Verse 2: Drake]
What you thought of me?
君は俺のことを何だと思ってたんだ?
Never had me missin' a beat
俺の心が動揺したことなんて一度もないぜ
※「Miss a beat」は驚きやショックで心臓の鼓動が飛ぶ(動揺する)こと。女の駆け引き程度で、絶対王者である俺のペースは崩れないというMob Boss的なプライド。
That's just a view from a cheap seat
それは安い席からの眺め(部外者の浅い意見)にすぎないのさ
They don't want problems with me
奴らだって、俺と揉め事を起こしたくはないんだ
Talk used to be cheap; nowadays, it's free
昔は「口先だけならタダ同然(チープ)」と言ったが、今じゃ完全にタダ(フリー)になったな
※「Talk is cheap(口で言うのは簡単だ)」という諺の引用。SNSの発達により、誰もがネット上で無責任な発言をタダで発信できるようになった現代への皮肉。
People are only as tough as their phone allows them to be
スマホの画面越しで許される範囲でしか、人は強がることができないんだ
※直接面と向かっては何も言えないくせに、ネット上(安全圏)からだけ攻撃してくるヘイターやフェイクな関係性に対する核心を突いたライン。
Girl, that could never be me
ガール、俺は絶対にそんな真似はしない
I found my peace, I'm about to say my piece
俺は心の平穏(ピース)を見つけた、だから今から俺の言い分(ピース)を言わせてもらうぜ
※「Peace(平穏)」と「Piece(意見、言い分)」の同音異義語を使った言葉遊び。
You might not agree with me
君は俺の意見に同意しないかもしれないがな
[Interlude: Stefflon Don]
Bitch been with this boy, yeah, for four weeks
あの子、この男と4週間も付き合ってたのよ
I told her go on a date
私は彼女に、デートに行ってきなよって言ったの
All of a sudden, she married
そしたら突然、彼女が「結婚した」って言い出して
Didn’t say get bloodclaat married
クソみたいな結婚をしろなんて言ってないわよ
※UKの女性ラッパーStefflon Donによる語り。「Bloodclaat」はカリブ海(ジャマイカ・パトワ)由来の強烈な罵倒語・強調語で、ロンドンのストリートでも頻繁に使われる。少しデートしただけで急速に関係を深めようとする女性への呆れを表現している。
[Chorus: Drake]
Oh, oh, oh, oh, oh
オー、オー、オー、オー、オー
Oh, oh, oh, you gon' make me turn up on you
オー、オー、オー、君のせいで、俺は君に対してブチ切れちまいそうだ
Oh, oh, oh, oh, oh
オー、オー、オー、オー、オー
Oh, oh, oh, you gon' make me turn up on you
オー、オー、オー、君のせいで、俺は君に対して本気で怒ってしまいそうだ
[Outro: Stefflon Don, Vinessa Douglas & Rhea Kpaka]
— What I'm sayin', in today really, at our big, big age if you're gettin' with someone right now and you're linking them for couple weeks, they should know "This is the girl I kinda want to see" so lemme lock off the ting but obviously in the world that we live in today it's not like that
— 私が言いたいのはね、今の時代、私たちのこのいい年齢で誰かと関係を持って、数週間連絡を取り合ってるなら、相手は「この子と真剣に付き合いたいな」って分かって、他の関係を断ち切る(ロック・オフ)べきなのよ。でも明らかに、私たちが生きる今の世の中はそうじゃないのよね
※「Link」は会う、連絡を取ること。「Lock off the ting」はパトワ由来のUKスラングで、他の異性との遊びを終わらせて関係を一つに絞ること。
— He is… did that — but obviously it takes time— You're chattin' shit. First of all you shouldn't have no problems at the beginning, it should be like honeymoon–
— 彼は…そうしてくれたわ — でも当然、時間がかかるでしょ— バカ言わないで。そもそも最初は揉め事なんてないはずよ、ハネムーンみたいになるはずだわ–
※「Chattin' shit」は嘘を言う、バカなことを言うというUKスラング。
— That's what I said, that's what I said! The beginning is always honeymoon season
— だからそう言ったでしょ、そう言ったのよ! 最初はいつもハネムーンの時期なのよ
— Yeah, well you overdo it and he's overdoin' it. Both of you are overdoin' it right now
— ええ、まあ、あなたがやりすぎてるし、彼もやりすぎてる。今、二人ともやりすぎなのよ
— Yeah, well, alright
— ええ、まあ、分かったわ
