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Unraveling Genius: Music, Knowledge, Madness

I’m Me - Lil Wayne 【和訳・解説】

Artist: Lil Wayne

Album: Tha Carter III (Deluxe Revised)

Song Title: I’m Me

概要

本作は、2007年のEP『The Leak』で発表され、後に『Tha Carter III』のデラックス版に収録された、Lil Wayneの圧倒的な自己肯定と所属レーベルへの忠誠を示すマニフェスト的アンセムである。当初は『Tha Carter III』のリードシングル候補と目されていたが、度重なるリーク被害により本編から外されたという背景を持つ。DJ NastyとLVMによるソウルフルで哀愁漂うボーカルサンプリング(William Bellの「God Is Love」)に乗せ、Wayneは自身を育て上げたCash Money Recordsの総帥Birdman(Bryan Williams)とRonald "Slim" Williamsへの絶大な感謝を捧げている。グラミー賞に無視された冷遇への怒り、メタファーを駆使した自虐的なジョーク、そして「自分は自分である(I'm Me)」という絶対的な揺るぎないアイデンティティ。リークという不運に見舞われながらも、ファンの間で「真のクラシック」としてカルト的な支持を集め続ける、Wayneの全盛期の勢いを象徴するマスターピースだ。

和訳

[Intro]

The hottest under the sun (Nasty, baby)
太陽の下で一番熱い男だ(ナスティー、ベイビー)
※プロデューサーのDJ Nastyへのシャウトアウト。

Ain't nobody fuckin' with me, man
誰も俺には敵わねぇよ、マジで

A-a-a-and you already know that, pimpin' (Yeah)
そーそーそーして、お前はもう知ってるはずだぜ、ピンプ(イェー)
※Cash Money Recordsの初期の名曲、Big Tymersの「#1 Stunna」からのアイコニックなサンプリング・フレーズ。レーベルの歴史を背負っていることを示唆。

Cash Money Records, where dreams come true
キャッシュ・マネー・レコード、夢が現実になる場所さ

Fuck up my dream, somebody gon' die tonight
俺の夢をブチ壊すなら、今夜誰かが死ぬことになる

A-a-and you already know that, pimpin'
そーそーそーして、お前はもう知ってるはずだぜ、ピンプ

Ayy, it's Cash Money Records, man, a lawless gang
エイ、これがキャッシュ・マネー・レコードだ、無法者のギャングさ

[Verse 1]

Un-fucking-believable! Lil Wayne's the president
信じられねぇよな! リル・ウェインが大統領(プレジデント)だぜ
※2005年、Wayneは若くしてCash Money Recordsの社長(President)に就任した。その事実を誇張し、シーン全体を統べる大統領であると宣言。

Fuck 'em, fuck 'em, fuck 'em, even if they celibate
奴らをファックしてやる、奴らが禁欲主義者(独身主義)だとしてもな
※「Fuck 'em(ぶっ潰す/ヤる)」と「Celibate(性交渉をしない)」という言葉遊び。相手が誰であろうと情け容赦なく叩き潰すという意思表示。

I know the game is crazy, it's more crazy than it's ever been
このゲーム(ラップシーン)が狂ってるのは分かってる、今までで一番狂ってるぜ

I'm married to that crazy bitch; call me Kevin Federline
俺はその狂ったビッチ(ゲーム)と結婚したんだ、ケヴィン・フェダーラインと呼んでくれ
※ブリトニー・スピアーズの元夫であるダンサー、ケヴィン・フェダーラインへの言及。パパラッチに追われ奇行が目立っていた当時のブリトニーを「Crazy bitch」に見立て、自分はそんな狂った業界と運命を共にする(結婚した)存在だという自虐的なジョーク。

It's obvious that he'll be Cash Money 'til the death of him
彼(俺)が死ぬまでキャッシュ・マネーの一員だってことは、火を見るより明らかだろ

The ground shall break when they bury him—bury him?
奴らが彼(俺)を埋葬する時、地面は割れるだろうな—埋葬するだって?

I know one day they got to bury him
いつか奴らが彼(俺)を埋めなきゃならない日は来るだろう

Better lock my casket tight, baby, so I don't let the Devil in
俺の棺桶にはしっかり鍵を掛けておけよ、ベイビー、悪魔を中に入れないようにな
※死後も自身の魂(レガシー)を守り抜くという宣言。あるいは自分が悪魔よりも恐ろしい存在であるため、閉じ込めておけというダブルミーニング。

People, it's just me and my guitar
みんな、ここにいるのは俺と俺のギターだけさ
※この時期、WayneはライブやMVで頻繁にギターを演奏し始めていた(後のロックアルバム『Rebirth』への布石)。自分自身と音楽(楽器)だけが頼りだという孤独の表現。

Yeah, bitch, I'm heavy metallin'
ああ、ビッチ、俺はヘヴィ・メタルを演ってるんだ

You can get the fuckin' Led Zeppelin
お前らにクソみたいな「レッド・ツェッペリン」を食らわせてやるよ
※「Led Zeppelin(伝説のロックバンド)」と「Lead(鉛=銃弾)」の言葉遊び。ヘヴィ・メタル(重い金属=銃器)を撃ち込むというストリートのメタファー。

Niggas is bitches, bitches, I think they full of estrogen
野郎どもはビッチだ、ビッチ共め、あいつらはエストロゲン(女性ホルモン)で満たされてるんだろうな

And we hold court and take your life for a settlement
俺たちは法廷(コート)を開き、示談金(セツルメント)の代わりにお前の命を奪う

Yes, I am the best—and no, I ain't positive, I'm definite
そうさ、俺がベストだ—いや、ポジティブ(確信している)なんてもんじゃない、デフィニット(絶対的)だ

I know the game like I'm reffin' it
俺はこのゲームを熟知してる、まるで審判(レフェリー)をしてるみたいにな

This is Tha Carter, Tha Carter 3, the New Testament
これが『Tha Carter』、『Tha Carter 3』、新約聖書(ニュー・テスタメント)だ
※自分のアルバムが、ヒップホップにおける新たな教典(バイブル)となるという壮大な自己神格化。

And I'm the God, and this is what I bless 'em with
そして俺は神だ、これは俺が奴らに与える祝福(ブレス)なのさ

[Chorus]

Bitch, I'm me, I'm me, I'm me, I'm me
ビッチ、俺は俺だ、俺は俺だ、俺は俺なんだよ

Baby, I'm me, so who you?
ベイビー、俺は俺だ、じゃあお前は誰だ?

You're not me, you're not me
お前は俺じゃねぇ、お前は俺にはなれない

And I know that ain't fair, but I don't care
それが不公平(アンフェア)だってことは分かってる、だが知ったこっちゃねぇ

I'm a motherfuckin' Cash Money Millionaire
俺はクソ最高な「キャッシュ・マネー・ミリオネア」だからな

I know that ain't fair, but I don't care
不公平だってのは分かってる、だが知ったこっちゃねぇ

I'm a motherfuckin' Cash Money Millionaire
俺はクソ最高な「キャッシュ・マネー・ミリオネア」なんだよ

Yeah, Junior
ああ、ジュニア(俺)さ

[Verse 2]

It's Cash Money over everythang
何よりも「キャッシュ・マネー」が優先だ

It's in my blood, I feel it runnin' in every vein
俺の血に流れてる、すべての静脈を駆け巡ってるのを感じるぜ

I'm from the mud, I am a missile like a Scud
俺は泥水(どん底)の出身だ、スカッド(ミサイル)みたいなミサイルさ
※湾岸戦争などで有名になった旧ソ連製の弾道ミサイル「スカッド(Scud)」。ストリートの底辺(Mud)から一直線に空へ打ち上がる自身の勢いの比喩。

What's really good, I'm 'bout that ruckus like Fudd
何がマジでヤバいかって、俺はファッドみたいに騒動(ラッカス)を起こすってことだ
※ルーニー・テューンズのキャラクター、エルマー・ファッド(Elmer Fudd)。猟銃を持ってウサギ(バッグス・バニー)を追い回し、常に銃を撃って騒ぎを起こす姿になぞらえている。

And I stayed on my flo' at Cash Money, like a rug
俺はキャッシュ・マネーでずっとフロア(床/フロウ)に居座り続けた、ラグマットみたいにな
※「Floor(床)」と「Flow(ラップのフロウ)」の言葉遊び。他の初期メンバー(Juvenile, B.G., Turkなど)がレーベルを去る中、自分だけがCash Moneyに残り(Stay on the floor)、屋台骨を支え続けたという歴史的事実の誇示。

Tied to the fuckin' Birdman like a lug
クソ最高なバードマンと結びついてるんだ、ラグナットみたいにな
※Birdman(Cash Moneyの創設者であり、Wayneの育ての親)との強固な絆を、車のホイールを固定する「ラグナット(Lug nut)」に例えている。

And dear Mr. Ronald Williams
そして親愛なるミスター・ロナルド・ウィリアムズ(スリム)

To you I shall forever give thanks like a pilgrim
あなたにはピルグリム(清教徒)のように、永遠に感謝を捧げますよ
※Cash Money Recordsの共同創設者であり、Birdmanの兄であるRonald "Slim" Williamsへのシャウトアウト。「Thanksgiving(感謝祭)」の起源であるピルグリム・ファーザーズに掛け、深い恩義を示している。

Cash Money million-heir to the throne
キャッシュ・マネーの「百万長者(ミリオネア)」であり、王座への「後継者(ヘア)」さ
※「Millionaire」の「-aire」を「Heir(後継者)」に置き換えた天才的なワードプレイ。BirdmanとSlimの築いた王国の正統な後継者は自分であるという宣言。

Goin' at their heads, like hair in a comb
奴らの頭(トップ)に向かっていくぜ、櫛(コーム)に入り込む髪の毛(ヘア)のようにな

Sittin' by the window, I just stare at the storm
窓辺に座って、俺はただ嵐を見つめてる
※アルバムのリークや、周囲の人間関係のトラブルなど、自分を取り巻く混沌(嵐)を静かに俯瞰している描写。

Know I'll make it through it like hair in a comb
俺がそれを通り抜けるって分かってるさ、櫛を通り抜ける髪のようにな
※2行前のメタファーを回収し、どんな困難(もつれた髪)でもスムーズに切り抜けてみせるという自信。

Young Money over bitches, my niggas trust my senses
ビッチよりもヤング・マネー(仲間)だ、俺のダチは俺の直感を信じてる

And I will take a dasher as the Lord is my witness
そして俺はダッシャー(逃走者/銃を撃つ者)になる、主が俺の証人だ

And you all have witnessed, but I am not finished
お前ら全員が目撃してきただろ、だが俺はまだ終わっちゃいねぇ

So keep your mouth closed and let your eyes listen
だから口を閉じて、「目」で聴いてな
※「耳で聴く」のではなく「目で聴く(俺の生き様や行動を見て感じ取れ)」という、共感覚的な詩的表現。

[Chorus]

Bitch, I'm me, I'm me, I'm me
ビッチ、俺は俺だ、俺は俺だ

Baby, I'm me, so who you?
ベイビー、俺は俺だ、じゃあお前は誰だ?

You're not me, you're not me
お前は俺じゃねぇ、お前は俺にはなれない

And I know that ain't fair, but I don't care
それが不公平だってことは分かってる、だが知ったこっちゃねぇ

I'm a motherfuckin' Cash Money Millionaire
俺はクソ最高な「キャッシュ・マネー・ミリオネア」だからな

I know that ain't fair, but I don't care
不公平だってのは分かってる、だが知ったこっちゃねぇ

I'm still a motherfuckin' Cash Money Millionaire, bitch
俺は今でもクソ最高な「キャッシュ・マネー・ミリオネア」なんだよ、ビッチ

[Verse 3]

Last year they had the Grammy's and left me in Miami
去年、奴らはグラミー賞を開いて、俺をマイアミに置き去りにしやがった
※2007年のグラミー賞において、ミックステープで圧倒的なプロップスを得ていたにもかかわらず、主要部門でノミネートされなかった(または授賞式に呼ばれなかった)ことへの強烈なディス。

Sleepin' on a nigga like I'm rappin' in my jammies
パジャマ(ジャミーズ)を着てラップしてるみたいに、俺のことをスルー(スリープ)しやがって
※「Sleep on someone(人の才能を過小評価する、無視する)」というスラングと、文字通りの「眠る(Sleep/パジャマ)」を掛けた言葉遊び。

I'm rappin' when you sleep
お前らが寝てる間も、俺はラップしてるんだ

I was rappin' when you were in jammies
お前らがまだパジャマを着てた(ガキだった)頃から、俺はラップしてたんだよ
※10代前半でCash Moneyからデビューし、シーンの最前線で何十年もサバイブしてきたキャリアの長さと異常なワーカホリックぶりの誇示。

Mel Gibson flow, Lethal Weapon, book 'em, Danny
メル・ギブソンのフロウ、リーサル・ウェポン(最終兵器)だ。「奴らをブチ込め、ダニー」
※メル・ギブソン主演のアクション映画『リーサル・ウェポン』。相棒のダニー・グローヴァー(Danny)への劇中の台詞を引用し、自分のラップが凶器レベルであることを示している。

I'm a monster, I tell you, Monster Wayne
俺はモンスターだ、言っとくが「モンスター・ウェイン」だぜ

I have just swallowed the key to the House of Pain
俺は「苦痛の館(ハウス・オブ・ペイン)」の鍵を飲み込んだところさ
※90年代の白人ラップグループ「House of Pain」(代表曲「Jump Around」)のネームドロップでありつつ、自分がストリートの苦しみや痛みをすべて飲み込んで(背負って)いるという表現。

Now I'm stuck here to deal with the house's pain
今、俺はここに閉じ込められて、この館の痛みに対処しなきゃならねぇ

Fuck with me, I will peel like the house's paint—let's go!
俺にちょっかいを出してみろ、家のペンキみたいに剥がれ落ちて(猛スピードで逃げて)やるよ—レッツゴー!
※「Peel(皮を剥く)」にはスラングで「(車で)猛スピードで走り去る」という意味がある。「家のペンキ」と掛けたライミング。

Niggas don't wanna see me ‘cause I'm better in bold
野郎どもは俺に会いたがらない、俺は「ボールド(太字/大胆)」な方がカッコいいからな

The only time I will depend is when I'm 70 years old
俺が何かに「ディペンド(依存)」するのは、70歳になった時だけだ
※次行への極めて下品で巧妙なフリ。

That's when I can't hold my shit within, so I shit on myself
その時になれば、自分のクソを我慢できなくなって、自分にクソを漏らす(お漏らしする)だろうからな
※「Depend」はアメリカの有名な大人用おむつ(介護用おむつ)のブランド名。「誰かに依存する」ことと「大人用おむつを履く」ことを掛けた天才的(かつ自虐的)なパンチライン。

‘Cause I'm so sick and tired of shittin' on everybody else
だって俺は、他の奴らの上にクソを漏らす(圧倒して見下す)ことにもうウンザリしてるからさ
※「Shit on someone(相手を圧倒する、コケにする)」というスラング。今は他のラッパーをボコボコに(クソを漏らすように)圧倒しているが、年を取ったら自分自身に漏らすしかない、というユーモア。

I try to tell you like I'm sayin' somethin'
何か意味のあることを言ってるみたいに、お前に伝えようとしてるんだ

I'm from the Dirty like the bottom of my pants cuff
俺は「ダーティ(南部)」の出身だ、俺のパンツの裾の底(カフ)みたいにな
※「Dirty South(アメリカ南部)」というヒップホップ用語と、地面に擦れて汚れたパンツの裾を掛けた、南部のレペゼン。

And now nothin' gonna stop me, so just envy it
今や俺を止められるものなんて何もない、だからただ羨んで(エンヴィ)な

Hey, I'll accept a friendly quit, ha ha
ヘイ、「友好的な降伏(負けを認めること)」なら受け入れてやるよ、ハハ
※どうせ俺には勝てないのだから、無駄な抵抗はやめて潔く白旗を上げろという王者の余裕。

[Chorus]

Bitch, I'm me, I'm me, bitch I'm me
ビッチ、俺は俺だ、ビッチ、俺は俺なんだよ

Baby, I'm me, so who you?
ベイビー、俺は俺だ、じゃあお前は誰だ?

Fuck you , you're not me
クソ食らえ、お前は俺じゃねぇ

And I know that ain't fair, but I don't care
それが不公平だってことは分かってる、だが知ったこっちゃねぇ

I'm a motherfuckin' Cash Money Millionaire
俺はクソ最高な「キャッシュ・マネー・ミリオネア」だからな

I know that ain't fair, but I don't care
不公平だってのは分かってる、だが知ったこっちゃねぇ

I'm a motherfuckin' Cash Money Millionaire, bitch!
俺はクソ最高な「キャッシュ・マネー・ミリオネア」なんだよ、ビッチ!

[Outro]

The hottest under the sun (who dat?)
太陽の下で一番熱い男だ(誰のことだ?)

Ain't nobody fuckin' with me, man
誰も俺には敵わねぇよ、マジで

And you already know that, pimpin'
そして、お前はもう知ってるはずだぜ、ピンプ

Cash Money Records, where dreams come true
キャッシュ・マネー・レコード、夢が現実になる場所さ

(Who dat?) Somebody gon die tonight
(誰のことだ?)今夜誰かが死ぬことになる

And you already know that, pimpin'
そして、お前はもう知ってるはずだぜ、ピンプ

Aye, it's Cash Money Records, man, a lawless gang
エイ、これがキャッシュ・マネー・レコードだ、無法者のギャングさ