Artist: Lil Wayne
Album: Tha Carter II
Song Title: Receipt
概要
2005年の名盤『Tha Carter II』の終盤に配置された本作は、アルバム全体を覆うハードコアなギャングスタ・ラップ像から一転し、Lil Wayneが極めてパーソナルで脆い一面を見せるメロウなラブソングである。The Isley Brothersが1971年に発表した名曲「Lay Away」をサンプリングし、「愛を引き換えるためのレシート」というメタファーを中心に展開される。元妻Toya Johnsonとの離婚や愛娘Reginaeへの言及など、彼の当時の私生活が生々しく反映されている。ファンの間では当時交際が噂されていた女性ラッパーのTrinaに向けた楽曲であるという考察も根強く、彼の不器用ながらもストレートな愛情表現と、南部特有のメランコリックなサウンドが見事に融合した隠れた名曲として高く評価されている。
和訳
[Intro]
Yeah, yeah
イェー、イェー
It's kinda hard sayin' this shit to your face
面と向かってこんな事言うのは、ちょっと照れくさいからな
※ストリートでタフに振る舞うギャングスタであるWayneにとって、女性に対する素直な愛情表現を直接言葉にするのはハードルが高いという照れ隠し。この曲全体が、彼女へ宛てた一種の「手紙」であることを示している。
So I do it over snares and bass
だから俺は、スネアとベースの上で伝えるんだ
Music take me away
音楽が俺を素直にさせてくれるのさ
(I got to hold on, hold on to my receipt)
(俺はレシートをしっかり握りしめてなきゃいけないんだ)
※The Isley Brothersの1971年の楽曲「Lay Away」からのボーカルサンプリング。「Lay away(取り置き)」システムを恋愛関係に例え、過去に支払った愛の証拠(レシート)を大切に保管し、いつか本物の愛と引き換える(redeem)というソウルミュージック由来の美しいメタファー。
(Yeah, to redeem your love, that's exactly what I need)
(あぁ、お前の愛を引き換えるために。それこそが俺に必要なものだ)
Yeah, yeah, yeah, c'mon
イェー、イェー、イェー、カモン
[Verse 1]
Young bull
血の気の多い若造だった俺さ
※「Young bull」はエネルギーに溢れる若い男、血気盛んな若者を指すスラング。
I know you love me like you never loved
お前がこれまで誰にもしたことがないくらい、俺を愛してくれてるのは分かってる
You know you couldn't find a better thug
お前も、俺よりイイ男(サグ)なんて見つからないって分かってるだろ
And, uh
それに、あぁ
You been peepin' me since I was younger
お前は俺がもっとガキだった頃から、ずっと俺のことを見てきてくれたよな
So young that you even called me your little brother
お前が俺のことを「弟」みたいに呼んでたぐらい、俺は若かった
※相手の女性がWayneの古くからの知人であり、おそらく年上であることを示唆している。当時Wayneと交際していたマイアミの女性ラッパーTrina(Wayneより4歳年上)についての言及だとするファンの考察が非常に多い。
But I'm all grown up now, I got my own money
でも今の俺はすっかり大人になって、自分の金も稼いでるぜ
I'm married and divorced and my daughter is a woman
結婚も離婚も経験したし、俺の娘もすっかりレディだ
※Wayneの高校時代からの恋人であり前妻であるToya Johnsonとの結婚・離婚(2004〜2006年頃に破局)と、1998年生まれの長女Reginae Carterについての言及。Reginaeは当時まだ7歳前後だが、「woman」と表現することで、自分が父親として様々なライフステージを猛スピードで経験し、完全に成熟した男になったことを強調している。
And guess what? My daughter want another
それで、どうだ? 俺の娘はもう一人欲しがってるんだ
Sister or brother, and you lookin' like a mother
妹か弟をな。そしてお前は、母親にふさわしい女に見えるぜ
※前妻との間の子である娘が兄弟を欲しがっており、現在の恋人(この曲の相手)との間に新しい子供を持ちたいという究極のプロポーズ的ライン。
I took you from a clubber to a lover
クラブで遊んでたお前を、俺の愛人に変えてやった
And you took another bitch husband, the other bitch wasn't
そしてお前は別のビッチから旦那を奪ったわけだが、あのビッチは
※「another bitch husband」はWayne自身のこと。元妻(Toya)からWayneを奪う形になった現在の恋人に対する複雑な関係性をストレートに歌っている。
Doin' shit for him
俺のために何一つしてくれなかったのさ
She say she did too much, I say she did nothing
あいつは「尽くしすぎた」って言うが、俺に言わせりゃ何もしてねえよ
She need to quit frontin'
見栄を張るのはやめるべきだな
I haven't hid nothin' and you love everything
俺は何も隠しちゃいない。そしてお前は俺の全てを愛してくれてる
Can't hide your feelings, won't let my pride conceal it
お前は感情を隠せないし、俺もくだらねえプライドで本心を隠すつもりはねえ
You got Wayne, I charge it to the game
お前はWayneを手に入れたんだ。このツケはゲーム(ストリート)に回しておくぜ
※「Charge it to the game」はヒップホップにおける頻出フレーズで、ストリートの生活で被った損失やトラブルを「ゲーム(裏社会の掟)の一部だから仕方ない経費」として受け入れること。ここでは、恋愛における過去の失敗や痛手、あるいは元妻への慰謝料などをすべて「ストリートの経費」として豪快に精算し、前を向くというギャングスタな愛情表現。
And baby, you can keep the change, but
そしてベイビー、お釣りはお前が取っておきな
[Chorus]
(I got to hold on, hold on to my receipt)
(俺はレシートをしっかり握りしめてなきゃいけないんだ)
It's kinda hard sayin' this shit to your face
面と向かってこんな事言うのは、ちょっと照れくさいからな
So I do it over snares and bass
だから俺は、スネアとベースの上で伝えるんだ
Music take me away
音楽が俺を素直にさせてくれるのさ
(I got to hold on, hold on to my receipt)
(俺はレシートをしっかり握りしめてなきゃいけないんだ)
It's kinda hard sayin' this shit to your face
面と向かってこんな事言うのは、ちょっと照れくさいからな
So I do it over snares and bass
だから俺は、スネアとベースの上で伝えるんだ
Music take me away
音楽が俺を素直にさせてくれるのさ
[Verse 2]
Destiny Child CD, song number three
デスティニーズ・チャイルドのCD、トラックナンバーは3だ
※Destiny's Childが2004年にリリースしたアルバム『Destiny Fulfilled』の3曲目「Cater 2 U」を指している。この曲は「愛する男性に徹底的に尽くす(Cater to you)」ことを歌ったR&Bのアンセムであり、次のラインへ直結する見事なネームドロップ。
She cater to me 'til we fall asleep
俺たちが眠りにつくまで、彼女は俺に徹底的に尽くしてくれる
※前行の「Cater 2 U」のタイトルをそのまま動詞として回収している。
Then we wake up and we pick up where we started
そして目が覚めたら、昨日の続きからまた始めるのさ
Then she make a nigga breakfast, Sprite, orange juice, and water
それから彼女は朝飯を作ってくれる。スプライト、オレンジジュース、それに水だ
※豪華な朝食というよりは、昨晩激しく愛し合い、あるいはドラッグやアルコールで消耗した体を回復させるためのリアルで質素な水分補給の描写。ストリートの生々しい朝の風景。
And she on stage waitin' for me after my show
俺のライブの後も、彼女はステージの袖で待っててくれる
So no time for groupies, straight to the top floor, yeah
だからグルーピーのビッチ共にかまってる暇はねえ。最上階の部屋へ直行さ
※普段は複数の女性と遊ぶイメージの強いWayneが、この女性にだけは一途であり、他の誘惑(groupies)を無視してスイートルーム(top floor)の彼女の元へ急ぐという、Grown Man(大人の男)としての振る舞い。
Fresh out the shower, a smile and a towel
シャワーを浴びたばかりで、笑顔とバスタオル一枚の姿
Then after an hour, she gon' need another shower
そして1時間後には、彼女はもう一回シャワーを浴びなきゃならなくなるぜ
※ベッドでの情事の激しさをユーモラスに描写。
When I'm at home in my coupe or in the office
家でクーペに乗ってる時も、オフィスにいる時も
Or the streets of the Boot, I'm thinking 'bout you
それか「ブーツ」のストリートにいる時だって、俺はお前のことを考えてる
※「The Boot」はルイジアナ州の愛称。州の形がブーツ(長靴)に似ていることに由来する。地元ニューオーリンズの危険なストリートをハッスルしている最中でさえ、彼女のことが頭から離れないという純情。
And most of the girls that come by are cute
言い寄ってくる女の子たちの大半はキュートだけどな
And they try to holler, but they all on mute
あいつらは声をかけてくるが、俺にとっては全員「ミュート」状態さ
※どれだけ魅力的な女性が誘惑してきても、本命の彼女以外の声は全く耳に入らない(音量がゼロである)という表現。
And my old girls turn they face up at me, yeah
昔の女たちは、俺にツンと顔を背けやがる
They throw they purses and they makeup at me
俺に向かってハンドバッグやメイク道具を投げつけてくるのさ
※他の女性を一途に愛し始めたWayneに対する、かつての遊び相手や元カノたちからの嫉妬やヒステリーのリアルな描写。
'Cause you got Wayne, I charge it to the game
だってお前はWayneを手に入れたんだからな。このトラブルもゲームへのツケにしとくぜ
And baby, you can keep the change, but
そしてベイビー、お釣りはお前が取っておきな
[Chorus]
(I got to hold on, hold on to my receipt)
(俺はレシートをしっかり握りしめてなきゃいけないんだ)
It's kinda hard sayin' this shit to your face
面と向かってこんな事言うのは、ちょっと照れくさいからな
So I do it over snares and bass
だから俺は、スネアとベースの上で伝えるんだ
Music take me away
音楽が俺を素直にさせてくれるのさ
(I got to hold on, hold on to my receipt)
(俺はレシートをしっかり握りしめてなきゃいけないんだ)
It's kinda hard sayin' this shit to your face
面と向かってこんな事言うのは、ちょっと照れくさいからな
So I do it over snares and bass
だから俺は、スネアとベースの上で伝えるんだ
Music take me away
音楽が俺を素直にさせてくれるのさ
[Verse 3]
Come home, smell the food on the stove
家に帰ると、コンロからいい匂いが漂ってくる
She done cleaned the whole house, washed the dishes and the clothes
彼女は家の中を隅々まで掃除して、皿も服も全部洗ってくれた後さ
And when we out, we do it just how we supposed
そして俺たちが外に出る時は、完璧にキメて出かけるんだ
Look good for the public, leave the drama in the Rolls
世間(パブリック)には最高の姿を見せつけて、揉め事(ドラマ)はロールス・ロイスの中に置いていくのさ
※セレブリティのカップルとしての振る舞い方。車内(プライベート)で喧嘩や問題を抱えていても、パパラッチや世間の前では完璧なパワーカップルとして振る舞うというプロ意識。
Royce, choice of car that we move in
俺たちが移動に使う車は、いつだってロールス・ロイスだ
She get high sometimes 'cause I'm always doin' it, yeah
俺がいつもハイになってるから、彼女も時々ハイになるんだ
※Wayneのライフスタイル(マリファナやシロップの摂取)に彼女も影響を受け、共に時間を共有している姿。
You hear them hallways, we always doin' it
廊下にまで響いてるのが聞こえるだろ、俺たちはいつでもヤッてるのさ
Work her, every time feel like the first one
彼女を抱く時は、いつだって最初の夜みたいな気分になる
Perfect when a nigga stressin' at work
仕事でストレスを抱えてる時、彼女の存在は完璧なんだ
She take away all of the pain, make it lesser than dirt
彼女は俺の痛みをすべて取り除いて、塵以下のものにしてくれる
※Cash Money Recordsの看板を背負い、音楽業界のプレッシャーやストリートの抗争(work)に晒されるWayneにとって、彼女が究極の精神的支柱(セーフティネット)であることを告白している。
That's why you got Wayne, I charge it to the game
だからお前はWayneを手に入れたんだ。全部ゲームの経費で落としてやる
And baby, you can keep the change, but
そしてベイビー、お釣りはお前が取っておきな
[Outro]
(I got to hold on, hold on to my receipt)
(俺はレシートをしっかり握りしめてなきゃいけないんだ)
(Yeah, to redeem your love, that's exactly what I need)
(あぁ、お前の愛を引き換えるために。それこそが俺に必要なものだ)
I got you
お前は俺が守るよ
(I got to hold on, hold on to my receipt), yeah
(俺はレシートをしっかり握りしめてなきゃいけないんだ)、イェー
It's kinda hard saying this shit to your face
面と向かってこんな事言うのは、ちょっと照れくさいからな
So I do it over snares and bass
だから俺は、スネアとベースの上で伝えるんだ
Music take her away
音楽よ、彼女をさらっていってくれ
※Introの「Music take me away」が最後は「take her away」に変化。自分の素直な思いを込めたこの音楽(手紙)が、彼女の元へ届き、彼女の心を奪って(感動させて)くれることを願うロマンチックなエンディング。
