Artist: Tyler, The Creator
Album: Flower Boy
Song Title: Sometimes...
概要
『Flower Boy』(2017年)に収録されたわずか36秒の短いインタールードだが、アルバムのロマンチックな核心を読み解く上で極めて重要な役割を果たすトラックである。架空のラジオ局「Golf Radio」のDJであるシェーン・パワーズと、匿名リスナーとの電話のやり取りを描いたスキット形式をとっている。注目すべきは、電話越しに「僕についての曲を」とリクエストする声の主が、タイラーの親友であり当時のインスピレーションの源(恋愛対象)と噂されていたワイアット・ナヴァロ(Wyatt Navarro)本人である点だ。タイラーの秘めた同性への恋心がラジオのリクエストという形で示唆され、そのまま次曲でありキャリア屈指のラブソング「See You Again」へと美しく、かつシームレスに繋がっていく。
和訳
[Tyler, The Creator]
Sometimes, I sit in my room and think about us
時々、部屋に座って、俺たちのことについて考えちまうんだ。
※次曲「See You Again」へと繋がる、タイラーのメロウで内省的な独白。
[Shane Powers]
"It's Golf Radio, you're on the air with Shane Powers
「こちらGolf Radio、シェーン・パワーズの番組だ。
※Golf Radio=タイラーの楽曲(前作『Cherry Bomb』など)に度々登場する架空のラジオ局。Shane Powersは実在のテレビパーソナリティであり、タイラーの友人。
Taking requests... Uh, what’s uh, pick that one... What's, uh... What's your name? Hello?
リクエストを受け付けてるぜ…えーと、そいつを繋いでくれ…名前は? もしもし?
Um, okay, well, since you want to be Mr. Fucking-Secret-Agent, what song you wanna hear?"
まぁいい、クソみたいな秘密諜報員(シークレット・エージェント)を気取りたいならそれでいいさ。で、何の曲が聴きたいんだ?」
※名乗らないリスナーに対する皮肉だが、同時に「秘密の恋」や、クローゼットに隠されたセクシュアリティを暗喩しているとも解釈できる。
[Wyatt Navarro]
The one about me
「僕についての曲を」
※声の主はWyatt Navarro。彼が「自分についての曲」をリクエストすることで、次に流れる「See You Again」が彼に向けられたラブソングであることが決定づけられる。
