Artist: Drake (feat. J. Cole)
Album: For All The Dogs
Song Title: First Person Shooter
概要
「First Person Shooter」は、2023年にリリースされたアルバム『For All The Dogs』に収録された、DrakeとJ. Coleによる歴史的なコラボレーション・トラックである。長年ヒップホップ・シーンの頂点に君臨しながらも、本格的な共演が少なかった二人のトップMCが互いの実力を誇示し合うこの楽曲は、文字通り「スーパーボウル級」の熱狂を生んだ。しかし、この曲がシーンに与えた最大の影響は、J. Coleがヴァース内でKendrick Lamar、Drake、そして自身を「Big Three(ビッグ3)」と称したことにある。この数ヶ月後、Kendrick LamarがFuture & Metro Boominの「Like That」で「ビッグ3なんてクソくらえ、ビッグなのは俺だけだ」と強烈にディスを返し、ラップ史に残るDrake対Kendrick Lamarの大戦争(2024年のビーフ)の直接的な引き金となった。楽曲後半のビートスイッチ後には、DrakeがMichael Jacksonのビルボード1位獲得記録に並ぼうとしている事実を「Beat It」というワードプレイで傲慢に見せつける、「Mob Boss」としてのエゴイズムが完璧にパッケージされている。
和訳
[Part I]
[Intro: J. Cole]
(Pew, pew-pew)
(ピュー、ピュピュー)
First-person shooter mode, we turnin' your song to a funeral
FPS(一人称視点シューティング)モードだ、お前の曲を葬式に変えてやる
※シューティングゲームの視点と、マイク(銃)を構えて同業者を葬り去るというダブルミーニング。
To them niggas that say they wan' off us, you better be talkin' 'bout workin' in cubicles
俺たちを「オフ」にしたいって言う奴ら、キュービクルで働く話をしてるんだろうな
※「off us(俺たちを殺す/引きずり降ろす)」と「office(オフィス)」をかけたJ. Coleの高度な言葉遊び。「cubicles」はオフィス用の仕切りデスクのこと。
Yeah, them boys had it locked, but I knew the code
ああ、あいつらはロックをかけていたが、俺は暗証番号を知っていたのさ
Lot of niggas debatin' my número
多くの奴らが、俺の番号(順位)について議論している
Not the three, not the two, I'm the U-N-O
3番目でも2番目でもない、俺はUNO(1番)だ
Yeah
ああ
Numero U-N-O
ナンバー・ウノ(1番)さ
Me and Drizzy, this shit like the Super Bowl
俺とドリジー(ドレイク)、これはまるでスーパーボウルだ
Man, this shit damn near big as the
なあ、これはマジでアレと同じくらいデカいぜ
[Chorus: Drake]
Big as the what? (Ah)
何と同じくらいデカいって?
Big as the what? (Mm)
何と同じくらいデカいって?
Big as the what? (Ayy)
何と同じくらいデカいって?
Big as the Super Bowl
スーパーボウルと同じくらいデカいんだよ
[Verse 1: Drake]
But the difference is it's just two guys playin' shit that they did in the studio
だが違いは、スタジオで作ったものをたった二人の男がプレイしているってことさ
Niggas usually send they verses back to me and they be terrible, just like a two-year-old
普段、奴らが俺に送り返してくるヴァースはひどいもんだ、まるで2歳児(テリブル・ツー)みたいにな
※「terrible(ひどい)」と、2歳児の魔のイヤイヤ期である「terrible two」をかけたワードプレイ。
I love a dinner with some fine women when they start debatin' about who the GOAT
イケてる女たちとディナーをしながら、誰がGOAT(史上最高)か議論し始める瞬間が大好きなんだ
I'm like go'n 'head, say it then, who the GOAT?
俺は「さあ続けて、言ってみろよ、誰がGOATだ?」って感じさ
Who the GOAT? Who the GOAT? Who the GOAT?
誰がGOATだ? 誰がGOATだ? 誰がGOATだ?
Who you bitches really rootin' for?
お前らビッチは本当は誰を応援してるんだ?
Like a kid that act bad from January to November, nigga, it's just you and Cole
1月から11月まで悪さをするガキみたいにな、なあ、お前とコール(石炭)だけさ
※欧米では、クリスマスにサンタクロースが良い子にはプレゼントを、悪い子(bad from Jan to Nov)には「石炭(coal = Cole)」を贈るという伝承がある。それとJ. Coleを見事にかけたパンチライン。
[Chorus: Drake]
Big as the what? (Ah)
何と同じくらいデカいって?
Big as the what? (Mm)
何と同じくらいデカいって?
Big as the what? (Ayy)
何と同じくらいデカいって?
Big as the Super Bowl
スーパーボウルと同じくらいデカいんだよ
[Verse 2: J. Cole]
Niggas so thirsty to put me in beef
奴らは俺をビーフ(抗争)に巻き込みたくて必死だな
Dissectin' my words and start lookin' too deep
俺の言葉を解剖して、深読みしすぎている
I look at the tweets and start suckin' my teeth
ツイートを見て、舌打ちをし始めるんだ
I'm lettin' it rock 'cause I love the mystique
そのままにさせておくさ、そのミステリアスな雰囲気が好きだからな
I still wanna get me a song with YB
俺はまだYBと一緒に曲を作りたいと思ってるぜ
※「YB」はNBA YoungBoyのこと。DrakeとLil Durkの関係性から、ColeとYBの間に確執があるのではとファンに噂されていたが、それをはっきりと否定している。
Can't trust everything that you saw on IG
インスタで見たことすべてを信じちゃいけないぜ
Just know if I diss you, I'd make sure you know that I hit you like I'm on your caller ID
これだけは知っておけ。もし俺がお前をディスるなら、着信番号通知(caller ID)みたいに、確実に俺の一撃だと分かるようにしてやるからな
I'm namin' the album The Fall Off, it's pretty ironic 'cause it ain't no fall off for me
(次の)アルバムのタイトルを『The Fall Off(没落)』にする予定だが、皮肉なもんだな、俺が没落することなんてないんだから
Still in this bitch gettin' bigger, they waitin' on the kid to come drop like a father to be
まだこの業界でデカくなり続けてる、奴らは俺が作品をドロップ(落とす/出産する)するのを、これから父親になる男みたいに待ってるんだ
Love when they argue the hardest MC
誰が最強のMCか、奴らが議論してる時が好きなんだ
Is it K-Dot? Is it Aubrey? Or me?
K-Dot(ケンドリック)か? オーブリー(ドレイク)か? それとも俺か?
We the big three like we started a league, but right now, I feel like Muhammad Ali
俺たちは新しいリーグを始めたみたいな「ビッグ3」だ。だが今の俺は、モハメド・アリのような気分だぜ
※ヒップホップ界の「ビッグ3(Kendrick Lamar, Drake, J. Cole)」への直接的な言及。冒頭の概要で述べた通り、このラインが後のKendrick Lamarによる「Like That」での強烈なディス("Motherfuck the big three, nigga, it's just big me")を引き起こし、音楽史に残る大抗争へと発展した。
Huh, yeah, yeah, huh-huh, yeah, Muhammad Ali
ああ、そうさ、モハメド・アリだ
The one that they call when they shit ain't connectin' no more, feel like I got a job in IT
奴らのシット(Wi-Fi/ラップ)が繋がらなくなった時に呼ばれる男、まるでITの仕事でもしてる気分だ
Rhymin' with me is the biggest mistake
俺と一緒にライムするのは最大の過ちだ
The Spider-Man meme is me lookin' at Drake
スパイダーマンのミームは、俺がドレイクを見つめているようなもんさ
※お互いを指差すスパイダーマンの有名なミーム。互角の実力と影響力を持つトップ同士であるという、最大の仲間へのリスペクト。
It's like we recruited your homies to be demon deacons, we got 'em attending your wake
お前のダチをデーモン・ディーコンズにスカウトしたようなもんさ、お前の通夜(wake)に参列させてやるよ
※ウェイクフォレスト大学のスポーツチーム名「Demon Deacons(悪魔の執事)」と「wake(通夜)」をかけた鮮やかなワードプレイ。
Hate how the game got away from the bars, man, this shit like a prison escape
このゲームがリリック(bars/鉄格子)から離れてしまったのが気に食わない、まるで脱獄みたいにな
※「bars(ラップの小節/鉄格子)」のダブルミーニング。リリシズムが軽視される現代シーンへの苦言。
Everybody steppers, well, fuck it, then everybody breakfast and I'm 'bout to clear up my plate (Huh, huh, huh)
誰もがステッパー(ギャングスタ)気取りか、まあいい、クソくらえだ。全員俺の朝食にして、皿を平らげてやるよ
※「steppers」はストリートで引き金を引く者。一部のファンの間では、Kendrickのアルバム『Mr. Morale & The Big Steppers』を意識したラインとも解釈されている。
When I show up, it's motion picture blockbuster
俺が現れれば、それは映画の超大作(ブロックバスター)だ
The GOAT with the golden pen, the top toucher
黄金のペンを持つGOAT、頂点に触れる男
The spot rusher, sprayed his whole shit up, the crop duster
現場に突入し、すべてをスプレーで撃ち抜く、農薬散布機(クロップ・ダスター)さ
Not Russia, but apply pressure
ロシアじゃないが、プレッシャー(圧力)をかけるぜ
※「Russia」と「Pressure」で踏みつつ、大国のように周囲を制圧するという比喩。
To your cranium, Cole's automatic when aimin' 'em
お前の頭蓋骨にな、コールは狙いを定めればオートマチックだ
With The Boy in the status, a stadium
ザ・ボーイ(ドレイク)と同等のステータス、スタジアム級さ
Nigga
全くな
[Part II]
[Intro: Drake]
Ayy, I'm 'bout to, I'm 'bout to
ああ、俺は今から、俺は今から
I'm 'bout to, yeah
俺は今から、ああ
Yeah
ああ
[Verse: Drake]
I'm 'bout to click out on this shit
俺はこのシットでブチ切れようとしてる
I'm 'bout to click, woah
ブチ切れようとしてるんだ
I'm 'bout to click out on this shit
俺はこのシットでブチ切れようとしてる
I'm 'bout to click, woah
ブチ切れようとしてるんだ
I'm down to click out on you hoes and make a crime scene
お前らビッチにブチ切れて、犯罪現場を作ってやる覚悟はできてる
I click the trigger on the stick like a high beam
ハイビームみたいに、スティック(銃)のトリガーをクリックして(引いて)やる
Man, I was Bentley wheel whippin' when I was nineteen
なあ、俺は19歳の時にベントレーのハンドルを握ってたんだぜ
She call my number, leave her hangin', she got dry-cleaned
彼女が電話してきても、無視して放置する(hangin')、ドライクリーニングみたいにな
※「leave her hanging(電話を放置する)」と、クリーニング屋で服が「吊るされている(hang)」状態をかけている。
She got a Android, her messages is lime green
彼女はアンドロイドを使ってる、メッセージの吹き出しがライムグリーンだ
※iPhoneのiMessage(青色)ではなく、AndroidユーザーからのSMS(緑色)。ステータスやトレンドに敏感な層はiPhoneを使うというステレオタイプに基づき、彼女を格下として皮肉っている。
I search one name, and end up seein' twenty tings
ひとつの名前を検索しただけで、20人の女たち(tings)が出てくる
※「ting」はトロントやジャマイカのスラングで「女性」のこと。
Nadine, Christine, Justine, Kathleen, Charlene, Pauline, Claudine
ネディーン、クリスティーン、ジャスティーン、キャスリーン、シャーリーン、ポーリーン、クローディーン
Man, I pack 'em in this phone like some sardines
なあ、俺はこのスマホの中に、彼女たちをイワシの缶詰みたいに詰め込んでるんだ
And they send me naked pictures, it's the small things
そして彼女たちは裸の写真を送ってくる、ささいなことさ
You niggas still takin' pictures on a Gulfstream
お前らはまだガルフストリーム(小型プライベートジェット)に乗って写真を撮ってるのか
※Drake自身は「Air Drake」と呼ばれる超大型のボーイング767を所有しており、小型機でフレックスしているラッパーたちを鼻で笑っている。
My youngins richer than you rappers and they all stream
俺の若い衆(YTB Fattなど)はお前らラッパーよりも金持ちで、みんなストリーミングで稼いでるぜ
I really hate that you been sellin' them some false dreams
お前らが奴らに偽物の夢を売りつけているのが、本当に気に食わないね
Man, if your pub was up for sale, I buy the whole thing
なあ、もしお前の出版権(pub)が売りに出されたら、俺が丸ごと買ってやるよ
Will they ever give me flowers? Well, of course not
奴らが俺に花(称賛)を贈る日が来るか? まあ、当然来ないだろうな
They don't wanna have that talk, 'cause it's a sore spot
奴らはその話題に触れたがらない、痛いところを突かれるからな
They know The Boy, the one they gotta boycott
奴らはザ・ボーイ(ドレイク)を知ってる、自分たちがボイコットしなきゃならない存在を
I told Jimmy Jam I use a Grammy as a door stop
ジミー・ジャムに言ってやったよ、俺はグラミー賞のトロフィーをドアストッパーとして使ってるってな
※グラミー賞を主催するレコーディング・アカデミーの要職を務める伝説的プロデューサー、Jimmy Jam。グラミー賞の選考基準を批判し、近年はノミネート自体を辞退しているDrakeの、権威に対する傲慢なマウント。
Girl gave me some head because I need it
ガールが俺にフェラ(ヘッド)をしてくれた、俺がそれを必要としていたからな
And if I fuck with you, then after, I might eat it, what?
そしてもし俺が君を気に入ったら、その後で俺が食ってやる(クンニしてやる)かもしれないぜ、何だ?
Niggas talkin' 'bout when this gon' be repeated
奴らは「こんなこと(俺のような大成功)が次に繰り返されるのはいつか」なんて話してるが
What the fuck, bro? I'm one away from Michael
何言ってんだ、兄弟? 俺はマイケルまであと1曲なんだぜ
※Michael Jacksonが持つビルボードHot 100のNo.1ヒット獲得数(当時13曲)まで、あと1曲(Drakeは当時12曲)に迫っているという歴史的フレックス。直後にこの「First Person Shooter」自体が初登場1位となり、見事にMJの記録に並んだ。
Nigga, beat it, nigga, beat it, what?
なあ、失せな(Beat it)、なあ、失せな、何だ?
※MJの記録に並ぶ宣言に続き、MJの代表曲「Beat It(失せろ)」をかけて同業者を蹴散らす完璧なパンチライン。
[Outro: Drake]
Beat it, what? Beat it, what? Beat it, what? Beat it, what?
失せな、何だ? 失せな、何だ? 失せな、何だ?
Beat it, what? Beat it, what? Beat it, what? Beat it, what?
失せな、何だ? 失せな、何だ? 失せな、何だ?
Beat it, what? Beat it, what? Beat it, ayy, beat it, what?
失せな、何だ? 失せな、何だ? 失せな、何だ?
Don't even pay me back on none them favors, I don't need it
あの時俺がしてやった恩なんて返さなくていい、そんなもん俺には必要ないからな
