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Unraveling Genius: Music, Knowledge, Madness

Fields. - RAYE (feat. Grandad Michael) 【和訳・解説】

Artist: RAYE (feat. Grandad Michael)

Album: THIS MUSIC MAY CONTAIN HOPE.

Song Title: Fields.

概要

RAYEのアルバム『THIS MUSIC MAY CONTAIN HOPE.』に収録された「Fields.」は、彼女の実際の祖父であるマイケルをフィーチャリングに迎えた、極めてパーソナルで感動的なバラードである。多忙な日々の中で見失いかけた自己と、押し寄せる孤独感に苛まれたRAYEが、祖父に宛てたボイスメールという形式で自身の脆弱性を吐露する。特筆すべきはブリッジ部分であり、かつて自身もソングライターを夢見ていた祖父の叶わなかった野心を、孫娘である彼女が受け継ぎ、大舞台で歌い上げるという世代を超えた音楽の継承が描かれている。名声を得て「大人」になることの代償と引き換えに、子供の頃のような無垢な自由(黄金と緑の野原)を渇望する彼女の姿は、アルバムの核である「希望と癒やし」を体現している。血の繋がりと音楽という名の処方箋を通して、自己救済のプロセスを美しく描き出した、彼女のキャリアにおいても重要なマイルストーンとなる一曲だ。

和訳

[Intro: RAYE]

It's been a long time since we talked
話してから随分時間が経ってしまったわね

Call me back when you're free
時間がある時に折り返し電話して

I left him a voicemail that reads
私は彼にこんなボイスメールを残した

[Verse 1: RAYE]

"Dear Grandad
「親愛なるおじいちゃん

It's been so many months that I haven't called
電話をかけないまま何ヶ月も過ぎてしまった

Seems there's always something more important on my to-do list
やることリストには、いつも何か他の重要なことがあるみたいで

All that I'm missing, chasing everything I lack, Grandad
自分が失っているもの、欠けているものばかりを追いかけているの、おじいちゃん

Seems I dwell on what I don't have instead of what I do
自分が持っているものよりも、持っていないものにばかりこだわっているみたい

And it's weird that I wear lipstick and put a kiss on the back of my hand
口紅を塗って、自分の手の甲にキスをするなんて変よね

So I can see what my love looks like when I'm alone
そうすれば、一人ぼっちの時に私の愛がどんな形をしているか見ることができるから
※キスマークを自らの手につけることで、誰からも与えられない愛情を視覚的に確認しようとする、極めて孤独で切実な行為の描写。

And how are you, Grandad? Do you get lonely too, Grandad?
おじいちゃんは元気? おじいちゃんも寂しくなることはある?

'Cause right now I could use a call home, I just wanna be free (Free)
だって今の私には、故郷との電話が必要だから。ただ自由になりたいの(自由に)」

[Chorus: RAYE, RAYE & Grandad Michael]

You see (Free)
ほら(自由に)

Like a child, rolling down a hill (Rolling down a hill)
丘を転がり落ちる子供のように(丘を転がり落ちて)

In a field of golden and green
黄金と緑に輝く野原で

Where every burden that weighs on me (Ah)
私にのしかかるすべての重荷が

Will fall away like a soft rain
優しい雨のように落ちていき

And fall into a stream (Stream)
小川へと流れ込んでいく場所で(小川へと)

In a field of golden and green (Green)
黄金と緑に輝く野原で(緑の)

[Verse 2: RAYE]

I wanna be rid of the nothingness that waits for me in the living room
リビングルームで私を待ち受けている虚無感から解放されたいの

Do you still play the piano, Grandad?
おじいちゃん、今でもピアノを弾いている?

Play me something, play me "Clair de lune"
何か弾いてよ、「月の光」を弾いて
※クロード・ドビュッシーの代表曲「Clair de lune(月の光)」。優しく幻想的な旋律が、荒んだ彼女の心を慰める子守唄のような役割を果たしている。

My goodness me, where did all the time go?
なんてこと、時間はどこへ行ってしまったの?

When did I go from being a kid, my mum tucking me into bed
お母さんにベッドに寝かしつけてもらっていた子供から

To this grown up, Grandad? (Dun, dun, dun, dun, dun)
いつの間にこんな大人になってしまったの、おじいちゃん?

Is this as good as it gets? (Dun, dun, dun, dun, dun)
人生のピークはこれでおしまいなの?
※「Is this as good as it gets?(これ以上良くなることはないのか=これが最高なのか)」という表現で、成功を手にしたはずの現在の生活に対する虚無感と疑念を吐露している。

My other pillow's never touched, it gathers dust and yet
もう一つの枕は誰にも触れられず、埃をかぶっているけれど
※前の楽曲群で描かれた恋愛での挫折や孤独を引き継ぎ、隣に誰も寝ていないベッドの光景を描写している。

I'll pray to Jesus that this sinking feeling won't succeed (Dun, dun, dun, dun, dun)
この沈み込むような感情に負けないように、イエス様に祈るわ

And I'll have a zest for life like when I was eighteen (Dun, dun, dun, dun, dun)
そして、18歳の頃のような人生への情熱を取り戻せますように

[Chorus: RAYE & Grandad Michael]

You see, you see (Free)
ほら、ほらね(自由に)

I just wanna be free, I just wanna be free (Free)
ただ自由になりたいの、ただ自由になりたいの(自由に)

Free of every single care (Every single care)
あらゆる心配事から解放されて(あらゆる心配事から)

In a field of golden and red
黄金と赤に輝く野原で

And every burden that weighs on me (Ah)
私にのしかかるすべての重荷が

Will fall away like a soft rain
優しい雨のように落ちていき

And fall into a stream (Stream)
小川へと流れ込んでいく場所で(小川へと)

In fields of golden and green (Green)
黄金と緑に輝く野原で(緑の)

[Bridge: RAYE, Grandad Michael & Both]

Grandad
おじいちゃん

Hello, Rachel, it seems to have been a while since we've actually spoken
やあレイチェル、実際にこうして話すのは随分と久しぶりだね
※RAYEの本名はRachel Agatha Keen。作られたポップスターのペルソナではなく、一人の等身大な孫娘としての彼女に呼びかけている。

There's not a day passes by when I don't think of you
お前のことを考えない日は一日たりともないよ

You asked me if I ever get lonely
私が寂しくなることがあるかと尋ねてきたね

But you can feel lonely in a crowded room
でも、人は人混みの中にいても孤独を感じるものだよ

Spoken like a true poet, Grandad is a songwriter, you see?
真の詩人のような言葉。おじいちゃんはソングライターなのよ、知ってた?

We were both born little with big dreams
私たちは二人とも、小さな存在として生まれ、大きな夢を持っていた

And he'd tell me stories, how back in his day
そして彼は私に話してくれた、彼の若い頃のことを

He, I, wrote, and he, I, wrote till his, my, hands racked with pain
彼が、私が、曲を書き、彼が、私が、手が痛みに悲鳴を上げるまで曲を書いたことを
※「He(彼)」と「I(私)」という主語を意図的に交差させることで、祖父とRAYE自身の夢や苦悩が時を超えて完全にシンクロしていることを表現した見事なリリシズム。

Then he said something to me and brought these tears to my eyes
それから彼は私にあることを言って、私の目から涙を溢れさせたの

He said, "Who will hear my songs when I die?"
彼はこう言った、「私が死んだら、誰が私の歌を聴いてくれるのだろうか?」と

And I told him, "Grandad, so long as God gives me life
だから私は彼に言ったの、「おじいちゃん、神様が私に命を与えてくれる限り

I will practice your song and I will give it my best try"
私があなたの歌を練習して、最高の形で歌い継いでみせるから」って
※ファンの間で最も涙を誘うと評されるハイライト。日の目を見なかった祖父の音楽への情熱を、世界的スターとなった孫娘が背負い、永遠に生かし続けるという究極の愛と継承の宣言。

[Chorus: RAYE]

You see (Free)
ほら(自由に)

I just wanna be free, yeah (Free)
ただ自由になりたいの、ええ(自由に)

Free of every single care (Every single care)
あらゆる心配事から解放されて(あらゆる心配事から)

In a field of golden and red
黄金と赤に輝く野原で

And every burden that weighs on me (Ah)
私にのしかかるすべての重荷が

Will fall away like a soft rain
優しい雨のように落ちていき

And fall into a stream (Stream)
小川へと流れ込んでいく場所で(小川へと)

In fields of golden and green (Green)
黄金と緑に輝く野原で(緑の)

In fields of golden and—
黄金と輝く野原で——

[Outro: RAYE & Grandad Michael]

Free
自由に

I don't wanna be crying (I don't want to cry no more)
もう泣きたくないの(もうこれ以上泣きたくない)

(No more, no more, no more, no more)
(もうこれ以上、二度と)

I just wanna be joyful (I just want to be joyful)
ただ喜びに満ちていたい(ただ喜びに満ちていたい)

I don't wanna feel sad no more (I don't want to feel sad no more)
もうこれ以上悲しい思いはしたくない(もうこれ以上悲しい思いはしたくない)

I just wanna be free ("For music is medicine", she cried from her soul)
ただ自由になりたいの(「なぜなら音楽は薬だから」と、彼女は魂から叫んだ)

I don't wanna be crying (I don't want to be crying)
もう泣きたくないの(もう泣きたくない)

(As she set sail with her team, for a tour of the world)
(彼女がチームと共に、世界を巡るツアーへと船出した時に)
※祖父のナレーションにより、RAYEが音楽(薬)を通じて自身の傷を癒やし、世界中の人々へそれを届けるために旅立つ様子が、英雄譚のように客観的に語られている。

I don't wanna be sad no more
もうこれ以上悲しい思いはしたくない

(No more, no more, no more, no more)
(もうこれ以上、二度と)

I just wanna feel glory, Lord (And never forget, my love)
神様、ただ栄光を感じたいの(そして決して忘れないで、愛しい子よ)

I just want to feel glory, Lord
神様、ただ栄光を感じたいの

You'll always be grandad's little girl
お前はいつまでも、おじいちゃんの小さな女の子だよ
※どれほど世界的なスター(ポップアイコン)になろうとも、祖父にとってはかけがえのない孫娘であるという、無条件の愛による究極の肯定。アルバムのテーマである癒やしと希望がここに結実する。