Artist: J. Cole
Album: Might Delete Later
Song Title: Stickz N Stonez
概要
J. Coleの2024年のサプライズプロジェクト『Might Delete Later』に収録された本作は、ヒップホップ・プロデューサーの最高峰であるThe Alchemistが手がけたソウルフルでドープなビートに乗せ、J. Coleが自身の「GOAT(史上最高のラッパー)」としての絶対的な地位を誇示する一曲だ。タイトルは「棒や石で骨は折れても、言葉で傷つくことはない」という英語の有名なことわざから引用されており、Coleはこれを反転させ「俺の名前をラップのヴァースで出せば命取りになる」とシーン全体に強烈な警告を放っている。地元ノースカロライナ州フェイエットビル(カンバーランド郡)での貧しい幼少期や、質屋通いの苦労を振り返りつつ、大成功を収めた現在でも「腹の虫が鳴り続けている」とハングリー精神を失わない彼のリアルなペルソナが光る。来るべき集大成となる最終アルバム『The Fall Off』への期待を最高潮に高める、Coleのスキルとリリシズムの結晶である。
和訳
[Intro]
Are you guys ready to party tonight?
今夜はパーティーの準備できてるか?
Are you sure?
本当に?
Yeah
I'm fuckin' with you, right? Okay
お前らと最高に楽しんでるぜ、だろ? オーケー
Ladies and gentlemen, ladies and gentlemen, can I get a—
紳士淑女の皆さん、紳士淑女の皆さん、ちょっと—
Ladies and gentlemen
紳士淑女の皆さん
Hunger
飢え
Hunger
飢え
Yeah
Uh
[Verse 1]
They gotta hide they face
奴らは顔を隠さなきゃならねえ
They was predictin' a nigga to fail, turns out that was not the case
奴らは俺が失敗すると予想してたが、結果はそうじゃなかったな
I'm rockin' a mask with lots of cash, I look like I robbed a bank
大金を持ちながらマスクをしてる、まるで銀行強盗みたいだろ
※コロナ禍以降のマスク着用や、顔を隠して歩く有名人としての生活と、文字通りの「覆面強盗」をかけている。
Can't even rob the bank that I use, my money is not with Chase
俺が使ってる銀行を強盗することすらできねえ、俺の金はチェースにはないからな
※Chase Bank(JPモルガン・チェース銀行)のような一般向けの銀行ではなく、富裕層向けのプライベートバンクやオフショア口座を利用していることを示唆。
Foreign deposit safes, I'm writin' this shit on a private plane
海外の貸金庫だ、俺はこのシットをプライベートジェットの上で書いてる
Somеtimes I be flyin' commercial still
今でもたまには民間機で飛ぶこともあるがな
Thеse niggas get rich and become so detached, they music start havin' that surface feel
あいつらは金持ちになると世間から完全に切り離されて、音楽まで表面的な薄っぺらいものになりやがる
Not a subliminal, speakin' in general, feelings get hurt when words get spilled
サブリミナルなディスじゃねえ、一般論を言ってるだけだ、言葉がこぼれ落ちると傷つく奴らがいるからな
Sticks and stones may break your bones, but sayin' my name in a verse will kill
棒や石で骨は折れるかもしれないが、ヴァースの中で俺の名前を出せば命取りになるぜ
※タイトル回収。「Sticks and stones may break my bones, but words will never hurt me(棒や石で骨は折れても、言葉で傷つくことはない)」という有名なことわざを引用。「言葉(俺の名前をディスすること)」の方がお前を殺す(キャリアを終わらせる)という強烈なパンチライン。
Word to the wise, nigga, we heard all them lies before
賢者への忠告だ、その嘘なら俺たちはもう全部聞き飽きたぜ
My number ones come from albums, theirs is burgers and fries to go
俺の「ナンバーワン」はアルバムから来てるが、奴らの「ナンバーワン」は持ち帰りのハンバーガーとポテトのセットだ
※チャート1位(number ones)のアルバムを連発する自身の成功と、ファストフード店の「セットの1番(バーガーとポテト)」を頼む底辺のラッパーたちを対比させた秀逸な言葉遊び。
Go against me, your odds is low
俺に逆らうなんて、お前の勝算は低いぜ
I don't even got no opps for real
実のところ、俺にはオップスなんて一人もいねえんだ
※「opps」は敵対者。誰も自分と張り合えるレベルにいないため、本物の敵が存在しないという自信。
Nigga, just give me my props for real
だから素直に俺にプロップスをよこせ
※「props」はリスペクトや称賛。
I done did everything, I'm 'bout to chill
俺はやるべきことは全部やった、そろそろチルするつもりだ
Count the mills in cribs on top of hills
丘の上の豪邸でミリオンを数えるのさ
Mad chips, cash rich, my stash thick, I'm Dr. Phil
大量の金、キャッシュに溢れ、俺のスタッシュは分厚い、俺はドクター・フィルだ
※「stash thick(隠し財産が分厚い)」と、アメリカの有名なテレビ司会者Dr. Philのトレードマークである「thick mustache(分厚い口ひげ)」でライムを踏んでいる。
Stash thick, I'm Steve Harvey
スタッシュが分厚い、俺はスティーブ・ハーベイだ
※こちらも立派な口ひげで有名な司会者Steve Harveyの名前を出している。
Bad bitch, two friends, hat trick, caught three bodies
極上のビッチと、その友達2人、ハットトリックだ、3つのボディをゲットしたぜ
※「hat trick」はスポーツで3得点すること。「body」は殺害した人数(キルカウント)を指すストリートスラングだが、ここでは性的に抱いた女性の数(スリーサム/フォアサム)とかけている。
And tell 'em to go like they E-40, uh
そしてE-40みたいに奴らに「Go」と言え (Uh)
※ベイエリアのレジェンドラッパーE-40の口癖であり、彼のヒット曲「Tell Me When To Go」にかけている。
[Chorus]
Nigga don't want no smoke with me, I'm one of them ones
俺と揉めたい奴なんていねえよ、俺は選ばれし者の一人だからな
※「smoke」はビーフやトラブル。「one of them ones」は特別な存在、唯一無二の大物。
Tiptoein' through the slums, duckin' a hundred-round drum
スラムを爪先立ちで歩き、100連発のドラムマガジンから身をかわしてきた
I took my lumps way out in Cumberland, niggas ain't hung where I hung
カンバーランドの奥深くで俺は苦労を重ねてきた、奴らは俺がいた場所には寄り付かなかった
※「take my lumps」は困難や批判に耐えること。「Cumberland」はColeの地元フェイエットビルがあるカンバーランド郡。
Shit, I'm up, stomach still rumblin', niggas ain't done what I done
クソ、俺は成功したのに、まだ腹の虫が鳴ってるぜ、奴らは俺が成し遂げたことをやっちゃいない
※大金持ちになっても「ハングリー精神(stomach rumblin')」を失っていないことを示している。
Nigga don't want no smoke with me, I'm one of them ones
俺と揉めたい奴なんていねえよ、俺は選ばれし者の一人だからな
Hop on a song with whoever, I ain't duckin' no one-on-ones
誰の曲にでも乗っかってやる、1対1の勝負から逃げたりしねえよ
Ayy, pull up the track, I'm 'bout to black, I'm goin' on a whole 'nother run
Ayy、トラックをかけろ、俺はブチ切れるぜ、全く別の次元の快進撃を始めてやる
※「black (out)」は理性を失うほどブチ切れる、凄まじいラップを披露すること。
[Interlude]
Yeah
Ladies and gentlemen
紳士淑女の皆さん
Uh
[Verse 2]
So much drama on the street, feel like the beef is random
ストリートにはドラマが溢れすぎてる、ビーフがランダムに起きてるみたいだ
Murder galore, turn into Thor, I gotta keep a hammer
殺人がそこら中で起きてる、マイティ・ソーになって、俺はハンマーを持っておかなきゃならねえ
※「hammer」は銃の隠語。マーベル・ヒーローのソー(Thor)が持つハンマー(ムジョルニア)にかけている。
Case weather get inclement, shots rain on the innocent
悪天候になっちまった場合、無実の者にも銃弾の雨が降り注ぐからな
The neighbors still don't know who sent them shits, it's like a secret Santa
近所の連中はいまだに誰があの弾を撃ち込んだのか分かっちゃいない、まるでシークレット・サンタだな
※シークレット・サンタ(匿名でプレゼントを贈るイベント)と、ドライブバイ等で身元不明のまま銃弾(プレゼント)を撃ち込む暗殺者をかけている。
Me, I'm out here reachin' for a higher frequency, I plan to
俺自身は、より高い周波数へ到達しようとここで手を伸ばしてる、そのつもりだ
Rest my feet in presidential suites or sleep in beach cabanas
プレジデンシャル・スイートで足を休めたり、ビーチのカバナで眠ったりする
Skeetin' on thousand-count sheets, I'm hittin' freaks in tandems
スレッドカウント1000の高級シーツの上にぶち撒ける、変態ビッチどもを2人まとめて抱いてるんだ
※「tandem」は2人組。「freaks」は性的に奔放な女性。
Bust 'em down, then throw 'em in the cab like they from East Atlanta (Tonight)
ヤるだけヤッて、あいつらをタクシーに放り込む、イースト・アトランタ出身みたいにな(今夜は)
※用が済んだ女性たちをタクシー(Uberなど)で帰らせるという、ラッパーのフレックス。
How it feel to see the flyest bitch and know that he can land 'em? (Are you sure?)
最高にイケてるビッチを見て、あいつなら確実に落とせるって分かってるのはどんな気分だ?(本当に?)
※飛行機(fly)と着陸(land)の言葉遊びで女性を口説き落とすことを表現。
Every word I speak on beats, it's guaranteed to feed the fandom (I'm fuckin' with you, right? Okay)
ビートの上で俺が発する全ての言葉は、間違いなくファンダムを満足させる(お前らと最高に楽しんでるぜ、だろ? オーケー)
Weaklings wanna walk inside my sneakers, watchin' from the bleachers
弱虫どもは観覧席から見つめながら、俺のスニーカーを履いて歩きたいと願ってる
Only time they'll see the roles reversed is if they lease a Phantom (Ladies and gentlemen, ladies and gentlemen, can I get a—)
奴らが役割を逆転できる唯一の時は、ファントムをリースした時だけだ(紳士淑女の皆さん、紳士淑女の皆さん、ちょっと—)
※高級車ロールスロイス・ファントム(Rolls-Royce Phantom)の「Rolls」と役割(roles)をかけた巧みなパンチライン。
Bad investment, but what else you had expected?
酷い投資だが、他にお前に何を期待できたって言うんだ?
Moms was broke my whole adolescence, never had a lesson
思春期の間ずっとママは金欠だった、教訓なんて一度も教わらなかった
'Cept for pawn shop hustles to times collections, had her stressin'
質屋でのハッスルや、取り立ての時期になって彼女がストレスを抱えていたこと以外はな
Bitches couldn't tell if I was poor or just bad at dressin'
ビッチどもには、俺が貧乏なのか、ただ単に服のセンスが悪いだけなのか見分けがつかなかった
※Coleは現在もあえてラフな服装を好むが、昔は本当にお金がなく、ダサい服しか着られなかったことを自虐的に振り返っている。
It was a bit of both, when I took it up top, I took an oath, huh
その両方だったな、俺が頂点に立った時、俺は誓いを立てたんだ
I was gon' hit a lick, break bread with my dogs, and split a loaf, huh
一発デカい強盗をやって、ダチどもとパンを分け合い、一つの塊をシェアするってな
※「hit a lick」は大金を稼ぐ(本来は強盗などで不法に稼ぐスラング)。「break bread」は利益を分け合うこと。
And take over the game, make sure that my name's considered GOAT
そしてゲームを支配し、俺の名前が絶対にGOAT(史上最高)だと見なされるようにする
Now I'm back home as the best in the world, The Fall Off, come and hear the growth
今、俺は世界最高の存在として地元に帰ってきた、『The Fall Off』だ、俺の成長を聴きに来い
※『The Fall Off』はColeが予告しているキャリアの集大成となる次期アルバムのタイトル。
On God, nigga
神に誓ってな、ブラザー
[Chorus]
Nigga don't want no smoke with me, I'm one of them ones
俺と揉めたい奴なんていねえよ、俺は選ばれし者の一人だからな
Tiptoein' through the slums, duckin' a hundred round-drum
スラムを爪先立ちで歩き、100連発のドラムマガジンから身をかわしてきた
I took my lumps way out in Cumberland, niggas ain't hung where I hung
カンバーランドの奥深くで俺は苦労を重ねてきた、奴らは俺がいた場所には寄り付かなかった
Shit, I'm up, stomach still rumblin', niggas ain't done what I done
クソ、俺は成功したのに、まだ腹の虫が鳴ってるぜ、奴らは俺が成し遂げたことをやっちゃいない
Nigga don't want no smoke with me, I'm one of them ones
俺と揉めたい奴なんていねえよ、俺は選ばれし者の一人だからな
Hop on a song with whoever, I ain't duckin' no one-on-ones
誰の曲にでも乗っかってやる、1対1の勝負から逃げたりしねえよ
Ayy, pull up the track, I'm 'bout to black, I'm goin' on a whole 'nother run
Ayy、トラックをかけろ、俺はブチ切れるぜ、全く別の次元の快進撃を始めてやる
[Outro]
Ladies and gentlemen
紳士淑女の皆さん
Ladies and—
紳士と—
