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Dirt Dog - Ol’ Dirty Bastard 【和訳・解説】

Artist: Ol’ Dirty Bastard

Album: Nigga Please

Song Title: Dirt Dog

概要

1999年にリリースされたOl' Dirty Bastard(以下ODB)の2ndソロアルバム『Nigga Please』に収録された本作は、彼の数あるアルターエゴ(別名)の中でも最も野性的で制御不能なペルソナ「Dirt Dog」を前面に押し出した強烈な一曲だ。自身のプロデュース(Buddha Monkとの共同制作)による荒々しく不規則なビートの上で、ODBはストリートの日常、コカインの密売所、そして白人社会による黒人文化の搾取への怒りを脈絡なく吐き出す。「俺は実家暮らしだ」というラップゲームのマッチョイズムを覆すようなボーストから、アフリカのルーツ(セネガル)への言及まで、彼の脳内で高速に明滅する思考がそのままラップとして出力されている。アウトロでは自身のクラシック「Shimmy Shimmy Ya」のフレーズをセルフオマージュし、彼がヒップホップ界において唯一無二の生々しさ(Raw)を体現する存在であることを改めて証明している。

和訳

[Ol' Dirty Bastard]

C'mon, fuck that shit
さあ、そんなクソみたいなことはやめだ

{*panting hard seven times*}
(7回激しく息を乱す)

Yo bitches out there, a-throw your hands in the air
そこのビッチども、両手を宙に挙げな

To my niggas out there (out there)
そこの俺のダチども

Throw your guns in the air (one two three)
銃を宙に突き上げな(1、2、3)

Let me hear you go - Dirt, Doooooooog!
お前らの声を聞かせてくれ、ダート、ドーッグ!
※「Dirt Dog」は彼自身の野良犬のようにダーティな性質を表す有名な別名。

Dirt, Doooooooog!
ダート、ドーッグ!

Let me hear you go - Dirt, Doooooooog!
お前らの声を聞かせてくれ、ダート、ドーッグ!

Dirt, Doooooooog!
ダート、ドーッグ!

(Ahhhhh) Let me hear you go..
(アァー)お前らの声を聞かせてくれ

NO!
ダメだ!

Never been branded, no dough shorthanded
誰かの焼印を押されたことなんてない、金が足りなくなったこともないぜ

This is why the Dirt Dog landed
だからこそダート・ドッグがここに降り立ったんだ

And I expanded - from the help of the RZA
そして俺は勢力を拡大した、RZAの助けを借りてな

Shit that NUH commanded
アイツが命じたクソヤバいやり方でな

I'm a project ho, LOVE project ho
俺はプロジェクトの女さ、プロジェクトの女を愛してるぜ
※「Project」は低所得者向けの公営住宅団地。ゲットーの最下層を自称しつつ、同じ境遇の人間への愛を語る彼特有の歪んだ博愛主義。

Nigguh get BUST, at the front door
正面玄関でダチが弾かれるんだ

(I do) I don't don't don't, I don't don't
(俺はやるぜ)俺は、俺は、俺はやらねえ

I don't got no love for the pro, the prostitute pro
俺はプロの連中には愛なんてねえ、プロの売春婦にな

The Brooklyn Zu know, I be like Old Joe
ブルックリン・ズーは知ってるぜ、俺がオールド・ジョーみたいだってことを

*pbbbbbbbbbbt* See me at the cocaine sto'
(プーッ!)コカインの店で俺を見つけな

Coppin a.. eh ehh ehh.. and coppin mo'
ブツを買って、あー、もっとブツを買うのさ
※「cop」は麻薬を買うこと。自らのコカイン中毒を隠すことなくそのままラップしている。

See I'm a real nigga, give a bitch a car
いいか、俺は本物のニガだ、ビッチに車をくれてやる

Bitch want a Jeep, give a bitch a star
ビッチがジープを欲しがれば、ビッチに星をくれてやる

Bitch wanna sleep, number one..
ビッチが眠りたがれば、ナンバーワンの...

.. umm, number one, I live in my momma house
あー、ナンバーワン、俺はママの家に住んでるぜ

Number one, I live in my momma house
ナンバーワンだ、俺はママの家に住んでるぜ
※ラッパーが豪邸や富を自慢する(フレックスする)のが当たり前のヒップホップにおいて、「俺は実家(母親の家)暮らしだ」と堂々とボーストする衝撃的なパンチライン。虚飾を嫌い、ありのままの自分を晒すODBの神髄。

This a Ol' Dirty Bastard production, let off SHOTS!
これはオールド・ダーティ・バスタードのプロダクションだ、銃弾をぶっ放せ!

Be hot like I fart from a bitch's twat
ビッチのそこから俺がオナラを放つみたいに熱くなれ

I'm just a small boy, well known like Elroy
俺はただの小さな男の子さ、エルロイみたいに有名なんだ
※「Elroy(エルロイ)」はアメリカの古典的SFアニメ『宇宙家族ジェットソン』に登場する天才少年のキャラクター。

Well employed
しっかりと雇われてるぜ

Chest built up like steroids, electra master
ステロイドを入れたみたいに胸板が厚い、エレクトラ・マスターさ

Puppeteer motherfuckers
操り人形師のクソ野郎ども

You can't control the black man's God!!!
お前らにブラックマンの神をコントロールすることなんてできねえぞ!!!
※彼が信仰するFive-Percent Nationの「黒人男性こそが神(God)である」という思想に基づき、業界の権力者や白人社会のシステム(Puppeteer=操り人形師)からの支配を拒絶している。

Bluh bluh bluh bluh bluh, bluh, Bed-Stuy
ブラ、ブラ、ブラ、ブラ、ブラ、ブラ、ベッドスタイ

Doo-doo-doo-doo-doo-doo-Dirtiest place to be
ドゥ、ドゥ、ドゥ、最高にダーティな場所だぜ

You white Flintstone, bitch
お前ら白人のフリントストーンめ、ビッチが
※『原始家族フリントストーン』の白人キャラクターを引き合いに出し、時代遅れで野蛮な存在としてディスしている。

You stickin your dick in my gravel pit
俺の砂利採石場にお前のチンポを突っ込んでるんだろ
※「Gravel pit(砂利採石場)」は後にWu-Tang Clanの大ヒット曲のタイトルにもなるが、ストリートでは女性の陰部などを指すスラング。ここでは黒人文化や彼らのルーツという神聖な場所を、白人社会が土足で踏みにじり搾取している状況を卑猥なメタファーで痛烈に批判していると考察される。

Journey to the center of the Earth
地球の中心への旅だ

The white woman tryin to swine up it
白人の女がそこを豚みたいに荒らそうとしてやがる

I'm the Granddaddy Man from the Senegal clan
俺はセネガルの血筋から来た偉大なる祖父さ
※彼自身のアフリカ系のルーツ(西アフリカのセネガル)への回帰と誇り。

Got the bite of a pit, keep your afro simmerin
ピットブルの噛みつきを持ってるぜ、お前のアフロを煮立たせたままにしておけ

Nigga GUARD YOUR GROUND!
ダチよ、自分の場所を守り抜け!

(GUARD YOUR GROUND!)
(自分の場所を守り抜け!)

Ah-throw your hands in the air
両手を宙に挙げな

To my niggas out there, throw ya guns in the air
そこの俺のダチども、銃を宙に突き上げな

Let me hear you go Dirt, Doooooooog!
お前らの声を聞かせてくれ、ダート、ドーッグ!

Dirt, Doooooooog!
ダート、ドーッグ!

Let me hear you go Dirt, Doooooooog!
お前らの声を聞かせてくれ、ダート、ドーッグ!

Dirt, Doooooooog!
ダート、ドーッグ!

Let me hear you go Dirt, Doooooooog!
お前らの声を聞かせてくれ、ダート、ドーッグ!

Dirt, Doooooooog!
ダート、ドーッグ!

Let me hear you go Dirt, Doooooooog!
お前らの声を聞かせてくれ、ダート、ドーッグ!

Dirt, Doooooooog!
ダート、ドーッグ!

Let me hear you go Dirt, Dirt Doooooooog!
お前らの声を聞かせてくれ、ダート、ダート、ドーッグ!

(I feel you penetrating through my body)
(あなたが私の体を貫いていくのを感じるわ)

Dirt, Dirt Doooooooog!
ダート、ダート、ドーッグ!

Dirt, Doooooooog!
ダート、ドーッグ!

Dirt, Doooooooog!
ダート、ドーッグ!

Let me hear you go Dirt, Doooooooog!
お前らの声を聞かせてくれ、ダート、ドーッグ!

Dirt, Doooooooog!
ダート、ドーッグ!

Let me hear you go..
お前らの声を聞かせてくれ

{*some woman humming la lahhh lahh.. *}
(女がラ・ラ・ラとハミングしている)

(Oh baby I like it raw..
(ああベイビー、俺は生が好きだぜ

Yeah baby I like it RAW..)
そうさベイビー、俺は生が好きなんだ)
※1995年の自身の1stアルバム収録の大クラシック「Shimmy Shimmy Ya」の最も有名なフレーズ。制御不能で加工されていない、ありのままの「Raw」な存在こそが自分であることを最後に提示している。