Artist: Drake
Song Title: Taylor Made Freestyle
概要
「Taylor Made Freestyle」は、2024年に巻き起こったヒップホップ史に残るKendrick Lamarとの壮絶なビーフの最中、Drakeが「Push Ups」のわずか数日後にInstagram上で突如ドロップした異端のディストラックである。最大の特徴は、AI技術を用いて西海岸のレジェンドである故2PacとSnoop Doggの声を無断で生成し、彼らにKendrickを煽らせるという前代未聞のギミックを用いた点にある。
当時、Kendrickからのアンサーがなかなか来なかった状況に対し、Drakeは「同じ週末に新作をリリースしたテイラー・スウィフトのチャートの邪魔をしないよう、ポップスターに配慮して身を潜めているんだろ」と痛烈に皮肉り、テイラー・メイド(特注/テイラーのせい)というタイトルを冠した。相手のコンシャスで難解なリリシズムを「リリカルな体操」と小馬鹿にし、西海岸の神格化されたアイコンを傀儡にするという禁じ手を使った本作は、大きな物議を醸した。結果的に、2Pacのエステート(遺産管理者)から法的措置の警告を受け、DrakeはSNSからこの楽曲を削除することとなった。
和訳
[Intro: 2Pac (AI)]
Killuminati
キルミナティ
※2Pacの遺作アルバム『The Don Killuminati: The 7 Day Theory』へのリファレンス。
Dons rise again
ドン(首領)が再び立ち上がる
You can see it in my eyes again
俺の目を見れば再び分かるはずだ
[Verse 1: 2Pac (AI)]
Kendrick, we need ya, the West Coast savior
ケンドリック、俺たちにはお前が必要だ、西海岸の救世主よ
Engraving your name in some hip-hop history
ヒップホップの歴史にお前の名を刻むんだ
If you deal with this viciously
もしお前がこれに冷酷に対処すればな
You seem a little nervous about all the publicity
お前はこの世間の注目に少しビビってるように見えるぜ
Fuck this Canadian lightskin, Dot
このカナダ出身の色白野郎をぶっ潰せ、ドット
We need a no-debated West Coast victory, man
文句なしの西海岸の勝利が必要なんだよ
Call him a bitch for me
俺の代わりにアイツをビッチと呼んでやれ
Talk about him likin' young girls, that's a gift from me
アイツが若い娘好きだってことを話せ、それは俺からのギフトだ
※Drakeに関する未成年女性との不適切な関わり(小児性愛)の噂を、Drake自身が生成したAI 2Pacに先に言わせることで、Kendrickが今後使ってくるであろうディスの威力を削ぐという高度な心理戦。
Heard it on the Budden Podcast, it's gotta be true
ジョー・ブドゥンのポッドキャストで聞いたぜ、間違いないだろう
※Drakeと度々ビーフになっているJoe Buddenへの皮肉。
They told me the spirit of Makaveli is alive
マキャベリの魂は生きていると聞いたぜ
※Makaveliは2Pacの別名。
In a nigga under 5'5", so it's gotta be you
身長5フィート5インチ(約165cm)以下の奴の中にな、だからお前しかいないんだ
※西海岸の後継者と持ち上げつつ、Kendrickの低身長をイジっている。
I would beef the whole fuckin' game
俺ならこのゲーム全体とビーフするね
It was me and Snoop Dogg, had my fuckin' shirt off in the House of Blues
俺とスヌープ・ドッグで、ハウス・オブ・ブルースでシャツを脱ぎ捨ててやったんだ
K, you gotta fuck this nigga girl, he gotta get abused
K、アイツの女とヤれ、アイツを打ちのめさなきゃダメだ
All that shit 'bout burnin' tattoos, he is not amused
タトゥーを焼くとか言ってたが、アイツは面白がってないぜ
※Drakeが「Push Ups」で過去のタトゥーについて言及したことなどへの触れ込み。
That's jail talk for real thugs, you gotta be you
それは本物のサグのムショの話だ、お前はお前らしくいろ
Gotta leave this motherfucker broken and bruised before we really lose
俺たちが本当に負ける前に、このクソ野郎をボロボロにしてやらなきゃならない
You asked for the smoke, now it seem you too busy for the smoke
自分から喧嘩を売っておいて、今は忙しぶってるみたいだな
I won't lie, the people confused
嘘はつかない、みんな困惑してるぜ
Now you 'bout to give this shit another week?
これからさらにもう一週間待たせるつもりか?
And fall back so homegirl can run her numbers up? I woulda refused
あの女友達の数字を稼がせるために身を引くのか? 俺なら断るね
※Taylor Swiftが同日にアルバム『The Tortured Poets Department』をリリースしたため、ポップスターのチャートの邪魔をしないようKendrickが忖度してディス曲を控えていると揶揄している(Kendrickは過去に"Bad Blood"でTaylorとコラボしている)。
Fuck these industry relationships, she not in your shoes
業界の付き合いなんてクソくらえだ、彼女はお前の立場にはいない
You supposed to be the boogeyman, go do what you do
お前はブギーマン(誰もが恐れる怪物)のはずだろ、お前のやるべきことをやれ
Unless this is a moment that you tell us this not really you
これが本当のお前じゃないって俺たちに伝える瞬間じゃない限りな
In that case, there's nothin' left to say, I'll just pass it to Snoop
その場合、もう言うことは何もない、スヌープに代わるぜ
[Verse 2: Snoop Dogg (AI)]
Nephew, what the fuck you really 'bout to do?
甥っ子よ、一体何をしようってんだ?
※ここからAIによるSnoop Doggの声に切り替わる。「Nephew」はSnoopが後輩を呼ぶ時の親しみを込めた表現。
We passed you the torch at the House of Blues
ハウス・オブ・ブルースでお前にトーチを引き継いだろうが
※2011年にライブハウスのHouse of Bluesで、Snoop DoggやDr. DreらがKendrickに「西海岸の新たな王」として松明(トーチ)を渡す儀式を行った実話へのリファレンス。
And now you gotta do some dirty work, you know how to move, right? Right?
今こそ汚い仕事をする時だ、どう動くべきか分かってるな? な?
I know you never been to jail, orange jumpsuits and shower shoes
お前がムショに入ったことがないのは知ってる、オレンジの囚人服もシャワーサンダルも経験してない
Never shot nobody, never stabbed nobody
誰も撃ったことがないし、誰も刺したことがない
Never did nothin' violent to no one, it's the homies that empower you
誰にも暴力を振るったことがない、お前に力を与えてるのは地元の仲間たちだ
※Kendrickはコンプトンの過酷な現実を歌うが、彼自身はギャングバンガーではなく優等生(good kid)であることを指摘し、ストリート・クレディビリティを削ごうとしている。
But still, you gotta show this fuckin' owl who's boss on the West
それでも、あのフクロウ野郎に西海岸のボスが誰かを見せつけなきゃならない
※「owl(フクロウ)」はDrakeのレーベルOVO Soundのシンボルマーク。
Now's a time to really make a power move
今こそ本当に権力を見せつける時だ
'Cause right now it's lookin' like you writin' out the game plan on how to lose
だって今の状況じゃ、お前が負けるためのゲームプランを練ってるようにしか見えないぜ
How to bark up the wrong tree and then get your head popped in a crowded room
見当違いの相手に吠えかかって、満員の部屋で頭を撃ち抜かれる方法をな
World is watchin' this chess game, but are you out of moves?
世界中がこのチェスゲームを見守ってるが、お前はもう打つ手なしか?
Dot, you know that the D-O-G never fuckin' doubted you
ドット、このD-O-Gが決してお前を疑ったことがないのは知ってるだろ
But right now it seem like you posted up without a clue
だが今は、お前が何も分からずに突っ立ってるように見えるぜ
Of what the fuck you 'bout to do
一体何をしようとしてるのかってな
[Verse 3: Drake]
Yeah, unc', that's the truth
ああ、おじさん、それが真実さ
※ここからDrake本人のバース。西海岸のレジェンドたちのAIに語らせた後、余裕たっぷりに引き継ぐ。
I'm definitely 'bout to come around the Lang gang and let my fuckin' bowel move
俺は間違いなくラング・ギャングのところに乗り込んで、クソをぶち撒けてやる
※「Lang gang」はKendrickが立ち上げたクリエイティブ企業「pgLang」のこと。
Shittin' on you niggas from a whole different altitude
全く次元の違う高度からお前らにクソを落としてやる
High up in the sky like I'm Howard Hughes
ハワード・ヒューズみたいに空高くからな
※Howard Hughesは莫大な富を築いた飛行家・映画製作者。自身の圧倒的な富とステータスの高さを誇示している。
The first one really only took me an hour or two
最初の一発はマジで1時間か2時間で作っただけだ
※先制攻撃となったディス曲「Push Ups」が、いかに労力をかけずに作った余裕の産物であるかをアピール。
The next one is really 'bout to bring out the coward in you
次の一発で、お前の中の臆病者を本当に引きずり出してやる
But now we gotta wait a fuckin' week 'cause Taylor Swift is your new Top
でも今はクソみたいに一週間待たなきゃならない、テイラー・スウィフトがお前の新しいTop(ボス)だからな
※かつてのTDEのボスであるAnthony "Top Dawg" Tiffithに代わり、今はポップスターのTaylor Swiftに頭が上がらず、彼女のリリース日を避けていると揶揄している。
And if you 'bout to drop, she gotta approve
もしお前が曲を出すなら、彼女の承認が必要なんだろ
This girl really 'bout to make you act like you not in a feud
あの女のせいで、お前はビーフなんてしてないフリをさせられてる
She tailor-made your schedule with Ant, you out of the loop
彼女はアントとお前のスケジュールをテイラーメイド(特注)した、お前は蚊帳の外さ
※Taylor Swiftと掛けた「tailor-made」。AntはTaylorの長年のプロデューサーであるJack Antonoff、あるいは元社長のTop Dawg(Anthony)を指すダブルミーニング。
Hate all you corporate industry puppets, I'm not in the mood
お前らみたいな企業の操り人形は全員嫌いだ、俺はそんな気分じゃない
I love it when you niggas talk loose like I'm not in the room
俺が部屋にいないと思ってお前らが好き勝手喋ってるのを見るのは大好きだぜ
Since "Like That," your tone changed a little, you not as enthused
「Like That」以来、お前のトーンは少し変わった、前ほど熱狂してないな
How are you not in the booth? It feel like you kinda removed
なんでブースに入ってないんだ? お前は少し距離を置いてるように感じるぜ
You tryna let this shit die down, nah, nah, nah
この騒動を自然消滅させようとしてるのか、いやいやいや
Not this time, nigga, you followin' through
今回はそうはいかないぜ、最後までやり遂げてもらうからな
I guess you need another week to figure out how to improve
どうやって改善するか考えるのに、もう一週間必要なんだろうな
What the fuck is takin' so long? We waitin' on you
なんでそんなに時間がかかってるんだ? 俺たちはお前を待ってるんだぜ
The rest of y'all are definitely involved, y'all gettin' it too
残りのお前らも確実に関わってる、お前らも喰らわせてやる
※Kendrickだけでなく、Metro Boomin、Future、Rick Ross、The Weekndなど、反Drake包囲網を敷いた全員への再警告。
Soon as you get the courage to drop, I'm out on the loose, on the loose
お前が曲を出す勇気を振り絞った瞬間に、俺は野に放たれるぜ
[Outro: Drake]
Yeah, shout out to Taylor Swift
ああ、テイラー・スウィフトにシャウトアウトだ
Biggest gangster in the music game right now
今の音楽ゲームで一番のギャングスターだからな
You know, I moved my album when she dropped, I said that already
俺も彼女がアルバムを出した時は自分のリリースをずらした、それは前に言った通りだ
※Drake自身も過去にアルバム『Her Loss』のリリース日をTaylor Swiftの新作と被らないよう変更しており、ポップスターの巨大なセールスパワーを半ば自虐的に認めている。
You know, she 'bout to milli' run through a Milly Rock on your head top, well
彼女はお前の頭の上でミリー・ロックを踊りながらミリオン(数百万枚)売り上げるだろうな
She got the whole pgLang on mute like that Beyoncé challenge, y'all boys quiet for the weekend, like
彼女はビヨンセのチャレンジみたいにpgLang全体をミュート(沈黙)させてる、お前ら週末はずっと静かだな
※BeyoncéのRenaissanceツアーで話題になった「Mute Challenge」(曲の途中で観客が完全に静まり返るパフォーマンス)を引き合いに出し、Kendrick陣営がTaylorのリリース週に沈黙していることをからかっている。
Dot, I know you're in that NY apartment, you strugglin' right now, I know it
ドット、お前がニューヨークのアパートにいて、今苦戦してるのは分かってるぜ
※Kendrickがブルックリンに所有するペントハウスにこもって、リリックの構成に苦心していることを見透かしている。
In the notepad doing lyrical gymnastics, my boy
ノートを前にして、リリカルな体操をしてるんだろ
You better have a motherfuckin' quintuple entendre on that shit
クソみたいな五重の意味(quintuple entendre)を持たせた方がいいぜ
Some shit I don't even understand, like
俺が理解できないような難解なやつをな
※Kendrick特有のコンシャスで何重にも意味が掛けられた難解なリリシズムを「言葉の体操」「オタクっぽい」と小馬鹿にし、ストレートなディスで戦う自分のスタイルとの対比を強調している。
That shit better be crazy, we waitin' on you
マジでヤバいものにしろよ、お前を待ってるんだからな
Yeah
ああ
