Artist: Kendrick Lamar (feat. Wallie the Sensei, Roddy Ricch & Siete7x)
Album: GNX
Song Title: dodger blue
概要
アルバム『GNX』に収録された「dodger blue」は、LAのシンボルであるドジャースのチームカラーを冠し、ケンドリック・ラマーが自身の地元ロサンゼルスへの強烈な誇りと帰属意識を表明した究極のローカル・アンセムである。客演には西海岸の気鋭Wallie the Sensei、コンプトン出身のスターRoddy Ricch、そして謎に包まれたSiete7xを迎え、新旧のLAサウンドをブレンドしている。歌詞にはLA特有の高校名やフリーウェイ「I-10」など、地元民にしか伝わらないディープな地理的メタファーが散りばめられており、LAの表層的な華やかさしか知らずにこの街を語る「よそ者(文化の簒奪者)」を徹底的に排除する。また、名だたる映画監督たちの名前を引用したパンチラインやストリートの過酷な現実を描くことで、単なるご当地ソングを超えた、血の通ったヒップホップカルチャーの防衛線として機能している。
和訳
[Intro]
Ooh
ウー
Ooh
ウー
[Verse 1: Kendrick Lamar]
White diamonds, 2 a.m., she wildin'
ホワイトダイヤモンド、午前2時、彼女はハメを外してる
Bitches sick, got their stomach in her comments
ビッチどもは吐き気がしてるぜ、あの女のコメント欄を見て胃を痛めてやがる
※"sick to one's stomach"(腹立たしい、気分が悪い)をもじった表現。ケンドリックのパートナーや関わりのある女性に対するSNS上の嫉妬やヘイトを冷笑している。
What school you went to? Gardena, Compton
お前はどこの高校に行ってた? ガーデナか、コンプトンか
Westchester, King/Drew, then we function
ウェストチェスター、キング/ドリュー、それから俺たちは集まって遊ぶのさ
※すべてロサンゼルス南西部からサウスセントラル周辺に実在する高校の名前(Gardena High、Compton High、Westchester Enriched Sciences Magnets、King/Drew Magnet High School)。LAのリアルなローカルネットワークと、特定の地域に根ざした青春時代の絆を強調している。
Little nigga, but that dog in me, that’s on Pupp
小柄な野郎だが、俺の中には闘犬(ドッグ)がいる、パップに誓ってな
※ケンドリックの小柄な体格(約165cm)に対する自虐を交えつつ、"dog in me"(ストリートのタフさや執念)があることを誇示。"Pupp"は子犬(Puppy)の略であり、彼が所属するTDE(Top Dawg Entertainment)の「Dawg」カルチャーや、西海岸のレジェンドSnoop Doggなどに通じるストリートの誓いの言葉。
On my kids, I'll sock you niggas up
俺の子供たちに誓って、お前らをボコボコにしてやるよ
Have you ever took a fade and ran three more back-to-back?
お前はステゴロ(フェード)でやり合って、そのまま立て続けに3回戦ったことがあるか?
※"fade"は西海岸のスラングで「殴り合いの喧嘩」。ストリートで実際に血を流し、過酷なサバイバルを経験したことのないフェイクなラッパーたち(特にDrakeなどの安全圏にいる相手)への痛烈な問いかけ。
Oh, you haven't? Then shut the fuck up and keep it rap
ああ、ないのか? なら黙ってラップだけしてろよ
Gah, gah, gah
ガー、ガー、ガー
Bitch, I’m from the Land
ビッチ、俺はこの土地(LA)の出身だ
※"the Land"はここではロサンゼルス、ひいてはカリフォルニア全体を指す。
Don't say you hate L.A. when you don't travel past the 10
10号線より南に行ったこともないくせに、「LAが嫌い」なんて口にするな
※"the 10"はLAを東西に走るI-10フリーウェイのこと。この高速道路より北側はハリウッドやビバリーヒルズなどの裕福なエリアであり、南側はコンプトンやサウスセントラルなどのリアルなフッドが広がる。LAの観光客向けの顔しか知らないよそ者が、LAの全貌を語ることへの激しいローカル・プライドに基づく拒絶。
Am I trippin'? Yes, I am
俺はイカれてるか? ああ、そうさ
Meditate over some money, I see Franklin, I find zen
金の上で瞑想する、フランクリン(100ドル札)を見つめて、俺は禅(ゼン)の境地を見出す
※ベンジャミン・フランクリンが描かれた100ドル札の束を眺めることで、精神的な平穏(禅)を得るという、拝金主義と東洋の精神性を掛け合わせたストリート特有のアイロニー。
Bitch, I'm from the Land
ビッチ、俺はこの土地(LA)の出身だ
Don't say you hate L.A., but live in L.A. and pretend
LAが嫌いだって言いながら、LAに住んで知ったかぶりをするんじゃねえよ
My neck on Tarantino, Alejandro, Spike Lee
俺の首(ネックレス)はタランティーノ、アレハンドロ、スパイク・リーのレベルだ
※首元のジュエリーが放つ輝きを、名だたる映画監督たち(クエンティン・タランティーノ、アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ、スパイク・リー)の「ディレクター(Director)」としての権威や、彼らの映画のように劇的で、時に血生臭く、社会的な重みを持っていることに例えた天才的なパンチライン。
Just know you took the scenic route if you stand by me, stupid
俺のそばに立つなら、遠回り(シーニック・ルート)を選んだってことだけは覚えておけ、バカが
※"scenic route"(景色の良い遠回り)は、ケンドリックの歩む道が決して平坦な近道ではなく、多くの困難や抗争を伴う過酷だが美しい道であることを意味する。
[Chorus: Wallie the Sensei & Roddy Ricch]
So fly in this bitch
この場所じゃ最高にイケてるぜ
Fifty on me, don't die tryin' and shit (Ooh-ooh)
50(万ドル/発の弾)を持ってる、死ぬ気で挑戦する(ダイ・トライイン)なんてやめとけよ
※50セントの伝説的なデビューアルバム『Get Rich or Die Tryin'(金持ちになるか、さもなくば死ぬ気でやれ)』をサンプリングした表現。俺から金を奪おうとしたり挑んできたりすれば、確実に死ぬことになるという警告。
You know I’m up and down when I slide in this bitch
俺がこの場所にスライド(襲撃/登場)する時、アップダウン(車のハイドロや気分の高低)が激しいのは知ってるだろ
Bimmers and the Jets outside in this bitch
外にはビーマー(BMW)とジェット機が停まってるぜ
Westside, get the money, yeah, that’s fo' sho’
ウェストサイド、金を稼ぐ、ああ、それは間違いない
Streets don't love you, better respect the code
ストリートはお前を愛しちゃくれない、掟(コード)をリスペクトした方が身のためだ
Ain't no sleepin' in on Sunday
日曜日に寝坊してる暇なんてねえ
If it’s 'bout the money, then my niggas on go
金の話なら、俺のダチはいつでも動けるぜ(オン・ゴー)
[Verse 2: Kendrick Lamar & Ink]
When I walk in, oh yeah, bring that
俺が入っていく時、ああ、あれを持ってこい
It's unanimous, how I pop shit
俺がどうブチかますか、全員一致(ユナニマス)で分かってるだろ
When I walk in, hoes better get in check
俺が入っていく時、ビッチどもは大人しくした方がいいぜ
You lookin' at a bad bitch, nothin' less
お前は最高のビッチ(イケてる奴)を見てるんだ、それ以下じゃねえ
Walk, walk, walk, walk
歩け、歩け、歩け、歩け
※LA発祥のストリートダンス「C-Walk(クリップ・ウォーク)」を連想させるステップの指示。西海岸のバンガーにおいて、フロアのクラウドを煽るための伝統的な手法。
Walk, walk, walk, walk
歩け、歩け、歩け、歩け
Tip, toe, pivot, walk
つま先、踵、ピボット(旋回)、歩け
Tip, toe, pivot, walk
つま先、踵、ピボット(旋回)、歩け
[Outro: Siete7x]
Ooh, don't take it personal
ウー、個人的に受け取らないでくれよ
You won't be the first to know
お前が最初に知るわけじゃない
Just might be the first to go
ただ、最初に消される(死ぬ)かもしれないってことさ
※ストリートの抗争において、標的になった者がその事実を知る前に暗殺されるという冷酷な現実を、メロウなR&Bのトーンで歌い上げている。
Just might be, ooh
そうかもしれないぜ、ウー
Don't take it personal
個人的に受け取らないでくれよ
You won't be the first to know
お前が最初に知るわけじゃない
Just might be the first to go
ただ、最初に消されるかもしれないってことさ
Just might be
そうかもしれないぜ
