Artist: Kendrick Lamar (feat. Lefty Gunplay)
Album: GNX
Song Title: tv off
概要
アルバム『GNX』の中核をなす「tv off」は、前半の不穏で重厚なトラップビートから、後半で「Not Like Us」を手掛けた盟友DJ Mustardによる強烈な西海岸バウンスへと劇的なビートスイッチを見せる、2部構成のバンガーである。タイトルの「turn his TV off(奴のテレビを消せ)」は、文字通りの「メディアからのシャットアウト」だけでなく、ストリートにおける「命の電源を落とす(暗殺)」という冷酷なメタファーを孕んでいる。前半で自身の王としての絶対的権力とヒップホップカルチャーへの過保護な愛を語り、後半ではDrakeとのビーフの余波や、2025年スーパーボウル・ハーフタイムショー(ニューオーリンズ開催)を巡るLil Wayne周辺からのヘイトに対する最終回答を提示。LAの次世代ラッパーLefty Gunplayのフックをアウトロに配置し、西海岸の底知れぬ狂気と王者の凄みを見せつける歴史的な一曲だ。
和訳
[Part I]
[Intro: Kendrick Lamar]
All I ever wanted was a black Grand National
俺がずっと欲しかったのは、黒のグランド・ナショナルだけだ
※アルバムタイトル『GNX』の由来である1987年製のクラシックカー「ビュイック・グランドナショナルGNX」への言及。富や名声を得る以前、フッドの若者としての純粋な憧れとストリートの原点を回帰している。
Fuck being rational, give 'em what they ask for
合理性なんてクソ食らえだ、奴らが求めてるものを叩きつけてやるよ
[Chorus: Kendrick Lamar]
It's not enough (Ayy)
こんなんじゃ足りねえ(エイ)
Few solid niggas left, but it's not enough
本物の(ソリッドな)奴らは少し残ってるが、それじゃ足りねえ
Few bitches that'll really step, but it's not enough
マジで行動を起こすビッチも少しはいるが、それじゃ足りねえ
※"step"は「立ち向かう」「抗争に参加する」を意味するスラング。前作のタイトル『Mr. Morale & The Big Steppers』ともリンクする。
Say you bigger than myself, but it's not enough (Huh)
俺よりお前の方がデカいって言ってみろ、それでも足りねえよ(ハァ)
※数字や商業的成功を根拠に「自分の方がビッグだ」と主張し続けたDrakeに対する直接的な皮肉。カルチャーへの影響力において、自分を超えることはできないという絶対的な自信。
I get on they ass, yeah, somebody gotta do it
俺が奴らのケツを蹴り上げてやる、ああ、誰かがやらなきゃならねえんだ
I'll make them niggas mad, yeah, somebody gotta do it
俺があの野郎どもをブチギレさせてやる、ああ、誰かがやらなきゃならねえんだ
I'll take the G pass, shit, watch a nigga do it
俺がGパス(ギャングの通行証)を奪い取ってやるよ、クソ、俺がやるのを見てな
※"G pass"(Gangsta pass)はストリートでリスペクトされ、安全に歩き回るための目に見えない資格。Drakeをはじめとするフェイクな存在から、ヒップホップカルチャーに属する資格を没収するという宣言。
Huh, we survived outside, all from the music, nigga, what?
ハァ、俺たちは外の世界(ストリート)を生き延びたんだ、すべて音楽のおかげでな、ニガ、なんだって?
[Verse 1: Kendrick Lamar]
They like, "What he on?"
奴らは言う、「あいつはどうしちまったんだ?」
It's the alpha and omega, bitch, welcome home
俺はアルファでありオメガ(始まりであり終わり)だ、ビッチ、おかえり
※新約聖書(ヨハネの黙示録)において神が自らを指す言葉。自身がヒップホップにおける全能の神(GOAT)であることを宣言している。
This is not a song
これはただの歌じゃねえ
This a revеlation, how to get a nigga gone
これは啓示(レヴェレーション)だ、野郎の消し方を教えるためのな
※前行の「黙示録(Revelation)」の文脈を引き継ぎ、自らの楽曲が単なるエンターテインメントではなく、敵対者(Drake)のキャリアや存在そのものを完全に消し去るための神聖なマニュアルであると冷酷に言い放つ。
You need you a man, baby, I don't understand, baby
君には男が必要なんだ、ベイビー、俺には理解できないぜ、ベイビー
※ここから擬人化された「ヒップホップカルチャー(あるいは西海岸のシーン)」に対する語りかけ。女性に見立てたカルチャーに対し、「外から来た男(Drakeなど)に身を委ねるな」と忠告しているという考察がGeniusで主流となっている。
Pay your bill and makе you feel protected like I can, baby
俺みたいに君の請求書を払い、守られてると感じさせてやれるのか?、ベイビー
Teach you somethin' if you need correction, that's the plan, baby
もし君が間違ってるなら、正しい道を教えてやる、それが俺の計画だ、ベイビー
Don't put your life in these weird niggas' hands, baby (Woah)
君の人生を、あんな奇妙な奴ら(weird niggas)の手に委ねちゃダメだ、ベイビー(ウォウ)
※"weird"は「Not Like Us」でもDrakeらを指して使用されたキーワード。「ペドファイル(小児性愛者)や文化の搾取者たちに、俺たちの愛するカルチャーを奪わせるな」というケンドリックの強い保護欲と使命感。
[Chorus: Kendrick Lamar]
It's not enough (Ayy)
こんなんじゃ足りねえ(エイ)
Few solid niggas left, but it's not enough
本物の奴らは少し残ってるが、それじゃ足りねえ
Few bitches that'll really step, but it's not enough
マジで行動を起こすビッチも少しはいるが、それじゃ足りねえ
Say you bigger than myself, but it's not enough (Huh)
俺よりお前の方がデカいって言ってみろ、それでも足りねえよ(ハァ)
I get on they ass, yeah, somebody gotta do it
俺が奴らのケツを蹴り上げてやる、ああ、誰かがやらなきゃならねえんだ
I'll make them niggas mad, yeah, somebody gotta do it
俺があの野郎どもをブチギレさせてやる、ああ、誰かがやらなきゃならねえんだ
I'll take the G pass, shit, watch a nigga do it
俺がGパスを奪い取ってやるよ、クソ、俺がやるのを見てな
Huh, we survived outside, all from the music, nigga, what?
ハァ、俺たちは外の世界を生き延びたんだ、すべて音楽のおかげでな、ニガ、なんだって?
[Verse 2: Kendrick Lamar]
Hey, turn his TV off
ヘイ、奴のテレビの電源を切れ
※物理的にテレビを消すこと(無関心・キャンセルの提示)に加え、ストリートでは「生命維持装置(モニター)を切る=死」を意味する極めて暴力的な隠語。Drakeのキャリアを終わらせることを「テレビを消すような簡単な作業」として表現している。
Ain't with my type activities? Then don't you get involved
俺のやり方に賛同できないか? なら首を突っ込んでくるな
Hey, what, huh, how many should I send? Send 'em all
ヘイ、なんだ、ハァ、何人送り込めばいい? 全員送り込んでやれ
Take a risk or take a trip, you know I'm trippin' for my dog
リスクを背負うか、あの世へ旅立つ(トリップ)かだ、俺がダチのためにブチギレてる(トリップ)のは知ってるだろ
※"trippin'"のダブルミーニング。「旅行する(死ぬ)」と「激怒する、イカれる」を掛けている。
Who you with? Couple sergeants and lieutenants for the get back
誰を連れてるって? 復讐(ゲット・バック)のために軍曹や中尉を何人か連れてるぜ
This revolution been televised, I fell through with the knick-knacks
この革命はテレビ放送されてきたんだ、俺はガラクタを抱えて現れたぜ
※ギル・スコット・ヘロンの有名なポエトリーリーディング「The Revolution Will Not Be Televised(革命はテレビ放送されない)」の強烈なオマージュ。しかし、ケンドリックとDrakeのビーフはSNS時代における前代未聞の規模で世界中に「リアルタイムで放送(televised)」された。ケンドリックはその革命の中心にいたことを宣言している。
Hey, young nigga, get your chili up, yeah, I meant that
ヘイ、若えの、チリ(金)を稼ぎな、ああ、本気で言ってんだ
※"chili"は西海岸のスラングで「金」のこと。
Hey, black out if they act out, yeah, I did that
ヘイ、奴らが調子に乗るなら記憶が飛ぶまでブチのめせ(ブラックアウト)、ああ、俺はそうしてきたぜ
Hey, what's up, though?
ヘイ、それでどうなんだ?
I hate a bitch that's hatin' on a bitch and they both hoes
ビッチをヘイトしてるビッチが嫌いだ、どっちもただの娼婦(ホーズ)なのにな
I hate a nigga hatin' on them niggas and they both broke
ニガをヘイトしてるニガが嫌いだ、どっちもただの文無しなのにな
※同族嫌悪や、SNSで足の引っ張り合いばかりしているヒップホップコミュニティの現状に対するウンザリした思い。
If you ain't coming for no chili, what you come for?
金を稼ぎに来たわけじゃないなら、何しに来たんだ?
Nigga feel like he entitled 'cause he knew me since a kid
ガキの頃から俺を知ってるってだけで、特権があると思い込んでる奴がいる
Bitch, I cut my granny off if she don't see it how I see it, hm
ビッチ、俺のビジョンが理解できないなら、おばあちゃんでさえも切り捨てるぜ、フーム
※目標やビジョンに対する異常なまでの執着と冷酷さ。自分のレガシーを邪魔する者は、たとえ肉親や古くからの地元の友人であっても容赦無く関係を断つという宣言。
Got a big mouth but he lack big ideas
口だけはデカいが、デカいアイデア(ビジョン)が欠けてやがる
Send him to the moon, that's just how I feel, yellin'
あいつを月にでも吹き飛ばしてやりてえ、今の気分はそんな感じだ、叫ぶぜ
[Chorus: Kendrick Lamar]
It's not enough (Ayy)
こんなんじゃ足りねえ(エイ)
Few solid niggas left, but it's not enough
本物の奴らは少し残ってるが、それじゃ足りねえ
Few bitches that'll really step, but it's not enough
マジで行動を起こすビッチも少しはいるが、それじゃ足りねえ
Say you bigger than myself, but it's not enough
俺よりお前の方がデカいって言ってみろ、それでも足りねえよ
[Part II]
[Intro: Kendrick Lamar]
Huh
ハァ
Huh, huh
ハァ、ハァ
Hey
ヘイ
Hey (Mustard on the beat, ho)
ヘイ(マスタード・オン・ザ・ビート、ホー)
※ここで「Not Like Us」をプロデュースしたDJ Mustardの象徴的なプロデューサータグが入り、曲の雰囲気が一気にLAのバウンシーなクラブ・アンセムへと変貌する。Reddit等では、この瞬間だけで敵陣営にPTSDを引き起こすほどの破壊力があると評されている。
[Chorus: Kendrick Lamar]
Mustard
マスタード
Niggas actin' bad, but somebody gotta do it
奴らは悪ぶってるが、誰かがやらなきゃならねえんだ
Got my foot up on the gas, but somebody gotta do it
アクセル(ガス)をベタ踏みしてるぜ、誰かがやらなきゃならねえんだ
Huh, turn his TV off, turn his TV off
ハァ、奴のテレビを消せ、奴のテレビの電源を切れ
Huh, turn his TV off, turn his TV off
ハァ、奴のテレビを消せ、奴のテレビの電源を切れ
Huh, turn his TV off, turn his TV off
ハァ、奴のテレビを消せ、奴のテレビの電源を切れ
Huh, turn his TV off, turn his TV off
ハァ、奴のテレビを消せ、奴のテレビの電源を切れ
[Verse: Kendrick Lamar]
Ain't no other king in this rap thing, they siblings
このラップゲームに他の王は存在しねえ、あいつらはただの兄弟さ
Nothing but my children, one shot, they disappearin'
俺の子供たちにすぎない、一発撃てば、奴らは消え去るのさ
※「Big 3(J. Cole、Drake、Kendrick)」と同等に扱われていた時代を完全に終わらせ、「俺が唯一の絶対王者であり、お前らは俺の息子(格下)だ」という最終宣告。
I'm in the city where the flag be gettin' thrown like it was pass interference
パス・インターフェアレンス(アメフトの反則)みたいに、そこら中でフラッグが投げられる街に俺はいる
※「フラッグ」のダブルミーニング。アメフトの反則時に審判が投げる黄色い布(ペナルティフラッグ)と、LAのギャングが掲げるカラーギャングのバンダナ(フラッグ)を掛け合わせ、抗争が絶えないLAの過酷なストリートの日常を描写している。
Padlock around the building
ビルには南京錠がかけられてる
Crash, pullin' up in unmarked truck just to play freeze tag
クラッシュ(強襲)、マークのないトラックで乗り付けて、氷鬼(フリーズ・タグ)で遊ぶためにな
※"freeze tag"(氷鬼)という無邪気な子供の遊びを、ドライブバイ・シューティング(車からの銃撃)で標的を「凍りつかせる(死体にする)」というストリートの残虐な殺戮のメタファーに変換している。
With a bone to pick like it was sea bass
スズキ(シーバス)みたいに、骨がある(文句がある)って状態だ
※"bone to pick"は「片付けるべき問題がある、文句がある」という慣用句だが、小骨が多い魚であるシーバス(スズキ)の骨と見事に掛け合わせた言葉遊び。
So when I made it out, I made about 50K from a show
だから俺がフッドから抜け出した時、1回のショーで約5万ドル(約750万円)を稼ぎ出した
Tryna show niggas the ropes before they hung from a rope
奴らがロープで首を吊る前に、俺がロープの結び方(ロープ=ノウハウ・生き抜く術)を教えてやろうとしてるんだ
I'm prophetic, they only talk about it how I get it
俺は預言者だ、奴らは俺がどうやって成功したかしか話題にしねえ
Only good for saving face, seen the cosmetics
体面を保つためだけに必死な連中さ、その化粧(コスメティックス=見せかけ)はとっくに見透かしてる
How many heads I gotta take to level my aesthetics?
俺の美学(エステティックス)を完成させるために、あといくつの首を刎ねればいいんだ?
※前出の"cosmetics"と韻を踏んでいる。見栄えや数字(cosmetics)ばかり気にする偽物たちに対し、自分は真の芸術と美学(aesthetics)を追求しており、そのためなら同業者の首をいくらでも獲るという残虐なまでのアートへの献身。
Hurry up and get your muscle up, we out the plyometric
早く筋力をつけな、俺たちはもうプライオメトリクス(瞬発力トレーニング)の次元は超えてるんだ
Nigga ran up out of luck soon as I upped the highest metric
俺が最高記録(ハイエスト・メトリック)を叩き出した途端、あの野郎の運は尽き果てたのさ
※ビーフにおいて「Not Like Us」がストリーミングやチャートで歴代記録(highest metric)を更新し、Drakeの運命を完全に決定づけた事実への言及。
The city just made it sweet, you could die, I bet it
この街(LA)は甘く見られがちだが、命を落とすぜ、賭けてもいい
They mouth get full of deceit, let these cowards tell it
奴らの口は嘘で満ちてる、この臆病者どもに語らせておけ
Walk in New Orleans with the etiquette of LA, yellin'
LAの礼儀作法(エチケット)を持ったまま、ニューオーリンズを歩いてやるよ、叫びながらな
※【重要】2025年にニューオーリンズで開催されるスーパーボウル・ハーフタイムショーに、地元の英雄Lil Wayneではなくケンドリックが選出されたことで、Wayneの恩師BirdmanやNicki Minajらが猛反発した騒動に対する最終回答。誰の地元であろうと、自分は常にLAの王者としての流儀(エチケット=圧倒的な実力と堂々とした態度)を貫き通すという、一切の妥協を許さない強烈なパンチラインである。
[Chorus: Kendrick Lamar]
Mustard (Ah, man)
マスタード(あぁ、マジかよ)
Niggas actin' bad, but somebody gotta do it
奴らは悪ぶってるが、誰かがやらなきゃならねえんだ
Got my foot up on the gas, but somebody gotta do it
アクセルをベタ踏みしてるぜ、誰かがやらなきゃならねえんだ
Huh, turn his TV off, turn his TV off
ハァ、奴のテレビを消せ、奴のテレビの電源を切れ
Huh, turn his TV off, turn his TV off
ハァ、奴のテレビを消せ、奴のテレビの電源を切れ
Huh, turn his TV off, turn his TV off
ハァ、奴のテレビを消せ、奴のテレビの電源を切れ
Huh, turn his TV off, turn his TV off
ハァ、奴のテレビを消せ、奴のテレビの電源を切れ
[Outro: Lefty Gunplay]
Shit gets crazy, scary, spooky, hilarious
事態はイカれてて、恐ろしくて、不気味で、そして笑えるぜ
※LAのイーストサイドをレペゼンする気鋭のラッパー、Lefty Gunplayによるアウトロ。「crazy, scary, spooky, hilarious」は、ケンドリックのビーフ後の無双状態やヒップホップシーンの現状を俯瞰した、狂気とユーモアが混在する西海岸特有のバイブスを見事に表現している。
Crazy, scary, spooky, hilarious
イカれてて、恐ろしくて、不気味で、笑えるぜ
Shit gets crazy, scary, spooky, hilarious
事態はイカれてて、恐ろしくて、不気味で、そして笑えるぜ
Crazy, scary, spooky, hilarious
イカれてて、恐ろしくて、不気味で、笑えるぜ
Shit gets crazy, scary, spooky, hilarious
事態はイカれてて、恐ろしくて、不気味で、そして笑えるぜ
Crazy, scary, spooky, hilarious
イカれてて、恐ろしくて、不気味で、笑えるぜ
Shit gets crazy, scary, spooky, hilarious
事態はイカれてて、恐ろしくて、不気味で、そして笑えるぜ
Crazy, scary, spooky, hilarious
イカれてて、恐ろしくて、不気味で、笑えるぜ
