Artist: Drake
Album: Care Package
Song Title: 5AM in Toronto
概要
「5AM in Toronto」は、2013年に3rdアルバム『Nothing Was the Same』のプロモーション期間中に突如公開され、後に2019年の『Care Package』に収録された、Drakeを象徴する「時刻+場所」シリーズの代表曲である。Boi-1daとVinylzによる重厚で攻撃的なビートに乗せ、Drakeはシーンの頂点に君臨する絶対王者(Mob Boss)としての圧倒的なエゴと、同業者たちからの嫉妬や裏切りに対する怒りを一切の容赦なく吐き出している。当時、Chris BrownやThe Weekndらとの緊張状態が噂されていた時期であり、直接的な名前を伏せながらも業界全体に向けた痛烈なサブリミナル・ディスが散りばめられている。地元トロントへの愛と忠誠を刻みつつ、「自分がラップ界を支えている」という凄まじい自信を見せつける本作は、彼が単なるポップスターからヒップホップの覇王へと完全に覚醒した瞬間を記録した歴史的マイルストーンである。
和訳
[Intro]
Yeah
This on some old Tommy Campos Dice Raw shit, you know?
これは昔のトミー・カンポスやダイス・ロウみたいなノリだ、分かるか?
※The RootsのメンバーであったDice Rawや、フィラデルフィアのストリートの伝説的存在への言及。アンダーグラウンドでハードなヒップホップのルーツに立ち返っていることを示している。
For my niggas, though
でも俺のダチたちに向けたものだけどな
[Verse]
Uh, you underestimated greatly
お前らは俺を大いに見くびっていたな
Most number ones ever, how long did it really take me?
史上最多のナンバーワンヒット、俺がそれを達成するのに一体どれくらいかかったと思う?
The part I love most is they need me more than they hate me
俺が一番気に入ってるのは、奴らが俺を憎む以上に俺を必要としてるってことだ
So they never take shots, I got everybody on safety
だから奴らは絶対に撃ってこない、俺は全員の安全装置をかけたままでコントロールしてる
※銃の「safety(安全装置)」と、業界のラッパーたちがDrakeの影響力(客演効果など)を恐れて直接的なディス(take shots)を避けている状況をかけた見事なダブルミーニング。
I could load every gun with bullets that fire backwards
俺がすべての銃に逆噴射する弾丸を装填したとしても
Probably wouldn't lose a single rapper
おそらくラッパーは一人も死なないだろうな
※同業者たちがいかに中身のないフェイクな脅しばかりをしているか、実際に撃つ度胸もない連中ばかりであるかを嘲笑している。
Niggas make threats, can't hear 'em over the laughter
奴らが脅しをかけてきても、俺の笑い声がデカすぎて聞こえないよ
Yeah, that's 'cause I'm headed to the bank, nigga
ああ、だって俺は銀行に向かってる最中だからな
Sinatra lifestyle, I'm just bein' frank with ya
シナトラみたいなライフスタイルさ、率直に言わせてもらうぜ
※「frank」は「率直な」という意味と、伝説的歌手Frank Sinatraをかけた言葉遊び。
I mean, where you think she at when she ain't with ya?
なあ、お前の女がお前と一緒にいない時、どこにいると思う?
Wildin', doin' shit that's way out of your budget
羽目を外して、お前の予算じゃ到底無理な遊びをしてるんだよ
Owl sweaters inside her luggage, you gotta love it
彼女のトランクの中にはフクロウのセーターが入ってる、たまらないだろ?
※フクロウ(Owl)はDrakeのレーベル「OVO」のシンボル。ライバルの女性を奪い、自分のグッズを着せているという傲慢なマウント。当時ビーフ状態にあったChris Brownへの当てつけだという考察が根強い。
Damn, this shit could go on a tape
クソ、この曲はミックステープにも入れられるレベルだ
Bitches lovin' my drive, I never give it a break
女たちは俺の野心を愛してる、俺は絶対に立ち止まらない
Give these niggas the look, the verse, and even the hook
こいつらに注目を集めてやり、ヴァースを提供し、フックまで歌ってやる
That's why every song sound like Drake featurin' Drake
だからどの曲も、ドレイク・フィーチャリング・ドレイクみたいに聴こえるんだよ
※客演として参加した楽曲でも、Drakeの存在感が強すぎて彼自身の曲のように完全に食ってしまう現象(Drake乗っ取り現象)を自負している。
Str8, Y pree? Why is it always me?
ストレートにな、なんで俺のことばかりジロジロ見るんだ? なんでいつも俺なんだ?
※「Str8(Straight)」は「真面目な話」。「Y pree」はジャマイカのパトワ語由来のトロント・スラングで「なぜ俺を見つめる(監視・嫉妬する)のか」という意味。
Got us watchin' our words like it's wiretaps on the team
まるでチームが盗聴でもされてるみたいに、俺たちは言葉に気をつけなきゃならない
'Cause I show love, never get the same outta niggas
だって俺が愛を示しても、奴らから同じものが返ってくることは絶対にないからな
Guess it's funny how money can make change outta niggas
金が人をどう変えちまうのか、笑える話だろ
※「change」には「人が変わる」という意味と、「小銭(端金)」という意味があり、大金が絡むと同業者が安っぽい人間に成り下がるという皮肉。
For real, some nobody started feelin' himself
マジで、どこの馬の骨とも分からない奴が調子に乗り始めて
A couple somebodies started killin' themself
大物気取りの奴らが自滅し始めた
A couple albums dropped, those are still on the shelf
いくつかアルバムがリリースされたが、どれもまだ棚で埃を被ってる
I bet them shits would have popped if I was willin' to help
もし俺が手を貸してやってたら、あんなクソ盤でも売れてただろうにな
※The Weekndのメジャーデビュー作などを念頭に、俺のフックアップなしではお前らは売れないという痛烈なサブリミナル・ディスとファンの間で解釈されている。
I got a gold trophy from the committee for validation
俺は自分の価値を証明するために、委員会から金色のトロフィーを受け取った
Bad press during the summer over allegations
夏の間は噂のせいで悪口ばかり書かれたがな
※グラミー賞の受賞と、Chris Brownとのクラブでの乱闘騒ぎなどによるネガティブなゴシップ報道への言及。
I ain't lyin', my nigga, my time is money
嘘じゃないぜ、俺の時間は金なんだ
That's why I ain't got time for a nigga whose time is coming
だから、「これから俺の時代が来る」なんて言ってる奴の相手をしてる暇はない
A lot of niggas PR stuntin' like that's the movement
多くの奴らが、それがムーブメントであるかのようにPRの売名行為ばかりしてる
And I'm the only nigga still known for the music, I swear
そして、純粋に音楽だけで名を馳せてるのは俺だけだ、誓ってな
Fuck them niggas this year, I made Forbes list, nigga
今年あいつらはクソ食らえだ、俺はフォーブスのリストに載ったんだぜ
Fuck your list, everything's lookin' gorgeous
お前らのリストなんてどうでもいい、俺の周りはすべてがゴージャスだ
Without me, rap is just a bunch of orphans
俺がいなきゃ、ラップゲームなんてただの孤児の集まりだ
But if I stay, then this shit is a bunch of corpses
でも俺がここに居座り続ければ、ここには死体の山が築かれることになる
And me and my dread nigga from New Orleans
そして俺と、ニューオーリンズから来たドレッドヘアのダチは
Stashin' money like hoarders off multi-platinum recordings
マルチプラチナのレコードで稼いだ金を、溜め込み症の奴みたいに隠し持ってる
※「ニューオーリンズのドレッドヘア」はLil Wayneのこと。YMCMBの圧倒的な商業的成功を誇示している。
Eatin' like I’m seated at Swish, Sotto, and Joso's
まるでスウィッシュやソット、ジョソズの席に座ってるみたいに豪勢に食ってる
※いずれもトロントにあるDrake行きつけの高級レストラン。
Nothing Was The Same, this shit for Ezee and Coco
もう何もかも同じじゃない、これはイージーとココのためだ
This shit for Karim, this shit for Jaevon
これはカリームのため、これはジェイボンのため
This shit for Julius, Milly Mill, boy, we do this shit for real
これはジュリアス、ミリー・ミルのためだ、なあ、俺たちは本気でやってるんだ
※『Nothing Was The Same』は同年リリースされる彼の3rdアルバムのタイトル。続く名前はすべてOVOの身内やトロントの古くからの仲間たちへのシャウトアウト。
All them boys in my will, all them boys is my Wills
あいつらは全員俺の遺言書に入ってる、あいつらは全員俺の「ウィル」だ
Anything happen to pop, then I got you like Uncle Phil
もし親父に何かあっても、俺がフィルおじさんみたいにお前らの面倒を見てやる
※Will Smith主演のシットコム『ベルエアのフレッシュ・プリンス』のリファレンス。主人公Willと、彼を引き取って育てた裕福なUncle Philの関係に例え、クルーの面倒を見るMob Bossとしての責任と愛情を示している。「will(遺言)」と「Wills(ウィルたち)」の言葉遊び。
Weezy been on that edge, you niggas just need to chill
ウィージーは限界ギリギリのところにいる、お前らはただ落ち着く必要がある
※Lil Wayneが当時、深刻な発作で入院するなど健康状態が危ぶまれていたことへの言及。
If anything happen to Papi, might pop a nigga for real
もしパピに何かあったら、俺はマジで誰かを撃ち殺すかもしれない
※「Papi」はDrake自身の別名「Champagne Papi」。自分が殺されたらOVOの仲間たちが確実に報復するというストリートの掟。
Comin' live from the screwface, livin' out a suitcase
スクリューフェイスから生中継、スーツケース一つで飛び回る生活
※「screwface」はトロントの古い別名。人々が他人に冷たくしかめっ面(screwface)をしていることから。
But I'm feelin' good, Johnny got me pushin' two plates
でも気分は最高だ、ジョニーのおかげでベンチプレスで2枚のプレートを上げられるようになったからな
※パーソナルトレーナーのJohnny Roxxへの言及。肉体的な成長と、ラッパーとしての力強さを重ね合わせている。
My weight up, I refused to wait up, I started a new race
俺の影響力は上がった、誰かを待つのはやめて、新しいレースを始めたんだ
It's funny when you think a nigga blew up after Lupe
ルペ・フィアスコの後に俺がブレイクしたなんて考えると笑えるよな
※Lupe Fiascoは2000年代後半に内省的でリリカルなラップでブレイクした存在。その直後に登場したDrakeがシーンの覇権を握り、ラップゲームのルールを完全に変えてしまった歴史の流れを俯瞰している。
Niggas treat me like I've been here for 10
連中は俺がもう10年もここにいるかのように扱ってくる
Some niggas been here for a couple, never been here again
2、3年いただけで、二度と戻ってこれない奴らもいるのにな
I'm on my King James shit, I'm tryna win here again
俺はキング・ジェームズ状態だ、ここでまた優勝を勝ち取ろうとしてる
※LeBron James(King James)がマイアミ・ヒートで連続優勝を果たしたように、何度でもシーンの頂点に立つという王者の宣言。
A young nigga tryna win here again, man, what's up?
若き成り上がりがまたここで勝とうとしてるんだ、なあ、どうだ?
[Outro]
Ayy, yeah, a young nigga tryin' to win here again
ああ、若き成り上がりがまたここで勝とうとしてるんだ
If I like her, I just fly her to the city I'm in
もし俺が女を気に入ったら、俺のいる街まで飛行機で飛ばすだけさ
I got her drinkin' with your boy
君の好きな男と一緒に飲ませて
I got her fucked up, shorty, aww yeah
あいつをメロメロにしてやるんだ、ベイビー、ああ
