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Unraveling Genius: Music, Knowledge, Madness

Upper Echelon (Owl Pharaoh Version) - Travis Scott (feat. T.I.) 【和訳・解説】

Artist: Travis Scott (feat. T.I.)

Album: Owl Pharaoh

Song Title: Upper Echelon (Owl Pharaoh Version)

概要

トラヴィス・スコットの本格的なブレイクスルーであり、デビュー・ミックステープ『Owl Pharaoh』(2013年)を象徴するバンガー・トラックである。本楽曲は、カニエ・ウェストの「G.O.O.D. Music」とT.I.の「Grand Hustle」という二大レーベルとの契約を勝ち取ったトラヴィスが、自らをヒップホップ界の「Upper Echelon(上流階級・エリート層)」であると高らかに宣言した野心作だ。不穏でゴシックなホーンのサンプリングと、テキサスやアトランタの重厚なトラップ・ビートを融合させた本サウンドは、後に「Rage」と呼ばれる彼のライブの熱狂的な狂騒状態を形作る原点となった。客演には「Grand Hustle」のボスであるT.I.を迎え、南部ヒップホップの帝王としての貫禄を見せつけている。トラヴィス特有のアドリブ(「Straight up!」「La Flame」など)が随所に散りばめられており、彼のシグネチャー・スタイルが確立された歴史的な一曲である。

和訳

[Chorus: Travis Scott]

Pull out the zip, pull out the ride (Roll out)
ジップを取り出し、車を出せ(転がり出ろ)
※「zip」は1オンス(約28グラム)のウィード(大麻)が入ったジップロックのこと。上質なウィードを用意し、高級車(ride)でストリートへ繰り出すというトラップ・ミュージックの典型的なフレックスである。

We so high, upper echelon (Straight up)
俺たちはハイになってる、超一流のエリート階級さ(間違いないぜ)
※「Upper Echelon」は直訳で「上層部」「上流階級」を意味する。ドラッグによる「High」と、ヒップホップシーンにおける地位の「High(高み)」を掛け合わせたダブルミーニング。トラヴィスがシーンの頂点に君臨するという強烈な決意表明だ。

We so fuckin' high, I'm upper echelon (Damn, La Flame, straight up!)
俺たちはクソほどハイだ、俺はトップクラスの存在だ(クソッ、ラ・フレイム、間違いないぜ!)
※「La Flame」はトラヴィスの代表的なオルターエゴ(別人格・ニックネーム)。常に熱狂(炎)を生み出す存在としての自負が込められている。「Straight up」というアドリブと共に、彼のシグネチャーとして機能している。

Pull out the zip, pull out the ride (Roll out, bando)
ジップを取り出し、車を出せ(転がり出ろ、バンドー)
※「bando」は「abandoned house(廃屋)」の略で、ドラッグの密売や製造が行われるアトランタ発祥のスラング。Migosなどが広めた言葉だが、トラヴィスも自身のトラップ的なルーツを強調するために使用している。

We so high, upper echelon (Bando, straight up)
俺たちはハイになってる、超一流のエリート階級さ(バンドー、間違いないぜ)

We so fuckin' high, I'm upper echelon (Straight up, damn!)
俺たちはクソほどハイだ、俺はトップクラスの存在だ(間違いないぜ、クソッ!)

[Verse 1: Travis Scott]

Dozin' off them Xannies, just popped a bandie
ザナックスでまどろんでる、バンディをキメたばっかだ
※「Xannies」は抗不安薬ザナックス(Xanax)のスラング。ヒップホップにおいてダウナー系の酩酊状態を表す頻出語である。「bandie」はドラッグを包む輪ゴム(rubber band)や、あるいはバンド(1000ドルの札束)を使うほどのドラッグを示唆しているとする解釈が有力である。

Wave rock like Atlantic, froze like Atlantic
大西洋みたいに波打って、大西洋みたいに凍りついてる
※ドラッグによる精神的・身体的な状態の比喩。「Wave rock」はリーン(咳止めシロップ)やザナックスによるゆらゆらとした酩酊感を波(Wave)に例え、「froze」はジュエリー(アイス)の輝きや、薬物による体の硬直(フリーズ)を表現している。

Party at the Sphinx, damn that's so outlandish (Straight up)
スフィンクスでパーティだ、クソほど常識外れだろ(間違いないぜ)
※エジプトの「スフィンクス」のような歴史的・非現実的な場所でパーティーをするという誇大妄想的なフレックス。「outlandish(異国風の、風変わりな)」という単語選びが、彼のスケールの大きさを強調している。

She gon' make it clap, clap, throw them bands (Up)
あのビッチがケツを叩き合わせる、札束をばら撒いてやれ(上に)
※「make it clap」はストリップクラブなどで女性が尻の肉を激しく揺らして音を立てる行為(トゥワーク)。そこに「bands(札束)」を投げるというストリップクラブの定番の描写。

Walkin' through the Waldorf, they know my name, yeah (La Flame)
ウォルドルフ・ホテルを歩けば、誰もが俺の名前を知ってるぜ(ラ・フレイム)
※「Waldorf」はニューヨークなどにある超高級ホテル「ウォルドルフ=アストリア(Waldorf Astoria)」のこと。無名だったヒューストンの若者が、今や最高級ホテルでVIP扱いされるまでのし上がったというサクセスストーリー。

Dropped out, got signed, got mom house all in the same year (Straight up)
大学を中退して、契約を勝ち取り、お袋に家を買ってやった、全部同じ年にな(間違いないぜ)
※トラヴィスのキャリアにおけるハイライトを凝縮したライン。テキサス大学サンアントニオ校を親に内緒で中退した彼が、T.I.のGrand HustleやKanye WestのG.O.O.D. Musicと立て続けに契約し、あっという間に家族を養えるほどの富を築いた事実を誇っている。

Don't you come around, we ain't got the time, B, naww (Straight up)
俺らの周りをうろちょろすんな、俺らにはお前らに構う時間なんてねえんだ、兄弟(間違いないぜ)

Watch me do the Randy, touchdown (Bricks)
ランディみたいにキメるのを見てな、タッチダウンだ(ブリックス)
※「Randy」はNFLの伝説的なワイドレシーバー、ランディ・モス(Randy Moss)のこと。圧倒的な跳躍力でタッチダウンを決める彼のように、トラヴィス自身も音楽業界で大きな成功(スコア)を叩き出しているという比喩。「Bricks」はドラッグの塊(1キロのコカインなど)を表すストリート用語で、大量の富を意味する。

Knew how much I get, think La Flame the golden child (La Flame)
俺がどれだけ稼ぐか分かってただろ、ラ・フレイムは選ばれし天才児だと思えよ(ラ・フレイム)
※「golden child」は特別に才能に恵まれ、周囲から期待を背負う存在のこと。ヒップホップシーンにおける自らの救世主的なポジションへの自負。

Ridin' right behind her, pull up beside her (Skrt)
彼女のすぐ後ろを走って、横に車をつける(スキール音)

We poppin' champagne, damn you apple cider
俺たちはシャンパンを空けてる、クソが、お前らはただのアップルサイダーだろ
※自分たちは本物の高級なシャンパン(成功の象徴)を飲んでいるが、ヘイターやフェイクな連中は子供騙しのアップルサイダー(偽物、安物)を飲んでいるに過ぎないという痛烈な皮肉。

[Chorus: Travis Scott & T.I.]

Pull out the zip, pull out the ride (Roll out)
ジップを取り出し、車を出せ(転がり出ろ)

We so high, upper echelon (Straight up)
俺たちはハイになってる、超一流のエリート階級さ(間違いないぜ)

We so fuckin' high, I'm upper echelon (Damn!)
俺たちはクソほどハイだ、俺はトップクラスの存在だ(クソッ!)

(Aight, Travis, let get it, Hustle Gang, nigga!)
(よしトラヴィス、カマしてやろうぜ、ハッスル・ギャングだ、クソ野郎!)
※T.I.のレーベル「Grand Hustle Records」のクルー名「Hustle Gang」のシャウトアウト。ボスのT.I.がトラヴィスを全面的にバックアップしている構図。

[Verse 2: T.I.]

You niggas a mess, I swear you best show some respect
お前らは本当に救いようがねえな、せいぜい敬意を払うことだ

Or else I guarantee you'll get wet (Show us)
さもなきゃ血祭りにあげられると保証してやるよ(見せてみろ)
※「get wet」は血を流す(撃たれる、刺されるなど)というストリート・スラング。T.I.のギャングスタラッパーとしてのルーツを覗かせる脅し文句。

You fuckin' with us, I suggest you invest in a vest (Ayy)
俺たちに逆らう気なら、防弾チョッキに投資しておくことをお勧めするぜ(エイ)

A choppa no less than a tech (Uh)
最低でもTEC-9以上のフルオート銃だ(アー)
※「choppa」はAK-47などのアサルトライフルのスラング。「tech」はTEC-9(半自動/フルオート拳銃)。圧倒的な火力で敵を制圧するというアトランタ・トラップの過激な世界観。

You niggas want trouble in that I'm the best
お前らがトラブルを望んでるってんなら、俺の右に出る者はいないぜ

They just wanna talk, I ain't finna do that (Hey)
あいつらは口先だけだ、俺はそんな真似はしねえ(ヘイ)

I just might pull up wherever you at (At)
お前がいる場所ならどこへでも乗り込んでやるよ(そこへな)

Put my foot in your ass and a hole in your hat (Blah)
お前のケツを蹴り上げて、帽子に風穴を開けてやる(ブラッ)
※「帽子に穴を開ける」=「頭を撃ち抜く」という暴力的なメタファー。「Blah」は銃声を模したアドリブ。

Ok, hol' up, let me freeze up (Okay)
よし、ちょっと待て、一瞬動きを止めてやるよ(オーケー)

These niggas must have caught amnesia (Say what?)
こいつら記憶喪失にでもかかったに違いねえ(なんだって?)
※T.I.がサウス(南部)の「King of the South」として長年君臨してきた事実を忘れたかのように、彼に無礼な態度をとる新世代やヘイターへの苛立ち。

My face card in these streets, cuh (Ayy)
ストリートじゃ俺の顔がパスポートなんだよ、兄弟(エイ)
※「face card」は「顔パス」「顔の広さや信頼」を意味する。ストリートにおける自分の圧倒的な影響力とプロップス(尊敬)への自信。

A-1 credit, no Visa (Leggo)
Visaカードなんかいらねえ、最高ランクの信用度だからな(行くぞ)
※「A-1 credit」は最高ランクのクレジットスコア。金融機関のクレジットカード(Visa)に頼るまでもなく、ストリートでの自分の名前そのものが無限の信用(クレジット)を持っているという言葉遊び。

Excuse me shawty don't get me started
悪いが姉ちゃん、俺を怒らせないでくれよ

If yo shit sick, my shit retarded (Okay)
お前のモノがヤバい(病的に凄い)ってんなら、俺のモノはイカれてる(度を超えてる)レベルだ(オーケー)
※「sick」も「retarded」も本来はネガティブな言葉(病気、知能の遅れ)だが、ヒップホップスラングでは「凄まじい」「ヤバい」という意味に反転する。相手より常に一段上のレベルにいるという自己誇示。

Motherfucker can't see the tree but before I get wrong
クソ野郎共は森の中の木も見えちゃいねえ、俺が間違いを犯す前にな
※「can't see the forest for the trees(木を見て森を見ず)」という諺の捩り。相手が全体像(T.I.の偉大さや実力)を全く理解していないことを嘲笑している。

Get shot then leave 'em in the forest
撃ち殺して、そのまま森の中に捨ててやるよ

Boom, wait 'til the end of the Earth
ブーン、世界の終わりまで待ってな

Just to get my check, interfere, get hurt
俺が小切手を手にするためだ、邪魔する奴は痛い目を見るぜ

Hey, first thing first, this what I do (Okay)
おい、まず最初に言っておく、これが俺のやり方だ(オーケー)

I'm a king mothafucka, who the hell are you?
俺は王様なんだよクソ野郎、お前は一体誰だってんだ?
※T.I.の長年の異名である「King of the South(南部の王)」を強烈にアピールするパンチライン。

Check suckas off top, I bet I do (I do)
頭からクソ野郎共をチェックしてやる、絶対にやってやるさ(やってやる)

Hustle Gang in it bitch, you better lay down fool
ハッスル・ギャングの登場だビッチ、大人しく寝そべってろ(ひれ伏せ)マヌケ

We crème de la crème, fuck them fuck niggas
俺たちは「クレーム・ド・ラ・クレーム(最高の中の最高)」だ、あんなクソ野郎共は知るか
※「crème de la crème」はフランス語で「最高峰、エリート」の意。楽曲のテーマである「Upper Echelon」と同義であり、彼らのクルーがシーンの頂点にいることをダメ押ししている。

Top shelf, upper echelon, can't fuck with us (Ayy)
トップシェルフ、最上級のエリートだ、俺たちには誰も敵わないぜ(エイ)
※「Top shelf」も最上段(一番高価な酒などが置かれる場所)を意味し、一流であることを示す。

[Chorus: Travis Scott & 2 Chainz]

Pull out the zip, pull out the ride (Roll out, bando)
ジップを取り出し、車を出せ(転がり出ろ、バンドー)

We so high, I'm upper echelon (Bando, straight up)
俺たちはハイになってる、超一流のエリート階級さ(バンドー、間違いないぜ)

We so fuckin' high, I'm upper echelon (Bando, damn, 2 Chainz)
俺たちはクソほどハイだ、俺はトップクラスの存在だ(バンドー、クソッ、2チェインズ)