Artist: Drake (feat. Andreena Mill & Kardinal Offishall)
Album: Comeback Season
Song Title: The Last Hope
概要
本楽曲は、2007年にリリースされたDrakeの第2弾ミックステープ『Comeback Season』に収録された、トロントのヒップホップ史において極めて重要な「世代交代」を象徴するトラックである。客演には、1990年代からトロント(T-Dot)のシーンを世界レベルに押し上げてきた伝説的ラッパーKardinal Offishall(カーディナル・オフィシャル)を迎えている。前作『Room For Improvement』では彼ら上の世代へ隠喩的なディス(サブリミナル)を放っていた若きDrakeだが、ここでは彼から「トロントの最後の希望(The Last Hope)」として松明(トーチ)を受け取っている。Drakeのヴァースには「他の誰にも自分のラップは書かせない」という、後のMeek Millとのゴーストライター騒動(2015年)を予見するかのような非常に皮肉で興味深いラインが含まれており、初期特有の「Mob Boss(成功者としての傲慢さ)」が溢れ出ている歴史的クラシックである。
和訳
[Chorus: Andreena Mills]
I gotta make it out, or move quickly
ここから抜け出すか、素早く動かなきゃならない
Can't allow the past to restrict me
過去に縛られている暇はないの
But this time around they won't skip me
でも今回ばかりは、奴らも私を無視(スキップ)できない
I am the last hope. Don't hesitate not even for a second
私が最後の希望。一秒たりとも躊躇はしない
The hustle has become an obsession
ハッスル(這い上がること)が強迫観念(オブセッション)になった
I'm on the front line with my weapon
武器を持って、私は最前線に立っている
I am the last hope
私が最後の希望(ラスト・ホープ)なのさ
[Verse 1: Kardinal Offishall]
Can you imagine the last breath of Christ?
キリストの最後の息を想像できるか?
The last breath of Christopher Wallace on that faithful night
あの運命の夜における、クリストファー・ウォレス(ノトーリアス・B.I.G.)の最後の息を
The last step that Martin Luther took as a man
マーティン・ルーサー・キングが人間として踏み出した最後の一歩を
I got the power of my world in my hand
俺のこの手には、俺の世界の権力(パワー)が握られている
The Microphone brings life or death in the blink of an eye
マイクは瞬きする間に、生か死をもたらす
I was born to provoke those born to die
俺は、死ぬ運命にある者たちを扇動するために生まれた
I was conceived to beat all odds like Las Vegas
ラスベガスのように、あらゆる逆境(オッズ)を打ち破るために身籠もられたのさ
T-dot motherfucker, watch the world rape us
T-Dot(トロント)だ、クソ野郎。世界が俺たちを搾取しようとするのを見とけ
※T-Dotはトロントの愛称。Kardinal Offishallはトロントのヒップホップを世界に認知させた第一人者であり、米国中心の音楽業界に搾取されまいと戦ってきた歴史をレペゼンしている。
Greatest strugglers hustle to succeed
偉大なる闘争者たちは成功のためにハッスルする
Cross water smugglers tussle to burn weed
海を渡る密輸業者たちは、ハッパを燃やすために揉み合う
※カリブ海から北米への密輸ルートや、ジャマイカ系移民の多いトロントのアンダーグラウンドな背景への言及。
It meets that pressure to success in the South
それが、南部(USメインストリーム)での成功というプレッシャーとぶつかり合うんだ
Niggas watching what I say magnifying my mouth
ニガどもは俺の言葉に注目し、俺の口元を拡大鏡で見つめている
I never take back talk, I apply the force
俺は一度言った言葉は絶対に撤回しない、ただ力(フォース)を行使するだけだ
Hand blistering from many years of holding the torch
長年、松明(トーチ)を握り続けたせいで、手には水ぶくれができている
※トロントのシーンを長年一人で牽引してきたKardinalの自負。そしてその「松明(シーンの希望)」を次世代のDrakeに引き継ぐという重要なメタファー。
When the skin rebuilds, it grows tougher than leather
皮膚が再生する時、それはレザーよりもタフに育つ
So we can keep on hold it forever
だから俺たちは、それを永遠に握り続けることができるのさ
My name's Kardinall
俺の名前はKardinal(カーディナル)だ
[Chorus: Andreena Mills]
I gotta make it out, or move quickly
ここから抜け出すか、素早く動かなきゃならない
Can't allow the past to restrict me
過去に縛られている暇はないの
But this time around they won't skip me
でも今回ばかりは、奴らも私を無視(スキップ)できない
I am the last hope. Don't hesitate not even for a second
私が最後の希望。一秒たりとも躊躇はしない
The hustle has become an obsession
ハッスル(這い上がること)が強迫観念(オブセッション)になった
I'm on the front line with my weapon
武器を持って、私は最前線に立っている
I am the last hope
私が最後の希望(ラスト・ホープ)なのさ
[Verse 2: Drake]
Jealousy is something I haven't felt in years
嫉妬なんて感情、もう何年も感じてない
There's nobody around for me to be jealous of
俺が嫉妬するような相手なんて、周りには誰もいないからな
※上の世代(Kardinal)からのパスを受けた直後に、自分には敵がいないと言い放つ、若き日のDrakeがすでに持っていた「Mob Boss(ボス)」的な傲慢さ。
I bet you do a show in my city and no one cheers
お前が俺の街(トロント)でショーをやったって、誰も歓声を上げない方に賭けるぜ
Even if you make the music that ladies and fellas love
たとえお前が、女や男たちが愛するような音楽を作っていたとしてもな
Dawg, I'm incredible fuckin unforgettable, but when it comes to records I will eat it if it's edible
なぁ、俺は信じられないほど最高で、絶対に忘れられない存在だ。だがレコード(曲)のこととなれば、食えるもんなら全部食ってやる(圧倒してやる)
They say the futures always for-seen
未来は常に「見据えられている(foreseen)」と言うヤツらもいる
That's why I'm steady getting more money more cream
だから俺は着実に、もっと多くの金(クリーム)を手に入れてるのさ
My flow is stuck in the moment that comes before dreams
俺のフロウは、夢を見る前の瞬間に閉じ込められている
I stay avoiding unlucky like 14
俺は14(番目)みたいに「不運(13)」を避け続ける
※ホテルや高層マンションの階数表示で、不吉な数字である「13」がスキップされ、12階から「14階」に飛ぶことを用いた巧妙なワードプレイ。
And people get behind and they fight for em' cause he won't let no other niggas write for em'
人々が俺を支持し、俺のために戦うのは、俺が他のニガ(ゴーストライター)にラップを書かせないからだ
※【重要】2015年にMeek Millから「Quentin Millerがゴーストライターをしている」と告発されたDrakeにとって、キャリア初期のこのラインは極めて皮肉であり、ヒップホップファンの間でしばしば掘り返されるサブリミナル的な予言(ブーメラン)となっている。
And even when its quite warm, the attitude coursing through the veins and my city is an ice storm
たとえかなり暖かい時でさえ、俺の血管とこの街を駆け巡る態度は「アイス・ストーム(氷の嵐)」さ
The name's Drake and I don't take it for granted
俺の名前はDrake、今の状況を当たり前のことだとは思ってない
I can take it you offended cause I'm taken advantage man
お前が不快に思ってるなら受け入れてやるよ、だって俺はこの状況を最大限に利用(テイク・アドバンテージ)してるからな、なぁ
※「Take(手に入れる/奪う)」という言葉を多用し、チャンスを貪欲に掴み取る姿勢でバースを締めている。
[Chorus: Andreena Mills]
I gotta make it out, or move quickly
ここから抜け出すか、素早く動かなきゃならない
Can't allow the past to restrict me
過去に縛られている暇はないの
But this time around they won't skip me
でも今回ばかりは、奴らも私を無視(スキップ)できない
I am the last hope. Don't hesitate not even for a second
私が最後の希望。一秒たりとも躊躇はしない
The hustle has become an obsession
ハッスル(這い上がること)が強迫観念(オブセッション)になった
I'm on the front line with my weapon
武器を持って、私は最前線に立っている
I am the last hope
私が最後の希望(ラスト・ホープ)なのさ
