Artist: Ski Mask the Slump God & Jacquees (feat. LouGotCash & Coi Leray)
Album: Spider-Man: Into the Spider-Verse (Soundtrack From & Inspired by the Motion Picture)
Song Title: Save the Day
概要
本楽曲は『スパイダーマン:スパイダーバース』のサウンドトラックにおける、ヒップホップ界のアベンジャーズ的マイクリレーだ。スムーズなR&Bを響かせるJacqueesのフックを軸に、変幻自在のフロウを操るSki Mask the Slump God、当時新進気鋭のフィメールラッパーCoi Leray、そしてLouGotCashという個性豊かな4名が集結した。スパイダーマンがニューヨークの街を救うという王道のヒロイズムを、ストリートで成り上がり、貧困やフッドのしがらみから仲間や家族を救い出す「ラップスターとしての成功」というリアルな文脈へと巧みに変換している。特にSki Maskが綴る「最大の敵は自分の中にいる」というリリックは、マイルス・モラレスの自己研鑽のアークと重なるだけでなく、Ski Mask自身が亡き盟友XXXTentacionらとの過去から抱える内なるトラウマや悪魔との闘いともリンクしており、単なるポジティブなアンセムに留まらない深い影と説得力を楽曲に与えている。
和訳
[Chorus: Jacquees]
I pull up and save the day
車で乗り付けて、この場を救ってやるよ
※「pull up」は車で乗り付けること。「Save the day」はヒーローが窮地を救う定番のフレーズだが、ここではストリートの揉め事やフッドの貧困から仲間を救い出す、成功したラッパーの姿(フレックス)と重ねられている。
Don't want any problems, I'll be a call away
揉め事は御免だが、電話一本ですぐに駆けつけるぜ
I'm ready for action, flying without a cape
いつでも行動できるぜ、マントなしで空を飛ぶんだ
※マントを持たないヒーロー、すなわちスパイダーマンのこと。同時に、特別な装備や出自を持たずとも、自らのマイク一つ(実力)でトップへ飛翔したアーティストとしての誇りを示している。
I'm one of one, they'll never beat me, they'll never beat me
俺は唯一無二、奴らは絶対に俺を倒せやしない、誰にも負けねえよ
※「one of one」は代替不可能な存在(一点物)であること。マルチバースに無数のスパイダーマンが存在しても、「自分」という人間は一人しかいないというアイデンティティの肯定。
[Verse 1: Ski Mask the Slump God]
'Kay, okay how could I forget? (Ayy)
オーケイ、オーケイ、どうして忘れられるってんだ?(エイ)
It takes some courage to bet (Ayy)
デカい賭けに出るには、それなりの勇気がいるもんだろ(エイ)
That must be why you in debt
だからお前はビビって、借金まみれなんだろうな
※リスクを恐れて行動しない者(ヘイターやフェイクな同業者)へのディス。ストリートから抜け出すための「Leap of faith(信仰の飛躍=賭け)」の重要性を説いている。
You take the bait and get caught in the net (Ayy)
餌に食いついて、網に引っかかりやがって(エイ)
※「net」はスパイダーマンの蜘蛛の網(ウェブ)と、ストリートの罠(ハスリングにおける罠や警察の囮)のダブルミーニング。
Evil will never prevail, suckers
悪が勝つことなんて絶対にねえんだよ、間抜け共
What is real will never fail to prosper
本物は絶対に繁栄し続けるのさ
※ヒップホップにおける「Keep it real」の精神。フェイクな生き方をしているヴィランや同業者は最終的に身を滅ぼし、真実を語る者だけが生き残るというストリートの哲学。
Came from the ground to the top, helicopter
地べたから頂上へ一気に上昇する、ヘリコプターのようにな
I go hard just like the shell of a lobster
ロブスターの殻みたいに、カチカチにハードに攻めるぜ
※Ski Mask特有のコミカルでトリッキーな比喩表現。フロリダ出身の彼らしいシーフードのメタファーで「Go hard(全力を出す)」を表現している。
They all missin' the message
奴らはみんな、メッセージを取り違えてやがる
All of these people sayin' that they want the treasure
連中はみんな「宝物(成功)」が欲しいって口を揃えるが
Careful of the wishes you make up on your blessings
与えられた恩恵に何を願うか、マジで気をつけな
※「大いなる力には大いなる責任が伴う」のヒップホップ的解釈。名声や金(Blessings)を得た後、その力をどう使うかで自滅するラッパーが多いことへの警告。
Because the devil in you is plottin' against you
だって、お前の中の悪魔が、お前自身を陥れようと企んでるからな
And you'll find that your worst enemy is within you
最大の敵は自分自身の中にいるってことに、いつか気づくはずだ
※劇中でマイルスが抱える自信のなさや恐怖心との戦いを示唆。同時に、亡きXXXTentacionやJuice WRLDなど、内なる精神的苦痛(うつ病や依存症)と戦っていた盟友たちを見てきたSki Maskだからこそ響く、極めて重くリアルなライン。
You could still be godly even though you a sinner
たとえ罪人であったとしても、神聖な存在(ヒーロー)になれるんだぜ
※ストリートで罪(犯罪や過ち)を犯した過去があっても、そこからやり直して他人を救う存在になれるという贖罪のメッセージ。
I'ma paint a vivid picture for all the children
ガキどものために、俺が鮮明な未来予想図を描いてやるよ
It's about time that we change how we livin', I get my prints in the ceilin'
そろそろ俺らの生き方を変える時だ、天井に俺の足跡をつけてやるよ
※スパイダーマンのように壁や天井(Ceiling)を歩くことのメタファー。「ガラスの天井(限界)」を打ち破り、常識を覆すという宣言でもある。
[Chorus: Jacquees & Coi Leray]
I pull up and save the day
車で乗り付けて、この場を救ってやるよ
Don't want any problems, I'll be a call away
揉め事は御免だが、電話一本ですぐに駆けつけるぜ
I'm ready for action, flying without a cape
いつでも行動できるぜ、マントなしで空を飛ぶんだ
(Yeah, yeah, yeah, yeah)
(イェー、イェー)
I'm one of one, they'll never beat me, they'll never beat me
俺は唯一無二、奴らは絶対に俺を倒せやしない、誰にも負けねえよ
[Verse 2: Coi Leray]
Look at the way I take off
私が飛び立つのを見ててよ
I gotta stay focused and shoot for the stars
集中力を切らさず、星をめがけて撃ち抜かなきゃ
※「Shoot for the stars」は「高みを目指す」というイディオム。スパイダーマンがウェブを空高く放つ動きとも重なる。
I got 'em on watch and they know where we are
奴らを監視してるし、向こうもこっちの居場所をわかってる
I know where I'm headed, yeah I'm goin' far
自分の向かう先はわかってる、そう、もっと遠くまで行くんだ
Yeah I'm goin' hard and they ain't gon' stop me
ハードにぶちかます、誰にも止められないわ
It's me and my friends and I know that they got me
私と仲間たち、あいつらが背中を守ってくれてるってわかってる
※スパイダー・ギャング(別次元のスパイダーマン達)との絆。紅一点のCoi Lerayのボーカルは、劇中におけるスパイダー・グウェンの立ち位置やポジティブなエネルギーを体現している。
We levelin' up, goin' up like a rocket
私たちはレベルアップしてる、ロケットみたいに急上昇さ
We savin' the day and nobody gon' knock me
街を救うの、誰も私を打ち負かすことなんてできない
Yeah we all the heroes, can't get with the fake
そう、私たちはみんなヒーローよ、フェイクな奴らとはつるめないわ
I been through a lot, had a lot on my plate
色んなことを乗り越えてきた、背負うもの(皿の上の料理)も多かった
※「Have a lot on one's plate」は抱えている課題や責任が多いことを示すイディオム。スーパーヒーローとしての重圧と、若手ラッパーとして業界をサバイブする苦労を掛けている。
Got no fear in my heart 'cause I know that I'm brave
心に恐怖なんてない、自分が勇敢だって知ってるから
(Nah, nah)
(ありえないわ)
Never gave up, kept my head in the game
絶対に諦めなかった、常にゲームに集中し続けたの
※「Keep one's head in the game」はスポーツや勝負事において集中力を保つこと。どんな苦境でも気を抜かないヒーローのメンタル。
You gotta just trust me and lemme come guide you
私を信じて、あなたを導かせてよ
※未熟なマイルスに対して、先輩ヒーローとして手本を示すグウェンやピーター・B・パーカーのスタンス。
If you ever get lost, then I'll come back and find you
もし迷子になっても、私が戻って見つけ出してあげるから
I think they forgot so I had to remind 'em
みんな忘れちゃったみたいだから、思い出させてあげたの
Climb all the way to the top like a spider (Yeah)
クモみたいに、一番上まで登りつめるのさ(イェー)
[Chorus: Jacquees]
I pull up and save the day
車で乗り付けて、この場を救ってやるよ
Don't want any problems, I'll be a call away
揉め事は御免だが、電話一本ですぐに駆けつけるぜ
I'm ready for action, flying without a cape
いつでも行動できるぜ、マントなしで空を飛ぶんだ
I'm one of one, they'll never beat me, they'll never beat me
俺は唯一無二、奴らは絶対に俺を倒せやしない、誰にも負けねえよ
[Verse 3: LouGotCash]
Look, I pull up and save the day
見な、俺が車で乗り付けて街を救うぜ
I gotta do that in a major way (Ooh, ooh)
メジャーなやり方でかましてやらなきゃな
Who gonna save the day?
誰がこの場を救うって?
You callin' my phone, just a page away (Brr, brr)
お前が俺の電話を鳴らす、ポケベルみたいにすぐ駆けつけるぜ
※「page」はポケベル(Pager)で呼び出すこと。
You can call me, you can beep me (Ring)
いつでも電話してくれ、ポケベルを鳴らしてくれ
※ディズニーのアニメシリーズ『キム・ポッシブル』の有名なテーマソング「Call me, beep me, if you wanna reach me」からのサンプリング/オマージュ。ヒーローを呼び出すというコンテクストにポップカルチャーを交えている。
'Cause I promise you that nobody could beat me (Yeah)
約束するよ、誰も俺を倒せないってな
I know everything there is that you could teach me (Hey)
お前が教えられることなんて、もう全部知ってるんだよ
On a bad day, a villain can't defeat me (Ooh)
どんなに最悪な日(Bad day)でも、ヴィランが俺を倒すことはできない
Don't sign up (Yeah) for this contract (No)
この契約書にはサインするなよ
※ヴィラン側(あるいは悪徳レーベル)からの甘い誘いや取引に応じるなというストリートの警告。
You don't want that, you don't want the contact
こんな状況望んでないだろ、関わり合いになりたくないはずだ
(Don't want the contact)
(関わりたくないはずだ)
I'm on a building, you better get your hard hat (Yeah)
俺はビルの上にいる、ヘルメット(安全帽)を用意しとけよ
※高層ビルから攻撃を仕掛けるスパイダーマンの姿。下で巻き込まれる連中への警告(あるいは建設現場のようにハードな状況であることのメタファー)。
Everybody gotta fear when there's combat (Hey)
戦闘になれば、誰もが恐怖を感じるもんだ
Let 'em stand up, good, bring 'em to (Ooh, ooh)
奴らを立たせてやれ、いいぞ、連れてこい
Have you hangin' off a web, I could save you too (Yeah)
クモの糸でお前を宙吊りにしてやるよ、ついでにお前も救ってやれるぜ
※敵をウェブで吊るし上げるスパイダーマンのアイコニックなアクション。同時に、敵対する相手ですら死なせずに「救済」してしまうという、不殺を貫くヒーローとしての余裕。
That's what I do, you relate to
それが俺のやり方さ、お前も共感できるだろ
When I pull up, everybody praise Lou
俺が乗り付ければ、みんながLou(LouGotCash)を讃えるんだ
[Chorus: Jacquees]
I pull up and save the day
車で乗り付けて、この場を救ってやるよ
Don't want any problems, I'll be a call away
揉め事は御免だが、電話一本ですぐに駆けつけるぜ
I'm ready for action, flying without a cape
いつでも行動できるぜ、マントなしで空を飛ぶんだ
I'm one of one, they'll never beat me, they'll never beat
俺は唯一無二、奴らは絶対に俺を倒せやしない、誰にも負けねえよ
