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Memories - Thutmose 【和訳・解説】

Artist: Thutmose

Album: Spider-Man: Into the Spider-Verse (Soundtrack From & Inspired by the Motion Picture)

Song Title: Memories

概要

本楽曲は、ナイジェリア生まれブルックリン育ちの気鋭ラッパーThutmose(トトメス)が手掛けた、映画『スパイダーマン:スパイダーバース』を彩るメランコリックなヒップホップ・チューンだ。劇中では、主人公マイルス・モラレスがエリート校(ブルックリン・ヴィジョンズ・アカデミー)の校内をヘッドホンで音楽を聴きながら歩くシーンで使用されており、彼が抱える「新しい環境での疎外感」や「過去の居心地の良い日常への未練」を見事に代弁している。表面上はトキシックな恋愛関係とその終焉、美化された記憶(Memories)との葛藤を歌った失恋ソングだが、映画の文脈においては、ピーター・パーカーの死後に別次元から全く同じ記憶を持つ別のピーターが現れるというメタ的な展開や、ヒーローの自己犠牲の虚無感を予見させる極めて重要な伏線として機能している。アフロビーツのルーツとブルックリンのストリート感が融合した、哀愁漂う傑作である。

和訳

[Intro]

My memories, I
俺の記憶、俺は

My memories, I
俺の記憶、俺は

[Chorus]

My memories came back in the form of someone else
俺の記憶が、別の誰かの姿をして蘇ってきたんだ
※「別の誰かの姿をして(in the form of someone else)」は、新しい恋人や他者の中に、失った元恋人の面影を見出してしまう切ない心情を描いている。しかし、映画『スパイダーバース』の文脈に照らし合わせると、これは極めて予言的なラインだ。亡くなったこの宇宙のピーター・パーカーの記憶と喪失感が、別次元からやってきた「少し草臥れた別のピーター・B・パーカー」という全く別の姿をしてマイルスの前に現れるという、メタ的な伏線として見事に機能している。

I know this feelin', yes I know this very well
この感覚、ああ、痛いほどよく知ってるぜ
※過去のトラウマや後悔がフラッシュバックする際の、身体的・精神的な痛みの反復を示している。

Why won’t you love me now? Why won't you love me now?
どうして今は俺を愛してくれないんだ?なあ、どうしてなんだよ?
※過去の甘い記憶と、現在の冷え切った関係のギャップへの嘆き。地元の中学校の友人たちから引き離され、新しいエリート校になじめずに孤独を感じているマイルスの「誰かに受け入れてほしい」という渇望ともリンクする。

Why won't you love me now? (Why won’t you love me now?)
どうして今は俺を愛してくれないんだ?(どうしてなんだよ?)

[Verse 1]

Memories
記憶ってやつは

It's gon' take some gettin' used to
慣れるまでに少し時間がかかるんだ
※「get used to」は新しい環境や状況に順応すること。過去の記憶を消化し、現状(失恋、あるいはマイルスが新しい学校や自らの運命を受け入れること)に適応する苦しみを表現している。

Memories
記憶ってやつは

Feel the pain when it hits you
ふと襲いかかってきた時、痛みを伴うのさ

Memories
記憶ってやつは

Don't you ever let them fool you
絶対にそいつに騙されちゃダメだ
※人間の脳は過去を美化しがちであるという心理的な事実を突いている。「fool(騙す)」という言葉を用いることで、ノスタルジーという甘い毒に浸ることの危険性を警告している。

Don't you ever let them fool you
美化された過去に惑わされるなよ

'Cause I know that you know that it ain't true
だって、それが真実じゃないってこと、君だって、俺だって分かってるだろ

I learned the hard way about trust, about us, about us
「人を信じる」ってことや、俺たち二人のこと、手痛い目に遭って思い知ったんだ
※「learn the hard way」は苦い経験を通して教訓を得るというイディオム。マイルスがこの先直面することになる、信じていた叔父アーロンの裏の顔(プラウラー)を知るという残酷な展開を暗示しているようにも響くラインだ。

You shouldn’t be on your high horse, we’re not so stable anymore
そんな高飛車な態度はやめろよ、俺らの関係はもう「馬小屋(stable)」みたいに安定しちゃいないんだからな
※「on your high horse(高飛車な態度をとる、見下す)」という英語の慣用句と、「stable(安定した / 馬小屋)」という単語を掛け合わせた、ヒップホップ特有の極めて巧みなワードプレイ(馬のメタファー)。相手の傲慢さを批判している。

[Pre-Chorus]

What's left if I give you my all?
もし俺のすべてを捧げちまったら、俺には何が残るっていうんだ?
※恋愛において相手に全てを尽くし、自分が空っぽになってしまうことへの恐怖。同時に「大いなる力には大いなる責任が伴う」というヒーローの命題において、私生活を犠牲にして街を守り続けるスパイダーマンの自己犠牲と虚無感を代弁している。

Give you my all, give you my all
俺のすべてを、全部捧げちまったら

What’s left if I give you my all?
もし俺のすべてを捧げちまったら、俺には何が残るっていうんだ?

Give you my all, give you my all
俺のすべてを、全部捧げちまったら

What's left if I give you my all?
もし俺のすべてを捧げちまったら、俺には何が残るっていうんだ?

Give you my all, give you my all
俺のすべてを、全部捧げちまったら

What's left if I give you my all?
もし俺のすべてを捧げちまったら、俺には何が残るっていうんだ?

Give you my all, give you my all
俺のすべてを、全部捧げちまったら

[Chorus]

My memories came back in the form of someone else
俺の記憶が、別の誰かの姿をして蘇ってきたんだ

I know this feelin', yes I know it very well
この感覚、ああ、痛いほどよく知ってるぜ

Why won’t you love me now? Why won't you love me now?
どうして今は俺を愛してくれないんだ?なあ、どうしてなんだよ?

Why won't you love me now? Why won't you love me now?
どうして今は俺を愛してくれないんだ?なあ、どうしてなんだよ?

[Bridge]

My memories, I (Ahh)
俺の記憶、ああ

My memories, why won't you love me now? (Ahh)
俺の記憶よ、どうして今は俺を愛してくれないんだ?

[Verse 2]

Stepped over me like a sidewalk
俺のことをまるで歩道みたいに踏みつけていきやがったな
※「sidewalk(歩道)」という都会的で冷たいモチーフ。人をモノのように扱い、文字通り「踏み台にして通り過ぎる」元恋人の非情な態度を視覚的に描写している。

That's your loss, your loss
でもそれはお前の損失だ、お前が損したんだよ
※「Your loss」は失恋後に「私を振るなんてあなたの損よ」と強がる時の定番フレーズ。傷つきながらもラッパーとしてのエゴとプライドを保とうとする自己防衛。

You self-destruct and I watch, I watch, I watch
お前が自滅していくのを、俺はただ黙って見てるだけさ

Memories
記憶ってやつは

Don't let 'em fool you, baby
そいつに騙されちゃダメだぜ、ベイビー

Memories
記憶ってやつは

Don't you ever let them fool you
絶対に美化された過去に惑わされるなよ

'Cause I know that you know that it ain't true
だって、それが真実じゃないってこと、君だって分かってるだろ

Lock it up, lock it up, I can't deal with ya
もう終わりにしようぜ、お前とはこれ以上やってられねえよ
※「Lock it up」は感情や関係を「封鎖する、鍵をかける」こと。過去の記憶に囚われる自分との完全な決別宣言。

Lock it up, lock it up, take your things witcha
鍵をかけて閉ざすんだ、お前の荷物も全部持っていけよ

I finally had enough
俺もとうとう愛想が尽きたよ

Out to the ride you go
さあ、車に乗ってとっとと出て行ってくれ
※「Out to the ride」は「車に向かって外に出る=立ち去る」こと。未練を断ち切り、相手を完全に自分の人生(家や心の中)から追い出す物理的・精神的なアクションを促している。

[Pre-Chorus]

What's left if I give you my all?
もし俺のすべてを捧げちまったら、俺には何が残るっていうんだ?

Give you my all, give you my all
俺のすべてを、全部捧げちまったら

What's left if I give you my all?
もし俺のすべてを捧げちまったら、俺には何が残るっていうんだ?

Give you my all, give you my all
俺のすべてを、全部捧げちまったら

What's left if I give you my all?
もし俺のすべてを捧げちまったら、俺には何が残るっていうんだ?

Give you my all, give you my all
俺のすべてを、全部捧げちまったら

What's left if I give you my all?
もし俺のすべてを捧げちまったら、俺には何が残るっていうんだ?

Give you my all, give you my all
俺のすべてを、全部捧げちまったら

[Chorus]

My memories came back in the form of someone else
俺の記憶が、別の誰かの姿をして蘇ってきたんだ

I know this feelin', yes I know it very well
この感覚、ああ、痛いほどよく知ってるぜ

Why won't you love me now? Why won't you love me now?
どうして今は俺を愛してくれないんだ?なあ、どうしてなんだよ?

Why won't you love me now? Why won't you love me now?
どうして今は俺を愛してくれないんだ?なあ、どうしてなんだよ?

[Outro]

Why won't you love me now? Why won't you love me now? (Ahh)
どうして今は俺を愛してくれないんだ?なあ、どうしてなんだよ?(ああ)

Why won't you love me now? Why won't you love me now? (Ahh)
どうして今は俺を愛してくれないんだ?なあ、どうしてなんだよ?(ああ)