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Cherchez LaGhost - Ghostface Killah (feat. U-God) 【和訳・解説】

Artist: Ghostface Killah (feat. U-God)

Album: Supreme Clientele

Song Title: Cherchez LaGhost

概要

2000年にリリースされたGhostface Killahの2ndアルバム『Supreme Clientele』から、最もキャッチーでクラブフレンドリーな一曲として知られるのが本作である。プロデューサーのCarlos "Six July" Broadyは、1976年のディスコ・クラシック、Dr. Buzzard's Original Savannah Bandの「Cherchez La Femme」をサンプリング。原曲のトロピカルで軽快なニュアンスを活かしつつ、ウータン流のザラついたストリート感を同居させている。タイトルの「Cherchez LaGhost」は、フランス語の「Cherchez la femme(女を探せ)」というフレーズを自身の名に置き換えたパロディだ。当時、Wu-Tang Clanがハードコア路線からやや洗練されたサウンドへとシフトしていた時期の産物であり、Ghostfaceの「Tony Starks」としてのピンプ(女衒)的なペルソナと、U-Godの低音フロウが絶妙なパーティー・バイブスを生み出している。ビルボードのラップチャートで上位を記録し、コアなファン以外にも彼の名を知らしめた重要なヒット作である。

和訳

[Intro: Madam Majestic]

Tommy Mottola lives on the road
トミー・モトーラは旅暮らし
※当時ソニー・ミュージックの会長だったトミー・モトーラをネームドロップ。サンプリング元の歌詞を改変し、業界の権力者をストリートの物語に引き込んでいる。

He lost his lady two months ago
2ヶ月前に女を失ったのさ

Maybe he'll find her, maybe he won't
彼女を見つけ出せるか、それとも無理か

Oh wonder that love
ああ、愛とは不思議なものね

[Verse 1: Ghostface Killah & U-God]

Brothers try to pass me, but none could match me
野郎どもが俺を追い越そうとするが、誰一人として相手にならないぜ

No girl can freak me, I'm just too nasty
どんな女も俺を骨抜きにはできない、俺はあまりにイカれすぎてるからな

Lost on the dance floors, I attack y'all
ダンスフロアで我を忘れ、お前ら全員を圧倒してやる

Snuck through the back door, guess who they saw?
バックドアから忍び込んだ俺たちを、奴らは誰だと思っただろうな?

Goldie and Ghost, black African Rose
ゴールディとゴースト、黒いアフリカン・ローズだ
※「Goldie」は映画『The Mack』に登場する伝説的なピンプのキャラクター。自身をストリートのカリスマに例えている。

Star-studded low lenses, plus the mural was dope
星がちりばめられたサングラスに、最高の壁画の如き佇まい
※「Low lenses」は当時Ghostが愛用していた、視線の低い位置でかける独特のスタイルのサングラスを指す。

Airbrush W-B's, stop! (Shake your body, body)
エアブラシで描かれたウー・ウェアー、止まりな!(体を揺らせ)
※「W-B's」はWu-Tang Brandの略。エアブラシでカスタムされたジャージは当時のNYストリートの正装だ。

And cop a couple of these (She's a hottie, hottie)
こいつをいくつか手に入れな(あの子は最高にホットだ)

[Interlude: Madam Majestic & Ghostface Killah]

Schott Free and Sean C, very upset (For what? For what?)
ショット・フリーとショーン・C、二人はひどく立腹してる(何のために?何だって?)
※「Schott Free」と「Sean C」はLoud Recordsの重要人物や制作関係者。業界の裏事情を歌詞に織り交ぜるGhost特有の手法だ。

They're sick and tired of living in debt
借金まみれの生活にはもうウンザリなんだ

Tired of roaches and tired of rats
ゴキブリやネズミ(裏切り者)にはもう飽き飽きなのさ

I know they are over
もう全て終わったことなのよ

[Verse 2: U-God]

One in the head, I'm fed, this is how we doin'
薬室には一発、準備は万端だ。これが俺たちのやり方さ
※「One in the head」は銃に弾丸が装填されている状態。常に警戒を怠らないストリートの緊張感を示している。

Put a Rough Rider on my dick, bust right through 'em
ラフ・ライダー(コンドーム)を装着し、奴らをブチ抜いてやる
※DMX率いる「Ruff Ryders」と、同名のコンドームブランドを掛けたトリプルミーニングに近いギミック。当時のシーンの勢力図への目配せでもある。

Come out your shirt, insert the party rhyme
シャツを脱ぎ捨て、パーティー用の韻を叩き込む

Fine Dr. Buzzard, Bacardi Lime
極上のドクター・バザード、バカルディ・ライムを煽りながらな
※サンプリング元のアーティスト名「Dr. Buzzard」をリリックに組み込み、祝祭感を演出している。

We passing it, takes the shake your Calvin Klein
酒を回し飲みし、カルバン・クラインの服を揺らす

Before the floor gets moist, taste and follow mine
フロアが熱気で湿る前に、俺のフロウを味わってついてきな

Swallow nine, model dimes from Bahamas
バハマから来た10点満点のモデルたちが、9ミリの弾丸をも飲み込む
※「Dimes」は10点満点の美女。「Swallow nine」は性的なメタファーと、死をも厭わない覚悟のダブルミーニングだ。

Slim doo-doo makers stuffed inside pajamas
パジャマに詰め込まれた、スリムな極上の女たちさ
※「Doo-doo makers」はGhostやU-God特有の、女性の身体的魅力を指す独特で下世話なスラング。親しみやすさと下品さの境界を攻める彼ららしい表現である。

[Outro: Madam Majestic]

They'll take all your rhymes with a Colgate smile, hey baby
奴らはお前のライムを奪い去る、コルゲートのCMみたいな白い歯を見せてな
※「Colgate smile」は、爽やかで完璧な笑顔。外面だけは良いが、実際には才能を搾取する業界人への痛烈なサブリミナル・メッセージだ。

They'll love you one second, then hate you the next
一秒前まで愛してたくせに、次の瞬間には手のひらを返す

Oh ain't it crazy baby, yeah
ああ、本当にクレイジーよね、ベイビー

Tony's his name, the undefeated champion, whoa, yeah (Blow 'em down God)
トニーというのが彼の名、無敗のチャンピオンなのさ(奴らをなぎ倒せ、兄弟)

Now he's alone, he's just the king of his throne (Yeah, aha)
今は孤独に、玉座に座る王として君臨している

Always will be my friend, Ghostface Killah (Truly yours, peace boo)
いつだって私の友人、ゴーストフェイス・キラー(心からお前のものだ、さらばだベイビー)