Artist: Larry June , Curren$y & The Alchemist
Album: Spiral Staircases
Song Title: Palo Santo
概要
西海岸の「ヘルシーなハスラー」として独自の地位を築くラリー・ジューン(Larry June)と、ニューオーリンズを代表するインディペンデントの首領カレンシー(Curren$y)、そして現行ヒップホップシーンで最も信頼されるプロデューサー、ジ・アルケミスト(The Alchemist)による至高のコラボレーショントラック。タイトルの「Palo Santo(パロサント)」とは、場を浄化しポジティブなエネルギーを呼び込むために焚かれる南米産の香木のこと。過去のドラッグディールや警察に怯えていた過酷な時代を振り返りつつ、現在はオーガニックなライフスタイルと莫大な富を手に入れたラリーの精神的成熟がこのタイトルに象徴されている。中盤に挿入されたノトーリアス・B.I.G.のインタビュー音声は、「自分の過去の過ちを反面教師にするか、成功の青写真にするかはリスナー次第だ」という彼らの達観したハスラー哲学を裏打ちしており、アンダーグラウンドの枠を超えたクラシックとしての風格を漂わせている。
和訳
[Intro: Larry June]
Spitta, what's happenin'?
スピッタ、調子はどうだ?
※「Spitta」は客演のカレンシー(Curren$y)の愛称。
My motherfuckin' brotha, man (Uh)
俺のマザーファッキンな兄弟さ (Uh)
(Ay ay ay, ay ay ay)
(Larry!)
[Verse 1: Larry June]
Sometimes I wonder if this life really meant for me
時々、この人生が本当に俺に用意されたものなのかと考える
I got the money and the fame, but is it meant for me? (Is it meant for me?)
金も名声も手に入れたが、それは俺のためのものなのか?(俺のためのものなのか?)
I used to be in a race with my own freedom (Damn)
かつては自分の自由を賭けたレースをしていた (Damn)
※ストリートの犯罪稼業で、いつ警察に捕まり自由を奪われるか分からないギリギリの生活をしていたことの回想。
I been through a whole lot, man, you wouldn't believe it
色んなことを経験してきたんだ、なぁ、お前らには信じられないだろうな
I used to pray that I would hit for a thousand grams
昔は1000グラムの取引を成功させてくれと祈っていたものさ
※「1000 grams」は1キロのコカインのこと。ストリートのドラッグディーラーにとっての大きな指標。
A one-way Greyhound out to AZ
アリゾナへ向かう片道切符のグレイハウンドバス
※長距離バスで州境を越え、ドラッグの仕入れや密輸を行っていた下積み時代の描写。
A teardrop on my face, them was my lowest times
顔には一筋の涙、あの頃が俺のどん底の時代だった
Thankful 'cause them days really made me, me (Yeah)
だが感謝している、あの日々が本当の俺を形作ったんだから (Yeah)
If you can't do the time, don't do the crime
刑期を務める覚悟がないなら、犯罪には手を染めるな
※ストリートの有名な鉄則。「Do the time」は刑務所に入ること。
I'm borderline one of the hottest niggas that done hit the mic (Done hit the mic)
俺はマイクを握った奴らの中で、間違いなくトップクラスにイケてる男の一人だ(マイクを握った中で)
If you go do it, nigga, do it right (I do it right)
もしやるなら、ニガ、正しくやり遂げろ(俺は正しくやってる)
SF90 with the chinky eyes (Doing numbers)
細い目をしたSF90に乗っている(数字を出してるぜ)
※「SF90」はフェラーリのスーパーカー。細く鋭いヘッドライトのデザインを表現している。
Sock it to my pocket like John Rocket
ジョン・ロケットみたいに、俺のポケットに金をガツンと流し込む
※「Sock it to me」という昔からのソウル/ファンク特有の言い回しとポケット(資金)を掛けている。
Layin' low, 12 on my back like John Stockton (Good job)
身を潜める、ジョン・ストックトンみたいに背中には12を背負ってな(よくやった)
※「12」は警察を意味するスラング。NBAユタ・ジャズの伝説的選手ジョン・ストックトンの背番号12と掛け、常に警察(12)が背後に迫っている状況を見事に表現したパンチライン。
Gucci link, '88 like, who coppin'?
グッチのリンクチェーン、88年スタイルだ、誰が手に入れる?
Just for the kit on the coupe cost two dollars (Keep going)
クーペのキットだけで2ドルかかったぜ(そのまま続けろ)
※ストリートのスラングで「2 dollars」は2,000ドル、あるいは20万ドルなどの大きな金額を控えめに言う表現。
Make a juice in the morning, count a couple dollars
朝はフレッシュジュースを作り、いくらかの札束を数える
※健康志向のラリー・ジューンらしい、オーガニックな朝のルーティン。
Light the Palo Santo, toss on some Midnight
パロサントに火をつけ、ミッドナイトを流す
※タイトルの回収。「Palo Santo」は空気を浄化する香木。R&Bバンドのミッドナイト・スター(Midnight Star)などを流してリラックスする様子。
If I ain't getting to it, I don't sleep right (I don't sleep right)
稼ぎに向かっていなけりゃ、まともに眠ることすらできない(まともに眠れない)
Can't stop now, gotta' keep fightin'
今は止まれない、戦い続けなきゃならないんだ
[Interlude: The Notorious B.I.G]
(...saying, you could take it either way you want to)
(…つまり、お前らがどう受け取るかは自由だってことさ)
(You could take it as you wanna be like me, or you could take it as you wanna stay away from what I was doing)
(俺みたいになりたいと受け取ることもできるし、俺がやっていたような危険なことからは距離を置こうと受け取ることもできる)
※伝説のラッパー、ノトーリアス・B.I.G.のインタビュー音声。自分たちのハスラーとしての過去を歌う目的が、単なる美化ではなく、リスナーへの教訓や選択肢の提示であるというメッセージ。
[Verse 2: Curren$y]
Uh
The sound of xylophones fill my home
ザイロフォンの音色が俺の家を満たしている
※アルケミストのビートで鳴り響く心地よいメロディのこと。
Smoke from the bong, Eastside my time zone
ボングからの煙、イーストサイドが俺のタイムゾーンだ
※カレンシーの地元であるニューオーリンズのイーストサイドへのシャウトアウト。
Up jump the phone, hundred spokes, fresh chrome
電話が鳴り上がる、100本スポーク、真新しいクロームメッキ
All a nigga want, but still I'm not dumb
これらは黒人が欲しがるものすべてだ、だが俺は馬鹿じゃない
My Benz come with the cell phone, bitch, it's really on
俺のベンツには自動車電話がついてるぜ、ビッチ、マジでイケてるだろ
※90年代のハスラーの象徴であった「自動車電話付きの高級車」を現代に乗り回すという、ヴィンテージカー愛好家のカレンシーらしいフレックス。
I had the new whip movin', had to backpedal on her
新しい車を走らせていたが、あの子には後ずさりしなきゃならなかった
Like, I'm busy at the moment, but I truly do want ya
「今はちょっと忙しいんだ、でも本当は君のことが欲しいんだぜ」ってな
You cool up in here, mama, we got eyes on ya
ここでくつろいでな、ママ、俺たちは君から目を離さないから
Yeah, they shooters, but they cool niggas, they really my homies
あぁ、あいつらはシューター(銃撃手)だが、クールな奴らだ、本当に俺の仲間なんだ
Paved the driveway, I parked some Bentleys on it
ドライブウェイを舗装して、そこに何台かのベントレーを停めた
Done that shit my way, independent only
俺のやり方で成し遂げたのさ、インディペンデント(独立独歩)だけでな
※メジャーレーベルに頼らず、自身のレーベル(Jet Life Recordings)で莫大な富を築き上げたカレンシーの誇り。
If it's really money, I'm there in a jiffy huntin'
それが本物の金の話なら、俺はあっという間に狩りに向かうぜ
I took everything, them niggas, they ain't really want it
俺がすべてを奪い取った、あいつらは本当はそれを望んでいなかったのさ
They never been inside the ring with a real opponent
奴らは本物の対戦相手と同じリングに上がったことすらない
We ain't sparrin', I'ma scar 'em up and pick apart 'em
スパーリングのつもりはない、俺は奴らに傷を負わせ、徹底的に解体してやる
Can't nobody call me off lil whatchu' call it?
誰も俺を止めることなんてできない、えっと、何て言うんだっけ?
Cry for help, they self destructive alcoholics
助けを求めて泣き叫ぶ、奴らは自己破壊的なアル中さ
They barely G-league, and we playoff ballin'
奴らはせいぜいGリーグ止まりだ、俺たちはプレーオフで戦ってるんだよ
※NBAの下部リーグ(Gリーグ)と、優勝を争うプレーオフを対比させ、ラッパーとしての格の違いを見せつけている。
Double Ferraris, but that ain't funny mirrors, bitch they really in here
フェラーリが2台に見えるだろうが、おかしな鏡のせいじゃないぜ、ビッチ、本当にここにあるんだ
※遊園地にあるようなマジックミラー(funny mirrors)の幻覚ではなく、実際に高級車を複数台所有しているという圧倒的な富の証明。
And I'm being sincere, we been wearin' minks here
俺は真面目に言ってるんだ、俺たちはここでミンクのコートを着てきた
Diamond Cuban links, we rinse 'em off in marble sinks, yeah
ダイヤモンドのキューバンリンクチェーン、大理石のシンクでそれを洗い流すのさ (Yeah)
These slated for '28, but I got 'em this year
こいつらは2028年発売予定の代物だ、だが俺は今年それを手に入れたぜ
※一般市場に出回る遥か前の限定モデルの車やスニーカーを、特権階級としていち早く入手しているという究極のフレックス。
Yeah
