Artist: Freddie Gibbs
Album: $oul $old $eparately
Song Title: Blackest In The Room
概要
Freddie Gibbsのメジャー・デビュー・アルバム『$oul $old $eparately』に収録された、極めてコンシャスで鋭利な視点が光るトラック。プロデュースはGibbsとの黄金タッグで知られるThe Alchemistが担当。前半(Part I)では、Sam Cookeが直面した人種差別の壁や、Fred Hampton暗殺事件、フリント市の水道水汚染問題など、アメリカにおける黒人の痛みの歴史と社会問題に深く切り込み、自身が「この部屋で最も黒い(Blackest In The Room)」存在としての誇りと怒りをマイクにぶつける。一方で、保守派の最高裁判事Clarence Thomasに対する過激な言及は、ヒップホップコミュニティ内で大きな議論を呼んだ。ビートが切り替わる後半(Part II)では一転して、ストリートの冷酷なトラップスターとしてのペルソナに戻り、警察の監視や葬式すら襲撃されるフッドのパラノイアを、映画『Friday』やVerzuzでの乱闘騒ぎといった多彩なカルチャー・リファレンスを交えて生々しく描写している。コンシャス・ラップとギャングスタ・ラップの境界を自在に行き来する、Gibbsのリリシストとしての真骨頂である。
和訳
[Part I]
[Intro]
Yeah, yeah
イェー、イェー
You know what, Al?
なぁアル、分かるか?
※プロデューサーのThe Alchemistのこと。
Y-you know what I'm sayin'? What—
俺の言ってること分かるか? 何が—
What a nigga do if I went so, so, so cold with this shit? You dig? (So cold)
もし俺がこのシットで極限まで冷酷にカマしたら、ニガはどうすると思う? 分かるか?(極限まで冷酷にな)
Yeah
イェー
[Verse 1]
Where would you go? What would you do? Who would you screw?
どこへ行く? 何をする? 誰をハメる?
Black Forces, so his brain ain't leave a stain on my shoe
ブラック・フォースを履いてるから、あいつの脳みそが俺の靴にシミを残すことはない
※Nike Air Force 1の黒色。ストリートでは「犯罪や強盗をする時に履く汚れが目立たない靴」としてミーム化されている定番のスラング。
Uh, this GOAT talk, bet they put my face on that mountain too (Yeah)
あぁ、これはGOAT(史上最高)の会話だ、奴らはあの山に俺の顔も彫り込むはずだぜ (Yeah)
※アメリカの偉大な大統領の顔が彫られているラシュモア山に例え、自分がラップゲームの偉人であると主張。
Blackest in the room like I'm Sam Cooke at the Fontainebleau (Yeah, yeah)
部屋の中で一番黒い、フォンテンブローでのサム・クックみたいにな (Yeah, yeah)
※伝説的な黒人ソウル歌手Sam Cookeへの言及。マイアミの高級ホテル「Fontainebleau」などの白人中心の空間に乗り込んだ黒人エンターテイナーの孤独と誇り。
Blackest in the room like I'm Sam Cooke at the Copa (Yeah)
部屋の中で一番黒い、コパカバナでのサム・クックみたいにな (Yeah)
※1964年の名盤『Sam Cooke at the Copa』のリファレンス。白人客が多いナイトクラブでのパフォーマンス。
East Gary niggas, we stick together like dope and soda
イースト・ゲーリーのニガたち、俺たちはドープとソーダみたいに固く結びついている
※コカイン(dope)と重曹(soda)を混ぜてクラックを作るように、固い結束を持つゲーリーの仲間たち。
Put that shit on Nation, my cliquelation on Costra Nostra
ネイションに誓うぜ、俺の組織はコーザ・ノストラのやり方さ
※「Nation」はシカゴやインディアナのギャング連合(People Nationなど)。「Costra Nostra」はイタリアン・マフィアの掟。
If I smoked him on this side, will I see him when I cross over? Damn
もし俺がこっち側であいつを殺したら、向こう側へ渡った時にあいつに会うことになるのか? クソ
※現世(this side)で殺した敵と、死後(cross over)の世界で再会することへの深い恐れと倫理的葛藤。
Gotta spit it 'cause it sit on my heart
心に重くのしかかっているから、吐き出さなきゃならないんだ
The shit I think when I look up at the stars
星を見上げる時に考えることさ
I went to jail, the warden put me in the hole 'cause I wouldn't rap for the guards
刑務所に入った時、看守たちのためにラップしなかったから、所長に独房に入れられた
I had bars back when Lambo burned my demo on a CDR
ランボが俺のデモをCDRに焼いていた頃から、俺には確かなバースがあった
※「Lambo」はGibbsの長年のマネージャーであるBen "Lambo" Lambert。
This GOAT talk, nigga, TB12
これはGOATの会話だ、ニガ、TB12さ
※NFLの史上最高のクォーターバック、トム・ブレイディ(TB12)へのネームドロップ。
From the streets to the cell, bitch, I bail, all well (All well)
ストリートから独房まで、ビッチ、俺は保釈される、すべて順調さ (All well)
Got the AK with the catcher, we ain't leavin' no shells
キャッチャー付きのAKを持ってる、薬莢は一つも残さないぜ
※薬莢受け(brass catcher)を銃に装着し、現場に証拠を残さない暗殺のプロフェッショナルな手口。
Plus I'm surgical with this bitch like Training Day Denzel, yeah
それに俺はこのビッチ(銃)を『トレーニング・デイ』のデンゼルみたいに外科医レベルで正確に扱うぜ、イェー
※映画『トレーニング・デイ』の悪徳警官アロンゾを演じたデンゼル・ワシントンのように、冷酷かつ正確に撃つという意味。
Blackest in the room, Fred Hampton, they came and shot it up
部屋の中で一番黒い、フレッド・ハンプトンさ、奴らがやって来て銃を乱射しやがった
※ブラックパンサー党シカゴ支部の若きリーダー。就寝中にシカゴ市警とFBIの急襲を受けて暗殺された歴史的事件。
Blackest in the room, Jeff Fort when he hit Gaddafi up
部屋の中で一番黒い、カダフィと連絡を取った時のジェフ・フォートさ
※シカゴの巨大ギャング「El Rukn(旧Black P. Stones)」の創設者。リビアの独裁者カダフィ大佐から資金援助を引き出そうとして国家反逆罪に問われた。
Blackest in the room, why can't niggas hit Clarence Thomas up?
部屋の中で一番黒い、どうしてニガたちはクラレンス・トーマスを撃たないんだ?
※保守的な判決を連発する黒人の最高裁判事。黒人社会の利益に反するとして、裏切り者(アンクルトム)と見なされていることへの過激な発言。
My cousin live in Flint, she been sick since they fucked the water up
俺の従姉妹はフリントに住んでいる、奴らが水道をめちゃくちゃにしてから、彼女はずっと病気なんだ
※ミシガン州フリントの深刻な水道水鉛汚染問題。行政が見捨てた黒人コミュニティの被害を告発している。
[Part II]
[Verse 2]
I start the drama up (You forgot)
俺がドラマ(抗争)を始めるんだ(お前は忘れたのか)
Black suits and black curses, limo service pick your mama up (Pick your mama up, bitch)
黒いスーツに黒い呪い、お前の母親を迎えにリムジン・サービスが来るぜ(お前のママを迎えに行くぜ、ビッチ)
※葬儀(リムジンは霊柩車や遺族の車)のメタファー。お前の家族に死をもたらすという脅し。
Checked out on that ambulance, too late to hit the doctor up (Yeah)
あの救急車の中で息を引き取った、医者に連絡するには遅すぎたな (Yeah)
Cut off all my bitches from last year, I cleaned my roster up (Cut that bitch)
去年のビッチどもは全員切り捨てた、俺のロースター(名簿)を綺麗に整理したのさ(あのビッチを切り捨てろ)
A nigga did a rebuild, tons on the scizale
ニガは再建を図ったんだ、秤には大量のブツが乗っている
※「scizale」はscale(秤)をSnoop Doggのようにizzスラング化した言葉。
Shows, I need a hundred fifty thousand like I'm Ezal (I need a hundred fifty thou')
ショーだ、俺には15万ドル必要だ、俺がイゼルであるかのようにな(15万ドル必要なんだよ)
※映画『Friday』のキャラクターEzalが「首を痛めたから15万ドルもらえる」と言い張る有名なシーンの引用。自身のライブのギャラと掛けている。
Sent in on the truck, the pack too big to do the mizail
トラックで送られてきた、そのパッケージは郵便で送るにはデカすぎるんだ
※「mizail」はmail(郵便)。大量の麻薬を密輸している状況。
Tried to kick that cup, but fucked around and I got a refill
あのカップ(リーン)をやめようとしたが、ふざけてるうちにおかわりをもらっちまった
Fuck around, we gon' find out
ふざけた真似をしてみろ、俺たちが見つけ出してやる
Fuck around, get found slumped
ふざけた真似をしてみろ、ぐったりした状態で発見されることになるぜ
Silly bitches, they be worried 'bout a nigga body count 'stead of countin' up
愚かなビッチどもだ、あいつらは金を数える代わりに、ニガのボディ・カウントを気にしてやがる
※「body count」は殺害数、または経験人数。
Forgiato with the floatin' caps on the new 'Lac, got it mounted up
新型のキャデラックに、センターキャップが浮くフォージアートのホイールを装着したぜ
Baby tried to throw that ass out, but I was passed out and she was out of luck
ベイビーがそのケツを突き出そうとしたが、俺は気絶するように眠っていて、あいつは運が悪かったのさ
Yeah, you out of luck, bitch
あぁ、お前は運が悪いんだよ、ビッチ
Nervous 'cause detectives is lurkin', they pick the workers up (Yeah)
刑事がうろついているから神経質になってる、奴らは末端の売人たちを連行していく (Yeah)
Jump it off like Bizzy and Juicy, I fuck these verses up
ビジーとジューシーみたいに乱闘を始めるぜ、俺はこのヴァースをめちゃくちゃにブッ殺すんだ
※Verzuz(ヒット曲バトル番組)でのBone Thugs-N-HarmonyのBizzy BoneとThree 6 MafiaのJuicy Jの間に起きた乱闘騒ぎの引用。
Kane Train kick-door, shorty, you just a burglar (Yeah)
ケイン・トレインがドアを蹴破る、ショーティ、お前はただのコソ泥にすぎない (Yeah)
My pistol in my pillow, I sleep amongst all the murderers
枕の中にピストルを忍ばせる、俺はすべての殺人鬼たちに囲まれて眠るんだ
Nervous 'cause detectives is lurkin', they pick the workers up (Yeah)
刑事がうろついているから神経質になってる、奴らは末端の売人たちを連行していく (Yeah)
Jump it off like Bizzy and Juicy, I fuck these verses up (Kane Train, bitch)
ビジーとジューシーみたいに乱闘を始めるぜ、俺はこのヴァースをめちゃくちゃにブッ殺すんだ(ケイン・トレインだ、ビッチ)
Niggas don't give no fuck, if you die, they might shoot your service up (Baow)
ニガどもは知ったこっちゃない、もしお前が死ねば、奴らはお前の葬儀で銃を乱射するかもしれないぜ (Baow)
※敵対するギャングが葬式(service)を襲撃するという、シカゴなどで頻発する非情なストリートの現実。
My pistol in my pillow, I sleep amongst all the murderers, nigga, yeah
枕の中にピストルを忍ばせる、俺はすべての殺人鬼たちに囲まれて眠るんだ、ニガ、イェー
[Outro]
Big Rabbit again, uh
またビッグ・ラビットだ、あぁ
Welcome to the Triple S hotel, resort, and casino, where your pleasure is our priority
トリプルS・ホテル・リゾート&カジノへようこそ、お客様の喜びが私たちの最優先事項です
※アルバム全体を貫く「Triple-S」という架空のカジノリゾートのコンセプト。
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ソウル・ソールド・セパレートリー
