Artist: Freddie Gibbs & The Alchemist
Album: Alfredo 2
Song Title: Jean Claude
概要
Freddie GibbsとThe Alchemistのタッグによる『Alfredo 2』に収録された、冷酷なストリートの哲学とヒップホップ業界への諦念が交差する傑作。タイトルの「Jean Claude」は、1988年の格闘映画『ブラッドスポーツ』に主演した俳優ジャン=クロード・ヴァン・ダムを指している。Gibbsは、弱肉強食のラップゲームと裏社会を「血で血を洗うスポーツ(Bloodsport)」に例え、そこで生き残るためにはヴァン・ダムのような戦闘姿勢が必要だと説く。リリック内では、グラミー賞を逃した悔しさをハイズマン賞を剥奪されたReggie Bushに重ねるパンチラインや、強盗に遭っても「ストリートのイメージ」を守るために警察に駆け込めないフェイクなラッパーたちを「格好の餌食」と嘲笑う場面など、彼のシニカルでリアリストな視点が冴え渡る。冒頭の日本語音声やアウトロの映画サンプリングが、The Alchemistのソウルフルなビートと相まってマフィア映画的なノワール感を極限まで高めている。
和訳
[Intro]
こちらで以上になります
Yeah, yeah
イェー、イェー
Yeah, uh
イェー、あぁ
Check, check, yeah
チェック、チェック、イェー
Check, check, check, yeah
チェック、チェック、チェック、イェー
Check, check, yeah
チェック、チェック、イェー
Oh yeah, I'm feelin' that shit now, Thurst
あぁ、今このシットを感じてるぜ、サースト
You dig
分かるだろ
Yeah, yeah
イェー、イェー
[Chorus]
She loves me, she loves me not (Loves me not)
あいつは俺を愛してる、愛してない(愛してない)
DBS in the lot, I'm taking green tea shots (Uh)
駐車場にはDBS、俺はグリーンティー・ショットを飲んでいる (Uh)
※「DBS」はアストンマーティンの高級スポーツカー。「green tea shots」はアイリッシュウイスキーやピーチリキュール等で作るアメリカのバーで定番のショットカクテル。
I usually don't drink them shits, but she gon' let me beat now (Uh)
普段はあんなもん飲まないが、あいつがヤらせてくれるからな (Uh)
She wouldn't fuck when I was broke, I guess I'm on my feet now
俺が文無しだった頃はヤらせなかったが、どうやら俺は立ち直ったみたいだな
[Verse]
Just ask Christina, I was hidin' them racks in the drop ceiling
クリスティーナに聞いてみな、俺は吊り天井の中に札束を隠していたんだ
Matthew got his PhD now, bitch, I could start a clinic (Uh)
マシューは今やPhDを取得した、ビッチ、俺はクリニックだって開けるぜ (Uh)
※ドラッグの密売を「薬局/クリニック」に例え、自分たちのハッスルが博士号(PhD)レベルの専門知識の領域に達しているというメタファー。
Every day I talk to Will Gates, plottin' on ways to get it
毎日ウィル・ゲイツと話し、金を稼ぐ方法を企てている
Hoеs done tricked y'all into trickin', let's takе this shit back to pimpin' (Nah)
女どもはお前らを騙して貢がせやがった、このシットをピンプのやり方に戻そうぜ (Nah)
Stay consistent and I guarantee, my nigga, we gon' ball, won't fall
一貫性を保てば保証するぜ、マイ・ニガ、俺たちは成り上がり、落ちぶれることはない
Life a Bloodsport, you gotta be Jean-Claude
人生はブラッドスポーツだ、ジャン・クロードにならなきゃならない
※ジャン=クロード・ヴァン・ダム主演の1988年の映画『ブラッドスポーツ』。血生臭いストリートやヒップホップ業界で生き残るための戦闘姿勢。
Saw my bitch ain't have no discipline and I ain't want no part
俺のビッチに規律がないのを見て、もう関わりたくなくなったんだ
Thinkin' she's slicker by fucking a nigga that's richer, but I ain't got no heart
もっと金持ちのニガとヤッて賢く立ち回ってるつもりだろうが、俺には心なんてないからな
Bitch, I'm from the crib, I'm reppin' that fin like I was Coldhard
ビッチ、俺はクリブの出身だ、コールドハードみたいにフィンをレペゼンしてるぜ
※「crib」は地元ゲーリーや隣接するシカゴ圏のこと。「fin」はシカゴのギャングVice Lordsが掲げる5つの頂点を持つ星(Finball)。ColdhardはシカゴのラップグループCrucial Conflictのメンバーであり、ディープな中西部のフッドの文脈を示している。
Well, shut your mouth and let these lawyers talk and it'll be no charge, on God
まあ、口を閉ざして弁護士に喋らせておけ、そうすりゃ無罪放免だ、神に誓ってな
How to make it out the east side of Gary? I wrote the book
ゲーリーのイーストサイドからどうやって抜け出すか? その本を書いたのは俺だ
Grammy night felt like niggas took my trophy like Reggie Bush, nigga (Bush, nigga)
グラミー賞の夜は、まるでレジー・ブッシュみたいにトロフィーを奪われた気分だったぜ、ニガ (Bush, nigga)
※Gibbsのアルバム『Alfredo』がグラミー賞を逃した無念と、規定違反によりハイズマン賞のトロフィーを剥奪された元NFLのスター選手レジー・ブッシュの境遇を重ね合わせた極めて秀逸なパンチライン。
She loves me, she loves me not (Loves me not)
あいつは俺を愛してる、愛してない(愛してない)
No matter how nigga's plot, I can't be knocked from my spot
ニガどもがどう企もうと、俺の座から引きずり下ろされることはない
Shoulda gave it all up in that parking lot, boy, you ain't have to get shot
あの駐車場ですべてを渡すべきだったな、ボーイ、撃たれる必要なんてなかったんだ
Gotta protect your little rap image, so you ain't gon' talk to the cops
自分のちっぽけなラップのイメージを守らなきゃならないから、警察には話さないつもりなんだろ
※強盗に遭った際、ラッパーとしての「タフなイメージ」を保つために抵抗して撃たれ、さらに警察にも協力しない(No Snitching)フェイクなギャングスタたちへの冷酷な嘲笑。
That's why it's sweet pickin', these nigga sweet licks, they free chicken
だからこそ狙い目なんだ、こいつらニガはチョロい獲物で、タダのチキンみたいなもんさ
※警察に通報できないラッパーは、強盗(lick)にとってリスクゼロの格好の獲物(free chicken)であるというストリートの非情な現実。
Took the chains off of everybody, it was a sweet mission
全員からチェーンを奪い取った、甘いミッションだったぜ
Meanwhile, I'm bustin' these bands down on some freak bitches
その間、俺はこの大金をフリークなビッチどもに使っている
Houston ho, she cheat on her wife for me, she sneak dickin'
ヒューストンの女、あいつは俺のために妻を裏切り、こっそりディックを味わってる
She loves me, she loves me not
あいつは俺を愛してる、愛してない
The rap game don't love nobody, you gotta get in and get out
ラップゲームは誰も愛しちゃくれない、入り込んで、さっさと抜け出さなきゃならない
Gotta get in and get hot, gotta get in and get paid
入り込んで熱くなり、入り込んで金を稼がなきゃならない
You can walk away from it with nothin', so when it end, it's a waste
何も持たずに立ち去ることだってある、だから終わった時に何も残っていなければ無駄なのさ
But stay persistent and I guarantee, my nigga, we gon' ball, won't fall
だが粘り強く生きろ、保証するぜ、マイ・ニガ、俺たちは成り上がり、落ちぶれることはない
Life of Bloodsport, I gotta be Jean Claude for my dogs
ブラッドスポーツの人生、俺は仲間のためにジャン・クロードにならなきゃならない
Nigga dishin' out love taps
ニガが愛のムチを放ってくる
※「love tap」は軽い攻撃や警告の射撃のこと。
I bet it be a pretty service when I send love back
俺が愛を返し(報復し)てやれば、さぞかし立派な葬儀になるだろうな
So keep it cute, nigga (Bitch)
だから大人しくしてな、ニガ (Bitch)
[Chorus]
She loves me, she loves me not
あいつは俺を愛してる、愛してない
DBS in the lot, I'm taking green tea shots
駐車場にはDBS、俺はグリーンティー・ショットを飲んでいる
I usually don't drink them shits, but she gon' let me beat now
普段はあんなもん飲まないが、あいつがヤらせてくれるからな
'Bout to fuck that ass in Paris, pussy magnifique now (Yeah, yeah)
パリであのケツとヤるところだ、プッシーは今やマニフィークだぜ (Yeah, yeah)
[Outro]
You can go
もう行っていいぞ
We both know I wasn't going back with you, bro
俺がお前と戻る気がないことなんて、お互い分かってるだろ、ブロ
You're right
その通りだ
Just like you and I both know
お前と俺の両方が分かっているようにな
Even at the top of a fuckin' mountain
クソみたいな山の頂上に立ったとしても
It's always another peak
常にその先には別の頂があるものなんだ
※映画やドラマからの音声サンプリング。富や名声の頂点に立っても、常に新しい困難や敵(別の頂)が待ち受けているという、アルバム全体を貫くノワールな世界観の結末。
