Artist: Rome Streetz
Album: Sock It 2 My Pocket
Song Title: High Speed
概要
ニューヨーク・アンダーグラウンドを牽引し、Griselda Recordsの作品群でも特筆すべき存在感を放つRome Streetzによる『Sock It 2 My Pocket』の収録曲。本作は、ストリートの最底辺から国際的なアーティストへと成り上がった彼の冷徹なハスラー・マインドと、決してブレーキを踏むことなく加速し続ける「High Speed」なライフスタイルを描いた一曲である。LSDの密売手口やクラップス(サイコロ賭博)の情景といったストリートの生々しい記憶と、DMTによる超越的な精神世界がシームレスに交差する。NasやIceberg Slim、Mobb Deep(Prodigy)といったヒップホップ/ストリートカルチャーのアイコンたちへのオマージュを散りばめながら、彼特有の多重ミーニングと緻密なライムスキームが炸裂するブーンバップの傑作だ。
和訳
[Intro]
Ayy
[Verse 1]
Smokin' loud, rollin' up, keep a bad bitch in my truck
極上のウィードを吸って巻き、トラックにはイケてるビッチを乗せている
※「loud」は匂いの強い高品質なマリファナを指すスラング。
That's down to take the money out your bank with me, she tryna fuck
あいつは俺と一緒にお前の銀行から金を奪う覚悟ができてる、ヤりたがってるんだ
Blow my dice, she wish me luck, but, baby, I don't need it
俺のサイコロに息を吹きかけ、幸運を祈ってくれるが、ベイビー、そんなものは必要ないぜ
※クラップス(ストリートのサイコロ賭博)で、投げる前に女性に息を吹きかけてもらう幸運のジンクス。しかし今の彼には運など不要だという自信の表れ。
Lately my life been on the up and up so I'm conceited
最近俺の人生は上り調子だからな、自惚れてもいるさ
It came back exactly how I seen it, black genius
俺が思い描いた通りに戻ってきた、黒人の天才さ
Who played the fool to out smart niggas when it's convenient
都合のいい時には馬鹿を演じて、周りの奴らを出し抜いてきたんだ
Stay schemin', you sleep niggas is always dreamin'
常に企んでいる、眠りこけてるお前らはいつも夢ばかり見ている
※Rick Rossの「Stay Schemin'」にも通じるハスラーの思考。現実で行動する者と、口先だけで夢を見ている者の対比。
In reality we rakin' in riches my wrist is gleamin'
現実では俺たちは大金をかき集め、俺の手首は光り輝いている
It was cuffs before, now he rock buffs, he been upped the score
以前は手錠をかけられていたが、今じゃバフを身につけ、スコアを上げ続けている
※「cuffs(手錠)」と「buffs(Cartierの高級サングラス『Buffs』)」で韻を踏み、逮捕される底辺の生活からラグジュアリーな成功への変化を示している。
The aura all the sluts adore
すべてのビッチどもが憧れるオーラさ
Got perspective in the penthouse but learned the most when my knuckles touched the floor (I did)
ペントハウスで視野を広げたが、一番多くを学んだのは拳が床についた時だった (I did)
※頂点(ペントハウス)からの景色も知っているが、真の教訓はどん底(地面に拳がつくほどの苦境)で得たというストリートの真理。
Life a bitch, what you love her for? Good question
人生はビッチだ、なんでそんなものを愛するんだ? 良い質問だな
※Nasのクラシック「Life's A Bitch」へのオマージュ。
You'll always be disappointed if you seekin' perfection
完璧を求めていれば、いつも失望することになる
Bible or the rifle, what's better protection? Spiritual and psychical
聖書かライフルか、どっちが優れた護身用だ? 精神的か、それとも物理的か
※信仰(Spiritual)と暴力(Physical/Psychical)のどちらが過酷な環境で身を守るかという、ゲットーの究極の二択。
Live from New York where they die for dough and kill for the principle
金のために死に、筋を通すために殺し合うニューヨークからの生放送さ
[Chorus]
My mindstate is Empire State
俺の精神状態はエンパイア・ステートさ
※Nasの「N.Y. State of Mind」を想起させる、ニューヨーク特有の冷徹で野心的なマインドセット。
Tryna turn a crumb from a pie into an estate (Cash)
パイのパン屑から巨大な不動産に変えようとしている (Cash)
※わずかな利益(パン屑)を元手に、莫大な資産(エステート)を築き上げるハスラーの野心。
We play for high stakes
俺たちはハイリスク・ハイリターンの勝負をしているんだ
Dodge jakes if they give chase, never see the lights from the brakes
サツが追ってくればかわし、ブレーキランプが光ることは絶対にない
※「jakes」は警察。警察の追跡から逃れる際、決してブレーキを踏まずに全速力で逃げ切る様子。
We live at high speed (High speed, son)
俺たちはハイスピードで生きている (High speed, son)
Never put the shit I want before the shit that I need (Nah)
自分が必要なものより、欲しいものを優先したことは一度もない (Nah)
※欲望(Want)よりも生き残るための必需品(Need)を優先するという、ストリートで生き延びるための鉄則。
Been gettin' mine, God blessin' the seed (For real)
自分の分はしっかり稼いできた、神がこの種を祝福している (For real)
Still I became who I was destined to be, uh
それでも俺は、なるべくして定められた存在になったんだ、uh
[Verse 2]
Unapologetically me, flowin' with focused chi
悪びれることなく俺のままでいる、集中した気とともにフロウする
※「chi」は東洋思想の「気(エネルギー)」。
Met God smokin' DMT, eyes closed, I see
DMTを吸って神に会った、目を閉じれば見えるんだ
※「DMT」は強力な幻覚作用を持つサイケデリックス。ストリートの現実を超越した精神世界での悟り。
My enemies on folded knee, HNIC
俺の敵どもが膝を折ってひれ伏しているのがな、HNICさ
※「HNIC」はHead Nigga In Charge(トップに立つ男)の略。Mobb DeepのProdigyのソロアルバムのタイトルとしても有名。
Niggas can't fuck with Streetz (Uh-uh), high key
奴らはStreetzには絶対に敵わない (Uh-uh)、紛れもない事実だ
※「high key」は「low key(密かに)」の反対で、公然の事実、明白であること。
Was servin' acid drops out the same bottle that they put visine (Facts)
バイシンを入れるのと同じボトルでアシッドの滴を売り捌いていた (Facts)
※「visine」は目薬のブランド。「acid」はLSD。目薬の空き容器にLSDの液体を隠して密売していたというリアルなハッスルの描写。
Now they see my face on widescreen, still trippin' (Ha)
今じゃ奴らはワイドスクリーンで俺の顔を見ている、いまだにトリップしながらな (Ha)
※かつて彼から買ったLSDで幻覚を見ていた客が、今度はスターになった彼の映像を画面越しに見て、驚きでトリップ(混乱)しているという皮肉な言葉遊び。
Ain't shit different, got no chips for a pigeon (Nah)
何も変わっちゃいない、ハトみたいな女に使う金はないぜ (Nah)
※「pigeon」は取るに足らない、あるいはうるさいだけの女性を指すスラング。「chips」は金。
Got everything I was supposed to get, I stayed persistent
手に入れるべきものはすべて手に入れた、俺は粘り強くやり続けたんだ
Rappin' and trap boomin', my boo was made the assistant
ラップもトラップも大繁盛だ、俺の女はアシスタントになった
Now we gotta wavy, he playin' all the way in Lisbon
今じゃ波に乗っている、あいつは遠くリスボンまでプレイしに行ってるぜ
※「Lisbon」はポルトガルの首都。ビジネスの規模が国際的なレベルに達していることを示している。
Landed right where I'm supposed to be
俺がいるべき場所にしっかりと着地した
God got his favorites, ain't it obvious that he chosen me?
神にはお気に入りがある、俺が選ばれたのは明らかだろ?
To get my line jumpin', I gave the cuddies a dose for free
電話を鳴り止まなくさせるために、ダチどもに無料で一回分を振る舞ったんだ
※「cuddies」は仲間や顧客。麻薬の売人が顧客を依存させるために、最初は無料のサンプル(dose)を配るというビジネスの手口。
Use your brain, son, my game on cold degrees
頭を使えよ、坊主、俺のゲームは冷酷な温度設定だ
Iceberg Rome Streetz, if you don't hustle you don't eat (Uh-uh)
アイスバーグ・ローム・ストリーツ、ハッスルしなければ食っていけない (Uh-uh)
※伝説的なピンプでありストリート文学の金字塔を打ち立てた作家、Iceberg Slim(アイスバーグ・スリム)と自身の名前を掛け合わせている。
Knew the world been mine, ain't nothin' outta Rome's reach
世界は俺のものだと分かっていた、Romeの手の届かないものなんて何もない
[Chorus]
My mindstate is Empire State
俺の精神状態はエンパイア・ステートさ
Tryna turn a crumb from a pie into an estate (Cash)
パイのパン屑から巨大な不動産に変えようとしている (Cash)
We play for high stakes
俺たちはハイリスク・ハイリターンの勝負をしているんだ
Dodge jakes if they give chase, never see the lights from the brakes
サツが追ってくればかわし、ブレーキランプが光ることは絶対にない
We live at high speed (High speed, son)
俺たちはハイスピードで生きている (High speed, son)
Never put the shit I want before the shit that I need (Nah)
自分が必要なものより、欲しいものを優先したことは一度もない (Nah)
Been gettin' mine, God blessin' the seed (For real)
自分の分はしっかり稼いできた、神がこの種を祝福している (For real)
Still I became who I was destined to be
それでも俺は、なるべくして定められた存在になったんだ
