Artist: Steve Lacy
Album: The Lo-Fis
Song Title: Out of Me Head
概要
本楽曲は、スティーヴ・レイシーが高校時代からSoundCloud上で公開していた初期の未発表デモ音源やスケッチを集約した2020年のコンピレーション・アルバム『The Lo-Fis』に収録されている。タイトルの「Out of Me Head」が示す通り、特定の相手への強い執着や恋煩いから抜け出せない青年の堂々巡りの感情をテーマにした小品だ。iPhoneのGarageBandを用いたDIYな制作環境ならではのミニマルなループ構造が採用されており、同じフレーズを呪文のように執拗に繰り返すことで、文字通り「頭から離れない」という強迫観念的な精神状態を音響的・構造的に表現している。極めて短いトラックでありながら、複雑な言葉を削ぎ落とし、ローファイで温かみのあるギターと幾重にも重なる自身のボーカルのみでリスナーを幻惑する手法は、後のグラミー賞受賞へと至る彼の天性のインディーR&Bセンスをはっきりと証明している。
和訳
[Refrain]
Can't get you outta my head
君のことが頭から離れないんだ
※「Can't get you out of my head」はポップミュージックにおける恋煩いの常套句だが、レイシー特有の気怠く温かみのあるローファイサウンドに乗ることで、熱烈な愛情というよりも、無意識下で相手の存在に支配されていく静かな恍惚感や執着が表現されている。
Can't get you outta my head
どうしても頭から離れないんだ
※同じフレーズの執拗な反復は、GarageBandなどのループシーケンサーを用いた彼のDIYな制作手法の産物であると同時に、ベッドルームで一人思い悩むティーンエイジャーの「思考の堂々巡り」そのものを音響的に再現するギミックとして機能している。
Can't get you outta my head
君のことが頭から離れないんだ
Can't get you outta my head
どうしても頭から離れないんだ
[Refrain]
Can't get you outta my head
君のことが頭から離れないんだ
※ファンの間では、曲のタイトルが「Out of My Head」ではなく「Out of Me Head」とあえて少し崩した綴りになっている点について、若き日の彼なりの遊び心や、頭の中で響く砕けた独白のニュアンスをそのままパッケージングしたインディー気質の表れであると解釈されている。
Can't get you outta my head
どうしても頭から離れないんだ
Can't get you outta my head
君のことが頭から離れないんだ
Can't get you outta my head
どうしても頭から離れないんだ
※わずかな秒数のデモ音源でありながら、無駄な言葉を削ぎ落とすことで逆に感情の純度を高めるという、The Internet時代からソロ活動へと至る彼の卓越した「引き算の美学」がこの初期の段階で既に確立していることが窺える。
