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Atomic Vomit - Steve Lacy 【和訳・解説】

Artist: Steve Lacy

Album: The Lo-Fis

Song Title: Atomic Vomit

概要

本楽曲は、スティーヴ・レイシーが高校時代からSoundCloud上で公開していた初期の未発表曲やデモ音源を集めた2020年のコンピレーション・アルバム『The Lo-Fis』に収録されている。彼がiPhoneやiPod touchのガレージバンドを駆使して音楽制作を行っていた「DIY精神」が色濃く反映された一曲だ。タイトルの「Atomic Vomit(猛烈な嘔吐)」とは裏腹に、楽曲全体を包むのは大麻でひどく酩酊(Blown)したティーンエイジャーの気怠くチルな空気感である。パーティーの片隅でカウチに座り、母親からの門限のメールに辟易しつつ、女の子からのアプローチにも上手く返せないという等身大の青春のワンシーンが描かれている。Z世代のインディー・R&Bアイコンである彼が、いかにして日常の些細な瞬間をメロウで共感性の高いポップ・ミュージックへと昇華させてきたかが窺える、極めてパーソナルでユーモアに溢れた作品である。

和訳

[Chorus]

Blown
頭が飛んでる
※大麻などで極度にハイになった状態や、ひどく酩酊した状態を指すスラング。

I'm so blown
めちゃくちゃキマってる

I'm so blown
まじでハイだ

I'm so blown
俺はひどく飛んでる

I'm so—
めちゃくちゃ…

[Verse]

Pulled up to the outing
パーティーに顔を出した
※「outing」はちょっとした集まりや外出のこと。気取らない地元の遊び場にふらっと現れる情景。

And we off the loud
そして俺たちは極上のハッパを吸って
※「loud」は匂いが強く品質の高い大麻を指すヒップホップ特有のスラング。大音量(loud)のように強烈に感覚を刺激することから由来する。

Feelin' good, looking good
気分は最高だし、イケてる
※自己肯定感の高まり。ティーン特有の万能感を表現している。

They said they fuck with my style
みんな俺のスタイルがいいねって言ってくれた
※「fuck with〜」は「〜を気に入る」「〜を支持する」という意味。古着などを独自に着こなす、レイシーの個性的なファッションセンスに対する称賛。

I kinda smiled, sat on the couch
俺はちょっと笑って、カウチに腰を下ろした
※パーティーの中心で大騒ぎするのではなく、部屋の隅で静かにくつろぐ彼の内向的でチルなペルソナが表れている。

And then I pulled out my phone
それからスマホを取り出した

See a text from my mom
お袋からのメッセージを見る

Asking when will I be home (Where you at nigga?)
いつ帰ってくるのって聞いてきてるんだ、お前どこにいるんだってね
※背後に収録された野太い声のアドリブは、厳しい親のリアルなプレッシャーをコミカルに表現している。ファンの間では、レイシー自身の母親の口調を真似た内輪ネタとして親しまれており、かっこつけている最中に「親からの門限」で現実に戻されるティーンのリアルを描いている。

Prolly three, I don't know
たぶん3時くらいかな、わかんないけど

That shit is always unknown
そういうのはいつも未定だから
※酩酊状態で時間感覚がルーズになっている様子。親への適当な返事にも若者特有の気だるさが滲み出ている。

I heard a girl just said, "Excuse me, boy I like your cologne" (Ralph Lauren)
女の子が「ねえ、あなたの香水いい匂いだね」って声をかけてきた、ちなみに香水はラルフローレンだ
※高校生にとって手の届きやすいステータスシンボルである「ラルフローレン」の香水(ポロなど)をあえて具体的に挙げることで、背伸びしたティーンの絶妙なリアルさを演出している。

Probably thinks you tryna smash
君は俺がヤリたいだけだと思ってるかもしれないけど
※「smash」は性行為を意味するスラング。女の子のアプローチに対して、自意識過剰に深読みしている。

I'm tryna get you alone
俺はただ君と二人きりになりたいんだ

You know I'm kidding, would have said it
冗談だよ、本当はそう言いたかったんだけど
※強気で甘いセリフはすべて彼の頭の中での「後知恵の妄想」に過ぎなかったことがここで明かされる。

But was just too blown
キマりすぎてて無理だった
※頭が回らず、結局女の子に対して何も気の利いた言葉を返せなかったという、不器用で等身大なオチ。彼のユーモアセンスが光るパンチライン。

[Chorus]

Blown
頭が飛んでる

I'm so blown
めちゃくちゃキマってる

I'm so blown
まじでハイだ

I'm so blown
俺はひどく飛んでる

I'm so—
めちゃくちゃ…