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Wow. - Post Malone 【和訳・解説】

Artist: Post Malone

Album: Hollywood’s Bleeding

Song Title: Wow.

概要

2018年末にサプライズリリースされ、全米ビルボードHot 100で最高2位を記録したロングヒットシングル。のちに3rdアルバム『Hollywood’s Bleeding』のクロージングトラックとして収録された。プロデュースは盟友Louis BellとFrank Dukesが手掛けており、極限まで音数を削ぎ落としたミニマルな808のベースラインと、ウェストコースト・ヒップホップを彷彿とさせるバウンシーなグルーヴが特徴的だ。デビュー曲『White Iverson』当時に「一発屋(One-hit wonder)」と見なしていたヘイターたちに対する痛烈なリベンジと、現在手に入れた圧倒的なステータスを豪快に誇示(フレックス)するトラップ・アンセムである。ヒップホップの歴史的サンプリングやNBA、NFLのスポーツリファレンスを巧妙に織り交ぜつつ、ロックスターとしての自身の立ち位置とユーモアを完璧に融合させた傑作だ。

和訳

[Verse 1]

Said she tired of little money, need a big boy
あいつは「はした金にはうんざり、ビッグな男が必要なの」って口にする
※「little money」と「big boy」を対比させ、財力のあるプレイヤーを求める女性(ゴールドディガー)の視点を描写している。

Pull up 20 inch blades like I'm Lil’ Troy
リル・トロイみたいに、20インチのブレードホイールを履かせて乗り付ける
※ヒューストンのサウス・ヒップホップレジェンド、Lil Troyが1998年に大ヒットさせた名曲『Wanna Be a Baller』の歌詞「20 inch blades on the Impala」を引用したサンプリング・パンチライン。

Now it's everybody flockin', need a decoy
今じゃ誰もが群がってくるから、おとり(デコイ)を用意しなきゃならないほどさ
※成功を収めたことで、行く先々にファンやパパラッチが殺到(flockin')するため、影武者が必要なレベルであることを誇示している。

Shawty mixing up the vodka with the LaCroix, yeah
あの娘はウォッカをラクロワと混ぜ合わせているよ、yeah
※「LaCroix(ラクロワ)」はアメリカで絶大な人気を誇るフレーバー・スパークリングウォーター。低カロリーな炭酸水でアルコールを割る、現代のLAやクラブシーンにおけるリアルな飲酒スタイルを描いている。

G-Wagen, G-Wagen, G-Wagen, G-Wagen
Gゲレンデ、Gゲレンデ、Gゲレンデ、Gゲレンデ
※「G-Wagen」はメルセデス・ベンツの最高級SUV「Gクラス(ゲレンデヴァーゲン)」のこと。ヒップホップにおける究極のステータスシンボルの連呼。

All the housewives pullin’ up (Up, up)
裕福な主婦連中がこぞって高級車でやって来る (Up, up)
※ビバリーヒルズなどの高級住宅街で、主婦たちまでもがGクラスに乗って Post Malone のもとに押し寄せてくる様をユーモアを交えて表現。

I got a lot of toys, 720S bumpin' Fall Out Boy
俺は山ほど「おもちゃ」を持っていて、マクラーレン720Sでフォール・アウト・ボーイを大音量で流してる
※「toys」はスーパーカーのこと。数千万円クラスのスーパーカー「マクラーレン・720S」を転がしながら、あえてトラップではなく2000年代のポップパンク/エモ・バンド「Fall Out Boy」を爆音で流すという、ジャンルレスなロックスターとしての自身の美学。

You was talkin' shit in the beginning (Mm-mm)
お前らは最初の頃、俺の悪口ばかり叩いてたよな (Mm-mm)
※無名時代やキャリア初期に彼を「白人のフェイク・ラッパー」「一発屋」と批判していたヘイターたちへの直接的な回想。

Back when I was feelin' more forgivin' (More forgivin')
俺の心が今よりもっと寛大で、お前らの愚行を許してやれていたあの頃にな(寛大だった頃にな)

I know it piss you off to see me winnin' (See me winnin')
俺が頂点で勝ち続けてる姿を見るのが、たまらなく目障りで腹が立つんだろ(勝ち続けてる姿が)

See the igloo in my mouth when I be grinnin’ (I be grinnin’), yeah
俺がニヤリと笑うと、口の中にあるイグルーが見えるはずさ(俺が笑うと)、yeah
※「igloo(イグルー)」はイヌイットが作る氷の家。笑った時に見えるダイヤモンドで埋め尽くされたアイスアウトのグリルズ(歯の装飾)の輝きと冷たさを、氷の家に例えたフリップ・パンチライン。

[Chorus]

Hunnid bands in my pocket, it's on me
ポケットのなかには100バンド、いつでも持ち歩いてる
※「band」は100ドル札をゴムバンドで束ねた1,000ドルの束。「Hunnid bands」で10万ドル(日本円で約1,500万円以上)の現金(ロール)をポケットに忍ばせていること。

Hunnid deep when I roll like the army
俺が街を移動する時は100人の軍隊みたいな規模さ
※「Hunnid deep」は100人の仲間やクルー(Cactus Jackや地元ダチ)を引き連れて行動すること。軍隊(army)のような圧倒的な勢力とガード。

Get more bottles, these bottles are lonely
酒のボトルをもっと持ってきな、こいつらが寂しがってるんだよ
※VIPテーブルの高級シャンパンや酒のボトルを「lonely(寂しい)」と擬人化し、次から次へと追加注文する豪快なパーティ・フレックス。

It’s a moment when I show up, got 'em sayin', "Wow" (Wow, wow)
俺が姿を現せば、その瞬間があらゆる奴らを「ワォ」と歓声の渦に巻き込むのさ (Wow, wow)
※楽曲のメインテーマ。大衆もヘイターも、今の彼の圧倒的な成功とオーラを前にして「Wow(感嘆)」と漏らすしかないという勝利の凱歌。

Hunnid bands in my pocket, it's on me (On me)
ポケットのなかには100バンド、いつでも持ち歩いてる (On me)

Yeah, your grandmama probably know me (Know me)
ああ、きっとお前のばあちゃんでさえ俺のことを知ってるぜ(知ってるのさ)
※若者だけでなく、高齢の祖母世代にまで顔と名前が浸透しているほどのメガスター(メインストリームの象徴)になったことを誇示するユーモラスな侮辱。

Get more bottles, these bottles are lonely
酒のボトルをもっと持ってきな、こいつらが寂しがってるんだよ

It’s a moment when I show up, got 'em sayin', "Wow" (Wow, wow)
俺が姿を現せば、その瞬間があらゆる奴らを「ワォ」と歓声の渦に巻き込むのさ (Wow, wow)

[Verse 2]

Everywhere I go (Hey)
俺がどこへ足を運ぼうとも (Hey)

Catch me on the block like I'm Mutombo (Wow)
フッドのブロック(街角)に立ち塞がる俺の姿を見なよ、まるでディケンベ・ムトンボみたいにな (Wow)
※トリプルミーニング。「block」はストリートの街区と、バスケットボールの「ブロックショット」をかけ、NBA史に残る伝説的ブロッカー、ディケンベ・ムトンボ(Dikembe Mutombo)をネームドロップ。ヘイターたちの邪魔を鉄壁の守りで「ブロック」し跳ね返すというパンチライン。

750 Lambo in the Utah snow (Skrrt)
ユタ州の雪山で、750馬力のランボルギーニ・アヴェンタドールを走らせる (Skrrt)
※「750 Lambo」はランボルギーニ・アヴェンタドール SV(750馬力)。Post Malone は実際に喧騒のロサンゼルスからユタ州のソルトレイクシティの平穏な自然の中へと移住しており、雪景色の中で超高級スーパーカーをドリフト(Skrrt)させるリアルな生活を描写している。

Trunk in the front like that shit Dumbo, yeah
トランクがフロント(前部)についている、まるでダンボの鼻みたいにな、yeah
※ランボルギーニなどのミッドシップ・スーパーカーはエンジンが後方にあり、トランクが車の前面にある。それをディズニーの象のキャラクター「ダンボ(Dumbo)」の長い鼻(trunk=象の鼻と車のトランクのダブルミーニング)に例えた巧みなリファレンス。

Cut the roof off like a nip-tuck
美容整形のようにルーフをぶった切る
※「nip-tuck」は美容整形手術(シワ取りや脂肪吸引など)のスラング。オープンカー(コンバーチブル)の屋根を開ける動作を、車体を整形手術するようにカスタムすることに例えている。

Pull up to the house with some big butts
デカい尻をした極上なビッチどもを連れて、大豪邸へと乗り付ける

Turn the kitchen counter to a strip-club (Yeah, wow)
キッチンのカウンターを、そのままストリップクラブのステージへと変えちまうのさ (Yeah, wow)
※大邸宅の広大なキッチンカウンターの上で、連れ帰った女性たちにストリッパーのように踊らせる、豪快で自堕落な自宅パーティの様子。

Me and Dre came for the...
俺とドクター・ドレーは、そのためにここにやって来たんだ……
※ウェストコースト・ヒップホップの最高峰プロデューサー/ボスである Dr. Dre(ドクター・ドレー)の名前を出し、彼と共にパーティと音楽業界の頂点を極めるという圧倒的なフレックス。(検閲音のように意図的に語尾を消して余韻を残すギミック)

When I got guap, all of y'all just appeared (Wow)
俺が大金(グアップ)を手にしたら、お前らが突然どこからともなく湧いて出たよな (Wow)
※「guap」は大量の現金のスラング。成功した途端にすり寄ってくるフェイクな友人や便乗者たちへの冷笑。

Before I dropped Stoney, none of y'all really cared (Cared)
俺がデビューアルバム『Stoney』をリリースする前は、お前ら誰一人として俺のことなんか気に留めなかったくせにな(気にしなかったくせに)

Now they always say, "Congratulations," to the kid (Kid)
今じゃ奴らはいつだって、俺に向かって「おめでとう(Congratulations)」ってすり寄ってきやがる(俺に向かってな)
※デビューアルバム『Stoney』に収録され、彼を世界的スターへと押し上げたQuavo客演の歴史的メガヒット曲『Congratulations』をセルフ・リファレンスした強烈なパンチライン。

And this is not a 40, but I'm pourin' out this shit (Yeah)
これは40オンスのビールじゃないが、俺はこの酒を惜しみなく地面に注ぎ込んでるぜ (Yeah)
※「pourin' out a 40」は、亡くなった仲間やフッドのダチに敬意を表すために、40オンス(約1.2リットル)の安価なモルトリカーのビールを地面に撒くヒップホップの伝統的な儀式。ここでは「ビールではなく超高級シャンパンや洋酒を撒いている」と自身の財力と仲間への追悼を同時に示している。

Used to have a lot, but I got more now (Yup)
昔からたくさんのモノを持っていたが、今じゃその何倍もの財産を手にしたよ (Yup)

Made another hit 'cause I got bored now (Yup)
ただ暇を持て余したってだけの理由で、また新しいヒット曲を作っちまったよ (Yup)
※ヒットチャートを席巻することがもはや日常となり、「退屈しのぎ(got bored)」でスタジオに入ってもメガヒットを生み出せてしまうという、天才ロックスターの究極のフレックス。

Always goin' for it, never punt fourth down
いつだって強気で攻め続ける、第4ダウンでも絶対にパントキックで逃げたりはしないさ
※アメリカンフットボール(NFL)のルールを用いた巧妙なリファレンス。通常、4回目の攻撃権(4th down)で陣地を獲得できなさそうな場合はパント(punt)して相手に攻撃権を譲る安全策をとるが、彼は常にリスクを取って「ギャンブル(勝負)」に挑み続けるという信条。

Last call, Hail Mary, Prescott touchdown, ayy
試合終了直前のラストプレー、ヘイルメアリー・パスからプレスコットが劇的なタッチダウンを決めるのさ、ayy
※NFLのダラス・カウボーイズのクォーターバック、ダック・プレスコット(Dak Prescott)のネームドロップ。「Hail Mary(一発逆転のロングパス)」からタッチダウンを決めるように、土壇場や極限のプレッシャーのなかでも必ず勝利を掴み取る自分をアスリートの勝負強さに重ね合わせたパンチライン。

[Chorus]

Hunnid bands in my pocket, it's on me (On me)
ポケットのなかには100バンド、いつでも持ち歩いてる (On me)

Hunnid deep when I roll like the army (Hey)
俺が街を移動する時は100人の軍隊みたいな規模さ (Hey)

Get more bottles, these bottles are lonely
酒のボトルをもっと持ってきな、こいつらが寂しがってるんだよ

It's a moment when I show up, got 'em sayin', "Wow" (Wow, wow)
俺が姿を現せば、その瞬間があらゆる奴らを「ワォ」と歓声の渦に巻き込むのさ (Wow, wow)

Hunnid bands in my pocket, it's on me (Goddamn)
ポケットのなかには100バンド、いつでも持ち歩いてる (Goddamn)

Yeah, your grandmama probably know me (Goddamn)
ああ、きっとお前のばあちゃんでさえ俺のことを知ってるぜ (Goddamn)

Get more bottles, these bottles are lonely
酒のボトルをもっと持ってきな、こいつらが寂しがってるんだよ

It's a moment when I show up, got 'em sayin', "Wow"
俺が姿を現せば、その瞬間があらゆる奴らを「ワォ」と歓声の渦に巻き込むのさ

[Outro]

Got 'em sayin', "Wow"
あらゆる奴らを「ワォ」と驚かせてやるのさ

Ayy, ayy, wow

Sayin', "Wow"
「ワォ」って声を漏らしな

Wow

Wow
※楽曲の結びとして、「Wow」という感嘆詞を反芻しながらミニマルなウェストコースト・ビートがフェードアウトしていく。世界中の大衆とヘイターを自らの実績とスタイルで圧倒した、頂点に立つロックスターの余裕と余韻を残してアルバム『Hollywood’s Bleeding』の全編が幕を閉じる。