Artist: BabyChiefDoit
Album: Rise Against My Broken Odds
Song Title: The Outro
概要
アルバム『Rise Against My Broken Odds』の締めくくりとなる本作「The Outro」は、BabyChiefDoitがストリートの過酷な現実と自身の成長、そしてシーンへの複雑な思いを独白するエモーショナルなクロージング・トラックである。彼が所属する「Zoo」や「26 12」といったシカゴ特有のギャング・コードを掲げつつも、これまでの暴力的な報復ではなく「平和を推進したい」「オップス(敵)をハグしたい」と語るなど、ストリート・ライフの無価値さを冷静に俯瞰する意識的なスタンス(Conscious)を見せている。しかし同時に「お前の息子を見たら殺してしまうかもしれない」という拭い去れない闘争本能も吐露し、彼自身の内面で葛藤する姿がリアルに描かれている。後半のアウトロ部分では、10ヶ月に及ぶアルバム制作の苦労を振り返りつつ、かつてのヘイターたちに「手のひら返し(Switch sides)」を許可すると皮肉交じりの寛容さを見せ、ラッパーとしての圧倒的な自信と器の大きさを示してプロジェクトの幕を下ろしている。
和訳
[Verse: BabyChiefDoit]
What you want?
何が望みだ?
Call my phone chief where you been at?
俺の電話を鳴らして「Chief、どこにいたんだ?」ってな
I been out the way with pretty hoes and a yo tryna rap
俺は可愛い女たちと離れた場所にいて、ラップしようとしてたんだ
※「out the way」は地元の面倒事や目立つ場所から離れて静かにしていること。「yo」はスタジオを意味するスラング。
Around the time I made you like no life my man was gone
俺がお前をノーライフみたいにさせた頃、俺のダチは死んじまった
Every time somebody check my low I′m somewhere far from home
誰かが俺の現在地を確認するたび、俺は家から遠く離れた場所にいるんだ
※「low」はlocation(位置情報・現在地)のこと。常に動き回り、捕まらないようにしているハスラーの警戒心。
Now I'm back ten times better this a different run
今、俺は10倍良くなって戻ってきた、今回は今までとは違う走りだ
This is not Zoo Life for animals only this a different one
これは動物のためだけのZoo Lifeじゃない、今回は違うんだ
※「Zoo Life」は彼が所属するクルー(Zoo)の過酷なサバイバル生活を指すが、ただ野蛮に生きるだけの動物的なフェーズから抜け出したことを宣言している。
She got a BBL booty that bitch don′t shake or jump
あいつはBBLのケツを持ってるが、揺れもしないし跳ねもしない
※「BBL(ブラジリアン・バット・リフト)」は豊尻手術。見た目だけで中身のないフェイクな女性(あるいはシーンの現状)を揶揄している。
That nigga rode a hundred dicks and his bitch ass ain't make it once
あの野郎は100人のディックに乗ったが、そのビッチなケツは一度も成功しなかった
※「rode a hundred dicks」は(文字通りの性行為ではなく)権力者や人気者に媚びへつらう「ディック・ライダー」のメタファー。他人にすり寄っても結局成り上がれなかった同業者への痛烈なディス。
I'm a different breed
俺は種族が違うんだ
Y′all know me and y′all know how I bleed
お前らは俺を知ってるし、俺がどんな血を流すかも知ってるだろ
※「how I bleed」は「どのように生き、どのような流儀を持っているか」あるいはギャングとしての血の結束を示す表現。
And if you don't then learn since on and on
もし知らないなら、これから先ずっと学んでいくんだな
I been playing for keeps
俺はずっと命懸けでやってるんだ
※「playing for keeps」は遊び半分ではなく、本気で(すべてを奪い取る覚悟で)挑むこと。
Scream at the sky I hit my knees tryna not to tweak
空に向かって叫び、ひざまずく、狂わないように必死にな
※「tweak」はパニックになる、あるいはドラッグ等で精神的におかしくなること。ストリートの重圧に押し潰されそうになる葛藤。
Looking for the one to hold me down but we playing hide and seek
俺を支えてくれる人を探してるが、まるでかくれんぼをしてるみたいだ
All these weird niggas around me think that I can′t see them
周りにいるこの奇妙な野郎どもは、俺の目には見えてないと思ってる
I can't join′ them, beat them
奴らに加われないなら、打ち負かすだけだ
※「If you can't beat them, join them(勝てないなら仲間になれ)」という有名なことわざを逆転させ、妥協せずに叩き潰すスタンスを示している。
Press control I'll delete them niggas
コントロールを押して、奴らをデリートしてやる
※パソコンのキーボード操作(CtrlキーとDeleteキー)に例えて、敵を消去(殺害・排除)するパンチライン。
I′m tryna change the narrative and push the peace with niggas
俺は物語を変えて、奴らと平和を推し進めようとしてるんだ
Tell my opps I love them
俺のオップスに愛してると伝えてくれ
See them and hug them instead of teething with them
歯を剥き出して争う代わりに、会ってハグするんだ
※「teething」は恐らく「beefing(ビーフ・抗争)」の隠喩、または敵意を剥き出しにすること。憎しみの連鎖を断ち切ろうとする彼なりの歩み寄り。
But I'm not perfect
だが俺は完璧じゃない
I'm not saying that this shit working
このやり方が上手くいくとは言ってないぜ
I can′t promise that I′m gon' see your son
お前の息子に会った時に
And not hop out and murk him
車から飛び出して殺さないとは約束できない
※「murk」は殺害すること。平和を望みつつも、敵対者の血筋を見ればストリートの闘争本能が抑えきれないという矛盾とリアルな狂気。
All I′m saying is I know good and well
俺が言いたいのは、痛いほどよく分かってるってことだ
This street shit not worth it
このストリートのクソみたいなことには何の価値もないってな
All I'm saying is I got money
俺が言いたいのは、俺には金があるってことだ
But I′m not bad and these hoes no purse
だが俺は悪党じゃないし、この女どもにバッグは買わねえ
※「not bad and these hoes no purse」は文脈的に「not buying these hoes no purse(女たちに高級なバッグを買い与えたりはしない)」というハスラーのスタンスの音声的な揺らぎと思われる。
All I'm saying is ain′t none of this shit right
俺が言いたいのは、こんなの何一つ正しくないってことだ
I know I ain't no better
俺がマシな人間じゃないのは分かってる
But nigga I'm not finna keep on paying the price
だがなぁ、俺はこれ以上代償を払い続けるつもりはねえんだ
Can′t nobody compare to the shit I did
俺がやってきたことには誰も敵わない
And I′m not staying here twice
そして俺はここに二度留まることはない
You niggas just want a piece of the pie
お前ら野郎どもはパイの切れ端が欲しいだけだ
※「piece of the pie」は成功による利益のおこぼれ。
I ain't change I evolve
俺は変わったんじゃない、進化したんだ
I′m two, six 12 'til I die
俺は死ぬまで26 12だ
※「26 12」は彼がレペゼンするシカゴの特定のフッドのブロック、またはクルーのコード。
[Outro: BabyChiefDoit]
Ayy I ain′t even gon' lie
エイ、嘘はつかねえよ
I just wanna thank every single one of y′all
お前ら一人一人にただ感謝したいんだ
For listening to me
俺の曲を聴いてくれて
For loving me
俺を愛してくれて
For fucking with me
俺をサポートしてくれて
'Cause I fucked y'all too and, uh
俺もお前らをサポートしてるからな、あー
I′ve been working on this project for about ten months
このプロジェクトには10ヶ月くらい取り組んできた
You feel me
分かるか
This shit crazy
マジでヤバいぜ
It′s been a long road
長い道のりだった
It ain't been easy
楽じゃなかった
But I got this shit done
だがやり遂げたんだ
You feel me
分かるだろ
So now that this project out
だから今、このプロジェクトが世に出て
All the hating ass niggas out
ヘイトしてるクソ野郎どもも出てきて
You hating ass hoes
お前らヘイトしてるビッチどももな
I′m giving y'all full permission to switch sides
お前ら全員に寝返る完全な許可を与えてやるよ
※「switch sides」は手のひらを返すこと。今まで否定していたヘイターたちが、アルバムの成功を見てファンに寝返ることを余裕の態度で許容している。
I′ma come a thick rider
俺は便乗してくる奴らも歓迎するぜ
※「thick rider」は恐らく「dick rider(他人の成功にすり寄る奴)」の意図、あるいはそれを歓迎する(welcome)の音声的な揺らぎ。
I'ma fully embrace y′all
お前らを完全に受け入れてやるよ
You know
分かるだろ
Just like you been here since day one
まるで最初からここにいたかのように扱ってやるよ
It's okay
大丈夫だ
You ain't know no better
お前らは何も分かっちゃいなかっただけだからな
I thank y′all though
それでも感謝してるぜ
I love y′all
お前らを愛してる
Gang shit where we at
俺らのいる場所はギャングのやり方だ
All I'm supposed to get peed on
俺がションベンをかけられるはずだったすべてに
※文脈的に「All opps supposed to get peed on(敵はションベンをかけられるべきだ)」というストリートの屈辱的な報復を示すフレーズの聞き間違い、あるいは理不尽な扱いを受けてきた過去のメタファー。
Slap
スラップ
Heh heh
ヘヘッ
Let me hear that
それを聞かせてくれ
