Artist: BabyChiefDoit & Jabriel
Album: Rise Against My Broken Odds
Song Title: Dear Jonathan
概要
アルバム『Rise Against My Broken Odds』に収録された「Dear Jonathan」は、BabyChiefDoitが亡き父親(あるいは幼い頃に離別した父親)であるジョナサンへ向けて綴った、極めてパーソナルで痛切な手紙のような楽曲である。普段の過激で冷徹なドリル・ラッパーとしてのペルソナから一転し、父親の不在がもたらした心の穴、自身の中に渦巻く怒りのルーツ、そして若くしてストリートの過酷なゲームに身を投じた苦悩を赤裸々に吐露する「Conscious(意識的)」かつ「Sad Boy」的な一面を見せている。Jabrielによるソウルフルなボーカルがエモーショナルなサウンドスケープを築く中、彼は父親を一方的に責めるのではなく、その内面的な葛藤(悪魔との戦い)に理解を示し、「自分は最高の父親になる」と決意を固める。ストリートの冷酷なハッスルと、親の愛を求める一人の青年としての葛藤が交差する、現行ヒップホップシーンにおける内省的なストーリーテリングの佳作である。
和訳
[Intro]
Living in this world, we love you (Ooh)
この世界を生きて、俺たちはあなたを愛してる(ウー)
Living in this world, we love you (Ooh)
この世界を生きて、俺たちはあなたを愛してる(ウー)
[Verse]
Hey pops, I hope you know I wish that we could've talked
なぁ親父、あんたと話ができたらって俺が願ってること、分かってくれてるといいんだが
I hope you know you left your son with eyes full of tear drops
息子が涙で目をいっぱいに腫らしてるのを置いていったこと、分かっててほしい
I hope you know that I don't think it's your fault
あんたのせいだとは思ってないってことも、分かっててほしい
I'm just saying before you acted I wish that you would've thought
ただ、行動に出る前にもう少し考えてほしかったって、そう言いたいだけなんだ
I hope you know I know you had your reasons
あんたにも理由があったってことは、俺にも分かってる
I think you had a heart of gold, you just was fighting demons
あんたは純粋な心を持ってた、ただ悪魔と戦ってただけなんだと思う
※「fighting demons(悪魔と戦う)」は、メンタルヘルスの問題、薬物依存、あるいはストリートのトラウマなど、内面的な壮絶な葛藤を指すヒップホップ特有のメタファー。
I get it. I get it. I promise you I get it
分かってる。分かってるよ。誓って言うが、理解してる
I heard a lot about you, I never know the truth
あんたのことはたくさん聞いたけど、真実は分からないままだった
My mama say you something like me back in the day you was that dude
ママは、あんたが昔の俺みたいな奴だったって言うんだ、あの頃のあんたはイケてたってな
Relatives tell me I'm spitting image of you
親戚どもは、俺があんたの生き写しだって言う
I got a lot of anger in me, do I get it from you?
俺の中には怒りが渦巻いてる、これもあんたから受け継いだものなのか?
I hope you know when you left us, I lost a part of myself
あんたが俺たちを残して去った時、俺は自分の一部を失ったんだ
A part of me was gone for reasons that I still don't get
未だに理解できない理由で、俺の一部が消えちまった
Cause I don't know you from a can of paint
だって俺は、あんたの顔すら全く知らないんだから
※「don't know you from a can of paint」は、アフリカ系アメリカ人のコミュニティでよく使われるイディオムで「ペンキの缶と区別がつかない=全く顔も素性も知らない」という意味。
Maybe it was the absence of your presence that drove me to go this way
あんたがそばにいなかったことが、俺をこういう道に走らせたのかもしれない
I just wanna know the smallest things:
ほんの些細なことを知りたいだけなんだ
Your favorite song, your favorite food, what was your favorite game
あんたの好きな曲、好きな食べ物、好きだったゲームは何だったのか
I want to know how you and mama came up with my name
あんたとママがどうやって俺の名前を決めたのか知りたい
I wish that I could tell you all my problems just so you could tell me "Son I know your pain"
俺の悩みを全部あんたに打ち明けて、「息子よ、お前の痛みは分かるぞ」って言ってほしかった
Man this life shit ain't no game, it's driving a kid insane
なぁ、この人生ってやつはゲームなんかじゃない、子供を狂わせるには十分だ
I cocked it back and made it bang, got some racks and made it rain
銃をコッキングしてブッ放し、大金を稼いで雨を降らせてきた
※「cocked it back and made it bang(発砲する)」「got some racks and made it rain(札束をストリップクラブなどでばらまく)」という、若くして身を投じたストリートの暴力的かつ享楽的なライフスタイルをライムで表現している。
Did too much at a young age, I wonder if you feel the same
若い頃からやりすぎちまったよ、あんたも同じように感じてたのかな
If you've been watching over me, is you proud or you ashamed?
もし俺を見守ってくれているなら、誇りに思ってくれてるか、それとも恥じてるか?
I'm hurt, but all real niggas cry
俺は傷ついてる、だがリアルな男はみんな涙を流すもんだ
Bitch ass niggas give up, a lot of real niggas gon' try
ビッチな野郎どもは諦めるが、リアルな男の多くは挑戦し続ける
Fake niggas get to grow old, A lot of real niggas just die
フェイクな奴らが年老いていく中で、リアルな男の多くはただ死んでいく
So I'm going to do everything I can on Earth before that come my time
だから俺は、自分の時が来る前に、この地上でできる限りのことをやるつもりだ
I ain't never had no dad, I don't know what it's like so I can't say I feel alone
俺には親父がいなかったから、それがどんなものか分からない、だから孤独を感じるとは言えねえ
But I know I can't wait to be the bestest dad on Earth to my own
だが、自分の子供にとってこの世で最高の親父になるのが待ちきれないってことだけは分かってる
I'm not saying that you in the right, I'm not saying that you in the wrong
あんたが正しかったとも、間違っていたとも言わない
Cause I know I ain't no better, I made a hell of mistakes on my own
俺だってマシな人間じゃないからな、自分自身で山ほど過ちを犯してきた
But I promise I'ma do better, I ain't saying you ain't doing do enough
だが、俺はもっと上手くやると誓う、あんたの努力が足りなかったとは言わねえよ
I'm just saying it would've been cool if you and my OG did it together
ただ、あんたと俺のOGが一緒にやってくれたら最高だったのにって、そう言ってるだけだ
※「OG」はOriginal Gangsterの略だが、ここでは親(特に母親)に対する最大のリスペクトを込めた呼称。
Got the whole world in my hands, but I'm fucked up trying to change the weather
この世界を両手で掴み取ったが、天気を変えようとしてボロボロになっちまった
※「change the weather(天気を変える)」は、自分にはコントロール不可能な運命や過酷な環境を変えようと、無謀な苦闘を続けて疲弊した精神状態のメタファー。
I know I can't fight these battles alone, but I try, I can't help
この戦いを一人じゃ戦い抜けないのは分かってる、だが抗えないからやってみるしかないんだ
I stay screaming "Fuck you, pay me" on my knees like Lord, save me
ひざまずいて「神様、救ってくれ」と祈りながら、「クソ喰らえ、金を払え」って叫び続けてる
※「Fuck you, pay me」は映画『グッドフェローズ』でも有名なストリートの冷酷なビジネス・メンタリティ。神への救済を求める純粋な心と、ハスラーとしての冷酷な執着が同居する矛盾と苦悩を描写している。
I want to see the sunny side of things, even if that mean changing
物事の明るい面を見たいんだ、たとえそれが自分が変わることを意味するとしても
I thank mom, pops, and God for the child that they created
ママと親父、そして神様に感謝する、彼らが創り出したこの子供の命を
But it's not nobody on this Earth that can say they made a nigga
だが、この地上に「俺という男を創り上げた」なんて言える奴は誰一人いねえよ
※命を与えられたことには感謝しつつも、過酷なストリートを生き抜き、今の地位と自分自身を築き上げたのは紛れもなく自分一人の力であるという、ハスラーとしての強い自負と独立心。
[Outro]
Try to find my way, my way through
自分の道を見つけ出そうとしてる、切り抜ける道を
