Artist: BabyChiefDoit
Album: Rise Against My Broken Odds
Song Title: Ghetto Love Story
概要
本作「Ghetto Love Story」は、若きストリートのボスとしての顔を持つBabyChiefDoitが、ドリル特有の過激な暴力描写から一転し、ゲットーでの危険な恋愛(不倫)模様をユーモアとストーリーテリングを交えて描いた異色の一曲だ。彼が描き出す「ココアバターの香りがする2人の子持ちで5人の兄弟がいる女性」というディテールは、黒人コミュニティの生々しいリアルを鮮明に切り取っている。他人の彼女を寝取るというヒップホップにおける定番のトピックを扱いながらも、「スマホを見られて浮気がバレる」「激怒した彼氏が俺の命を狙っている」といったストリートの報復劇(ビーフ)の緊張感を同居させている点が彼らしい。R&Bテイストのメロウなフロウと、「ただ踊りたいだけ(I just wanna dance)」という性的なメタファーを用いたキャッチーなフックが、ハードコアなアルバムの中で独特のグルーヴと色気を放つストーリーテラーとしての才能を証明している。
和訳
[Intro]
Uh-uh-uh, okay-okay-okay, let's do it (I just wanna dance, I just wanna dance)
アー、アー、アー、オーケー、オーケー、オーケー、やろうぜ(俺はただ踊りたいだけだ、俺はただ踊りたいだけだ)
Slatt, niggas know what the fuck going on
スラット、野郎どもも何が起きてるか分かってるだろ
※「Slatt」は「Slime Love All The Time」の略。YSL周辺から広まったアトランタ発のギャング・スラングだが、現在では親愛の情を示すヒップホップ界隈の共通言語として広く使われている。
I say (Get groovy, get groovy)
言わせてもらうぜ(グルーヴィーに行こうぜ、グルーヴィーに行こうぜ)
[Verse 1]
Let me tell you about my ghetto lover, a mother of two and she got five brothers
俺のゲットーの恋人の話を聞かせてやる、2人の子持ちで5人の兄弟がいるんだ
Like no other, you can smell her coming 'cause she smell like cinnamon and cocoa butter
他にはいない女だ、近づいてくる匂いで分かる、シナモンとココアバターの香りがするからな
※「cocoa butter(ココアバター)」は保湿力が高く、黒人コミュニティのスキンケアにおいて定番となっているアイテム。フッドの女性特有のリアルな香りを描写している。
She got a man and that shit a bummer
あいつには男がいて、そこがクソなんだ
Her and her best friend, Dumb and Dumber
彼女と親友は、お馬鹿コンビってやつだ
※「Dumb and Dumber」はジム・キャリー主演のコメディ映画『ジム・キャリーはMr.ダマー(原題:Dumb and Dumber)』の引用。つるんでバカ騒ぎをする女性たちを揶揄している。
Always out gettin' drunk and drunker
いつも外に出ては、どんどん酔っ払ってる
They say they outside for the summer
夏のあいだは外で遊びまくるって言ってるぜ
※「outside」は家を出てクラブやストリートで遊び歩くこと。ホットガール・サマー的なマインドセット。
I caught her walkin' out the club, I tried to say, "What's up"
クラブから出てきた彼女を捕まえて、「調子はどう?」って声をかけようとしたんだ
She seen my face before, she think I'm tryna set her up
彼女は俺の顔を見たことがあったから、俺がハメようとしてるんじゃないかと疑ってた
※「set up」は強盗や襲撃の罠を仕掛けること。ストリートの有名人(あるいは悪名高いギャング)である彼が突然声をかけてきたため、裏があるのではと警戒されている。
She said she had a man and my ass to get the fuck
彼女は男がいるから失せろと俺に言った
But I'll be damned if I get turned down, baby, I'm not lettin' up
だが、ここで引き下がるなんてまっぴらご免だ、ベイビー、俺は手を緩めないぜ
[Chorus]
Baby, baby, I just wanna dance, I just wanna dance
ベイビー、ベイビー、俺はただ踊りたいだけだ、俺はただ踊りたいだけなんだ
※「dance(踊る)」はクラブでのダンスだけでなく、シーツの下での性的な行為(セックス)の隠語としてのダブルミーニング。
Baby, I won't tell on you
ベイビー、誰にも言いつけたりしない
I won't tell on you, I just wanna dance
言いつけたりしない、俺はただ踊りたいだけだ
[Verse 2]
Lil baby, I'm fly, you fly as fuck
可愛いベイビー、俺はイケてるし、お前も超絶イケてる
※「fly」はカッコいい、魅力的だという意味のスラングと「空を飛ぶ」のダブルミーニングで直後のラインへと繋がっていく。
We fly together, we might just glide
一緒に空を飛べば、滑空できるかもしれないぜ
Just do not deny it, it might be the best thing you ever had if you try it
ただ拒まないでくれ、試してみれば今までで最高の経験になるかもしれないぜ
And she said, "Fine", her nerves bad now she tryna get high
そして彼女は「分かったわ」と言った、気が立ってるから彼女はハイになろうとしてる
She said if her man find out, just like my song, everybody gon' die
もし彼氏にバレたら、俺の曲みたいに全員死ぬことになると彼女は言った
※BabyChiefDoitの過去のハードコアなドリル楽曲(「Live By The Gun」など)を引き合いに出し、浮気がバレればストリートの抗争(銃撃戦)に発展してしまうという危険性をメタ的に語っている。
I gave her the bone and sent her home
俺は彼女に骨を与えて、家に帰した
※「bone」は男性器の隠語であり、セックスをすること(boning)を示すストレートなストリートスラング。
I'm young, her boyfriend overgrown
俺は若い、彼女の彼氏は無駄に年を食ってるだけだ
She in his face, she feelin' bad because a YN took her soul
彼女は彼の前に出ると罪悪感を抱いてる、YNに魂を奪われたからな
※「YN (Young Nigga)」は若い黒人の男の略で、ここではBabyChiefDoit自身を指している。セックスの相性が良すぎたことで、彼氏に対する罪悪感が生まれている状態。
And she a lil slow, she gave him access to her phone
それに彼女は少し抜けていて、彼氏にスマホを見られちまったんだ
Her ass got beat now word on the street, that nigga tryna get me gone
彼女はボコボコにされて、今じゃストリートの噂になってる、あの野郎が俺を消そうとしてるってな
※浮気がバレてDVを受けた女性と、寝取った相手への報復(get me gone = 殺害)を目論む彼氏という、ゲットーでの修羅場の顛末を描写している。
[Chorus]
Baby, baby, I just wanna dance, I just wanna dance
ベイビー、ベイビー、俺はただ踊りたいだけだ、俺はただ踊りたいだけなんだ
Baby, I won't tell on you
ベイビー、誰にも言いつけたりしない
I won't tell on you, I just wanna dance
言いつけたりしない、俺はただ踊りたいだけだ
[Bridge]
I just wanna dance, I just wanna dance, I just wanna—
俺はただ踊りたいだけだ、俺はただ踊りたいだけだ、俺はただ——
[Verse 3]
Uh, woman, I just wanna dance
あぁ、女よ、俺はただ踊りたいだけだ
I understand that you got a boo, but I can't get jiggy with being friends
お前に彼氏がいるのは分かってるが、ただの友達でいるなんてノれねえんだ
※「get jiggy with」はウィル・スミスのヒット曲「Gettin' Jiggy wit It」などで知られる90年代のスラングで、楽しむ、関係を持つなどの意味。ここでは「友達のままでいることには同意できない」というニュアンス。
Plus folks ass can't do what I can
それに、あいつらには俺にできることなんてできねえ
We go together like pots and pans
俺たちは鍋とフライパンみたいに相性抜群だ
Y'all go together like water and sand
お前ら二人は水と砂みたいに合ってねえ
That shit don't match if you get what I'm saying
言ってる意味が分かるか、全く釣り合ってないってことだ
Girl, you hot, you need a fan
なぁ、君はホットだ、ファンが必要だぜ
※「hot」が「魅力的」「暑い」のダブルミーニング。「fan」が「(暑さを和らげる)扇風機」「(魅力に惹かれる)愛好者」のダブルミーニング。
You got problems? We gon' solve 'em
問題があるのか? 俺たちが解決してやる
Drop them drawers, don't do no talking
その下着を下ろしな、無駄話はなしだ
※「drawers」は下着(パンツ)のこと。
Your boyfriend been stalkin' you so I'm gon' pick up when he calling
お前の彼氏がストーカーみたいに付き纏ってるから、奴が電話してきたら俺が出てやるよ
Baby, I'm falling for you
ベイビー、俺は君に惹かれてる
I'm young and ready, and I'm going
俺は若くて準備できてる、そしてイくぜ
Baby, I'm falling for you
ベイビー、俺は君に惹かれてる
I think about you every morning
毎朝、君のことを考えてるんだ
[Chorus]
Baby, baby, I just wanna dance, I just wanna dance
ベイビー、ベイビー、俺はただ踊りたいだけだ、俺はただ踊りたいだけなんだ
Baby, I won't tell on you
ベイビー、誰にも言いつけたりしない
I won't tell on you, I just wanna dance
言いつけたりしない、俺はただ踊りたいだけだ
[Bridge]
I just wanna dance, I just wanna dance, I just wanna—
俺はただ踊りたいだけだ、俺はただ踊りたいだけだ、俺はただ——
