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Feelin’ The Love - Vince Staples 【和訳・解説】

Artist: Vince Staples

Album: Hell Can Wait

Song Title: Feelin’ The Love

概要

「Feelin’ The Love」は、ヴィンス・ステイプルズが2014年にリリースしたEP『Hell Can Wait』の締めくくりを飾る、彼のキャリア初期における重要なマイルストーンとなる楽曲だ。Haglerがプロデュースを手掛けた、不穏なベースラインと呪術的なボーカルサンプルがループするビートの上で、ヴィンスは自らの過酷な生い立ちとストリートでの犯罪(強盗や麻薬売買)を冷徹に振り返る。しかし、EPの前半で見せていた完全なニヒリズムや地獄への諦観から一転し、ここでは「成功の香り」や「人々からの愛」を感じ取り、神への贖罪や勝利への微かな希望を歌い上げている点が非常に興味深い。また、BDP(Boogie Down Productions)やLil Wayneといったヒップホップの先人たちへのオマージュ、そして彼自身のマスターピースとなるデビューアルバム『Summertime '06』へと繋がる「2006年」への言及が含まれており、彼のディスコグラフィにおいて過去と未来を繋ぐ決定的なコンテクストを持つ一曲である。

和訳

[Verse 1]

I wake up tryin' to dodge the cops just like my momma did
目を覚まして、俺の母さんがやってたのと同じようにサツを避けようとする
※親の世代から続く、法執行機関から逃れなければならない貧困層のゲットーのサイクル。

Came home from school soon as I seen she was up out the crib
母さんが家から出たのを見計らって、すぐに学校から帰ってきたんだ

Criminal Minded, mind your business if you wanna live
クリミナル・マインデッド、生きていたけりゃ他人の事には首を突っ込むな
※「Criminal Minded」は1987年にリリースされたBoogie Down Productionsの歴史的名盤のタイトル。ストリートの掟(Snitches get stitches=密告者は報復される)を、ヒップホップ・クラシックと絡めて警告している。

Them niggas fiendin' for them luxuries they'll never get
あいつらは絶対に手に入らない贅沢品を渇望してるのさ

I took a couple women's love for me and hit a lick
俺は女たちの愛を利用して、強盗をやった
※「hit a lick」は強盗に入る、手っ取り早く大金を稼ぐことを意味するストリートスラング。女性の好意を犯罪の道具(囮や隠れ蓑など)として冷酷に利用した過去を告白している。

If she can't help me get up out the struggle, why I need the bitch?
もし俺がこのどん底から抜け出すのを手伝えないなら、なんでそんなビッチが必要なんだ?

I need a million dollars for starters, been sick of sleepin' on the couch
まずは100万ドルが必要だ、ソファーで寝るのにはもうウンザリなんだよ

In this crowded apartment, them streets been in a fuckin' drought
このすし詰めのボロアパートでな、ストリートはずっとクソみたいな干ばつ状態さ
※「drought」はドラッグの供給が途絶え、金回りが悪くなっている状態を指す隠語。

I don't see the narcotics, it ain't no books up in this backpack
ドラッグは見当たらねえ、このバックパックの中に本なんて入ってないぜ
※学校へ行くための本ではなく、犯罪のための道具を持ち歩いていることの暗示。

I brought the revolver, I'm asking niggas where the cash at
俺はリボルバーを持ってきた、野郎どもに金のありかを聞いて回るんだ

Tappin' they pockets
奴らのポケットを叩いてな
※強盗(カツアゲ)の際に、相手の服の上から触って金や銃を持っていないか確認する行為。

That pocket rocket make a backpacker as soon as you blockin'
お前が抵抗しようとした瞬間に、このポケットロケットがバックパッカーを生み出すのさ
※「pocket rocket」は衣服に隠せる小型拳銃。「backpacker」は逃げ出す者、または意識高い系のヒップホップを好むバックパック・ラッパーを指す。つまり「銃を突きつければ、どんなタフガイも逃げ出すか、おとなしいインテリぶった奴に変わる」という巧妙なワードプレイ。

You know the block is hot
ブロックが燃えてる(危険な状態だ)ってことは分かってるだろ
※Lil Wayneが1999年にリリースしたアルバム/楽曲『Tha Block Is Hot』からの引用。警察の警戒が強まっているストリートの状況。

Wayne tried to tell them, one case away from felon
ウェインが奴らに教えようとしたんだ、たった一つの事件で重罪犯になっちまうってな

Granny told me stay inside the house, a nigga should've listened
ばあちゃんは家の中にいろって言ってた、俺は言うことを聞くべきだったんだ
※ストリートの危険を知る家族からの忠告を無視し、自ら危険に足を踏み入れた後悔。

Been punchin' out their faces with the hands that I pray with
神に祈るためのこの手で、奴らの顔面を殴りつけてきた
※信仰心と暴力が同居する、ゲットーの若者の痛ましいパラドックスを表現した強力なパンチライン。

Money trees blowin' in the wind, I'm feeling the fragrance
マネーツリーが風に揺れている、俺はその香りを感じているんだ
※Kendrick Lamarの「Money Trees」を彷彿とさせるライン。富(金)の匂いが近づいていることを直感している。

[Hook]

Is you feeling amazing? Yeah I'm feeling the love
最高の気分かって? ああ、俺は愛を感じてるぜ

Hope I get to take it with me when my living is done
俺の命が終わる時、この感覚を一緒に持っていけたらいいんだが

Pray to God that he forgive me for the sinning I've done
俺が犯した罪を許してくれるよう、神に祈るよ

And I hear you cheering for me when my victory come
そして俺の勝利が訪れた時、お前が歓声を上げているのが聞こえるんだ

Yeah I'm feeling the love
ああ、俺は愛を感じてるぜ

Yeah I'm feeling the love
ああ、俺は愛を感じてるぜ

Yeah I'm feeling the love
ああ、俺は愛を感じてるぜ

Yeah I'm feeling the love
ああ、俺は愛を感じてるぜ

Yeah I'm feeling the love
ああ、俺は愛を感じてるぜ

Yeah I'm feeling the love
ああ、俺は愛を感じてるぜ

Yeah I'm feeling the love
ああ、俺は愛を感じてるぜ

[Verse 2]

2006 I said I had to get my money right
2006年、俺は金を稼がなきゃならないって言ったんだ
※ヴィンスがギャングライフに本格的に足を踏み入れた決定的な年「2006年」。後にリリースされる彼の傑作デビューアルバム『Summertime '06』へと直結する極めて重要な伏線。

Shit I refuse to hear my stomach growl another night
クソ、もうこれ以上、夜に自分の腹の虫が鳴くのを聞くのはご免だった

Might put that burner right up in your mouth and free your mind
そのバーナーをお前の口に突っ込んで、お前の心を解放してやるかもしれないぜ
※「burner」は銃。「free your mind(心を解放する/考えを変えさせる)」は、物理的に頭(脳)を吹き飛ばすことの残酷なダブルミーニング。

Then run your pockets, I ain't stoppin' 'til my kids is fine
そしてお前のポケットを漁る、俺の子供たちが不自由しなくなるまでやめねえよ

College was a plan of mine until I seen them fees
あの学費を見るまでは、大学へ行くのが俺の計画だったんだ
※高等教育を受けてゲットーを抜け出すという夢が、経済的な理由(学費の高さ)で絶たれたという構造的な貧困の悲劇。

Everything I ever needed, I done learned out on them streets
俺が必要としたすべてのことは、あのストリートで学んだのさ

Only price was loss of sleepin', homies plottin' so I keep it on me
唯一の代償は眠りを失ったことだ、ダチすらも企んでるから、俺は常にハジキを持ち歩いてる
※「keep it on me」は銃を携帯していること。フッドでは誰も信用できず、常に命を狙われる緊張感で眠れなくなるパラノイア状態を表現。

Closely play this game for keeps, I take the shot, you be the goalie
命懸けでこのゲームを慎重にプレイする、俺がシュートを打つから、お前はキーパーになりな
※「play for keeps」は後戻りできない真剣勝負のこと。「take the shot」は銃を撃つこととサッカーのシュートを掛け合わせており、「俺が撃つ(シュートする)から、お前は弾を防いで(キーパーになって)みろ」という冷酷なメタファー。

Goals I gotta reach, but this girl up in my sheets asleep
俺には達成しなきゃならないゴールがある、だがこの女は俺のシーツで眠ってる

Mom up on her way to work, if she say bye before she leave
母さんが仕事に出かける、もし彼女が家を出る前に「さよなら」と言ったら

Then this my last day on this earth, I'm way too young for plantin' seeds
今日が俺の地球上での最後の日だ、種を蒔くには俺は若すぎるんだよ
※「plantin' seeds」は「子供を作ること(妊娠させること)」と、「土に埋められること(死んで埋葬されること)」の高度なダブルミーニング。ストリートに出れば死ぬかもしれないという極限の日常。

Is what she used to tell me, shit, but when I ever listen?
ってのが、彼女がよく俺に言ってたことだ、クソ、でも俺がいつ言うことを聞いたってんだ?
※忠告を無視し続けた自分に対する自嘲。

Played a lot of roles in life but never played the victim
人生でいろんな役を演じてきたが、被害者ぶったことだけは一度もねえ

Never paid a toll for stripes, I earned them on them lonely nights
ストライプのために通行料なんて払ったことはねえ、あの孤独な夜に自分の力で勝ち取ったんだ
※「stripes」は軍隊の階級章から転じて、ストリートにおける「格」や「リスペクト」。金で買った名声ではなく、危険な夜を越えて自らの行動(犯罪や抗争)で証明してきたというハスラーの矜持。

Mac rounds tear the house down like a poltergeist
マックの銃弾が、まるでポルターガイストのように家を破壊していく
※「Mac」はMAC-10などのサブマシンガン。ドライブバイ・シューティングのすさまじい弾幕で家が破壊される様子を、悪霊の仕業(ポルターガイスト)に例えている。

Life is what you make it, just depend on how you roll the dice
人生はどう作り上げるかだ、サイコロをどう振るかにかかってるのさ

[Hook]

Is you feeling amazing? Yeah I'm feeling the love
最高の気分かって? ああ、俺は愛を感じてるぜ

Hope I get to take it with me when my living is done
俺の命が終わる時、この感覚を一緒に持っていけたらいいんだが

Pray to God that he forgive me for the sinning I've done
俺が犯した罪を許してくれるよう、神に祈るよ

And I hear you cheering for me when my victory come
そして俺の勝利が訪れた時、お前が歓声を上げているのが聞こえるんだ

Yeah I'm feeling the love
ああ、俺は愛を感じてるぜ

Yeah I'm feeling the love
ああ、俺は愛を感じてるぜ

Yeah I'm feeling the love
ああ、俺は愛を感じてるぜ

Yeah I'm feeling the love
ああ、俺は愛を感じてるぜ

Yeah I'm feeling the love
ああ、俺は愛を感じてるぜ

Yeah I'm feeling the love
ああ、俺は愛を感じてるぜ

Yeah I'm feeling the love
ああ、俺は愛を感じてるぜ

Feeling the love
愛を感じてるぜ

Love
愛を

Love
愛を

Love
愛を

Yeah I'm feeling the love
ああ、俺は愛を感じてるぜ

Love
愛を

Love
愛を

Yeah I'm feeling the love
ああ、俺は愛を感じてるぜ