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Wool - Earl Sweatshirt (feat. Vince Staples) 【和訳・解説】

Artist: Earl Sweatshirt (feat. Vince Staples)

Album: I Don’t Like Shit, I Don’t Go Outside: An Album by Earl Sweatshirt

Song Title: Wool

概要

「Wool」は、アール・スウェットシャツの2ndアルバム『I Don't Like Shit, I Don't Go Outside』の終盤に配置された、西海岸の盟友ヴィンス・ステイプルズを客演に迎えたハードコアな一曲である。アール自身が手掛けた、重く埃っぽいベースラインとブームバップ調のドラムが鳴り響くミニマルなビートの上で、二人の卓越したラッパーが純粋なスキルを見せつける。ヴァース1を担当するヴィンスは、ロングビーチのクリップス(Crips)としての過酷なフッドの現実を、彼特有の冷徹かつシニカルなユーモアを交えて描写する。続くアールは、Odd Futureとしての栄光を振り返りつつも、自身のラップスキルが他の追随を許さないレベルに達していることを、高度なダブルミーニングと痛烈なパンチラインの連続で証明していく。トラップ全盛の時代にあえてソリッドなリリシズムで勝負した、二人の若き天才によるストリートの教典的トラックだ。

和訳

[Intro: Vince Staples]

Yeah, yeah, yeah

[Verse 1: Vince Staples]

Soon as I catch the vibe (Vibe) tell 'em to fetch the hearse
俺がバイブスを掴んだ途端にな (Vibe)、奴らに霊柩車を呼べって伝えろ
※自分がビートに乗り始めたら、ライバルたちは皆殺しになるため霊柩車が必要になるという威嚇。

Shorty I’m pressin' lines lifting the Lauren shirt (Uh)
なぁ、俺はラルフローレンのシャツをめくり上げてラインを押し広げてるんだ (Uh)
※シャツをめくって腰に差した銃を見せつける動作と、ドラッグの密売エリア(ライン)を拡大させているというストリートのリアルな描写。

Tell her to bless the girth if she with it (Uh)
もしあいつにその気があるなら、俺の太いイチモツを祝福しろって伝えな (Uh)
※「bless the girth」はオーラルセックスを受けることの婉曲的なスラング。

I’m in that kitchen, wrist water whippin' work (Psych!)
俺はキッチンにいて、手首を回してヤクを調理してるぜ (Psych!)
※トラップ・ミュージックで定番の「キッチンでコカインを捌く」というクリシェをラップした直後に、「Psych!(冗談だよ!)」と否定している。ヴィンス自身はストレート・エッジ(ドラッグや酒をやらない)であり、型通りのラッパーたちをからかっている。

Nigga, I don’t do that
なあ、俺はそんなことしねえよ

Niggas get bloop-blapped and blown away
奴らは撃ち抜かれて、吹き飛ばされるんだ
※「bloop-blapped」は銃声の擬音語。

Wessons making Mexicans wetbacks, like — "Órale!" (Uh)
ウェッソンがメキシコ野郎どもの背中を血で濡らしてやるのさ、まるで「Órale!」みたいにな (Uh)
※「Wessons」はSmith & Wesson社の銃。「wetbacks」は川を泳いで渡ってきたメキシコ系不法移民に対する蔑称だが、ここでは「銃で撃たれて背中が血で濡れる」という強烈なワードプレイとして使われている。「Órale」はメキシコ系アメリカ人が使う「行け!」「マジかよ!」といった意味の感嘆詞。

Okay, I’m onto something
よし、何か掴んできたぜ

Mama should've told you it’d be days like this
こんな日が来るってこと、母さんがお前に教えとくべきだったな

It’s just a tale from the crip
これはただのクリップスからの物語さ
※ホラーテレビ番組『Tales from the Crypt』と、ヴィンスの所属するギャング「Crips」を掛け合わせた見事な言葉遊び。

I’m on my séance shit, I’m tryna' make a million dollars
俺は降霊術みたいなクソヤバいモードに入ってる、100万ドル稼ごうとしてるんだ

Keep it hood while crossing over on some A.I. shit (Uh)
A.I.みたいにクロスオーバーしながらも、フッドのスタンスは保ち続ける (Uh)
※「A.I.」はNBAの伝説的選手アレン・アイバーソンの愛称。彼の得意技「クロスオーバー・ドリブル」と、アンダーグラウンドからメインストリームへの「クロスオーバー(進出)」を掛けた秀逸なライン。

I need a foreign baby mama to match a nigga model whip (Uh)
俺の最新モデルの車に釣り合うような、外国人のベイビーママが必要だな (Uh)

Ramona Park made me from scratch
ラモナ・パークが俺をゼロから作り上げたんだ
※「Ramona Park」はカリフォルニア州ロングビーチにあるヴィンスの地元の公園であり、彼が所属するギャングのフッド。

A lot of lotto picks (Uh) lost inside this game we call rap
ラップって呼ばれるこのゲームの中で、数え切れないほどのロト・ピックが消えていった (Uh)
※「lotto picks」はNBAドラフトのロッタリーピック(有望な若手)の比喩。才能ある若者たちがラップゲームやストリートで次々と才能を潰されていった現実を嘆いている。

I be the underdog
俺は負け犬の側さ

Bullet hit his forehead, it exit out his underarm (Uh)
銃弾が奴の額に命中して、脇の下から抜け出たぜ (Uh)

Ain’t nobody bigger than my hood, my nigga, fuck a boss (Uh)
俺のフッドよりデカい奴なんていねえんだよ、兄弟、ボスなんてクソ食らえだ (Uh)

Baby-mama killer, you offended, and I fuck her raw (Raw)
ベイビーママ・キラーさ、お前はキレてるだろうが、俺はあいつと生でヤるぜ (Raw)
※敵の子供の母親(パートナー)を寝取るという最大の侮辱。

Stretchy doing federal time for busting at the law
ストレッチーはサツに向かってぶっ放したせいで、連邦刑務所に入ってる
※「Stretchy」はヴィンスの地元の仲間。警察(the law)を撃ったため重罪になっている。

And he gon' be a neighbor of mine, you play me for a pawn? (Uh)
そしてあいつは俺の隣人になるんだ、俺をただの歩兵扱いする気か? (Uh)

Shawty, I be swimming with sharks, your posse full of prawns
なあ、俺はサメたちと一緒に泳いでるんだ、お前のクルーは小エビの集まりだろ
※「sharks(獰猛なストリートのハスラーたち)」と「prawns(取るに足らない弱小な連中)」の対比。

Pistols rip his body apart, now he afraid of dark alleyways
ピストルが奴の体をバラバラに引き裂いた、今じゃ奴は暗い路地裏を恐れてる

Niggas better listen when the pastor say (Say, say)
牧師が語る時は、奴らも耳を傾けた方がいいぜ (Say, say)
※ストリートの冷酷な真実を語る自分自身を「牧師」に例えている。

[Break: Vince Staples & Earl Sweatshirt]

Ugh, hold on, hold on, let me hear me that

Ugh, hold on, hold on, ugh

Ugh, hold on, hold on, ugh

[Verse 2: Earl Sweatshirt]

It's Golf on that— Bitch, it's Golf on that ball cap
そのボールキャップにはGolfって書いてある——ビッチ、Golfだぜ
※「Golf」はアールが所属していたOdd Futureのアパレルブランド「Golf Wang」。自分たちの築き上げた帝国の象徴。

I guzzle the tallboy, Jehovah ain’t call back
俺はトールボーイを飲み干す、エホバは折り返し電話をくれない
※「tallboy」は大容量の缶ビール。「Jehovah」は神。絶望の中で神に救いを求めても応答はなく、酒に溺れるしかないというニヒリズム。

And y’all still debating over Earl music
それでお前らはまだアールの音楽について議論してやがる
※メディアやヘイターが自分の音楽をどう分類するか勝手に議論していることへの冷笑。

Troops got the group nationwide moving merch units crazy (Nigga)
軍隊みたいなファンどもが、全国規模で俺たちのグッズを狂ったように動かしたんだ (Nigga)
※Odd Futureの熱狂的なファンベースが、アパレルやグッズ(merch)を爆発的に売り上げた実績の誇示。

Peanut butter to paisley
ピーナッツバター色からペイズリー柄まで

Walking down the street in the different-color McGradys
左右で色の違うマグレディを履いてストリートを歩いてた
※「McGradys」は元NBA選手トレイシー・マグレディのシグネチャーシューズ「T-Mac」。左右非対称の派手なカラーリングで有名であり、アールの少年時代のストリートファッションを回想している。

That first-grader was me
あの1年生は俺だったんだ

Now, my fist full of spliffs and the old banker receipts
今じゃ、俺の拳はスプリフと銀行の古い領収書でいっぱいだ
※成功して大金(banker receipts)を手にしたが、同時にマリファナ(spliffs)に依存している現状。

Bitches grip the stick and jerky like cold shanks of the beef, dry
ビッチどもが俺のイチモツを握りしめてシゴく、まるで冷え切ったビーフのすね肉みたいにな、ドライだぜ
※「jerky」は「ピクピク動かす(シゴく)」ことと「ビーフジャーキー」のダブルミーニング。冷めきった感情のない性行為を表現している。

I’m taking purses like they chances in the evening
俺は夜のチャンスみたいに、財布をひったくってる

Pick your pants up, boy, you dancing with a demon
ズボンを上げな、坊や、お前は悪魔とダンスしてるんだぜ
※アール自身の恐るべきラップスキルに立ち向かうラッパーたちへの警告。

On my mama, I been limiting my features, filling Swishers up with reefer
母さんに誓って、俺は客演を制限して、スウィッシャーにウィードを詰め込んでるんだ
※「Swishers」は安価な葉巻ブランド(Swisher Sweets)。他のアーティストとの関わりを避け、自室で大麻を吸い続ける閉鎖的なスタンス。

Bitch, it's difficult to beat him, like a soft dick
ビッチ、こいつを打ち負かすのは難しいぜ、まるで勃ってないイチモツみたいにな
※「beat him(彼を倒す)」と「beat a soft dick(柔らかいイチモツをシゴく)」を掛けた、ヒップホップファンの間で高く評価される下品で秀逸なパンチライン。

Golf clique deep, and we don't hit the streets passive
ゴルフのクルーは層が厚い、俺たちはストリートに受け身で出るようなマネはしねえ

That nigga Sweaty got the gas, and Shreddy K brought the matches
スウェッティがガスを持ってて、シュレディ・Kがマッチを持ってきた
※「Sweaty」はEarl Sweatshirt。「Shreddy K」はOdd FutureのプロデューサーであるLeft Brainの別名。「ガス」と「マッチ」は上質なマリファナに火をつけることと、二人が組んで強烈なビート(炎)を生み出すことのダブルミーニング。

Pitch your body in the water like a Lipton teabag
お前の体を水の中に投げ込むぜ、まるでリプトンのティーバッグみたいにな
※ライバルを殺害し、死体を海や川に遺棄するメタファー。

And then switch to a different fucking whip to let them piggies speed past him
それから別の車に乗り換えて、豚どもをスピードを上げて通り過ぎさせるんだ
※「whip」は車。「piggies」は警察。警察の追跡を逃れるためのストリートの知恵。

It's the rats, tryna get the cheese
あいつらはネズミさ、チーズを手に入れようとしてる
※「rats」は裏切り者や密告者、「cheese」はお金のスラング。金目当てにすり寄ってくるフェイクな連中。

What it do? Rap like I'm mincing meat
調子はどうだ? 俺は肉をミンチにするみたいにラップするぜ

Call me Lou—if I'm on the track, these niggas skip to me
俺をルーと呼べ——俺がトラックに立てば、奴らは俺をスキップするんだ
※ストリートバスケの伝説的プレイヤーであるレイファー・アルストンの愛称「Skip to My Lou」を引用した高度なワードプレイ。「track(楽曲/陸上のトラック)」に自分が参加すれば、他のラッパーたちは恐れをなして出番をスキップ(棄権)してしまうという意味。

Niggas want to fade me, bitches feel some type of way for me
奴らは俺を消したがってる、ビッチどもは俺に特別な感情を抱いてる

Fifties in my pocket falling out like fucking baby teeth
ポケットの中の50ドル札が、乳歯みたいにボロボロこぼれ落ちるぜ
※大金を持ち歩いているため、子供の歯が抜けるように札束がこぼれるというユーモラスな成金アピール。

Vince be with the rocket, he gon' pop it when it’s danger 'round
ヴィンスはロケットを持ってる、危険が迫ればあいつがぶっ放すぜ
※「rocket」は銃の隠語。フッドの仲間であるVince Staplesが常に武装して護衛していることの頼もしさ。

Fingertips to tapers now, salute us when you face us
今じゃ指先がテーパーに触れてる、俺たちと対面したら敬礼しな
※「tapers」は側面を刈り上げる髪型(テーパーフェード)。身なりを綺麗に整えている(指で髪を触る)余裕の表れであり、シーンのトップに立つ自分たちへの敬意を要求している。

Give a fuck 'bout the moves all these loser niggas making now
この負け犬どもが今やってる動きなんて、知ったこっちゃねえよ

[Outro]

Uh