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Off Top - Earl Sweatshirt 【和訳・解説】

Artist: Earl Sweatshirt

Album: I Don’t Like Shit, I Don’t Go Outside: An Album by Earl Sweatshirt

Song Title: Off Top

概要

「Off Top」は、アール・スウェットシャツの2ndアルバム『I Don't Like Shit, I Don't Go Outside』に収録された、2分にも満たないタイトで強烈なトラックである。Odd Futureの盟友であるLeft Brainがプロデュースを手掛け、不気味で重苦しいメロディにザラついたブームバップ調のドラムが乗る、本作の中でも特にアンダーグラウンドの空気を纏った一曲だ。タイトル「Off Top」は、頭に浮かんだことを即座に吐き出す(off the top of the dome)フリースタイルのような性質を示唆している。リリックでは、彼を囲むフェイクな人間たちへの不信感、父親の不在と家庭環境のトラウマ、ニュージーランド入国禁止騒動への言及、そしてSupremeのスケートビデオ「cherry」に熱狂する若き日の情景などが、極めて緻密なライムスキームとダブルミーニングを駆使して冷徹に描写されている。アールの「Sad Boy」的側面と、ストリートで磨かれた鋭い牙が同居する、彼のラップスキルの結晶とも言えるヴァースである。

和訳

[Intro]

(Cough)

Fuck
クソ

Yo, I gotta stop smoking Backwoods
なぁ、もうバックウッズを吸うのはやめねえとな
※「Backwoods」はラッパーやストリートで定番の、大麻を巻くために使われる葉巻(ブラント)のブランド。過度な喫煙による喉のダメージや不健康なライフスタイルに対する自嘲的な呟き。

[Verse]

How you doin'? And what's your motive, ho?
調子はどうだ? で、お前の魂胆は何なんだよ、ビッチ?
※名声目当てにすり寄ってくる人間(特に女性)に対する強い警戒心と人間不信。

I only trust these bitches 'bout as far as I can throw 'em
俺はこいつらを、自分が放り投げられる距離くらいしか信用してねえ
※「trust someone as far as I can throw them(放り投げられる距離しか信用しない=全く信用していない)」という英語の慣用句をそのまま使った表現。

I'm tryna pay my mama rent, figure that's just what I owe her
母さんの家賃を払おうとしてる、それが俺の負い目への清算だと思ってな
※母親(シェリル・ハリス)との根深い確執を抱えつつも、女手一つで育ててくれたことや、かつて自分が問題を起こして迷惑をかけたことへの金銭的な罪滅ぼしをしようとしている。

I been trouble since I tumbled out that stroller
俺はベビーカーから転げ落ちた時から、ずっと厄介者だったんだ
※生まれながらのトラブルメーカーであるという自己認識。

Strollin' easy down this narrow path, beefin' with your scary ass
この狭い道を気楽に散歩しながら、お前みたいなビビりのクソ野郎とビーフしてる

'Preme got my little niggas cheesin' off the cherry ad
シュプリームが、俺のダチどもを「cherry」のビデオで最高の笑顔にさせてるぜ
※「'Preme」はストリートブランドSupremeの略。「cherry」は2014年にSupremeがリリースした伝説的なスケートボード・ビデオ。アールの盟友であるNa-Kel Smithなどの若手スケーター(little niggas)が出演し、彼らが画面の中で輝いて笑っている(cheesin')情景を誇らしげに語っている。

And nigga, that's a great lunch
なぁ、そいつは最高のランチだぜ
※仲間たちの成功を自分のことのように喜び、それを「美味しく味わう(great lunch)」と表現している。

Papa Swamp be stompin' with the skate fucks
パパ・スワンプが、スケート狂いのクソ野郎どもと一緒に踏み鳴らしてる
※「Papa Swamp」はアールの別名・ペルソナの一つ。スケーターの仲間たちとストリートを荒らして回っている様子。

Heavy-handing tracks until the day the fucking train come
クソみたいな列車が来るその日まで、トラックを力ずくで扱い続けるんだ
※「tracks」は「音楽のトラック(ビート)」と「列車の線路(track)」の見事なダブルミーニング。死(列車が来る日)を迎えるまで、力強くビートを乗りこなし続けるという決意表明。

Raised up where every mouth that speak the truth get taped shut
真実を口にする奴は、全員口をテープで塞がれるような場所で育った
※ストリートの「snitches get stitches(密告者は報復される)」という掟や、権力によって真実が隠蔽される社会の暗部を示唆している。

Peep the evening news, my nigga—we don't do the same stuff
夕方のニュースを見てみろよ、兄弟。俺たちは同じようなマネはしねえからな
※ニュースで報じられるようなありふれた犯罪やくだらない真似はしないという、自身とクルーの特異性の誇示。

Kiwis couldn't take us, boy, I'm joggin' around these bases
キーウィどもは俺たちを受け入れられなかったな、俺はこの塁をゆっくり回ってるぜ
※「Kiwis」はニュージーランド人の愛称。2014年にOdd Futureのメンバー(アールやタイラー・ザ・クリエイターら)が、過去のリリックが「社会の脅威」とみなされニュージーランドへの入国を禁止された騒動を皮肉っている。「joggin' around these bases」は野球のホームランを打った後に塁を回る様子で、入国拒否というトラブルすらも自分たちの大勝利(ホームラン)であると豪語している。

Niggas' pitches need to change, I separated from my main one
奴らのピッチは変える必要があるな、俺はメインの女と別れたからな
※前の行の「bases(塁)」からの野球のメタファーを引き継ぎ、「pitches(投球/売り込み)」と掛けている。また「main one(本命の彼女)」と別れたことで、他の女たちがアプローチ(pitch)の仕方を変えなければならないという状況を表現した高度なパンチライン。

It's just another day, another nigga's bitch to face-fuck
今日もいつもと変わらねえ一日、また別の野郎のビッチの顔にヤるだけだ

I been like this since the Motorola Razr
俺はMotorolaのRazrの時代からずっとこんな感じさ
※「Motorola Razr」は2000年代中頃に大流行したガラケー。つまり、自分が幼い頃からずっとこの荒んだスタンスで生きているという主張。

What a bastard that baby was
あの赤ん坊はなんてクソガキだったんだ
※過去の自分自身を俯瞰して冷笑している。

Little mad nigga missing dad, never prayin' much
親父がいなくてキレてる小さな黒人のガキ、祈ることなんてろくになかった
※アールの父親は南アフリカの著名な詩人Keorapetse Kgositsileだが、彼が幼い頃に家族を捨てて家を出た。父親の不在による深い心の傷と、神や宗教に救いを求めなかった荒んだ幼少期。

Right around the same time his grandmama drank a bunch
ちょうどその頃、あいつのばあちゃんは酒を浴びるように飲んでたな

Take the bus, take a nigga's seat like it was made for me
バスに乗って、まるで俺のために作られたかのように奴らの席を奪い取る
※ラップゲーム(バス)において、他のラッパーたちのポジション(席)を当然のように奪うというスキルへの自信。

I got this nigga Da$h with me, he sippin' on some maple leaf
俺にはダッシュってダチがついてる、あいつはメープルリーフをすすってるぜ
※「Da$h」はニュージャージー出身のラッパーでアールの親友。「maple leaf」はカナダの象徴だが、ヒップホップのスラングとしては「プロメタジン(咳止めシロップ、リーン)」の甘い風味や、カナダ産の上質なウィード・酒などを暗示している。

I'm only happy when there's static in the air 'cause the fairweather fake to me
空気にノイズが混じってる時だけ幸せを感じるんだ、快晴の天気なんて俺にはフェイクだからな
※「static(静電気/ノイズ/もめ事)」と「fairweather(快晴/調子の良い時だけすり寄ってくる友人)」の対比。平和で順調な状況は偽物であり、混乱や対立、あるいは自らの抱える憂鬱の中にいる時こそが自分のリアル(居場所)であるという、Sad Boyとしての究極の美学。

Living in the scope, hairs crossed like adjacent streets
スコープの中で生きてる、交差する通りみたいに十字線が重なってるんだ
※「hairs crossed(crosshairs=銃の照準の十字線)」と「adjacent streets(交差点)」を掛けた秀逸なワードプレイ。常に世間やメディア、アンチから狙い撃ちされているという強いプレッシャーと被害妄想。

Dare a nigga think it's sweet, never bitches funny, boy
甘い汁が吸えるなんて思い上がるなよ、ビッチどもが笑えることなんて一度もねえんだ、坊や

You berries and you honey for the bear that's here to tear and eat
お前らは、引き裂いて喰らうためにここにいる熊にとってのベリーとハチミツさ
※アール自身を獰猛な「熊」に例え、弱小なラッパーたちを熊の好物である「ベリーとハチミツ」に例えている。甘い(sweet)考えを持っている連中を容赦なく食い殺すというリリカルな脅し。

Run a nigga pockets like some errands, make it hasty (I hope the–)
おつかいみたいに奴らのポケットを走らせる(身包み剥がす)、さっさとやれよ(保安官がー)
※「run pockets」は強盗してポケットの中身を奪うスラング。「run errands(おつかいに行く)」と掛けており、息をするように簡単に他者から奪い取るストリートの冷酷さを表現している。

[Outro]

I hope the sheriff keep away from me
保安官が俺に近づかないことを祈るぜ

I hope the sheriff keep away from me
保安官が俺に近づかないことを祈るぜ

I hope the sheriff keep away from me
保安官が俺に近づかないことを祈るぜ
※犯罪やトラブルの絶えないライフスタイルの中で、警察(sheriff)に捕まらずに生き延びたいという切実なパラノイアの反復。