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Mantra - Earl Sweatshirt 【和訳・解説】

Artist: Earl Sweatshirt

Album: I Don’t Like Shit, I Don’t Go Outside: An Album by Earl Sweatshirt

Song Title: Mantra

概要

本作「Mantra」は、アール・スウェットシャツの2ndアルバム『I Don't Like Shit, I Don't Go Outside』に収録された、怒りとフラストレーションに満ちた内省的なトラックである。自身のプロデュース名義「randomblackdude」による、荒々しく歪んだギターと重苦しいドラムループが印象的なこの曲は、彼が直面していた名声の代償と人間関係の崩壊を赤裸々に描いている。ヴァース1では、成功に伴ってすり寄ってくるフェイクな人間たちへの嫌悪感や、Odd Future時代の熱狂的なファンベースに対する複雑な感情(感謝と疎ましさの葛藤)を吐露。一転してヴァース2では、元恋人との泥沼化した関係、自身の浮気、そして愛情の枯渇を冷笑的に振り返っている。タイトルである「マントラ(呪文)」の通り、何度も繰り返されるサビは、ドラッグと自己防衛に逃避せざるを得ない彼の塞ぎ込んだ日常のサイクルを象徴しており、アールの「Sad Boy」的ペルソナと凄みのあるリリシズムが融合した傑作だ。

和訳

[Hook]

Get your lady
女を連れてきな

Cop piff, inhale and cough, rip the label off this
上等なウィードを仕入れて、吸い込んで咳き込む、こいつのラベルを引き剥がす
※「piff」は質の高いマリファナを指すスラング。「ラベルを剥がす」という表現は、音楽業界のレッテルや商業的な枠組みからの脱却、あるいは服のタグを切り取るようなストリートの無頓着でアウトローなスタンスを暗示している。

Picked the road that got twists
困難に満ちた曲がりくねった道を選んだ

I'm holding my dick and playing cautious
自分のイチモツを握りしめながら、慎重に立ち回ってる
※「holding my dick」は、他人に頼らず自分自身の力だけを信じて威張る態度や、虚勢を張りつつも周囲に一切の隙を見せない極度の警戒心を示すストリート特有の表現。

[Verse 1]

I'ma show you how it's done right, nigga
正しいやり方ってやつを見せてやるよ

Drop this when the sunlight gone
日が沈んだらこれをドロップしろ

Better run right home when the sky turn black
空が真っ暗になったら、さっさと家に帰るんだな
※アルバムタイトル『I Don't Go Outside(俺は外に出ない)』に通じる、夜の世界(ストリートや自身の精神の闇)の危険性と、自身のダークなサウンドスケープに対する警告。

Screaming "Fuck Five-O" 'til my line go flat
心電図が平らになるまで「サツのクソ野郎」って叫び続けるぜ
※「Five-O」は警察のこと。「line go flat」は心肺停止(死)を意味し、死ぬまで反権力のスタンスを貫くという強烈な意思表示。

In a ash-gray Bimmer—we'll be callin' that the pigeon coupe
アッシュグレーのビーマーに乗って、俺たちはそいつをピジョン・クーペって呼んでる
※「Bimmer」はBMW。「pigeon coupe」は、鳩小屋(pigeon coop)と2ドア車(coupe)を掛け合わせた高度なワードプレイ。車の色(グレー)が鳩を連想させることから来ている。

Jackknife bitches to the couches in they living rooms
ビッチどもを奴らのリビングのソファにジャックナイフみたいに折りたたむ
※「Jackknife」は体をV字に鋭く曲げる動きを指し、激しい性行為のメタファーとして使われている。

Ask who the best and I doubt that they picking you
誰が一番かって聞いてみろよ、お前が選ばれるとは思えねえな

Back like how I need to style, I invented you (Yup)
俺の本来のスタイルに戻るぜ、俺がお前を創り出したんだ (Yup)
※アールの特異で鬱屈としたフロウやリリシズムを模倣するフォロワーや、シーンのラッパーたちに対する優位性の誇示。

Act like you don't know the name
俺の名前を知らねえようなフリをしやがって

Only time I ain't eating when the chocha stanky
俺が食わねえのは、プッシーが悪臭を放ってる時だけだ
※「eating」は「成功して稼いでいる状態」と「オーラルセックス(クンニ)」のダブルミーニング。「chocha」は女性器を指すラテン系スラング。どんな状況でも自分は成功し続けているという自負。

Listening to "Pre," getting throat while I lane-switch
「Pre」を聴きながら、車線変更の最中にフェラされてる
※「Pre」は彼自身の前作『Doris』のオープニング曲。「getting throat」はオーラルセックスを受けることを指す。

Bitches by the three licking coke off the pinky
ビッチどもが3人がかりで小指からコカインを舐めとる

The poster child, you're 'posed to hate me
俺はポスターチャイルドだ、お前らは俺を憎むようになってる
※「poster child」は特定の運動や現象を象徴する人物。ここでは「オルタナティブ・ヒップホップの象徴」としての自身を指す。「poster」と「'posed to(supposed to)」で韻を踏んでいる。

Bold and wild, you broke and angry, my nigga
大胆でワイルド、お前は無一文でキレてるぜ、兄弟

Name getting bigger than the difference between us
俺の名前は、俺とお前の器の違い以上にデカくなってる

Niggas is fake, I limit the features I give 'em
奴らはフェイクだ、だから客演も制限してる
※シーンのラッパーたちの薄っぺらさに辟易し、他のアーティストとのコラボレーションを意図的に減らしている(孤独を選ぶ)閉鎖的な姿勢。

Sweat (Sweat) shirt (Shirt)
スウェット (Sweat) シャツ (Shirt)
※自身の名前をライブのチャント(コールアンドレスポンス)のように響かせる演出。

You know you famous when the niggas that's around you switch
周りの連中の態度が変わった時、自分が有名になったって気づくんだ

And if they hated in a passive tense
奴らが陰でこっそり俺を憎んでいたとしても

Now, they hound your dick, and you ain't ask for this
今じゃすり寄ってきやがる、こんなの頼んでねえのに
※「hound your dick(イチモツに群がる)」は、成功に群がるイエスマンや取り巻きの露骨な媚びへつらいへの強い嫌悪感を示している。

Now you surrounded with a gaggle of a hundred fucking thousand kids
今や10万人ものクソガキの群れに囲まれてる

Who you can't get mad at when they want a pound and pic
ダップと写真をせがまれても、怒るわけにはいかねえ連中にな
※「pound」は拳を合わせる挨拶(ダップ)。Odd Futureの熱狂的で若年層の多いファンベースに対し、鬱陶しさを感じつつも表立って拒絶できないもどかしさを表現している。

'Cause they the reason that the traffic on the browser quick
だって奴らのおかげで、ブラウザのトラフィックが跳ね上がるんだから

And they the reason that the paper in your trouser's thick
それに奴らのおかげで、ズボンの中の札束が分厚くなるんだ
※ファンへの苛立ちと同時に、彼らが自分の莫大な収入源であるという冷酷な資本主義の現実を自虐的に認めている。

I said, Sweat (Sweat) shirt (Shirt)
言ったろ、スウェット (Sweat) シャツ (Shirt)

You can tell the Reaper I'ma meet him when he send for me
死神に伝えておけ、お呼びがかかったら会いに行ってやるってな
※「Reaper(死神)」に対する虚無感。いつ死んでも構わないという捨て鉢な態度。

With a cleaver and a 30 and some twisted weed
肉切り包丁と30発のマガジン、それに巻いたウィードを持ってな
※「a 30」は30発の弾丸が入る拡張マガジンを装填した銃のこと。死神に対しても武装して立ち向かうというアグレッシブな描写。

I pick one and let the crimson leak, nigga (Nigga)
どれかを選んで、真紅の血を流してやるよ (Nigga)

[Hook]

Get your lady
女を連れてきな

Cop piff, inhale and cough, rip the label off this
上等なウィードを仕入れて、吸い込んで咳き込む、こいつのラベルを引き剥がす

Picked the road that got twists
困難に満ちた曲がりくねった道を選んだ

I'm holding my dick and playing cautious
自分のイチモツを握りしめながら、慎重に立ち回ってる

Hey

[Verse 2]

You used to say you like violins
君は昔、バイオリンが好きだって言ってたな

And your lifestyle depend on me
君のライフスタイルは俺に依存してた

And I w it's nighttime when you get lonely
君が寂しくなるのは夜だって分かってる

And tell all your lil friends how that bitch stole me
それで友達連中に、あのビッチがどうやって俺を奪ったか愚痴るんだろ
※アールの浮気によって関係が完全に崩壊したことを示唆している。当時のガールフレンドとの破局の生々しいリアリティ。

And despite all of the facts that you got phony
君が偽善者になったっていう事実を棚に上げて

You gon' tell them about the night that you exposed me for the bastard I was
俺のクズっぷりを暴いたあの夜のことを、奴らに話すんだろうな

And how I probably smashed every bitch that I passed in the club
俺がクラブですれ違ったビッチ全員とヤッたんだろうってことも

And the last couple months was the worst 'cause I smashed all the trust
ここ数ヶ月は最悪だったよ、俺がすべての信頼をぶっ壊したからな
※前の行の「smashed(ヤる/セックスする)」とこの行の「smashed(粉砕する/壊す)」という言葉の反復により、自身の性欲が二人の関係性を完全に破壊したことを自嘲気味に認めている見事なライン。

That I earned in the past couple months that we had as a couple
俺たちがカップルとして過ごした最初の数ヶ月で築いた信頼を

My absence of fucks was a problem that we ain't ever really get to solve
俺の無関心さは、俺たちが結局解決できなかった問題だった
※「absence of fucks」は「I don't give a fuck(どうでもいい/気にしていない)」という態度が欠如していること、つまりパートナーに対して「全く関心を示さなかったこと」を表している。

We just smashed and we scuffled
俺たちはただヤッて、そして揉み合っただけ
※肉体関係と激しい喧嘩だけが繰り返される有毒な関係。

Tryna keep it calm but I snap at you
冷静でいようとしたけど、君にキレちまった

Now you're taking all your property back and it's obvious that
今、君は自分の荷物を全部引き上げてる、明らかだろ
※同棲の解消と完全な別れを示している。

That, apart from the fact that we fuck, and it's bomb
俺たちのセックスが最高だったって事実を別にすれば
※「bomb」は最高、素晴らしいという意味のスラング。肉体的な相性以外に二人の間に何も残っていなかったことへの空虚感。

Man, I hate when you home
ああ、君が家にいる時が嫌いだった

And I— And when I'm gone, I don't call 'cause you nag
それに俺が外出してる時、俺から電話しなかったのは君が口うるさいからだ

Man, I brought you the shit and I bought you some shit
なあ、俺は君に色々もたらしたし、色んなものを買ってやったよな

What you offering here?
君はここで何を提供してくれるってんだ?
※金銭的・物質的に支えていた自分に対し、精神的な安らぎを一切与えなかった相手への一方的で身勝手な怒り。

(The fuck you offering here?)
(一体何を提供してくれるってんだ?)

[Hook]

Nigga, get your lady
なあ、女を連れてきな

Cop piff, inhale and cough, rip the label off this
上等なウィードを仕入れて、吸い込んで咳き込む、こいつのラベルを引き剥が

Picked the road that got twists
困難に満ちた曲がりくねった道を選んだ

I'm holding my dick and playing cautious
自分のイチモツを握りしめながら、慎重に立ち回ってる