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Notebook (No Hook) - Lil Durk 【和訳・解説】

Artist: Lil Durk

Album: Deep Thoughts

Song Title: Notebook (No Hook)

概要

Lil Durkのアルバム『Deep Thoughts』に収録された「Notebook (No Hook)」は、フック(サビ)を持たない1バースのラップを通じて、彼の内省的な思いとストリートの過酷な現実をノートに書き留めるかのように吐露した楽曲だ。プロデューサーのLamによるビートに乗せ、彼は裏切った仲間や女性への怒り、レーベルからの莫大な契約金といった成功の裏で抱える深い孤独を語っている。特筆すべきは、熱心なイスラム教徒として断食(ラマダン)中であるにもかかわらずリーンを飲んでしまう罪悪感や、Juice WRLDの悲劇的な死を直接的に引き合いに出し、プライベートジェットでの薬物密輸を思い止まるという極めてリアルでパーソナルな描写だ。音楽業界のビーフやドラッグ依存、ストリートの掟という重圧に耐えながら生きる彼自身のドキュメンタリーそのものであり、コンシャスなリリシズムとSad Boyとしての痛みが交錯する名作となっている。

和訳

[Intro]

(Ayy, pull up, Lam)
(エイ、車を回せ、ラム)

[Verse]

I'm so tired of you tellin' me that he sorry (Sorry)
あいつが反省してるって俺に言うのはもううんざりだ (Sorry)

Missin' my shows and meet and greets like I ain't an artist (Artists)
俺がアーティストじゃないみたいに、ライブやミート&グリートをすっぽかしやがって (Artists)

Love to take drugs to keep me above, I'm just honest (Honest)
正気を保つためにドラッグをキメるのが好きなんだ、俺はただ正直なだけさ (Honest)
※「keep me above」は精神的に沈まないよう(落ち込まないよう)にハイな状態を維持すること。トラウマから逃れるための薬物依存の告白。

They know who I am, they make up rumors, I'm honest (Honest)
奴らは俺が誰か分かってるくせに噂をでっち上げる、俺は正直に生きてる (Honest)

He ain't support like he used to, he said I'm garbage (Garbage)
あいつは昔みたいにサポートしてくれない、俺のことをゴミだと言ったんだ (Garbage)

Now he at my shows, askin' for tickets like we partners
今じゃ俺のライブに来て、相棒気取りでチケットをねだってきやがる

I'll check on my partner mom before I ever check on my followers
フォロワーの数なんかを気にするより先に、俺はダチの母親の様子を見に行くぜ
※SNSでの表面的な人気よりも、ストリートで苦楽を共にする仲間の家族を気遣うというリアルな価値観。

I fuck with a throat GOAT, but she graduated to a swallower
俺はフェラチオの達人とヤッてるが、あいつは飲み込む女に昇格したんだ
※「throat GOAT」は喉(フェラチオ)が史上最高(Greatest Of All Time)な女性を指すスラング。

You know who you is, you know what you did
自分が誰か分かってるだろ、自分が何をしたかも分かってるはずだ

You know who you was, you know, dirty bitch
自分がどんな女だったか分かってるだろ、なぁ、薄汚いビッチよ

You know goofy niggas, you know different cliques
お前はマヌケな奴らを知ってるし、違う派閥の連中とも関わってる
※「goofy niggas」はストリートで尊敬されない、まがい物の連中。「cliques」はギャングの派閥やグループ。敵対する陣営と関わる女性への非難。

You know how you mad, you know I'm the shit
自分がどれだけ怒ってるか分かってるだろ、俺が最高だってことも分かってるはずだ

You ain't support me at all
お前は俺を全くサポートしなかった

How you say you my dog?
どうして自分が俺のダチだなんて言えるんだ?

Told you, I lost it all
お前には言ったよな、俺はすべてを失ったって

You ain't even come call
お前は電話一つかけてこなかった

Watchin' story from a fake page and I seen 'em shoppin' at the mall
偽アカウントからストーリーを見て、奴らがモールで買い物してるのを確認したぜ
※自分のことを気にもかけない連中が、SNSでのうのうと生活している様子をフェイクアカウント(裏垢)で監視しているというパラノイア的な描写。

Told him I need a handout, he ain't respond to me at all
助けが必要だと伝えたのに、あいつは俺に全く返信しなかった

Four pockets full, full of hundreds
4つのポケットがパンパンだ、100ドル札で満たされてる
※「Four pockets full (4PF)」はLil Babyのレーベル名であり、常に大金を持ち歩いているハスラーのステータスを示すスラング。

Forty million cash from a label
レーベルからの4000万ドルの現金

I ain't fallin' out with my homies
俺は仲間と仲違いなんてしない

Call 'em, tell 'em put it on the table
あいつらを呼んで、テーブルの上にすべてを並べろと伝えるんだ
※「put it on the table」は腹を割って話す、隠し事をなくすというイディオム。

Before it was bails, bonds, I paid cash, I ain't never say I ain't able
昔は保釈金や保証金を現金で払ってきた、払えないなんて一度も言ったことはない
※成功する前から、仲間が逮捕された際には自腹を切って助け出してきたというボスの義理堅さ。

Broke bitch asked for a crib, petty ass, got the bitch a craddle
一文無しのビッチが家をねだってきた、せこい女だ、だからあのビッチにゆりかごを買ってやったぜ
※「crib」は「家」と「ベビーベッド(ゆりかご)」のダブルミーニング。豪邸をねだる女性を小馬鹿にして、赤ん坊用のベッド(craddle)を与えたという痛快なワードプレイ。

I know what you did, so I hate you
お前が何をしたか知ってる、だから俺はお前が憎い

I know what you did for the paper
お前が金のために何をしたか知ってるぜ

Why you called the police on your man?
なんで自分の男のことで警察を呼んだんだ?

He on papers, you know they gon' take him
あいつは保護観察中だ、警察に連行されるって分かってただろ
※「on papers」は仮釈放中や保護観察中であること。ちょっとした通報でもムショ送りになる身内を売った女性への怒り。

Put a four of Pai in my Crush
俺のクラッシュに4オンスのパイを入れる
※「Crush」はオレンジ風味の炭酸飲料。「Pai」はPai Pharma製のプロメタジン・コデインシロップ(リーン)。

I ain't fuck online with my nuts
俺はネット上で強がってイキるような真似はしない

Wuk shoot, I rely on his guts
ワックが撃つ、俺はあいつの度胸を頼りにしてる
※「Wuk」はOTFのコアメンバーであるChief Wuk。ボスの命令で引き金を引く腹心の部下への信頼。

Benji boys, I know he gon' clutch
ベンジ・ボーイズ、あいつが窮地を救ってくれるって分かってる
※「clutch」はスポーツなどで土壇場に強いこと、あるいは銃をしっかりと握りしめること。

Trench baby, dirty little bastard
スラム育ちのガキ、薄汚いクソガキさ

Soul hurt, ain't walk up to the casket
魂が傷ついて、棺桶に歩み寄れなかった
※King VonやNuskiなど、親友たちの凄惨な遺体を見ることに耐えられず、葬儀で棺(casket)に近づけなかったという深いトラウマの告白。

Why I pour a cup and I'm fastin'?
断食中なのになぜ俺はカップに注いでしまうんだ?
※熱心なイスラム教徒であり、ラマダン(断食月)は日中の飲食が禁じられるにもかかわらず、重度のリーン依存により信仰に背いてシロップを飲んでしまう自己矛盾と罪悪感。

I just tucked the Drac' in my jacket
俺はドレイコをジャケットの中に隠し持った
※「Drac'」はDraco(殺傷能力の高い小型アサルトライフル)。

Industry puttin' me in beef
音楽業界が俺をビーフに巻き込んでくる

Why do that? I'm signed to the streets
なんでそんなことをする?俺はストリートと契約してるんだ
※「Signed to the Streets」は彼の有名なミックステープシリーズのタイトル。業界のビジネス的な諍いではなく、ストリートのリアルな掟に縛られているというスタンス。

Pull up on 'em, frrt, frrt, frrt (Baow)
奴らのところに乗り込む、フルルル、フルルル、フルルル (Baow)

Why the fuck I'm arguin' over beats?
なんで俺がビートの上で口論しなきゃいけないんだ?
※本物のギャングである彼にとって、ラップの曲上でディスり合う(ビーフ)ことは馬鹿げているという冷笑。

Brodie pulled up in a steamer
兄弟がスティーマーで乗り付けてきた
※「steamer」はシカゴのスラングで「盗難車」のこと。

It's stolen 'cause he ain't even got the key
あいつは鍵すら持ってないから盗難車なのさ

Thought about puttin' pounds on the jet, I ain't do it 'cause they was checkin' IDs
プライベートジェットに大量のブツを積もうと考えたが、IDチェックがあったからやめた
※「pounds」はポンド単位の大量のマリファナ。

Thought about puttin' pounds on the jet, I ain't do it 'cause they gon' put it on me
プライベートジェットに大量のブツを積もうと考えたが、俺のせいにされるからやめた

Thought about puttin' pounds on the jet, but the Juice WRLD shit be scarin' me (Uh)
プライベートジェットに大量のブツを積もうと考えたが、ジュース・ワールドの件が俺を怯えさせるんだ (Uh)
※2019年、シカゴ出身の世界的ラッパーJuice WRLDは、プライベートジェットで警察の立ち入り捜査を受けた際、薬物の発見を恐れて大量のピルを飲み込み、発作を起こして急死した。同郷の若き才能の悲劇的な死を直接的に引き合いに出した、非常に重くリアルなリファレンス。

Put this in my notebook (Woah-woah, woah-woah, woah-woah)
これを俺のノートブックに書き留める (Woah-woah, woah-woah, woah-woah)

This shit right here, no hook (Woah-woah, woah-woah, woah-woah)
この曲には、フックなんてないぜ (Woah-woah, woah-woah, woah-woah)
※サビ(フック)を持たない1バース構成で、思いの丈をノートに書きなぐるようにラップしたことを示している。

Put this in my notebook (Woah-woah, woah-woah, woah-woah)
これを俺のノートブックに書き留める (Woah-woah, woah-woah, woah-woah)

This shit right here, no hook
この曲には、フックなんてないぜ