Artist: Olivia Rodrigo
Album: SOUR
Song Title: 1 step forward, 3 steps back
概要
本楽曲「1 step forward, 3 steps back」は、オリヴィア・ロドリゴの歴史的デビューアルバム『SOUR』(2021年)に収録された、アコースティックで内省的なバラードである。音楽的な最大の特徴は、彼女が敬愛するテイラー・スウィフトの楽曲「New Year's Day」(アルバム『reputation』収録)のピアノメロディをサンプリング(インターポレート)している点であり、タイトルの数字「1」と「3」もテイラーのラッキーナンバー「13」へのオマージュであるとファンの間で考察されている。歌詞において描かれるのは、機嫌が予測不能な恋人に振り回され、自己肯定感をすり減らしていく有害な恋愛関係(トキシック・リレーションシップ)である。相手の顔色をうかがい、ジェットコースターのような感情の起伏に依存してしまう10代特有の危うさと精神的な疲弊を、極めて生々しく、そして美しく描き出した名曲である。
和訳
[Verse 1]
Called you on the phone today
今日、あなたに電話をかけたの
Just to ask you how you were
ただ元気にしてるか聞きたかっただけで
All I did was speak normally
私はただ普通に話していただけなのに
Somehow, I still struck a nerve
なぜかまたあなたの癇に障ってしまったみたい
※「strike a nerve」は「痛いところを突く、癇に障る」というイディオム。相手が不当に怒り出す、理不尽で感情的な支配関係に置かれていることを示している。
You got me fucked up in the head, boy
あなたのせいで、私の頭はおかしくなっちゃったわ
Never doubted myself so much
こんなに自分を疑ったことはない
Like, am I pretty? Am I fun, boy?
私って可愛いのかな? 一緒にいて楽しいのかな? って
I hate that I give you power over that kinda stuff
そんなことの決定権を、あなたに握らせている自分が大嫌い
※自分の価値(美しさや魅力)を相手の評価に委ねてしまっていることへの自己嫌悪。精神的虐待やガスライティングの被害者が陥りやすい心理状態を見事に表現している。
[Chorus]
'Cause it's always one step forward and three steps back
だっていつも、1歩進んでは3歩下がるの繰り返しだから
※曲のタイトルにもなっているこのフレーズは、関係が少し改善した(1歩進んだ)と思っても、すぐにまたひどく悪化する(3歩下がる)という絶望的な後退を意味する。先述の通り、数字の「1」と「3」は彼女のアイドルであるテイラー・スウィフトのラッキーナンバー「13」を暗示する言葉遊びとして機能している。
I'm the love of your life until I make you mad
私があなたを怒らせるまでは、私はあなたの最愛の人なのよね
It's always one step forward and three steps back
いつだって、1歩進んでは3歩下がるの繰り返し
Do you love me, want me, hate me?
私を愛してるの? 欲しいの? それとも憎んでるの?
Boy, I don't understand
ねぇ、私には分からないわ
No, I don't understand
ええ、全然分からないの
[Verse 2]
And maybe in some masochistic way
それに、もしかしたらどこかマゾヒストみたいに
I kind of find it all exciting
この状況を全部刺激的だって感じちゃってるのかもしれない
※有害な関係性にありがちな「共依存」の描写。平穏な愛ではなく、波乱万丈なドラマに中毒になってしまっている自己の歪みを冷静に分析している。
Like, which lover will I get today?
今日はどのバージョンの恋人が現れるのかな、とか
Will you walk me to the door or send me home crying?
玄関まで優しく送ってくれる? それとも泣かせて家に帰すの?
[Chorus]
It's one step forward and three steps back
1歩進んでは3歩下がるの繰り返し
I'm the love of your life until I make you mad
私があなたを怒らせるまでは、私はあなたの最愛の人なのよね
It's always one step forward and three steps back
いつだって、1歩進んでは3歩下がるの繰り返し
Do you love me, want me, hate me?
私を愛してるの? 欲しいの? それとも憎んでるの?
Boy, I don't understand
ねぇ、私には分からないわ
[Bridge]
No, it's back and forth, did I say something wrong?
いいえ、行ったり来たりばかり、私何か悪いこと言ったかな?
It's back and forth, going over everything I said
行ったり来たりばかり、自分の言ったことを全部振り返って確認するの
It's back and forth, did I do something wrong?
行ったり来たりばかり、私何か悪いことしたかな?
It's back and forth, maybe this is all your fault instead
行ったり来たりばかり、でもこれって全部あなたのせいなんじゃないの?
※常に自分の言動を反省し、相手の顔色をうかがう堂々巡りの状態から、ふと「悪いのは私ではなく相手のほうではないか」と正気を取り戻す瞬間が描かれている。
[Chorus]
It's one step forward and three steps back
1歩進んでは3歩下がるの繰り返し
And I'd leave you, but the rollercoaster's all I've ever had
あなたと別れようとも思うけど、このジェットコースターみたいな日々が私のすべてだったから
※あまりにもドラマチックな恋愛しか経験していないため、健全で平穏な関係がどのようなものか分からず、結果的に感情の起伏(ジェットコースター)にしがみついてしまう悲痛な本音である。
Yeah, it's one step forward and three steps back
ええ、1歩進んでは3歩下がるの繰り返し
Do you love me, want me, hate me?
私を愛してるの? 欲しいの? それとも憎んでるの?
Boy, I don't understand
ねぇ、私には分からないわ
No, I don't understand
ええ、全然分からないの
