UGMKM

Unraveling Genius: Music, Knowledge, Madness

UGMKM ARCHIVE

Find Music By Artist, Genre.

和訳・解説記事を、アーティスト名・ジャンルから探せます。

Privilege - The Weeknd 【和訳・解説】

Artist: The Weeknd

Album: My Dear Melancholy,

Song Title: Privilege

概要

2018年にサプライズ・リリースされたEP『My Dear Melancholy,』のラストを飾る「Privilege」は、約10ヶ月間交際したセレーナ・ゴメスとの関係の完全な終焉と、ザ・ウィークエンド自身のダークなルーツへの回帰を決定づけるトラックである。タイトルが示す「特権」とは、病や精神的な苦境にあった彼女を彼が身を粉にして支えたにもかかわらず、最終的に彼女が元恋人(ジャスティン・ビーバー)の元へ戻っていった、その恵まれた状況に対する痛烈な皮肉であるとファンの間では解釈されている。献身的な愛が報われなかった彼は、この曲で「もう君の苦しみを聞く筋合いはない」と冷徹に突き放す。そして、心の痛みを麻痺させるためにドラッグやアルコール、無意味なセックスに溺れ、初期のミックステープ時代のような退廃的で自己破壊的な「昔の自分(old ways)」に戻ることを宣言するのだ。美しくも悲壮感漂うボーカルと、救いのないエゴイズムが交差する、EPの幕引きにふさわしい重厚な一曲である。

和訳

[Verse]

Enjoy your privileged life
その特権に満ちた人生を楽しむといい
※かつての恋人が、自分という献身的な存在を利用して心身を回復させ、最終的に別の男の元へ戻っていった状況を「特権階級のような身勝手さ」として冷ややかに皮肉っている。

'Cause I'm not gonna hold you through the night
もう一晩中君を抱きしめることはないから

We said our last goodbyes
俺たちは最後の別れを告げたんだ

So, let's just try to end it with a smile
だから、せめて笑顔で終わらせようじゃないか

[Pre-Chorus]

And I don't wanna hear that you are suffering
君が苦しんでいるなんて言葉はもう聞きたくない

You are suffering no more
君はもう苦しんでなんていないはずだ

'Cause I held you down when you were suffering
君が苦しんでいた時、俺がしっかり支えていたんだから
※「held someone down」は「支える、守る」という意味。相手が病気や精神的な脆さを抱えていた最も困難な時期に、自分がどれほど献身的に尽くしたかを強調すると同時に、裏切られたことへの強い憤りを滲ませている。

You were suffering
君が苦しんでいた時に

[Chorus]

Blues away, way, way
憂鬱を吹き飛ばすのさ

I got two red pills to take the blues away
この憂鬱を消し去るための赤い錠剤が2つある
※「red pills」は映画『マトリックス』における「残酷な真実に目覚める薬」のメタファーであると同時に、痛みを麻痺させる鎮痛剤などのドラッグを暗示している。現実の痛みを直視しつつ、それを薬物で強制的にシャットアウトしようとする破滅的な姿。

Blues away, way, way
憂鬱を吹き飛ばすのさ

I got two red pills to take the blues away
この憂鬱を消し去るための赤い錠剤が2つある

[Bridge]

And I'ma fuck the pain away, and I know I'll be okay
セックスでこの痛みを吹き飛ばしてやる、俺は大丈夫さ

They said our love is just a game, I don't care what they say
奴らは俺たちの愛をただのゲームだと言ったが、何を言われようと気にしない
※世間やメディアが二人の関係を「PR目的のフェイク」や「ゲーム」だとゴシップ的に消費していたことへの言及。

But I'ma drink the pain away, I'll be back to my old ways
酒で痛みを飲み下して、昔の自分に戻るんだ
※「old ways」とは、セレーナとの健全な交際期間中のポップスターとしてのクリーンな姿を捨て、初期『Trilogy』時代のようなドラッグや酒、無軌道なセックスに溺れる有害なライフスタイルへの回帰を意味している。

And I got two red pills to take the blues away, oh
そして、憂鬱を消し去る赤い錠剤が2つある

[Outro]

I don't wanna hear that no more, no more
もうこれ以上聞きたくない

No more, no more
これ以上は

I don't wanna hear that no more
もうそんな話は聞きたくないんだ
※相手からの言い訳や未練、あるいは自分自身の心の中に響く後悔の念を、力ずくで遮断しようとするかのようにリフレインされ、アルバムは静かに幕を閉じる。