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Knight - Earl Sweatshirt (feat. Domo Genesis) 【和訳・解説】

Artist: Earl Sweatshirt (feat. Domo Genesis)

Album: Doris

Song Title: Knight

概要

2013年にリリースされたEarl Sweatshirtのデビューアルバム『Doris』のクロージングを飾る本楽曲は、Odd Futureの盟友Domo Genesisを客演に迎えた内省的なマスターピースである。プロデュースは双子デュオのChristian Richが手掛け、The Magictonesの「I've Changed」(1971年)のソウルフルなボーカルとコーラスをサンプリングした、ノスタルジックで温かみのあるビートが印象的だ。リリックのテーマは「父親の不在」と「母親への愛」、そして「若くして得た名声への葛藤」である。DomoとEarlは共に父親が不在の家庭で育っており、その欠落をラップでの成功という事実によって乗り越えようとする姿が描かれている。特にEarlが法学教授である厳格な母親に対し、問題児だった自分が音楽で自立した姿を「あんたの作品(=息子)は本物だ」と語りかけるラインは、アルバムの最後を締めくくるにふさわしいエモーショナルな着地を見せている。

和訳

[Verse 1: Domo Genesis]

Guess with a few exceptions, yeah, I'm living honest
いくつか例外はあるが、ああ、俺は正直に生きてる

Except I promised my momma that I would finish college
母さんに大学を卒業するって約束したこと以外はな

Started chasing profit
利益を追いかけ始めたんだ

Sorry ma, I ain't forget about it but if money evil
ごめんよ母さん、忘れたわけじゃないが、もし金が悪だとしても

I'm hoping that you could see through all the drama
すべてのドラマを見透かしてほしいんだ

And watch me get these dollars
そして俺がこのドルを稼ぐのを見ていてくれ

And my ambition burn so hot, it's like I'm bleeding lava
俺の野心は熱く燃え盛っている、まるで溶岩の血が流れているようにな

Haters be pleading me to stop but I don't even bother
ヘイターどもは俺に止めてくれと懇願するが、俺は気にすらしない

Though my approach is seeming awkward, I could see it proper
俺のアプローチは不器用に思えるかもしれないが、俺にははっきりと見えている

See success and I just see the fact that I don't need a father
成功を目の当たりにして、俺には父親なんて必要ないという事実が見えるだけさ
※Domoは父親の不在というトラウマを、自らの力で名声と富を手に入れた事実によって克服したと力強く宣言している。

Doms hotter than the drop of Harry Potter shit
ドムスはハリー・ポッターの新作の発売よりも熱いぜ
※熱狂的な人気と行列を生み出す『ハリー・ポッター』の発売日(drop)に自身のラップの熱量(hot)を例えたポップカルチャーの引用。

Pedal to the medal, high-level, full-throttle shit
ペダルをベタ踏み、ハイレベルでフルスロットルな代物さ

Still searching for reasons why niggas ain't acknowledge this
なんで連中がこれを認めないのか、未だに理由を探してる

I'm lost in an era where real shit does not exist
リアルなものが存在しない時代で、俺は迷子になっている
※流行り廃りの激しい現代のシーンにおいて、オーセンティックなラップ(real shit)が正当に評価されにくい現状への嘆き。

I need the sway of things, I'm everyday cooling it
事の成り行きを見る必要がある、俺は毎日冷静にやってる

I'm getting blazed, laughing at the way they overdoing shit
ハイになりながら、連中がやりすぎてるのを見て笑ってるのさ

I'm just a old soul sticking to a newer script
俺は新しい台本にしがみつく古い魂さ
※自身のスタイルが90年代のブーンバップ的(old soul)でありながら、現代のヒップホップゲーム(newer script)で勝負していることの自覚。

I guess I got to prove this shit, I'm truly too legit to quit
俺はこれを証明しなきゃならないみたいだ、辞めるにはあまりにも本物すぎるからな
※MC Hammerの1991年のヒット曲「2 Legit 2 Quit」からの引用。

[Verse 2: Earl Sweatshirt]

I'd like to send a shout to the fathers that didn't raise us
俺たちを育てなかった父親たちにシャウトアウトを送りたい
※Domoのバースを引き継ぎ、同じく父親不在の家庭で育ったEarlが、自分たちを捨てた父親(南アフリカの桂冠詩人Keorapetse Kgositsile)へ向けた強烈な皮肉と決別のライン。

To every old hater, now unable to say much
今じゃ何も言えなくなった、すべての昔のヘイターたちへ

To critics doing dirty with comments, a nigga paid for an apartment
汚いコメントをしてくる評論家たちへ、俺はアパートの家賃を払ったんだぜ

Yesterday off some songs I haven't yet made up
まだ作ってもいない曲のおかげで、昨日な
※アルバムの予約や前金などで、まだ録音すらしていない楽曲の価値だけで自活できるほどの成功を収めたことへのボースト。

Black Cressida, pay up
黒いクレシーダだ、金を払え
※「Cressida」はトヨタ・マークIIの輸出名。Earlが初めて所有した車であり、成功の証。

Bars going hard as the ashtray where I place guts
俺のバースは、中身を捨てる灰皿と同じくらいハードだ
※「guts」はブラント(葉巻)を巻くために取り除かれた中のタバコ葉のこと。リリック(Bars)のハードさと掛けている。

Shouts to the eses who paid pesos to play us
俺たちを呼ぶためにペソを払ってくれたエセたちにシャウトアウト
※「ese」はヒスパニック系のギャングや友人を指すスラング。ラテン系のファンやライブプロモーターへの感謝を示している。

Riding in the barrio
バリオを車で流す
※「barrio」はスペイン語圏の居住区。

Huff and puff blowing kush in Huf clothing articles
Hufの服を着て、息を吐きながらクッシュを吹かす
※スケートブランド「Huf」と、煙を吐き出す擬音(Huff and puff)を掛けたワードプレイ。

Kenny rolling blunts got us stuck like a barnacle
ケニーが巻いたブラントのせいで、フジツボみたいにくっついて動けなくなった
※強力なマリファナで「カウチロック(ソファから動けなくなる状態)」に陥っていることを、岩に固着するフジツボ(barnacle)に例えている。

To the bottom of your shit, ironic cause the audio
お前のクソの底にな、皮肉なもんだ、だってこのオーディオは

As nautical as ships, look momma, look momma
船と同じくらい航海的だからな、見てよ母さん、見てよ
※フジツボ(底に付く)から「nautical(航海の、海事の)」へと海のメタファーを連続させ、自分の音楽が海を渡るように世界中へ広がっていくことを示唆している。

Look, your product is legit, I promise, honest
見てくれ、あんたの作品は本物だ、約束する、本当さ
※「product」は母親(UCLAの法学教授Cheryl Harris)の作品=息子であるEarl自身を指す。非行に走りサモアの施設に送られた自分が、立派な大人(本物)になったと母に語りかけている感動的なライン。

This karma got me balling up my fist
このカルマのせいで、俺は拳を握りしめている

'Til I demolish your clique, pardon the clips
お前の徒党を粉砕するまでな、クリップには容赦してくれ
※「clips」は銃の弾倉。ラップのスキルで敵対する連中を打ちのめす攻撃性。

I am honestly as bomb as it gets
正直言って、俺はこれ以上ないくらいヤバいぜ

Regardless of who is talking, I'm farming, harvesting hits
誰が何を言おうと関係ない、俺は農作業をして、ヒット曲を収穫してるんだ
※「farming」と「harvesting」で農作業のメタファーを用い、着実に名曲を生み出し続けている様子を表現している。

Just me and Domo and lit marijuana to split between two of us
ただ俺とドモと、二人で分ける火のついたマリファナだけだ

Rocking boxes easy as warming some ramen noodles up
インスタントラーメンを温めるのと同じくらい簡単に、ボックスを揺らしてる
※「boxes」はスピーカーのこと。苦労せずにクラブやライブハウスを沸かせることができるというスキルの誇示。

So, searching for a way to state it right
だから、正しく表現する方法を探してるんだ

Young, black, and jaded, vision hazy strolling through the night
若く、黒人で、疲れ果て、視界は霞んだまま夜を彷徨い歩く