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Centurion - Earl Sweatshirt (feat. Vince Staples) 【和訳・解説】

Artist: Earl Sweatshirt (feat. Vince Staples)

Album: Doris

Song Title: Centurion

概要

2013年にリリースされたEarl Sweatshirtのデビューアルバム『Doris』に収録された「Centurion」は、西海岸の若き才能であるVince Staplesを客演に迎えた、陰惨で映画的なストリート・テイルである。プロデュースはChristian Richが手掛け、前半は不気味で重苦しいベースラインとサイケデリックなサンプリングが支配し、後半で一転してDavid Axelrodの「A Divine Image」をサンプリングした壮大かつ攻撃的なブラスサウンドへとビート・スイッチする構成が秀逸だ。前半ではVince Staplesが冷酷なギャングスタとしての日常と野心を冷徹に語り、Earlがそれに続いてOdd Future特有のスケートカルチャー(SupremeやStussy)と生々しいドラッグ・ディールや暴力の風景を精緻なライムで描写する。そしてビートが切り替わる第3バースでは、Earlがさらにギアを上げ、レーザーサイトを「ビンディ(赤い額の印)」に例えるなどの高度なワードプレイを連発しながら、シーンにおける自身の圧倒的な存在感を誇示する。初期Odd Futureの悪ふざけから脱却し、本格的なリリシストとしてのEarlの進化と、Vinceのストリートのリアリズムが見事に融合した傑作である。

和訳

[Intro: Earl Sweatshirt]

"Oh... me? Yeah, yeah, yeah. I'm just tryna say somethin' before... I... I... drop it off."
「あぁ…俺? そう、そう、そう。ちょっと言っておきたいことがあってさ…俺が…俺が…ぶっ放す前にな」

[Verse 1: Vince Staples]

I feel like the Tom Sawyer for real niggas
俺は本物のハスラーたちにとっての、トム・ソーヤみたいな気分だ
※マーク・トウェインの小説の主人公トム・ソーヤの悪戯好きで機転の利くキャラクターを、ストリートの危険なライフスタイルに生きる自分自身に重ね合わせている。

Looking for a problem, revolver under the Hilfiger
揉め事を探してる、ヒルフィガーの下にはリボルバーを隠してな
※トミー・ヒルフィガー。90年代からヒップホップカルチャーで愛されるブランド。

No bluff needed, we will kill niggas
ハッタリなんて必要ない、俺たちは奴らを殺る

So try me if you want, bruh, I promise I'm with all of that
だから試したければやってみろよ、兄弟、俺はそういうの全部受けて立つと約束するぜ

Late night shooters, got 'em thinking Johnny Carson back
深夜のシューターたちだ、ジョニー・カーソンが戻ってきたのかと奴らに思わせる
※「シューター(銃を撃つ者)」と深夜のトーク番組『The Tonight Show』の伝説的司会者ジョニー・カーソンを掛け、深夜に「放つ(shoot)」者としてのダブルミーニング。

Trying to win this white man's game with my heart intact
心を保ったまま、この白人のゲームに勝とうとしてるんだ
※音楽業界やアメリカ社会という「白人が支配するゲーム」において、自分を見失わずに成功を掴むという意志。

All off a dollar and a dream that I really had
俺が本当に持っていた、たった1ドルと1つの夢から全てが始まった
※J. Coleのミックステープのタイトルなどでも知られる、ヒップホップにおける成功へのハングリー精神を表す定番のフレーズ。

Kind of hard to sleep when your thoughts is in the streets
思考がストリートにある時は、眠りにつくのも難しいもんだ

Norf Norf is the side where my family stay
ノース・ノースが俺の家族の住む場所さ
※Vince Staplesの地元であるカリフォルニア州ロングビーチの北部(Norf Long Beach)。

Big Baby Jesus, I can't wait
ビッグ・ベイビー・ジーザス、もう待ちきれないぜ
※ウータン・クランの故Ol' Dirty Bastardの別名義。彼の破天荒なエネルギーを憑依させている。

Until the money coming in, spend it all on guns and rims
金が入ってくるまでな、入ったら銃と車のリムに全部使ってやる

I ain't nothing but a nigga, ain't no reason to pretend
俺はただの黒人だ、偽る理由なんてどこにもない

[Verse 2: Earl Sweatshirt]

Kept the sticky in a Stussy pouch
ステューシーのポーチに上質なウィードを隠し持ってた
※「sticky」は樹脂を多く含んだ強力なマリファナ。

Ski mask, bloody 'Preme hoodie tossing doobies out
目出し帽、血まみれのシュプリームのパーカーを着て、吸い殻を投げ捨てる
※Odd Future周辺のスケーターファッション(Stussy、Supreme)と、強盗や暴力といったストリートの犯罪が入り混じった情景。

The window of the hoopty, night black as Paul
ボロ車の窓からな、夜はポールみたいに真っ黒だ

Mooney at the movies but the moon was out
映画に出てくるムーニーみたいにな、でも月は出ていた
※黒人コメディアンのポール・ムーニー(Paul Mooney)の肌の黒さと、夜の暗さ、そして「Moon」を掛けた高度なワードプレイ。

Food was always optional
食事はいつもオプションみたいなもんだった

Eating nothing but hard punches to that abdominal
その腹に強烈なパンチを食らう以外は、何も食ってなかったからな
※貧困で食べるものがない状況と、ストリートでの喧嘩(腹へのパンチを"食らう")を掛けている。

Closed fist chronicles, sold sniff, Momma knew
握りしめた拳の年代記、コカインを売った、母さんは知っていた
※「sniff」は鼻から吸うドラッグ(コカインなど)。

Baggies laying 'round, peanut shells at a carnival
パケがその辺に転がってる、まるでカーニバルのピーナッツの殻みたいにな
※ドラッグの空袋が散乱しているトラップハウスの様子を、お祭りの後のピーナッツの殻に例えた秀逸な描写。

Stomping clowns, welcome pussy niggas to the romper room
ピエロどもを踏みつけろ、弱虫野郎ども、ロンパールームへようこそ
※「Romper Room」は子供向けテレビ番組の名前だが、ストリートスラングでは乱痴気騒ぎや暴力が起きる危険な場所を指す。

Buckshot'll cover a whole torso like a parka do
散弾銃の弾が、パーカーみたいに胴体全体を覆うぜ

In a park at two, plotting, trying to garner loot
深夜2時の公園で、略奪品を集めようと企んでいる

Split it with his big road dog, call him Marmaduke
相棒とそれを山分けする、あいつをマーマデュークと呼んでくれ
※「road dog」は親友や相棒のこと。巨大な犬のキャラクター「マーマデューク」に例えている。

Searching for a shard of truth and found, uh
真実の欠片を探し求めて、見つけたんだ、あぁ

Couple bucks bought his cousins lunch
数ドルで従兄弟たちに昼飯を買ってやった

Another Dutch, stiff collar on the button-up
またダッチ・マスターを巻き、ボタンアップの襟を立てる
※「Dutch」はブラント(マリファナの葉巻)用の安葉巻ブランド。

Hood, rich, wild, and 'bout to run amok
フッド、金持ち、ワイルド、そして今にも暴れ出しそうさ

Road to Hell paved with cement
地獄への道はセメントで舗装されている
※「地獄への道は善意で舗装されている」ということわざを改変し、コンクリート・ジャングル(ストリート)での過酷な現実を示唆している。

Covered trussled drugs, toughen up
縛られたドラッグを覆い隠し、タフになれ

[Refrain: Earl Sweatshirt]

"Well, alright. Okay
「まあ、いいだろう。オーケー

If that's how you truly feel about it, then
お前が本気でそう感じてるんなら、それなら

Alright, okay
いいだろう、オーケー

If that's how you truly feel about it, then."
お前が本気でそう感じてるんなら、それならな」
※ここで不穏なビートから、David Axelrodのサンプリングによる壮大なブラスビートへと切り替わる。

[Verse 3: Earl Sweatshirt]

Vinny Stape, they stupid, think the city safe
ヴィニー・ステイプ、奴らはバカだ、この街が安全だと思ってる

Until that little bindi placed, headshots, red dot
あの小さなビンディが置かれるまではな、ヘッドショット、赤い点だ
※「bindi」はヒンドゥー教徒の女性が額につける赤い印。それを銃のレーザーサイトの赤い点に見立て、頭を狙われている状況(ヘッドショット)を描いた戦慄のパンチライン。

Block as hot as Denny plates, fed watch, Fed watch
ブロックはデニーズの鉄板みたいに熱いぜ、サツの監視、連邦捜査局の監視だ
※「hot」は警察の警戒が強まっている危険な状態。デニーズの熱い鉄板(Denny plates)と掛けている。

Opinions only pity based, deep in the Civic with the
意見なんて哀れみに基づいてるだけだ、ホンダ・シビックの奥深くで

Evilest niggas this side of the Mississippi
ミシシッピ川のこちら側で一番邪悪な黒人たちと一緒にな

All courtesy of Vincent from niggas who plot against
俺たちを陥れようと企む奴らへの対応は、全てヴィンセントのおかげさ
※Vince Staples(本名Vincent)の冷酷なストリートでの対応力を指している。

Ear-L-double-S, hear shells from the Tec
アール・ダブル・エス(Earl SS)、テックからの薬莢の音を聞け
※自身の名前「Earl Sweatshirt」の略称。TEC-9(半自動拳銃)の銃声。

Hear in full-effect, eat a dick and cut a check, bitch
フルエフェクトで聞いてみろ、クソ食らえ、そして小切手を切れ、ビッチ

Few niggas I'm on a first-name basis with
ファーストネームで呼び合う仲の奴は少ししかいない

Address him by the alias, that trunk weighted like he
あいつのことは偽名で呼べ、あの車のトランクは沈み込んでいる

'Bout to catch a case again, eighths louder than the voice of
あいつがまた事件を起こしそうなほどにな、エイスの匂いはあの声よりも強烈だ
※「catch a case」は逮捕されること。トランクには死体か大量の武器が積まれている暗示。「eighths」は8分の1オンス(約3.5グラム)のウィードで、匂いが強い(loud)ことと声の大きさを掛けている。

Satan that be plaguing him, bruh, I'm caking
奴を苦しめるサタンの声よりもな、兄弟、俺は稼いでるぜ
※「caking」は大金を稼ぐこと(cake=金)。

Whether Hell or bad weather, high water, I'm a sailor-type
地獄だろうと悪天候だろうと、大水だろうと、俺は船乗りみたいなタイプさ
※「Come hell or high water(何があろうとも)」ということわざを用いた表現。

Assailant for the paper, living like I met the maker twice
金のための襲撃者だ、創造主に二度会ったかのように生きてる
※死にかけて神(the maker)に会うような危険な体験を何度もくぐり抜けてきたというサバイバルの誇示。

Hit it 'til I'm faded right? Mami, take a hike
意識が飛ぶまで吸うんだ、だろ? マミ、どっか行ってくれ

Or treat it like you fucking shaking dice, bitch
それとも、ダイスを振るみたいに扱ってやるよ、ビッチ
※ギャンブルでダイスを振る手の動きを、手淫(あるいは女性への乱暴な扱い)に例えた露悪的なライン。

[Refrain: Earl Sweatshirt]

"Well, alright. Okay
「まあ、いいだろう。オーケー

If that's how you truly feel about it, then
お前が本気でそう感じてるんなら、それなら

Alright, okay
いいだろう、オーケー

If that's how you truly feel about it, then."
お前が本気でそう感じてるんなら、それならな」