Artist: Earl Sweatshirt (feat. Frank Ocean)
Album: Doris
Song Title: Sunday
概要
2013年にリリースされたEarl Sweatshirtのデビューアルバム『Doris』に収録された本作は、Odd Futureの盟友であるFrank Oceanを客演に迎えた、メランコリックで内省的な一曲である。ゆったりとしたオルガンのループとレイドバックしたビートの上で、両者は「恋愛関係の綻び」と「マリファナ(ドラッグ)断ちによる精神的な変化」という共通のテーマを歌い上げている。特にヒップホップコミュニティにおいて本作が伝説的に語られる理由は、Frank Oceanが披露した見事なラップバースにある。ここでFrankは、2013年初頭に西ハリウッドのスタジオ前で起きたChris Brownおよびその取り巻きとの乱闘事件の真相を、鋭いパンチラインとともに赤裸々に暴露した。R&BシンガーであるFrankがラップという武器を用いて、ホモフォビアと暴力に打ち勝ったグラミー賞での栄光を見せつけるこのバースは、シーンに強烈なインパクトを与え、本作をアルバム屈指のハイライトへと押し上げている。
和訳
[Verse 1: Earl Sweatshirt]
I know it don't seem difficult to hit you up
君に連絡をとるのは難しくないように見えるだろうけど
But you not passionate about half the shit that you into
でも君は、自分が夢中になっているはずのことの半分にも情熱を持っちゃいない
And I ain't havin' it
俺はそんなの御免なんだ
And we both know that I don't mean to offend you
君を傷つけるつもりはないってことくらい、お互い分かってるだろ
I'm just focused today
今日はただ、集中しているだけなんだ
And I don't know why it's difficult to admit that I miss you
寂しいと認めるのがなんでこんなに難しいのか、自分でも分からない
And I don't know why we argue, and I just hope that you listen
なんで俺たちが言い争うのかも分からない、ただ君には聞いてほしいんだ
And if I hurt you, I'm sorry, the music makes me dismissive
もし傷つけたなら謝るよ、音楽のせいで俺は冷淡になってしまうんだ
※アーティストとしての創造への没頭が、私生活の人間関係を犠牲にしてしまう葛藤。
When I'm awake I'm just driftin', I'm not complainin'
起きている時はただ漂っているだけだ、文句を言っているわけじゃない
It's just to say that I stay pretty busy lately
ただ、最近かなり忙しくしてるってことを言いたいだけだ
And I could be misbehavin', I just hang with my niggas
羽目を外すこともあるかもしれない、いつものダチとつるんでるだけさ
I'm fuckin' famous if you forgot
忘れてるかもしれないが、俺はクソ有名なんだぜ
※サモアの更生施設から帰還した後、急激に膨れ上がった自身の影響力と名声への自覚。
I'm faithful despite all what's in my face and my pocket
目の前にある誘惑やポケットの金にもかかわらず、俺は誠実でいる
And this is painfully honest
これは痛々しいほど正直な気持ちだ
And when I say it I vomit
口に出すと吐き気がするほどにな
On cloudy days when I'm salty, I play the hate to the logic
イラついている曇りの日には、理屈にヘイトをぶつけるのさ
State to state for the profit, it ain't a stain on me, nigga
利益のために州から州へと飛び回る、俺に汚れはついてないぜ
My momma raised me a prophet, I play for dollar incentive
母さんは俺を預言者として育てた、俺はドルの報酬のためにプレイする
※Earlの母、Cheryl Harrisへの言及。知的な環境で育った彼が、商業的な音楽業界で稼ぐことへの皮肉とプライド。
And where I'm walkin', it's studded, and half-retarded, I stumble
俺の歩く道にはスタッズが散りばめられていて、半分頭がラリった状態でつまずく
To where she park when she visit, I grab the bottle and chug it
彼女が会いに来た時に停める場所までな、俺はボトルを掴んで飲み干す
I see the car in the distance, I know the dark isn't comin'
遠くに車が見える、闇は来ないって分かってる
For the moment, if I could hold it
今のこの瞬間を、もし引き留めておけるなら
You see, see, it seems that
ほら、ほら、どうやら
[Chorus: Earl Sweatshirt]
All my dreams got dimmer when I stopped smokin' pot
マリファナを吸うのをやめたら、夢がぼやけてしまった
Nightmares got more vivid when I stopped smokin' pot
マリファナを吸うのをやめたら、悪夢がより鮮明になった
※マリファナ(大麻)の常習者が禁煙した際、レム睡眠の反動(REM rebound)によって非常にリアルで鮮明な夢や悪夢を見るようになるという医学的・体験的な事実を描写している。
And lovin' you is a little different, I don't like you a lot
そして君を愛することも少し変わってしまった、君のことがあまり好きじゃないんだ
You see, it seems like, um
ほら、どうやら、その
[Verse 2: Frank Ocean]
I'm comin' back, I gotta handle business
戻るよ、ビジネスを片付けなきゃいけないんだ
Vanish to my sleeper seat, left you at terminal three
寝台シートへと消える、君を第3ターミナルに残して
I'll meet you down at baggage claim in a couple weeks, a fortnight
数週間後、2週間後の手荷物受取所で会おう
When you parade my homecomin', don't cry
俺の帰還をパレードで祝ってくれる時も、泣かないでくれ
You know I can't live in any place I visit
俺が訪れたどの場所にも住み着くことができないって、君は知ってるだろ
To live and die in LA
ロサンゼルスで生き、そして死ぬためにな
※2Pacのクラシック「To Live & Die in L.A.」の引用。
I got my Fleetwood Mac, I could get high every day
俺にはフリートウッド・マックがある、毎日ハイになれるんだ
※ロックバンドFleetwood Macの音楽を聴いてリラックスすること、あるいはカリフォルニア特有のヒッピー的なライフスタイルのメタファー。
But I'd be sleepy, OCD and paranoid, so
でもそうすると眠くなるし、強迫神経症やパラノイアになっちまう、だから
Give me Bali beach, no molly, please, palm, no marijuana trees
バリのビーチをくれ、モリーは勘弁だ、ヤシの木がいい、マリファナの木はいらない
※モリー(MDMA)やマリファナなどのドラッグから離れ、シラフで自然の美しさを求めるFrankの姿勢。
Your hickeys on my aorta and tattoos you could only see
俺の大動脈につけられた君のキスマークと、君にしか見えないタトゥー
※「大動脈(心臓)のキスマーク」という、極めて親密で痛みを伴う愛の痕跡の詩的な表現。
When I'm playin' surfboarder, put whiskey in that salt water
俺がサーファーを気取ってる時に、その海水にウイスキーを混ぜてくれ
I emptied every canteen
水筒は全部空っぽにした
Just to wear that straight-edge varsity you think's cool
君がクールだと思ってる、そのストレート・エッジのスタジャンを着るためにな
※「straight-edge」は酒やドラッグを一切やらないライフスタイルのこと。シラフであることをスタジャン(varsity jacket)というファッションのステータスに例えている。
They thought me soft in high school, thank God I'm jagged
高校時代、奴らは俺のことをソフトだと思ってた、俺が尖っていて神に感謝するよ
Forgot you don't like it rough, I mean, he called me a faggot
君が乱暴なのが嫌いだってこと忘れてたよ、あいつが俺をオカマ呼ばわりしたんだ
※ここからChris Brownとの乱闘事件への言及。2013年、スタジオの駐車場でChris BrownがFrank Oceanのセクシュアリティを侮辱するホモフォビックな暴言(faggot)を吐いたとされる事実への直接的な告発。
I was just callin' his bluff
俺はあいつのハッタリを見抜いてやっただけさ
I mean, how anal am I gon' be when I'm aimin' my gun?
つまり、銃の狙いを定めてる時に、俺がどれだけ神経質になると思う?
And why's his mug all bloody? That was a three-on-one
それであいつのツラが血まみれだったのはなんでだ? あれは3対1だったんだぜ
※Chris Brownと彼のボディガードたちによる3対1の卑怯な状況であったにもかかわらず、Chris側がダメージ(血)を負っていたことをあざ笑う痛烈なパンチライン。
Standing ovation at Staples, I got my Grammys and gold
ステイプルズ・センターでのスタンディングオベーション、俺はグラミーとゴールドを手にした
※乱闘事件の直後に行われたグラミー賞授賞式(Staples Centerで開催)で、Frankが勝利しスタンディングオベーションを受けた事実。Chris Brownが着席したまま苦虫を噛み潰したような顔をしていたことは当時大きな話題となり、究極の勝利宣言として機能している。
Polka dots on my Brit, I'm not supposed to be stuntin'
俺のイギリス車には水玉模様、俺は派手に見せびらかすつもりなんてないんだ
※「Brit」はFrankが愛好するイギリスの高級車(マクラーレンなど)。雨粒がポルカドットのように車体を濡らしている情景、あるいは自身の控えめなフレックス(自慢)。
It's all melodic, this song
この曲は完全にメロディックだ
I catch this vibe in my sleep, but I'm just jet-lagged is all
眠りの中でこのバイブスを掴んだ、でもただ時差ボケしてるだけなんだ
And restless
そして落ち着かないんだ
[Chorus: Frank Ocean]
All my dreams got more vivid when I stopped smokin' pot
マリファナを吸うのをやめたら、夢がより鮮明になった
Nightmares got more vivid when I stopped smokin' pot
マリファナを吸うのをやめたら、悪夢がより鮮明になった
Loving you is a little different I don't like you a lot
君を愛することは少し変わってしまった、君のことがあまり好きじゃないんだ
I mean, fuck
つまりさ、クソッ
[Outro: Frank Ocean & Earl Sweatshirt, Frank Ocean, Earl Sweatshirt]
I don't know what we're about
俺たちがどうなっちまうのか分からない
What good is West Coast weather if you're bi-polar?
双極性障害なら、西海岸の晴れた天気なんて何の意味がある?
※LAの完璧な天候も、内面の激しい感情の浮き沈み(双極性)の前では無力だという暗い現実の吐露。
If I'ma need this sweater, I'd rather be where it's cold
もしこのセーターが必要になるなら、いっそ寒い場所にいたい
Where it snows, I see how it goes
雪が降る場所にな、どうなるか見てみるよ
I put the flowers in bowls, I know they're comin' in droves
花をボウルに飾る、大勢が群がって来るのは分かってる
You'll only miss when it goes
それが消え去った時にしか、君は寂しさを感じないんだ
Yeah, I think that's it
ああ、そういうことだと思う
When it goes
それが消え去った時にな
