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Burgundy - Earl Sweatshirt (feat. Vince Staples) 【和訳・解説】

Artist: Earl Sweatshirt (feat. Vince Staples)

Album: Doris

Song Title: Burgundy

概要

2013年にリリースされたデビューアルバム『Doris』に収録された本作は、The Neptunes(Pharrell WilliamsとChad Hugo)がプロデュースを手掛けた、重厚でドラマチックなブラスサウンドが印象的な一曲だ。サモアの更生施設から帰還し、瞬く間に高まった世間からの異常な期待と、自身の私生活における喪失や精神的な葛藤との間で引き裂かれるEarlの苦悩が赤裸々に綴られている。客演のVince Staplesは、Earlの精神状態などお構いなしにただ「ラップ」を要求する身勝手なファンや音楽業界の象徴として見事なヒール役を演じている。名声とプレッシャーに押し潰されそうになりながらも、後半では巧みなワードプレイと虚勢を張ったストリートのペルソナを見せつけ、天才としてのスキルを誇示する。若きEarlの複雑な内面とアーティストとしての宿命が交差する、初期の傑作である。

和訳

[Intro: Vince Staples & Earl Sweatshirt]

"What's up, nigga? Why you so depressed and sad all the time like a little bitch? What's the problem, man? Niggas want to hear you rap. Don't nobody care about how you feel, we want- we want raps, nigga."
調子はどうだ? なんでお前はいつもちっぽけなビッチみたいに落ち込んで悲しそうにしてるんだよ? 何が問題なんだ? みんなお前のラップが聴きたいんだよ。お前がどう感じてるかなんて誰も気にしちゃいねえんだ、俺たちが欲しいのはラップなんだよ。
※Vince Staplesがファンや音楽業界の声を代弁し、アーティストの内面を無視してコンテンツだけを消費しようとする残酷な態度を演じている。

"Raps?"
ラップ?

[Verse 1: Earl Sweatshirt & Vince Staples]

My grandma's passing
祖母が亡くなりそうなんだ

But I'm too busy tryna get this fuckin' album crackin' to see her
でも俺はこのクソみたいなアルバムを完成させるのに忙しすぎて、会いに行けない

So I apologize in advance if anything should happen (Cut that bitch off!)
だから万が一のことがあったら、先に謝っておくよ (Cut that bitch off!)
※「Cut that bitch off!(あのビッチを黙らせろ!)」という強烈なアドリブは、感傷的な感情を無理やり断ち切ろうとする彼自身の防衛本能、あるいは前述のVinceのような周囲からの冷酷なヤジを表している。

And my priorities fucked up, I know it, I'm afraid I'm gonna blow it
優先順位がイカれてるのは分かってる、台無しにしちまうんじゃないかって怖いんだ

And when them expectations raising because daddy was a poet, right?
それに、親父が詩人だったからって周りの期待も高まるしな、だろ?
※Earlの実の父親である南アフリカの著名な桂冠詩人、Keorapetse Kgositsileへの言及。偉大な父親の血を引く天才という世間からのプレッシャーを重荷に感じている。

Talk all you want, I'm takin' no advice, nigga
好きに言えばいいさ、俺は誰のアドバイスも聞かねえよ

I'm 'bout to relish in this anguish, and I'm stressin' over payment (Cut that bitch off!)
この苦悩を味わい尽くそうとしてるんだ、支払いのことでストレスも抱えてるしな (Cut that bitch off!)

So don't tell me that I made it, only relatively famous
だから俺が成功したなんて言うな、ちょっとばかり有名になっただけだ

In the midst of a tornado, misfitted, I'm Clark Gable
竜巻のど真ん中、居場所がない、俺はクラーク・ゲーブルだ
※1961年の映画『The Misfits(荒馬と女)』に主演した名優クラーク・ゲーブルとのダブルミーニング。「Misfit(はみ出し者)」としての自身の境遇と掛けている。

I'm not stable, (I'm not stable) abrasive as fuck and they all (Cut that bitch off!)
俺は不安定なんだ、(不安定なんだ)クソみたいに神経を逆撫でしてくるし、奴らはみんな (Cut that bitch off!)

Pay me, I'm chuckling cross-faded in public
金を払えよ、俺は人前で酒とクスリでキマりながら笑い飛ばしてる
※「cross-faded」はアルコールとマリファナを同時に摂取して泥酔・酩酊している状態。

Heart racin' 'til blunt is lit, (Like he don't give a fuck again, right?)
ブラントに火をつけるまで心臓がバクバク言ってる、(またあいつは何も気にしてないフリをしてる、だろ?)
※極度の不安やパニック発作をマリファナで落ち着かせようとする痛々しい描写。

[Interlude: Vince Staples]

"Hey Thebe, nigga, what's up nigga? I heard you back, I need them raps, nigga. I need the verse, I don't care about what you going through or what you gotta do nigga, I need bars, sixteen of 'em."
おいシービー、調子はどうだ? 帰ってきたらしいな、俺にはそのラップが必要なんだよ。バースが要るんだ、お前がどんな辛い思いをしてるとか、何をしなきゃいけないかなんて知ったこっちゃねえ、俺には小節が必要なんだ、16小節な。
※「Thebe(シービー)」はEarlの本名(Thebe Neruda Kgositsile)。Vinceが再び登場し、私生活の困難を無視して「16小節」のノルマを非情に要求する。

[Verse 2: Earl Sweatshirt]

I don't fuck with too much of y'all's shit
俺はお前らのやってることにはあんまり関わらねえ

Judgin' by the pants and the mall grip
そのパンツとモールグリップを見れば分かるさ
※「mall grip」はスケートボードのトラック部分(金具)を掴んで持ち歩くこと。本物のスケーターからは見栄っ張りの初心者(ポーザー)とされる持ち方であり、フェイクな連中をディスっている。

Gully, in the vans with the dark tints
ガリーだ、スモークの濃いバンに乗ってる
※「Gully」はストリートの過酷な環境や、そこから来る生々しい荒々しさを意味するスラング。

I'm a start-shit type nigga (Cut that bitch off!)
俺は事を荒立てるタイプの男だ (Cut that bitch off!)

Night life livin'
夜の街を生きてる

Ridin' in the Jeep, I'mma side-swipe niggas
ジープに乗って、奴らを横からこすってやる

What's your life like? That's alright nigga
お前の人生はどんなだ? まあいいさ

Hammer in the left ready when the price isn't
価格が合わねえ時は、左手のハンマーの準備ができてるぜ
※「Hammer」は拳銃の隠語。交渉が決裂した際には銃を使うというギャングスタラップ的な虚勢。

Right got the whip and I ain't got the license for it
右には車があるけど、俺はその免許すら持ってねえんだ

And Jill got me living like my life is golden
それにジルのおかげで、俺の人生は輝いてるように生きてる
※ネオソウルシンガー、Jill Scottのヒット曲「Golden」の有名なフレーズ(Living my life like it's golden)を引用している。

Sitting on the sofa feeling high and dormant
ソファに座って、ハイになって眠気を感じてる

If we could smoke another while the mic records it (Cut that bitch off!)
マイクが録音してる間にもう一本吸えたらな (Cut that bitch off!)

The nicest doin' it, who the fuck you staring at?
最高にイケてる奴がやってるんだ、お前は一体誰を見てるんだ?

Acting like you've never seen a tooth that's carat-capped
カラットの金歯なんて見たことないって顔しやがって
※「carat-capped」はカラット(金)でキャップされた歯、つまりグリルズ(金歯)のこと。

Bars hotter than the blocks where we be at
俺たちがたむろしてるブロックよりも、このバースの方が熱いぜ

Stuntin' these niggas gon' flop like Divac
見せつけてやる、こいつらはディバッツみたいに大げさに倒れ込むだろうよ
※NBAの元選手Vlade Divac(ブラデ・ディバッツ)へのネームドロップ。彼はファウルをもらうためにわざと大げさに倒れる「フロッピング」の名手として知られており、ライバルたちがEarlのスキルを前に見掛け倒しで崩れ落ちる様を掛けている。

See that nigga? And for the time being
あの男が見えるか? そして当分の間は

I'mma be that nigga, believe that nigga
俺があの男になるんだ、信じな

You see that nigga? And for the time being
あの男が見えるか? そして当分の間は

I'mma be that nigga, believe that, nigga (Cut that bitch off!)
俺があの男になるんだ、信じな (Cut that bitch off!)
※ヒップホップにおいて誰もが認める「トップの男(that nigga)」として君臨し続けるという力強い宣言で締めくくられる。