Artist: YoungBoy Never Broke Again
Album: ML2
Song Title: Ganja
概要
ルイジアナ州バトンルージュ出身のラッパー、YoungBoy Never Broke Againによる本作「Ganja」は、彼特有のメランコリックな内省と、ストリートの過酷な現実が交錯するエモーショナルなトラップ・チューンである。タイトルの通り、マリファナ(ガンジャ)やリーンといった薬物による現実逃避をテーマにしており、最愛の祖母の死による深い喪失感や、刑務所での壮絶なトラウマが歌詞の随所に滲み出ている。また、映画『スカーフェイス』のソーサやニューオーリンズの悪名高いマグノリア・プロジェクトを引用することで、成功を掴んだ後も拭いきれないストリートの業とギャングスタとしてのペルソナを巧みに表現している。痛みを麻痺させるためのドラッグ使用と、すれ違う恋愛関係への苦悩を吐露する本作は、ファンコミュニティの間でも彼の「Sad Boy」としての脆さと、決して後戻りできないボスの哀愁が完璧なバランスで描かれたリリシズムの真骨頂として高く評価されている。
和訳
[Intro]
(Fatboi)
[Chorus]
Spliff, I smoke the ganja and go under, I can see it
ジョイント、ガンジャを吸って沈み込む、俺には見えるんだ
※「go under」はマリファナの強烈な酩酊感で意識が沈む様子や、精神的なトラウマからの現実逃避を表している。
I'm foggin' up the window, Skully crackin', I can't breathe
窓ガラスを曇らせる、スカルキャップが割れそうだ、息ができない
※「Skully(ニット帽、または頭蓋骨)」が割れるような強いハイ状態、あるいは偏頭痛のような痛みを暗示している。車内でスモークを充満させている様子(ホットボックス)の描写。
I'm sneaky with the women, not gon' wonder why she leave
女に対してコソコソしてる、あいつが去る理由なんて気にもしない
[Verse 1]
Bitch, I push out two in a tally coupe
ビッチ、クーペに乗って2発撃ち放つ
SD5 is tatted too
SD5のタトゥーも入ってる
※「SD5」はNBA YoungBoyの親しい仲間やクルーに関連するタトゥー、あるいは特定のセット(派閥)への忠誠を示すコード。
What, you think that all this time was cool? (Go)
なんだ、今までずっと平気だったとでも思ってるのか? (Go)
In a cell where killers smoke K2 (Go)
人殺しがK2を吸うような独房の中で (Go)
※「K2」は合成マリファナ(スパイス)。刑務所内で密輸され、受刑者が現実逃避のために乱用することで知られる。彼の収監経験の過酷さをリアルに描写している。
I'm the same lil' nigga, look how I grew
俺はあの頃と同じガキさ、俺の成長を見てみろよ
I been movin' ahead, they ain't catchin' a clue
俺は先に進み続けてる、奴らには見当もつかないだろうな
I been too far ahead and these millions here proof
俺はずっと先を行ってる、ここにある何百万ドルがその証拠だ
Tell that nigga I'm— yeah
あの野郎に言ってやれ、俺は— yeah
When I point it, they shoot
俺が狙いを定めたら、あいつらが撃つんだ
※自分が直接手を下さずとも、指を差すだけで動くヒットマン(シューター)を抱えるギャングのボスとしての立ち位置を誇示している。
I'm hurt, but I'm on it, not many gon' notice
傷ついてるが、やるべきことはやってる、気づく奴は多くない
I'm smokin' on ganja, I gotta stay loaded
ガンジャを吸ってる、常にキマッてなきゃならないんだ
I'ma pull up a 5, then I'm comin' alive
5をキメて、そして生き返るんだ
※「5」はパーコセット(オピオイド系鎮痛剤)の5mg錠を指すストリートスラング。心の痛みを消し去るための薬物依存を示唆している。
Everything with the sidеs, you know that I code it (Know that)
サイドに関するすべて、俺が暗号化してるって知ってるだろ (Know that)
I'ma praise to the flag on a flight with thе guys
仲間とのフライト中、旗に敬意を払うんだ
※「flag」はストリートギャング(特に彼が属するブラッズ)のバンダナを指す。プライベートジェットに乗るほどの成功を収めても、フッドとギャングとしての忠誠心は変わらないことを示している。
All the 5s in the skies, you know that they coach me (Coach)
空にあるすべての5、奴らが俺を導いてくれるって知ってるだろ (Coach)
※「5s」は彼が所属するBlood系のギャング(Five-Percenterや5-point starに関連)の暗号、または亡くなった仲間たちを空(天国)に見立てて、彼らが見守っていることを表現している。
Lost my head when grandma died
ばあちゃんが死んだ時、俺は正気を失った
I sat and cried as soon as they told me
知らされた瞬間、座り込んで泣き崩れたんだ
Lean, lean, kill the pain
リーン、リーン、この痛みを殺してくれ
※プロメタジンとコデインを含む咳止めシロップ(リーン)。ヒップホップシーンにおける代表的なダウナー系ドラッグで、精神的苦痛を麻痺させるために使用される。
I swear all the water make it go away
水がすべてを洗い流してくれると誓うよ
※「water」はPCP(フェンサイクリジン)などの強力な幻覚剤、あるいはドラッグを溶かした液体を指すストリートスラング。
I stepped in the rain and then since then, ain't been the same
雨の中に踏み出して、それ以来、何もかもが変わっちまった
※「rain」はストリートの銃撃戦や過酷な犯罪の世界を暗喩。一度その世界に足を踏み入れると、元の純粋な自分には二度と戻れないという悲哀。
All this shit, it brought me pain, I thought to find another lane
このすべてのクソが俺に痛みをもたらした、別の道を見つけようと思ったんだ
I stayed up 'cause I thought you was comin' over (Oh)
お前が来ると思って起きて待ってたのに (Oh)
These times around, they start to remind me of the old ones
最近は、昔の連中を思い出させるんだ
This shit for you, but, look, who knew? You don't even notice me
これはお前のためのものだ、でも、ほら、誰が知ってた?お前は俺に気づきもしない
I thought I proved that you was the one I only wanted
俺が欲しいのはお前だけだって、証明したと思ってたのに
Go tell 'em Skully murder shit, it's gon' go down 'bout me
Skullyがぶっ殺すって奴らに伝えてこい、俺のことで一悶着あるぜ
※「Skully」は彼自身の別名、あるいは親しい仲間の名前。トラブルが起きれば徹底的な暴力で解決するという意志表示。
I'm the one who only act like I don't notice
俺は気づいてないフリをしてるだけなんだ
Want me go home, but I been hustlin', I wasn't plannin' on leavin'
俺に家に帰ってほしいんだろうが、俺はずっとハスリンしてる、離れるつもりはなかったんだ
I wonder one day if she found another (Oh)
いつか彼女が別の男を見つけるんじゃないかって考えるんだ (Oh)
[Chorus]
Spliff, I smoke the ganja and go under, I can see it
ジョイント、ガンジャを吸って沈み込む、俺には見えるんだ
I'm foggin' up the window, Skully crackin', I can't breathe
窓ガラスを曇らせる、スカルキャップが割れそうだ、息ができない
I'm sneaky with the women, not gon' wonder why she leave
女に対してコソコソしてる、あいつが去る理由なんて気にもしない
I been sleepin' with the money, you can smell it on my jeans, ah
金と一緒に寝てる、俺のジーンズから金の匂いがするだろ、ah
※大金をポケットに詰め込んで持ち歩くため、デニムに現金のインクや古い紙幣の独特な匂いが染み付いているというストリートハスラー特有のフレックス(自慢)。
Sleepin' with the money, chase it, gyala runnin' over (Ah)
金と一緒に寝る、金を追う、女たちが押し寄せてくる (Ah)
※「gyala」はジャマイカのパトワ語「Gyal(ギャル、女の子)」に由来する表現。彼のカリスマ性と富に引き寄せられる女性たちを指す。
Smokin' on the ganja, my lil' soda fallin' over (Ah)
ガンジャを吸ってる、俺のソーダがこぼれ落ちそうだ (Ah)
※「soda」はリーン(シロップをスプライト等で割ったもの)が入ったカップのこと。極度の酩酊状態(ノッディング)で手からカップが落ちそうになっている様子を描写している。
Come straight from the concrete with the K wrapped on the shoulder (Ah)
コンクリートから直接這い上がってきた、肩にはAKをぶら下げてな (Ah)
※「concrete」は過酷なゲットーの環境。「K」はAK-47アサルトライフル。極度の貧困から武装してストリートを生き抜いてきた自らの生い立ちを強調している。
Bandana on the Glock, she probably think I'm from Magnolia
グロックにバンダナを巻いてる、あいつは俺がマグノリアの出身だと思ってるんだろうな
※「Magnolia」はニューオーリンズの悪名高いマグノリア・プロジェクト(公営住宅のスラム街)のこと。Cash Money Recordsの発祥地として知られ、暴力的なストリートライフの象徴としてヒップホップで頻繁に引用される。YoungBoy自身はバトンルージュ出身だが、彼のギャングスタとしての振る舞いがマグノリアの血生臭さを彷彿とさせるという表現。
[Verse 2]
You was sleep when I got in, don't wake back up
俺が帰ってきた時、お前は寝ていた、そのまま起きてこないでくれ
It ain't like that I ain't think 'bout that at all, I was wrong
俺がそのことを全く考えてなかったわけじゃない、俺が間違ってたんだ
I been all night in my feelings and you might not like this song
一晩中感傷に浸ってた、お前はこの曲を気に入らないかもしれないな
I had bought you some Essentials and some bracelets made by Chrome, uh
お前にEssentialsの服とChrome Heartsのブレスレットを買ってやったよな、uh
※「Essentials」はFear of Godのディフュージョンライン、「Chrome」はハイエンドシルバーアクセサリーブランドのChrome Hearts。パートナーへの高価なプレゼントを通じた愛情表現と罪滅ぼしを意味している。
Citgo, gas out like headphone, double-R named Lizzo
Citgo、ヘッドフォンのようにガスを出す、Lizzoって名前のダブルR
※「Citgo」は米国のガソリンスタンドチェーンだが、ここでは上質なマリファナ(ガス)の比喩。「double-R」はロールスロイスを指す。「Lizzo」はアメリカの巨漢女性シンガー。車体が巨大で重厚なロールスロイスをLizzoの体型に例えるという、ヒップホップならではのユーモラスなパンチライン。
I done had two loaders of my Lyzo
俺のLyzoのローダーを2つ手に入れたぜ
You gon' hear me through the headphones 'fore I pop up out that window
俺がその窓から飛び出す前に、ヘッドフォン越しに俺の声が聞こえるはずさ
She want me to get her loaded, but I'm rollin' and that kick strong (Bomp, bomp, bomp)
彼女は俺にキメさせてほしいらしいが、俺はすでにロールしてて、キックが強烈なんだ (Bomp, bomp, bomp)
※「rollin'」はエクスタシー(MDMA)などでハイになっている状態。「kick」はドラッグの効き目や、マリファナの強い作用を指す。
Standin' in a mansion like Sosa (Bomp, bomp, bomp)
Sosaのように大豪邸に立ってる (Bomp, bomp, bomp)
※「Sosa」は映画『スカーフェイス』に登場する冷酷な麻薬王アレハンドロ・ソーサ、またはシカゴ・ドリルシーンのパイオニアであるChief Keef(別名Sosa)のこと。ここでは外部から隔離された巨大な邸宅に引きこもり、強大な力を持つボスとしてのペルソナを自身に重ね合わせている。
Gettin' full of that dirty, headin' over, 5 (Bomp, bomp, bomp)
ダーティーなやつで満たされて、向かってるぜ、5 (Bomp, bomp, bomp)
※「dirty」はダーティ・スプライト(咳止めシロップを炭酸で割ったリーン)のこと。
Barely can't help me, but just tell me that you notice (Brr-dah, brr-dah, bomp, bomp)
ほとんど俺を助けることはできない、でも気づいてるってことだけ教えてくれ (Brr-dah, brr-dah, bomp, bomp)
Rasta, go take the chopper, 'bout the dada, blow it
ラスタ、チョッパーを持ってこい、ダダについて、ぶっ放せ
※「Rasta」はジャマイカのラスタファリアン文化を借りた身内への呼びかけ。「chopper」はアサルトライフルのスラング。「dada」は標的となる個人のあだ名か、リズミカルな銃声を表現する擬音。躊躇なく引き金を引けという冷酷な指示。
[Chorus]
Spliff, I smoke the ganja and go under, I can see it
ジョイント、ガンジャを吸って沈み込む、俺には見えるんだ
I'm foggin' up the window, Skully crackin', I can't breathe
窓ガラスを曇らせる、スカルキャップが割れそうだ、息ができない
I'm sneaky with the women, not gon' wonder why she leave
女に対してコソコソしてる、あいつが去る理由なんて気にもしない
I been sleepin' with the money, you can smell it on my jeans, ah
金と一緒に寝てる、俺のジーンズから金の匂いがするだろ、ah
Sleepin' with the money, chase it, gyala runnin' over (Ah)
金と一緒に寝る、金を追う、女たちが押し寄せてくる (Ah)
Smokin' on the ganja, my lil' soda fallin' over (Ah)
ガンジャを吸ってる、俺のソーダがこぼれ落ちそうだ (Ah)
Come straight from the concrete with the K wrapped on the shoulder (Ah)
コンクリートから直接這い上がってきた、肩にはAKをぶら下げてな (Ah)
Bandana on the Glock, she probably think I'm from Magnolia
グロックにバンダナを巻いてる、あいつは俺がマグノリアの出身だと思ってるんだろうな
