Artist: T.I. & YoungBoy Never Broke Again
Album: KILL THE KING
Song Title: LLOGCLAY
概要
T.I.のキャリア最終作と銘打たれたアルバム『KILL THE KING』Bo収録された本作は、世代を超えた才能であるYoungBoy Never Broke Again(NBA YoungBoy)との異色のコラボレーションだ。タイトルの「LLOGCLAY」とは「Long Live Original Gangster Clay(OGクレイよ、永遠に)」の略であり、2022年に亡くなったT.I.の親友であり長年のマネージャーでもあったClay Evansへの深い追悼の意が込められている。前半のNBA YoungBoyのバースでは、若きスーパースターが抱える名声への孤独や人間不信、そしてストリートでのサバイバルがエモーショナルに吐露される。後半でマイクを受け取ったT.I.は、病床の親友を前にした無力感と、どれだけ巨万の富を築いても死を覆すことはできないという痛切な現実を語り、残された者の悲痛な想いを赤裸々にラップする。サザン・ヒップホップの過去と現在を繋ぐ二人が、生と死、そして成功の虚無感を歌い上げた極めてパーソナルで重厚なレクイエムである。
和訳
[Intro]
(Ayo, Bans, what you cookin'?)
(エイヨォ、バンズ、何を料理してるんだ?)
※プロデューサーであるBansのプロデューサータグ。
[Verse 1: YoungBoy Never Broke Again & T.I.]
Cryptic messages, face card ain't good at all
不可解なメッセージ、フェイスカードは全く通用しない
※「face card」はストリートやクラブで顔パス(身分証なしで通用する特権)のこと。周囲との関係が悪化し、自分の名声や権力が通用しなくなっている孤立した状況を示唆している。
They don't like him 'round the hood at all, he ain't understood at all
奴らは地元で彼を全く気に入っていない、彼は全く理解されていない
Been mistreated, he just play roles when his feelings get involved
ひどい扱いを受けてきた、彼は感情が絡むとただ演じているだけだ
She ain't supportive, she don't love me, and she ain't my friend at all
彼女は協力的じゃない、俺を愛してもいないし、友達ですらない
Mama, thank you, I got the hell of the experience while out on stages
ママ、ありがとう、ステージに立っている間に地獄のような経験をしたよ
From the gutter, we struggle bad, it's a shame
どん底のゲットーから、俺たちはひどくもがいてきた、残念なことだ
I know she don't love me, she just want an Audemars
彼女が俺を愛してないのはわかってる、彼女はただオーデマが欲しいだけさ
※高級時計Audemars Piguet。金や物質的なものだけを目当てに群がる女性(ゴールドディガー)に対する人間不信。
I tell her not to touch me, in a moment, I want another broad
彼女に俺に触るなと言う、すぐにもう別の女が欲しくなる
What do I say?
俺は何て言えばいい?
I don't really like the way you play with me, misgrading me
お前が俺を弄び、過小評価するやり方が本当に気に入らない
Made my way out the jungle
ジャングルから抜け出してきた
They wanna see me go under
奴らは俺が沈んでいくのを見たがっている
Still conquer like I'm Mutombo
それでも俺はムトンボのように征服し続けるぜ
※ディケンベ・ムトンボ(Dikembe Mutombo)。NBAの伝説的なディフェンダーで、シュートブロックの際に見せる「指振りポーズ(No, no, no)」で知られる。敵の攻撃(ヘイトや妨害)をすべて叩き落として君臨するという比喩。
I'm sittin' aside because my heart tired
俺は横に座り込んでいる、心が疲れ果てたからだ
I done took so many long rides my whole life
これまでの人生で、数え切れないほど長い道のりを走ってきた
Confessed my problems like so many times that I ain't got no song type
何度も自分の問題を告白してきたから、俺には特定の曲のタイプなんてない
Shorty get it on on his own, bless him, yeah, he a real nigga
あの若いやつは自力でやり遂げている、彼に神の祝福を、ああ、彼は本物の男だ
D-Dawg coming home and I'm just thankful for who's still with me
D-Dawgが帰ってくる、俺はまだ一緒にいてくれる奴らにただ感謝してる
※NBA YoungBoyのクルー(Never Broke Again)のメンバーであり、投獄されていた仲間の帰還を喜んでいる。
Left most shit alone, some people out there tryna still get it
大半のことは放っておいた、まだ俺を陥れようとしてる奴らも外にはいる
In the a.m., I'm headed home, I done made more than a meal ticket
午前中に家に向かう、俺はミールチケットよりも遥かに多く稼ぎ出した
※「meal ticket」は100万ドル(約1.5億円)の現金、または一生食いっぱぐれないだけの十分な大金。
Been through some shit, I know I'm blessed and I be still with it
色んな修羅場を潜り抜けてきた、自分が祝福されているのはわかってるし、まだ諦めちゃいない
Diamond cross across my chest, I ain't got no vest knowin' them bullets might just still hit me
胸にはダイヤモンドの十字架、防弾チョッキは着ていない、それでも銃弾が俺に当たるかもしれないとわかっていながらな
Take a chance, mama took a chance by having me
チャンスを掴むんだ、ママは俺を産むことでチャンスに賭けたんだ
I think I can make a masterpiece
俺なら傑作を作れると思う
In New Orleans like I'm B3 with a MAC with me
ニューオーリンズにいる、まるで俺がMACを持ったB3みたいにな
※ルイジアナ州(NBA YoungBoyの地元)に拠点を置くCash Money Recordsのラッパー、B.G.(Bizzle)へのリファレンス。彼らの代表曲「Bling Bling」などで知られる、MAC-10を携帯した生々しいギャングスタの姿。
She in Tech with me
彼女は俺とテックにいる
And I brought her back with me
そして俺は彼女を一緒に連れて帰った
For to show her some shit she ain't never seen
彼女が今まで見たこともないような世界を見せるためにな
I got a MAC and steam, pull off anything
俺はMACとスチームを持っている、何でもやってのけるぜ
Rose gold Rolex, right face, could've bought it green
ローズゴールドのロレックス、正しい文字盤だ、緑色のやつだって買えたのさ
White and gold links on my neck, car fuck up the scene
首にはホワイトとゴールドのチェーン、俺の車がシーンをぶち壊す
You'll be off guess what this watch cost, nigga, what the fuck you mean?
この時計がいくらするかわかったらお前はぶっ倒れるぜ、一体どういう意味かわかるか?
250 what lately I been doin', half a ticket everything
最近俺がやってることは25万ドル、すべてが50万ドルの価値だ
※「half a ticket」は50万ドル(100万ドルの半分)。
What do I say?
俺は何て言えばいい?
I don't really like the way you play with me, misgrading me (King)
お前が俺を弄び、過小評価するやり方が本当に気に入らない (King)
[Verse 2: T.I.]
Okay, patiently, I wait for my nigga just like he would wait for me
オーケイ、俺は忍耐強く仲間のために待つ、彼が俺のために待ってくれたようにな
※亡き親友でありマネージャーであったClay Evans(クレイ)に向けたメッセージ。
Hate to see, that fucking machine only way he breathe
見るのが辛い、あのクソみたいな機械が彼が呼吸する唯一の手段だなんて
※クレイが闘病の末、生命維持装置に繋がれている痛ましい光景。
Taking me everything not to take a knee
膝から崩れ落ちないようにするだけで精一杯だ
Couldn't tell me shit with Hannah, Snake, JG, and Clay with me
ハナ、スネーク、JG、そしてクレイが一緒なら、誰も俺に文句なんて言えなかった
I'm thinking back to better days like, "We can get it back"
古き良き日々を振り返り、「俺たちならあの頃を取り戻せる」って考えてる
But no more Clay, what kind of shit is that? Remember that
でももうクレイはいない、なんて理不尽な話だ? 覚えておいてくれ
It don't mean shit to be rich for life when you living whack
惨めな生き方をしてるなら、一生金持ちでいたって何の意味もない
If your relationships ain't still intact, give it back
人間関係が壊れたままなら、すべてを神に返してしまえ
And now my optics is watching my partner die in hospice (Damn)
そして今、俺の目には相棒がホスピスで死んでいく姿が映っている (Damn)
The doctor talking 'bout, "It's over," fuck your diagnostic (Fuck you)
医者は「もう終わりだ」なんて言ってるが、お前の診断なんてクソくらえだ (Fuck you)
※親友の死を受け入れられないT.I.の悲痛な叫びと、医療宣告に対する怒り。
Nigga, we got money, what's the other option?
なぁ、俺たちには金があるんだ、他にどんな選択肢がある?
Nigga, shake back, this your little brother talking (Get up, bruh)
なぁ、元気を取り戻してくれ、お前の弟分が話しかけてるんだぞ (Get up, bruh)
I gotta see you pop your shit again
お前がまた最高にイケてる振る舞いをするのを見なきゃならないんだ
Zaza and cigars in the wind again
風の中でまた極上のウィードと葉巻を吹かすんだ
※「Zaza」は非常に高品質で高価なエキゾチック・マリファナのスラング。
Blood pressure can't kill Superman
血圧なんかでスーパーマンを殺せるわけがない
Damn, believe in them still, we been in the battlefield
クソ、それでも彼らを信じている、俺たちは共に戦場にいた
Fighting club full of niggas 'fore we had a deal
レコード契約を結ぶ前、クラブいっぱいの連中と乱闘してきた仲じゃないか
And when?
いつの話だ?
Strongest nigga I know, meanest nigga I seen (For real)
俺が知る中で最強の男、俺が見た中で最高にヤバい男だ (For real)
Still can't believe my nigga leaving, we a fucking team (For real)
俺の仲間が逝っちまうなんて未だに信じられない、俺たちは最高のチームだ (For real)
Now I'm grieving, drunk, just speedin' in the fucking rain (Yoom)
今、俺は悲しみに暮れ、酔っ払い、ただこのクソみたいな雨の中をスピードを出して走っている (Yoom)
Beside the pain, I feel nothin', man
痛みの他には、何も感じないんだ、なぁ
And if I could feel, I guess it'd feel like (I guess)
もし何かを感じられるとしたら、きっとこんな気分だろうな (I guess)
A Snowfall episode, my uncle Jerome died in real life
『スノーフォール』のエピソードだ、俺のジェロームおじさんが現実世界で死んだような気分さ
※『Snowfall』は80年代のLAにおけるクラック・エピデミックを描いた大ヒットドラマ。主人公のストリートの師匠であり、絶対的な存在であった「Uncle Jerome」の死に、自身の恩師クレイの死を重ね合わせている。ヒップホップコミュニティで最も共感を呼ぶであろうディープな比喩。
They say that God always get it right
神は常に正しい行いをするって奴らは言う
But somethin' 'bout this shit just ain't sittin' right
でも、これに関してはどうも納得がいかないんだ
Then he told me dyin' a part of living life
そしたら彼が教えてくれたのさ、死ぬことも生きることの一部なんだって
[Outro: T.I.]
Damn, can't argue with you
クソ、お前には反論できないよ
Think about it, you either die or live long enough to go to everyone you know and love funeral
考えてもみろ、自分が死ぬか、あるいは知っている愛する人全員の葬式に行くまで長生きするかのどちらかだ
You know?
だろ?
Only two options, get old or die young, pick one
選択肢は二つしかない、年老いるか、若くして死ぬかだ、どちらか選べ
Trust and believe, nigga
信じて疑うな
In your life, the only thing you're guaranteed is to leave
人生において、唯一保証されているのは、いつかこの世を去るということだけだ
Ashes to ashes, dust to dust
灰は灰に、塵は塵に
Alive or dead, them niggas can't fuck with us
生きていようが死んでいようが、奴らは俺たちには敵わない
Grand Hustle, nigga
グランド・ハッスルだぜ
※T.I.がクレイらと共に立ち上げた自身のレーベル「Grand Hustle Records」。彼らの築いたレガシーが永遠に続くという絶対的な宣言で幕を閉じる。
