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HOW IT WENT - T.I. & The-Dream 【和訳・解説】

Artist: T.I. & The-Dream

Album: KILL THE KING

Song Title: HOW IT WENT

概要

T.I.のキャリア集大成と位置付けられるアルバム『KILL THE KING』に収録された本作は、2000年代以降のアーバンミュージック・シーンを裏方と表舞台の両面で支配してきた天才シンガーソングライター/プロデューサー、The-Dreamを客演に迎えたゴージャスな回顧録だ。楽曲は「Went(〜へ行った、〜になった、〜を買った)」という単語を執拗に繰り返す構造になっており、T.I.がアトランタ・バンクヘッドの底辺でドラッグを売り捌いていた時代から、刑務所収監を経て世界的なラップスター、そしてミリオネアのOGへと上り詰めた劇的な変化を並べ立てる。後半のThe-Dreamのバースでは、R&B界のヒットメーカーとしての莫大な富と、マイケル・ジャクソンやプリンスに連なるスターとしての自負がメロウかつ強気に歌い上げられる。ストリートの過酷な現実と、そこから這い上がって得たラグジュアリーな生活のTコントラストを、両者の圧倒的なカリスマ性で描き出したラグ・トゥ・リッチズ(貧困からの成功)の極致である。

和訳

[Intro: T.I.]

Yeah
ああ

I'm just tell ya how it
俺の歩んできた道を教えてやるよ

I'm just tellin' ya how it
どうやってここまで来たか教えてやるんだ

Yeah
ああ

[Chorus: T.I.]

Nigga went Chevrolet, went Cadillac, went Bentley, went Benz
シボレーに乗り、キャデラックに乗り、ベントレーに乗り、ベンツに乗った
※ストリートの象徴であるシボレーから始まり、成功の階段を登るにつれて所有する高級車のグレードが上がっていく様を描写している。

Nigga went rose gold, went platinum, went to prison, then went again
ローズゴールドを身につけ、プラチナを身につけ、刑務所に行き、そしてまた刑務所に行った
※T.I.はキャリアの絶頂期に、銃器の不法所持や保護観察違反によって複数回にわたり実刑判決を受け、連邦刑務所に収監されている。輝かしい成功とストリートの負の連鎖が隣り合わせであった現実を赤裸々に語っている。

Nigga just went, uh
とにかく突き進んできたのさ、uh

I'm just tellin' ya how it went, uh, yeah
俺がどうやってここまで来たかを教えてるだけだ、uh, yeah

Nigga went tailor-made, went Cartier, went crocodile, went mink
オーダーメイドを着て、カルティエを身につけ、クロコダイルを纏い、ミンクを着た

Nigga went superstar, went crazy, still went millionaire OG
スーパースターになり、狂ったように荒れ狂い、それでもミリオネアのOGになった
※「OG」はOriginal Gangster(古参、本物の男)のこと。どれだけスターになろうと、ストリートの根幹は揺るがないという誇り。

Nigga just went, huh
とにかく突き進んできたのさ、huh

Man, I'm tellin' ya how it went
なぁ、俺の歩んできた道を教えてるんだ

Yeah, okay
ああ、オーケイだ

[Verse 1: T.I.]

Nigga went dope boy, used to totе toys on Bankhead, no folklore
ドープボーイになり、バンクヘッドでオモチャを持ち歩いていた、作り話じゃないぜ
※「toys」は銃器(特に安価なものやハスラーが持ち歩く銃)のスラング。「Bankhead」はT.I.の地元であるアトランタ西部の過酷なゲットー。「no folklore」で自分のストリートの出自が一切脚色されていないリアルなものであることを強調している。

Went crack sacks, wеnt J cars, went ski masks, went face card
クラックの袋を捌き、盗難車を乗り回し、目出し帽を被り、そして顔パスになった
※「J cars」は盗難車(Jacked cars)。「face card」はストリートや高級クラブなどで顔が知れ渡っており、身分証なしでどこでも通用する特権的なステータスのこと。犯罪者からVIPへの劇的な成り上がり。

Went A hats, cocked ace-deuce, went Allah, went Jesus
Aの帽子を被り、エースデュースに傾け、アラーを信じ、ジーザスを信じた
※「A hats」はアトランタ・ブレーブスのキャップ。「ace-deuce」は帽子を斜め(片方を下げて)被るストリートのスタイル。イスラム教(アラー)とキリスト教(ジーザス)の教えの間で揺れ動く、ゲットーのハスラー特有の精神的探求と葛藤。

Went grind mode when bills due, went elbow, went dog food
請求書の支払い期限が来ればグラインドモードに入り、エルボーを捌き、ドッグフードを捌いた
※「grind mode」は死に物狂いで金を稼ぐ状態。「elbow」は1ポンド(lb)のドラッグを指すストリートの隠語。「dog food」はヘロインのスラング。生き残るためにあらゆる非合法なディールに手を染めていた過去。

Went X pill, went moon rock, went organic, no fentanyl
エクスタシーを売り、ムーンロックを売り、オーガニックを売り、フェンタニルには手を出さなかった
※「X pill」はMDMA。「moon rock」はハシシオイルやキーフをまぶした超強力な大麻製品。「no fentanyl」は、近年のオピオイド危機で大量の死者を出しているフェンタニルには絶対に手を出さないという、オールドスクールなハスラーとしての越えてはいけない一線と美学を示している。

Went Fabo, went Bankhead, went spaceships when I looked up
フェイボのように踊り、バンクヘッド・バウンスを踊り、顔を上げれば宇宙船に乗っていた
※「Fabo」はアトランタのヒップホップグループD4Lのメンバーで、独特のダンス(Geeked Up)で知られる。「Bankhead」は地元発祥のダンス。「spaceships」は跳ね上げ式ドアの高級車、あるいはドラッグで強烈にハイになった状態を指す。

Went K-Pop, went all the way one hundred with it, they did not
K-POPの世界まで進出し、100パーセントのリアルでやり切った、奴らにはできなかったがな
※ヒップホップの枠を超え、メインストリームの極みであるK-POPのような世界的ポップスの領域にまでビジネスや影響力を拡大したが、自分は決してセルアウトせずストリートのリアル(one hundred)を貫いたという強烈な自負。

Went dumb with it, had fun with it, went K-I-N-G now, I swear
バカみたいにやりまくり、それを楽しみ、今ではK-I-N-Gになった、誓って言うぜ
※「dumb」はクレイジーに大成功すること。そして自身のキャリアを決定づけた2006年の特大ヒットアルバム『KING』のタイトルを綴り、自らが絶対的な王であることを誇示している。

[Chorus: T.I.]

Nigga went Chevrolet, went Cadillac, went Bentley, went Benz
シボレーに乗り、キャデラックに乗り、ベントレーに乗り、ベンツに乗った

Nigga went rose gold, went platinum, went to prison, then went again
ローズゴールドを身につけ、プラチナを身につけ、刑務所に行き、そしてまた刑務所に行った

Nigga just went, uh
とにかく突き進んできたのさ、uh

I'm just tellin' ya how it went, uh, yeah
俺がどうやってここまで来たかを教えてるだけだ、uh, yeah

Nigga went tailor-made, went Cartier, went crocodile, went mink
オーダーメイドを着て、カルティエを身につけ、クロコダイルを纏い、ミンクを着た

Nigga went superstar, went crazy, still went millionaire OG
スーパースターになり、狂ったように荒れ狂い、それでもミリオネアのOGになった

Nigga just went, huh
とにかく突き進んできたのさ、huh

Man, I'm tellin' ya how it went, yeah, uh
なぁ、俺の歩んできた道を教えてるんだ、yeah, uh

[Verse 2: T.I.]

Nigga went tank top, went turtleneck, went bad, I ain't never heard of that
タンクトップを着て、タートルネックを着て、極悪になった、そんな話は聞いたこともないぜ

Went new Ferrari, went drop 'Vette, went blue Chevelle with the top back
新車のフェラーリに乗り、オープンカーのコルベットに乗り、屋根を開けた青のシェベルに乗った
※南部ヒップホップにおけるカーカルチャーへの強い執着。「Chevelle」はシボレーの名車で、アトランタのハスラーたちが愛好するクラシック・マッスルカー。

Went factory, went offset, went Forgiatos on Hellcat
純正パーツから、オフセットをいじり、ヘルキャットにフォージアートのホイールを履かせた
※「Forgiatos」はラッパー御用達の超高級カスタムホイールブランド。「Hellcat」はダッジ・チャレンジャーのモンスター級ハイパフォーマンスモデル。

Went to car lot with a mil' ticket in the duffel bag, tryna sell that?
ダッフルバッグに100万ドルを詰めてカーディーラーに行き、「これを売ってみるか?」ってな
※「mil' ticket」は100万ドル(約1.5億円)の現金。ストリートで稼いだ大量の現金(Dirty money)を直接持ち込んで超高級車を一括購入するトラップスターの豪快なエピソード。

Went solitaire, went clear baguettes, went Vacherons, Audemar, Patek
ソリティアのダイヤを買い、クリアなバゲットカットを買い、ヴァシュロン、オーデマ、パテックを買った
※「Vacheron Constantin」「Audemars Piguet」「Patek Philippe」という世界三大高級時計ブランドをすべて制覇したという究極のフレックス(自慢)。

Went Richard, went Rolex, went Cuban link, but I sold that
リシャール・ミルを買い、ロレックスを買い、キューバンリンクを買ったが、それは売っちまった
※「Richard」は数千万〜数億円を下らないリシャール・ミルの時計。金無垢の極太チェーン(Cuban link)などのステレオタイプなジュエリーはすでに飽きて手放したという、一つ上の次元にいる富裕層の余裕。

Went streetwear, went high fashion, went LA mansion after LA mansion
ストリートウェアを着て、ハイファッションを着て、LAの豪邸から別のLAの豪邸へと移り住んだ

Man, I've been havin' shit decades on decades, I've been self-made, I swear
なぁ、俺は何十年もずっと金を持ち続けてる、完全に自力で成り上がったんだ、誓って言うぜ

Woo-hoo, that nigga poppin' it
Woo-hoo、あいつは最高にイケてるぜ

[Chorus: T.I.]

Nigga went Chevrolet, went Cadillac, went Bentley, went Benz
シボレーに乗り、キャデラックに乗り、ベントレーに乗り、ベンツに乗った

Nigga went rose gold, went platinum, went to prison, then went again
ローズゴールドを身につけ、プラチナを身につけ、刑務所に行き、そしてまた刑務所に行った

Nigga just went, uh
とにかく突き進んできたのさ、uh

I'm just tellin' ya how it went, uh, yeah
俺がどうやってここまで来たかを教えてるだけだ、uh, yeah

[Interlude]

Why they gotta talk so tough? Just sing to me (Uh)
どうして奴らはそんなにタフぶるんだ? ただ俺に歌ってくれよ (Uh)
※ハードコアなトラップのラップから、The-Dreamのメロウで極上のR&Bバースへと切り替わるための気の利いたユーモアと前振り。

[Verse 3: The-Dream]

I went Ralph Lauren, went Hermès, went Eazy-E, I meant Cortez
俺はラルフローレンを着て、エルメスを着て、イージー・Eを履いた、いやコルテッツのことだ
※コンプトン出身の西海岸ギャングスタラップの伝説、Eazy-EのトレードマークであったNike Cortez(コルテッツ)スニーカーへの見事なシャウトアウト。

Went twenty-fours, went big blades, went VVSs, went concave
24インチのホイールを履かせ、巨大なブレードホイールを履かせ、VVSダイヤを身につけ、コンケイブホイールを履かせた
※「VVS」は透明度が極めて高い最高級ダイヤモンドの等級。「concave」は中心に向かって深く窪んだ立体的な高級カスタムホイールのこと。

Went Audemar, went Hublot, went Van Cleef, went Chanel
オーデマを買い、ウブロを買い、ヴァンクリーフを買い、シャネルを買った

Went five hundred, went one mil', went a hundred mil', went Denzel
50万ドルを稼ぎ、100万ドルを稼ぎ、1億ドルを稼ぎ、デンゼルのようになった
※名優デンゼル・ワシントンのように、エンターテインメント業界における黒人の最高峰のステータスと富を手に入れたことの知的な比喩。

Went Bankhead, went Bel Air, went plain jane to R&B girls
バンクヘッドに行き、ベルエアに行き、素朴な女からR&Bのスター嬢へといった
※アトランタのゲットー(バンクヘッド)からLAの超高級住宅街(ベルエア)への成り上がりと、成功に伴う交際相手の劇的なスケールアップ。

Went Frankie Lymon, went big diamonds, girl
フランキー・ライモンのようになり、巨大なダイヤを身につけたのさ、ガール
※1950年代のR&B/ドゥーワップの若き天才スター、フランキー・ライモンのような音楽的才能と華やかさを自認し、自らの系譜を黒人音楽の歴史に位置付けている。

Went thug life, went big love, went baby daddy, went no love
サグライフを生き、大きな愛を手に入れ、子供の父親になり、そして愛を失った

Went Westside to the Westside, never switched up
アトランタのウェストサイドからLAのウェストサイドへ、決して信念は曲げなかった

Went Michael, went Prince, that's fish bowl, went in tint
マイケルのようになり、プリンスのようになった、それは金魚鉢だ、そしてスモークガラスの中に入った
※マイケル・ジャクソンやプリンスのような伝説的ポップスターの領域に達したこと。「fish bowl(金魚鉢)」はスモークフィルムを貼っていない丸見えの車(プライバシーのない名声の代償)を指し、そこから「tint(スモークガラス)」を貼ってプライバシーを守るほどの超大物になったことを示している。

I went self-made, went self-paid, went white leather, went cocaine
自力で成り上がり、自分で金を稼ぎ、白いレザーのシートに座り、コカインのようになった
※The-Dream自身が生み出す極上のメロディとヒット曲が、純白のコカインのように強烈な中毒性を持ってシーンを席巻したという完璧なメタファー。

Just tell you how it went
どうだったか教えてやるだけだ