Artist: T.I.
Album: KILL THE KING
Song Title: RANT
概要
T.I.のキャリア最終作と銘打たれたアルバム『KILL THE KING』に収録されている「RANT」は、そのタイトルが示す通り、王による「激しい演説(Rant)」であり、シーンと世間に向けた怒りと自信に満ちたマニフェストである。アトランタのストリートから頂点へ上り詰め、長年にわたり王座を死守してきたT.I.が、SNS時代におけるヘイターの的外れな意見や、彼を過去の存在として扱おうとするアンチを徹底的に一蹴する。幾度もの刑務所収監やストリートの抗争といった数々の「トラブル」を乗り越えてきた彼は、逆境を恐れるどころか「火の中が快適だ」と豪語する。アウトロで放たれる「俺を助けるな、俺と戦うクマの方を助けろ」というラインに象徴されるように、いかなる困難すらも己の糧として飲み込む、トラップ・ミュージックの創始者にしか出せない究極の覇気と凄みが詰まった一曲だ。
和訳
[Intro]
The biggest misconception about me, tss (Yeah)
俺についての最大の誤解は、tss (Yeah)
Is that I give a fuck, nigga, ahahahahahaha (Ahaha)
俺が世間の声なんかを気にしてると思われてることだ、ahahahahahaha (Ahaha)
※世間の評価やバッシングに対して、T.I.自身は全く意に介していないという堂々たる宣言からの幕開け。
[Verse 1]
Used to stand in the trap, see the cityscape, tryna hustle up a million Chevrolets (Woo)
かつてはトラップに立ち、街の景色を眺めながら、数百万台のシボレーを買い占めるほどのハッスルをしようとしていた (Woo)
※「trap」は麻薬の密売所。アトランタの底辺から成り上がり、成功の象徴であるシボレーの車を夢見ていた下積み時代を回顧している。
Stack as much as I can in a day while keepin' mine off a nigga dinner plate
1日でできる限り札束を積み上げ、同時に他の奴らに自分の取り分を横取りされないようにする
※ストリートの過酷な生存競争において、他人のシノギ(dinner plate)を奪わず、自分のシノギも奪わせないというハスラーの掟。
I'm outrageous, my spot blazin' (Yeah), hate fuck niggas, they contagious (What?)
俺は常軌を逸してる、俺のシマは燃え上がってる (Yeah)、クソ野郎どもは大嫌いだ、奴らのクソは伝染するからな (What?)
※フェイクな人間と関わることで自身のブランドやマインドが汚染される(伝染する)ことを避けるスタンス。
I walked in with my gun blazin', back out to my ho sunbathin'
銃をぶっ放しながら乗り込み、そして日光浴している俺の女の元へと戻っていく
※暴力的なストリートの処理と、リッチな生活がシームレスに繋がっている非日常の描写。
Bitch, I'm already rich and legendary, I don't need to be more famous
ビッチ、俺はすでに金持ちで伝説的な存在だ、これ以上有名になる必要なんてない
They say opinions like assholes, well, don't force me to see your anus
意見なんてケツの穴みたいなもんだって言うが、だったらお前のケツの穴を俺に無理やり見せるなよ
※「Opinions are like assholes, everybody has one(意見はケツの穴と同じで、誰もが一つは持っている)」という英語の有名な慣用句を引用。SNS等で的外れな意見を押し付けてくる有象無象のヘイターを痛烈にバカにしている。
I'm a free thinker and a truth speaker, they see me and say, "You're dangerous"
俺は自由な思想家で真実を語る者だ、奴らは俺を見て「お前は危険だ」と言う
※ポリティカル・コレクトネスや業界の同調圧力に屈せず、物議を醸す発言を恐れないT.I.のコンシャスなスタンス。
The same way when the table turned, I work both sides of the turntable
形勢が逆転した時と同じように、俺はターンテーブルの両側を操るのさ
That's big facts, nigga, no fable, still mentally unstable
それが揺るぎない事実だ、作り話じゃない、今でも精神的には不安定だがな
Tip been like this since the second grade, ain't never needed no jumper cables
ティップは小学2年生の頃からずっとこんな感じだ、ジャンパーケーブルなんて一度も必要としたことはない
※「Tip」はT.I.のニックネーム。「ジャンパーケーブル」は車のバッテリーが上がった際に他車から電力を供給するケーブル。誰のフックアップや助けも借りずに自力で成り上がったことを示している。
See, it's an in-crowd and I'm a outsider, that's okay, I need no favors
見ろよ、身内だけで群れてる奴らがいるが、俺はアウトサイダーだ、それでいい、誰の恩恵も必要ない
※トラップの開拓者でありながら、現在の馴れ合いのシーンには属さない孤高の王としてのプライド。
But I been flyer than outside, these niggas lame and got no flavor (Bankhead)
だが俺は外の世界よりもイケてる、こいつらはダサくて何の味気もない (Bankhead)
※「Bankhead」はT.I.が生まれ育ったアトランタ西部の過酷な地域。
Either niggas brag and got no paper or a fuck nigga with way more paper
金もないのに自慢ばかりする奴らか、俺より金を持ってるだけのクソ野郎のどっちかだ
What I got in me, nigga, you can't fake it, it ain't in ya, that's why you can't taste it
俺の中にあるものは偽造できない、お前の中にはないものだ、だからお前には味わえないのさ
See, you get excited 'bout the minimum, upper class to me's a normality (Ah)
お前らは最低限のことで興奮してるが、俺にとってアッパークラスの生活なんて当たり前だ (Ah)
These niggas don't compare to me, they ain't as rare as me, I'm a rarity (King)
こいつらは俺の足元にも及ばない、俺ほど希少じゃない、俺はレアな存在だ (King)
Birthdays, we in Costa Rica, anniversaries, gonna Paris me
誕生日はコスタリカで過ごし、記念日には俺をパリに連れて行く
While I'm livin', better cherish me and live through me vicariously
俺が生きているうちに大切にして、俺を通して代理体験でもするんだな
As the story goes, could be any day, that's why I'm paranoid and need therapy
話の通り、いつ死ぬかわからない、だから俺はパラノイアになってセラピーが必要なんだ
※強気なボースティングの直後に、ストリートの過酷な現実と、成功後も消えないPTSDやトラウマを赤裸々に吐露している。
But I'm here for somethin', God told me I'ma live long enough to care of it (King)
だが俺にはここにいる理由がある、神が俺に、それを成し遂げるまで生きながらえると告げたのさ (King)
[Chorus]
Care none 'bout no trouble (Uh), we ain't runnin' from it (Uh)
トラブルなんて少しも気にしない (Uh)、俺たちはそこから逃げやしない (Uh)
Play it how it go (Uh), nigga, take it how it comin'
なるようになるさ (Uh)、来るなら来いってんだ
Don't care none 'bout no trouble, no, we ain't runnin' from it (Uh)
トラブルなんて少しも気にしない、ああ、俺たちはそこから逃げやしない (Uh)
Play it how it go, nigga, take it how it comin' (King)
なるようになるさ、来るなら来いってんだ (King)
Tough times don't last long, tough people do
厳しい時代は長く続かないが、タフな人間は生き残る
※アメリカの牧師ロバート・H・シュラーの有名な格言「Tough times never last, but tough people do」を引用。数々の修羅場をサバイブしてきたハスラーとしての強靭なメンタリティの証明。
Every storm gon' run out of rain, got to see it through
どんな嵐もいつかは雨が上がる、最後まで見届けなきゃならない
Care none 'bout no trouble 'cause we ain't runnin' from it, uh
トラブルなんて少しも気にしない、俺たちはそこから逃げやしないからな、uh
Play it how it go, nigga, take it how it comin' (Ah)
なるようになるさ、来るなら来いってんだ (Ah)
[Verse 2]
I'm comfy in the fire, ain't gon' like, I kinda like it there
俺は火の中が快適だ、正直に言うと、そこが結構気に入ってるんだ
Like it, leave it, shove it up your ass, what the fuck I care?
気に入るか、放っておくか、それともお前のケツにでも突っ込んどけ、俺が知ったことか?
Pullin' up my chair to the table, lookin' everybody dead in the eyes who ain't want me there
テーブルに椅子を引き寄せて、俺をその場に望まない奴ら全員の目を真っ直ぐ見据える
Ain't gon' be fair when I do a nigga bad like he had it comin' to him with his homies there
自業自得の報いを受ける奴に、仲間の目の前で容赦なく制裁を加える時は、フェアじゃ済まされないぜ
Nigga, ain't no way, how you gon' prepare? Dig a hole for yourself, that's your only prayer
逃げ道なんてない、どうやって備えるつもりだ? 自分で自分の墓穴を掘る、それだけが唯一の祈りだ
Can't make me doubt myself, I accept my perfect imperfections
俺に自分を疑わせることはできない、俺は自分の完璧な不完全さを受け入れている
Nigga came in yellin', "King," ever since then, you ain't never seen less
俺が「王だ」と叫びながら登場して以来、お前らはそれ以下の俺を見たことがないはずだ
※2001年のデビューアルバム『I'm Serious』やその後の大ブレイク以降、「King of the South」という看板を一度も下ろすことなくトップに君臨し続けてきた事実。
Stayed rich regardless my circumstances, success with my big advances (Yeah)
どんな状況でもリッチであり続けた、巨額のアドバンスで成功を収めたのさ (Yeah)
If the risk worth it, I took chances, I took losses, I'm still standin'
リスクに見合うならチャンスに飛び込んだ、損失も出した、それでも俺はまだ立っている
I learned lessons, I'm still blessed, shit God-given, how you kill that?
教訓を学んだ、俺はまだ祝福されている、これは神から与えられたものだ、どうやってそれを殺すつもりだ?
Nigga, God-willin', I'ma start buildin' somethin' big enough to eat Godzilla
神の意志のもと、ゴジラすら食い尽くすほど巨大なものを築き始めるつもりだ
※キャリアの最終章で音楽シーンを引退しても、ビジネスや不動産などさらに巨大な帝国を構築するという野心。
Ain't no hard feelings, just some mob dealin', trouble, I don't really care none 'bout that shit
恨みっこなしだ、ただのモブの取引さ、トラブルなんて、俺は本当にこれっぽっちも気にしちゃいない
[Chorus]
Care none 'bout no trouble (Uh), we ain't runnin' from it (Uh)
トラブルなんて少しも気にしない (Uh)、俺たちはそこから逃げやしない (Uh)
Play it how it go (Uh), nigga, take it how it comin'
なるようになるさ (Uh)、来るなら来いってんだ
Don't care none 'bout no trouble, no, we ain't runnin' from it (Uh)
トラブルなんて少しも気にしない、ああ、俺たちはそこから逃げやしない (Uh)
Play it how it go, nigga, take it how it comin' (King)
なるようになるさ、来るなら来いってんだ (King)
Tough times don't last long, tough people do
厳しい時代は長く続かないが、タフな人間は生き残る
Every storm gon' run out of rain, got to see it through
どんな嵐もいつかは雨が上がる、最後まで見届けなきゃならない
Care none 'bout no trouble 'cause we ain't runnin' from it, uh
トラブルなんて少しも気にしない、俺たちはそこから逃げやしないからな、uh
Play it how it go, nigga, take it how it comin' (Ah)
なるようになるさ、来るなら来いってんだ (Ah)
[Outro]
Ayy, man
Ayy、なぁ
Nigga, don't help me, help the bear, nigga
俺を助けるな、クマの方を助けてやれ
※ヒップホップファンの間で語り草になるであろう強烈なパンチライン。自分がどんなに強大な敵(クマ)と戦っていようと、同情や手助けは必要ない。むしろ自分にボコボコにされるクマの方を心配しろという、ストリートの王座に君臨する男の極限のボースティング。
Nigga, I don't need no mercy, nigga
俺に慈悲なんて必要ない
Turn the fire up, you hear me?
火をもっと強くしろ、聞こえるか?
Nigga, nigga, do your worst, partner
お前の最悪の攻撃を仕掛けてこい、相棒
'Cause, shit
だって、クソが
Once you get through doin' your doin', nigga, it my turn, you dig what I'm sayin'?
お前がお前のやりたいことを全部やり終えたら、次は俺の番だ、言ってる意味がわかるか?
Ain't no fun when the rabbit got the gun, is it? Huh, huh, huh
ウサギが銃を持った途端に面白くなくなるだろ? Huh, huh, huh
※立場の弱い者や獲物(ウサギ)が、武装(権力や金、銃)をした途端に、狩る側(ヘイターや権力体制)は怯え上がり、ゲームの形勢が一気に逆転するというストリートの隠喩。
Hell is you sayin'?
一体何を言ってるんだ?
Give no fuck 'bout no tough times
厳しい時代なんてクソくらえだ
Fucks you could do to me?
俺に何ができるって言うんだ?
Shit, nigga, I been through the worst, nigga, I bust through the bottom, nigga, came back, nigga
俺は最悪な状況を潜り抜けてきた、底辺を突き破り、そして戻ってきたんだ
How is that? Fuck is you sayin'?
どうだ? 一体何を言ってるんだ?
Better recognize who the fuck you lookin' at, nigga
自分が一体誰を見ているのか、よく認識しておくことだな
Accept no substitution, nigga
代役なんて認めないぜ
King, bitch
王だ、ビッチ
※アルバムテーマである『KILL THE KING』に対する最大のアンサー。誰にも王の代わりは務まらないという絶対宣言。
