Artist: T.I. & Anderson .Paak
Album: KILL THE KING
Song Title: WHERE I’M FROM
概要
T.I.のキャリア最終章を飾るアルバム『KILL THE KING』に収録された本作は、ソウルフルかつファンキーなアプローチで現代のシーンを牽引するAnderson .Paakを客演に迎えた内省的なバンガーだ。「自分がどこから来たのか(Where I'm From)」というヒップホップにおける永遠のテーマを軸に、ドラッグディールが日常化し、警察の腐敗が蔓延るアトランタのゲットーでの過酷な生い立ちを赤裸々に回顧している。富と名声を得ても変わることのないストリートの掟や、生き残ることの困難さをAnderson .Paakのソウルフルなフックがエモーショナルに歌い上げ、T.I.は「King of the South」としての絶対的な語り口で、過去の痛みとトラップの現実を描き出す。システムに抗い、ストリートの罠を抜け出した男たちの重厚なサバイバル・アンセムである。
和訳
[Intro: STALONE]
Come and go with me
俺と一緒に来てくれ
Head first into the drama
トラブルの真っ只中へ真っ逆さまにな
Belly of the beast
野獣の腹の中へ
※「Belly of the beast」はゲットーの深部や刑務所など、極めて危険で過酷な環境を指すヒップホップの定番表現。
Follow me to where I'm from
俺の生まれた場所までついてきな
[Verse 1: Anderson .Paak]
They say the money gon' change me
奴らは金が俺を変えるって言う
Fuck 'em all, I'll never be the same then (Fuck 'em all, fuck 'em all)
全員くたばれ、だったら絶対に昔のままの俺でなんかいるもんか (Fuck 'em all, fuck 'em all)
※「金で変わってしまった」というヘイターの批判に対し、底辺の環境から抜け出して進化し続けることの何が悪いのかと一蹴するスタンス。
Mm, they wanna keep me in my lane
Mm、奴らは俺を身の丈に合った枠に閉じ込めておきたいんだ
But hell nah, I took a different angle (I switched lanes)
冗談じゃない、俺は違う角度から攻めたのさ(俺はレーンを切り替えたんだ)
They say the feds gon' cage me
奴らは連邦警察が俺を檻にぶち込むだろうって言う
How so? I look good on paper, uh (How so? How so?)
どうやって? 帳簿の上じゃ俺はクリーンだぜ、uh (How so? How so?)
※ストリートの非合法なシノギから合法的なビジネスへ完全に移行し、脱税やマネーロンダリングの証拠を残さないスマートなハスラーとしての余裕。
They taking shots at the kingdom
奴らは王国に向けて銃弾を放っている
Shit, I can't blame 'em
クソ、奴らを責めることなんてできやしない
※T.I.の築いた「南部の王国」を狙うヘイターや若手の野心に対する、王者ゆえの達観と理解。
[Chorus: Anderson .Paak]
And if God don't take me, bullets only graze 'em
神が俺を連れ去らないなら、銃弾もただかすめるだけだ
Fire don't burn me, nerves unshaken
炎も俺を焼き尽くせない、神経は研ぎ澄まされたままだ
The critics don't phase me, wolves done grazed me
批評家どもの言葉にも動じない、狼たちの牙をかすめて生き延びたんだからな
※直前の「graze(かすめる)」を踏襲しつつ、「wolves raised me(狼に育てられた=過酷な環境でサバイブした)」というニュアンスを込めた高度な言葉遊び。
Pirellis stay turning, the curbs can't break me
ピレリのタイヤは回り続ける、縁石だって俺を壊せやしない
※ピレリはイタリアの高級タイヤメーカー。高級車で過酷なストリート(縁石)を乗り越えていく成功のメタファー。
You're living so foul, I can hardly breathe
お前の生き方はあまりにも腐っていて、俺は息もできないほどだ
Dream in the clouds, I can hardly reach
雲の中の夢、手が届きそうにない
Fall asleep to the sirens, nonstop violence
サイレンの音を子守唄に眠る、絶え間ない暴力
Bodybags piling, you know where to find me (Where I'm from)
死体袋が積み上がっていく、俺がどこにいるかわかるだろ(俺の生まれた場所だ)
[Verse 2: T.I.]
From the residue, raised in the cocaine
残留物から生まれ、コカインの中で育った
※「residue」はクラック・コカインを調理した後に鍋に残るカス。ゲットーの最底辺から這い上がったことを意味する。
Built to be recession proof, product of the dope game (Yeah)
不況知らずの構造、ドープゲームの産物さ (Yeah)
Where finesse reigns (Woo) 'til the shots fired
銃声が鳴り響くまで、巧妙な手口が支配する場所 (Woo)
※「finesse」はストリートにおいて、相手を騙して金を巻き上げたり、上手く立ち回るスキルのこと。
Drive-bys, minivans getting hot wired
ドライブバイ、ミニバンが直結されて盗まれる
Since a young nigga outside, eating hot fries
若い頃から外にたむろして、ホットフライを食っていた頃から
※「hot fries」はゲットーのコーナー・ストア(個人商店)でよく売られている安価なスナック。フッドの日常的な情景描写。
I been laced with the game 'fore my pops died (Ha)
親父が死ぬ前から、俺はこのゲームを叩き込まれていたんだ (Ha)
※「laced」はドラッグに混ぜ物をするという意味から転じて、ストリートの掟や知識を脳に注入されている状態を指す。
From where game gets ran, but no games get played
巧妙なハッスルは行われるが、遊び半分のゲームなんて通用しない場所の出身だ
Been a grown-ass man from a real young age
ほんのガキの頃から、立派な大人として生きてきた
It's imperative to stick to the narrative
自分の筋を貫き通すことが絶対条件だ
Beware of the arrogance, ego'll make you careless
傲慢さには気をつけろ、エゴはお前を不注意にさせる
I'm from where you may as well not call, cops don't come
俺の地元じゃ通報しても無駄だ、サツは来やしないからな
Buy a gun same place you get your oxtails from
オックステールを買うのと同じ場所で銃を買うのさ
※オックステールはジャマイカ系や南部のソウルフード。地元のテイクアウト料理店の裏口で違法な銃器が売買されている、アトランタのリアルなゲットーの生態系を描写している。
Nine figure eyepiece, trip to the Maldives
億単位のアイピース、モルディブへの旅行
※底辺の過去と対比させ、現在の途方もない富を誇示している。
Went from selling OZs 'fore I got an ID
身分証を手に入れる前から、オンス単位の薬を売り捌いていた底辺からの成り上がりだ
※「OZs」はオンス。ドラッグの計量単位。18歳になってID(身分証)を持つ前からトラップでハードにディールしていた過去。
Overcame the county shift before I ever came out
世に出る前から、郡刑務所の過酷な環境を乗り越えてきた
We endured pain way worse than you complain 'bout (King)
お前らが文句を垂れてるようなことより、ずっと酷い痛みに耐えてきたんだ (King)
[Pre-Chorus: STALONE & Anderson .Paak]
Where I'm from (Come and go with me)
俺の生まれた場所(俺と一緒に来てくれ)
Head first into the drama
トラブルの真っ只中へ真っ逆さまにな
Belly of the beast
野獣の腹の中へ
Follow me to where I'm from
俺の生まれた場所までついてきな
[Chorus: Anderson .Paak]
And if God don't take me, bullets only graze 'em
神が俺を連れ去らないなら、銃弾もただかすめるだけだ
Fire don't burn me, nerves unshaken
炎も俺を焼き尽くせない、神経は研ぎ澄まされたままだ
The critics don't phase me, wolves done grazed me
批評家どもの言葉にも動じない、狼たちの牙をかすめて生き延びたんだからな
Pirellis stay turning, the curbs can't break me
ピレリのタイヤは回り続ける、縁石だって俺を壊せやしない
You're living so foul, I can hardly breathe
お前の生き方はあまりにも腐っていて、俺は息もできないほどだ
Dream in the clouds, I can hardly reach
雲の中の夢、手が届きそうにない
Fall asleep to the sirens, nonstop violence
サイレンの音を子守唄に眠る、絶え間ない暴力
Bodybags piling, you know where to find me (Where I'm from)
死体袋が積み上がっていく、俺がどこにいるかわかるだろ(俺の生まれた場所だ)
[Verse 3: T.I.]
The Red Dog task force taught us that a lawyer first thing you should ask for
レッドドッグ部隊が教えてくれた、真っ先に要求すべきは弁護士だってな
※「Red Dog task force」は、かつてアトランタ警察に実在した麻薬取締特捜班(RED DOG = Run Every Drug Dealer Out of Georgia)。違法な捜索や過剰な暴力で悪名高く、2011年に解散させられた。アトランタのヒップホップコミュニティの歴史において避けて通れないトラウマ的キーワード。
Same time, we learned that when you follow foot races
同時に学んだのは、徒歩での逃走劇を追いかけられた時
Get caught, they plant dope to make good cases
捕まれば、奴らは手柄を立てるためにクスリをでっち上げるってことだ
※警察による証拠の捏造(ドロップ・ガンやドラッグの仕込み)という、システム化された汚職への痛烈な告発。
I remain outside where the rainbow guides
虹が導く場所で、俺は今でも外のストリートにいる
And them lame hoes played to the Kangol side
ダサい女たちはカンゴールの帽子を被った側にすり寄る
※90年代〜00年代のストリートファッションの象徴であるカンゴール・ハット。当時イケてる(金を持っている)ハスラーたちの象徴であり、女たちがそこに群がっていた光景を回顧している。
That's the left, right, yup, nigga, mango sweet
左、右に傾ける、ああ、マンゴーみたいに甘いぜ
※ハットの被り方を左右に傾けることで所属するギャングやクルーのステータスを示すストリートの作法。「mango sweet」はストリートライフの甘美な誘惑。
Can't be running no trap, not if that ain't your street
自分のシマじゃないなら、トラップを回すことなんてできない
Where the blind lead the blind, legacies left behind
盲目が盲目を導き、レガシーだけが置き去りにされる場所
Empires burned down when advice turned down
忠告を無視した時、帝国は焼け落ちる
From the home of the zones, where the crowns and the thrones
「ゾーン」の家、王冠と王座がある場所の出身だ
※「the zones」はアトランタの警察管轄区(Zone 1〜6)の呼称。T.I.の出身地であるZone 1や、Gucci Maneらを輩出したZone 6など、アトランタのラッパーのアイデンティティの中核を成す概念。
Get mud thrown on 'em when you talking on the phone
電話で余計なことを喋れば、その王冠に泥を塗られることになる
※警察の盗聴(ワイヤー)のリスクを警告するストリートの鉄則。不用意な発言が自らの帝国を崩壊させる。
If the wrong thing said, then you learn the hard way
間違ったことを口にすれば、痛い目を見て学ぶことになる
When the love strong, only mean greater heartbreak
愛が強いほど、より大きな傷心をもたらすだけだ
※ストリートでの裏切りや、愛する仲間を暴力や逮捕で失うことの悲痛な現実。
Goddamn, this the home of the scandalous
畜生、ここはスキャンダラスな奴らのホームだ
And scammers, the streets is in shambles, Atlanta, where I'm from
詐欺師どもがうろつき、ストリートはボロボロだ、アトランタ、そこが俺の生まれた場所だ
[Pre-Chorus: STALONE & Anderson .Paak]
Where I'm from (Come and go with me)
俺の生まれた場所(俺と一緒に来てくれ)
Head first into the drama
トラブルの真っ只中へ真っ逆さまにな
Belly of the beast
野獣の腹の中へ
Follow me to where I'm from
俺の生まれた場所までついてきな
[Chorus: Anderson .Paak]
And if God don't take me, bullets only graze 'em
神が俺を連れ去らないなら、銃弾もただかすめるだけだ
Fire don't burn me, nerves unshaken
炎も俺を焼き尽くせない、神経は研ぎ澄まされたままだ
The critics don't phase me, wolves done grazed me
批評家どもの言葉にも動じない、狼たちの牙をかすめて生き延びたんだからな
Pirellis stay turning, the curbs can't break me
ピレリのタイヤは回り続ける、縁石だって俺を壊せやしない
You're living so foul, I can hardly breathe
お前の生き方はあまりにも腐っていて、俺は息もできないほどだ
Dream in the clouds, I can hardly reach
雲の中の夢、手が届きそうにない
Fall asleep to the sirens, nonstop violence
サイレンの音を子守唄に眠る、絶え間ない暴力
Bodybags piling, you know where to find me (Where I'm from)
死体袋が積み上がっていく、俺がどこにいるかわかるだろ(俺の生まれた場所だ)
